クリスマスの読み聞かせにおすすめの絵本
クリスマスのおはなし会、1年のうちでも力が入りますね。どんなプログラムにするかを考えるのは楽しい作業でありながらも、素敵な絵本がたくさんありすぎて迷ってしまう、ということもありますよね。そんな時のご参考に、こちらの記事では、読み聞かせにおすすめのクリスマス絵本を用途や内容別に分け、ピックアップしてご紹介します。
たくさんの子どもたちが集まるクリスマスイベントやおはなし会の絵本選びに、またご家庭でお子さんに読んであげる絵本選びに、お役立てください。
※各テーマで紹介する絵本は、対象年齢の低いものから高いものへの順に並べています。
みんなで声を出して楽しもう♪ 参加型クリスマス絵本
おはなし会の場が温まり、緊張をほぐしてくれるのが、参加型の絵本。クイズのようになっていて、子どもたちに問いかけるものや、子どもたちと一緒に絵本のセリフを唱えるものなどいろいろあります。おはなし会の導入に持ってきたり、プログラムの真ん中付近のリフレッシュ用におすすめです。
サンタのおまじない
おまじないの言葉は、「いち にい サンタ!」
クリスマスイブ、けんちゃんに届けられた荷物は…けんちゃんのきらいな野菜がたくさん!
でも、こんな手紙が添えられています。
「ひとつずつ てにとって
『いち にい サンタ!』と おまじないを いってね」
なんだか面白そうです。
けんちゃんは早速ためしてみますよ。
ピーマンを取り出して、「いち にい サンタ!」
すると、ちょきちょきぱちん。
ピーマンが細かく刻まれていき……いつのまにか大変身。
きらきらひかるお星さまが飾られた「あれ」になっちゃった!!
すごいすごい、これは魔法です。
しいたけは、ゆらゆらゆれるあのおもちゃ。
なすは、にゃおにゃお鳴く可愛いあの子。
そしてトマトは……あかい帽子に赤い服!!
驚くような変身が繰り返されるこの絵本は、楽しい「切り絵」の絵本。
シンプルな野菜の形をした色紙が、どんどんハサミを入れていくとまさかのものに。
これは大人でも感激してしまいます。
クリスマス、親子で一緒に読んで楽しんで。
少し大きくなったら、ぜひ挑戦してみてくださいね。
例え、絵本みたいに上手にできなくても、心に残る時間になりそうです。
ノンタン!サンタクロースだよ
「ねこのサンタはどこにいるのかな?」
へんしんプレゼント
クリスマス絵本の名作・ロングセラー
クリスマス絵本の名作・ロングセラーを、プログラムの中に1冊でも入れると、会が充実しますね。名作・ロングセラーでもまだ読んだことがないという子どもたちも多いかもしれませんので、おはなし会が出会う場になったら良いですね。
おたすけこびとのクリスマス
クリスマスの前の夜、こびとたちが引き受けた仕事とは?
「小さな小さなこびと達が働く車を駆使して作ったものは・・・。」
子ども達を喜ばせ、大人達を驚かせた前作『おたすけこびと』の登場からはや二年。待望の新作の登場です。
今度の舞台はクリスマスの前の夜。小人たちに依頼した人は誰なのでしょう?そして引き受けた仕事とは?
相変わらず、その設定を想像しただけでワクワクしてしまうのが「おたすけこびと」シリーズ。まずは「働く車好き」の子は喜びます、と断言しておきましょう。今回も小人と車は大活躍していますよ。
前作と大きく違うのは舞台が夜だということ。そしてテーブルの上の世界を飛び出して外の世界に行くのです。ハラハラドキドキしながらも見事な手順で仕事をこなしていくこびと達。とても夢がある物語に魅了されながらも、実はこびと達のそういう仕事ぶりを見ているのは子ども達だって好きなのでしょうね。
コヨセ・ジュンジさんの渾身の絵もみどころ満載です。小さな遊びもたくさんかくれていますが、発見は子ども達におまかせしましょう。新たなクリスマス絵本の定番として大歓迎の一冊です。
クリスマスのふしぎなはこ
小さな箱の中の壮大な世界
僕はクリスマスの朝、床下で小さな箱を見つけます。開けてみると、そこにはなんとサンタさんが見えたのです。「サンタさんもう出発したかなあ」と箱の中を見ると、出発準備をするサンタさんの姿が見えました。箱の中をのぞく度に、サンタさんは、森の中を走り、北の町を走り、そしてとうとう僕の町にやってきました。僕は急いで布団に入ってぎゅっと目をつぶります。朝、目が覚めると、枕元にプレゼントがおいてありました!
ぐりとぐらのクリスマス
ぐりとぐらが見つけた、大きなあしあと。一体だれのものなのでしょう?
森で雪合戦をしていたぐりとぐらが見つけたのは、大きなあしあと。きつねよりもくまよりも大きな、長靴のあしあと。一体だれのものなのでしょう。ふたりがあとを追ってみると、やがて一件の家があらわれます。
「おやおや。なんだか みたことのある…」
それはそうです。そこはぐりとぐら、ふたりが暮らす家だったのです! ドアを開ければ玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバー、まっしろなえりまきや、大きな赤い帽子までかかっています。そして暖炉の横には……。
こんな風に、ぐりとぐらと一緒にドキドキしながらページをめくっていくと、謎のおきゃくさまのヒントが次々にあらわれます。あれ、もしかしたら…? 少しずつ期待の気持ちが芽生えてきた頃、突然ふたりの鼻が何かを捉えます。
「ああ、いいにおい!」
青と赤のとんがり帽子とつなぎがトレードマークの「ぐり」と「ぐら」。この世で一番好きなのは、お料理すること、食べること。そんな二人が活躍する絵本「ぐりとぐら」シリーズは、発売から50年以上経った今でも変わらぬ人気者。その2冊目に登場したのが『ぐりとぐらのおきゃくさま』なのです。
冬のクリスマスの季節にぴったりなこのおはなし。サンタクロースの登場の仕方がとっても個性的なのが強く印象に残るのですが、それに負けないくらい美味しそうなケーキもしっかりと登場します。やっぱり「ぐりとぐら」は、これですよね。
おおきいツリー ちいさいツリー
ちょうど良いサイズにするために切られたツリーの先っぽ、そのあとどうなる?
もうすぐクリスマスがやってきます。キラキラ輝く町のイルミネーションも素敵だけれど、おうちに飾るクリスマスツリーって、特別な存在ですよね。
ウィロビーさんのお屋敷に、トラックでツリーがとどきました。青々とした、見たこともないくらい大きなツリー。さっそく大広間に飾りますが、あれあれ、大きすぎて天井につっかえてしまいます。執事のバクスターが木の先っぽをおのでばっさり。ちょうどいいサイズになりました。
切られた先っぽは、小間使いのアデレードへのプレゼントに。アデレードの部屋に飾られたツリーはちょっぴり大きくて、はさみで先っぽをちょきん。その先っぽを庭師のチムが見つけて……。
今度は誰が拾うのかな? 自分のおうちにちょうどいいサイズにするために切られたツリーの先っぽが、見つけた人や動物たちの特別なクリスマスツリーになっていくようすは、まるで魔法のよう。なんとも楽しい気持ちになります。
そしてツリーがおうちにやってきたらどんな飾りつけをしましょうか。みんなのおうちをちょっとのぞいてみましょう。
金や銀のきらきらしたものや、鈴や、はちみつのお菓子や、ポップコーンを糸でつないだものや、チーズで作ったお星様! なんとも素敵なアイディアが満載です。それぞれのおうちのクリスマスの飾りつけもかわいらしくて、見どころのひとつ。
み~んな笑顔で幸せなクリスマス、いいですね。クリスマスを待ちながら、楽しみに読みたい一冊です。
クリスマスってどんな日? 由来を伝えるクリスマス絵本
クリスマスって、いつからはじまったの? どうしてお祝いするの? サンタクロースってどんな人? など、クリスマスのおはなし会が、クリスマスの由来を知るきっかけになると良いですよね。おはなし会で由来を伝える時には、こんな絵本の力を借りてみませんか。
クリスマスおめでとう
クリスマスってどうしてお祝いするの?
クリスマスの本当の意味を伝えたい、という作者の思いから生まれた絵本。クリスマスってどうしてお祝いするの?という子どもたちの問いに答えつつ、イエス様だけでなく、望まれて生まれてきたことの幸せを感じさせる絵本。
クリスマスってなあに
イエス・キリストの誕生の物語を通して、クリスマスのほんとうの意味をやさしく伝えます
ブルーナの子どものためのクリスマス絵本。
星にみちびかれて、東方の3博士の旅がはじまります。イエス・キリストの誕生の物語を通して、クリスマスのほんとうの意味をやさしく伝える絵本です。
クリスマスってなあに?
イエス・キリストの誕生から、クリスマスを迎える準備、サンタクロースのことまで分かる一冊
真っ赤な表紙がひときわ目をひくこの可愛らしい絵本には、
子どもたちに語るクリスマスのすべてが詰まっています。
みんながその日が来るのを楽しみに待っているクリスマス。
でも、クリスマスっていつから始まったのか、何の日なのか知ってますか?
イエスさまの誕生に関しての丁寧な説明で始まり、
クリスマスカードの描き方、プレゼントや料理の準備、お部屋の飾りつけなど、
クリスマスを迎える習慣について、具体的な絵と一緒に教えてくれます。
寝静まった頃にやってくるのは…サンタクロース!
朝がくれば、
「みんな、クリスマスおめでとう!」
一年でいちばんすばらしい日がはじまります。
中身を読めば欲しくなってしまうこの絵本。
いちばんの理由はなんと言っても3色刷りの美しいイラストの数々。
どのページにも大きいものから小さいものまで本当に贅沢に使われています。
クラシカルな雰囲気がありながら、その洗練されたセンスと可愛らしさは
見ていてドキドキするほどです。
リズミカルで優しい文章による語りかけも、気持ちを盛り上げてくれますね。
毎年クリスマスが近づいてきた時期に読みかえす絵本として、
大人になるまで活躍してくれそうですよ。贈り物にも最適です。
サンタクロースがうまれた日
サンタクロースの起源を伝えたい時には、こちらの絵本を
サンタクロースの起源を描くうつくしい絵本
サンタクロースは、どうやって生まれたの? どうして自由に空を飛べるの? どうしていつも真っ赤な服を着ているの?……などなど、数々のなぞに包まれたサンタクロースの誕生秘話を描く、極上のクリスマス絵本が登場です。
アラン・スノウの幻想的でうつくしい絵と石井睦美さんの訳文で、子ども大人問わずに楽しめます。金箔押しの豪華な装丁は、クリスマスのギフトにも最適です。
心あたたまる、優しい気持ちが詰まったクリスマス絵本
クリスマスの絵本には、誰かを思いやる優しさがあふれている絵本がたくさんあります。それはクリスマスという行事が、大切な人のことを思う日だからかもしれませんね。さみしい思いをしていた誰かさんが、サンタさんや他の人に救われたり、一方でサンタさんが誰かに助けてもらったり。また日頃の目立たない努力にご褒美のような出来事が訪れたり‥‥‥。そんな温かなやりとりを描いた絵本は何冊でも読んであげたくなりますね。
ぼうしくんのクリスマスプレゼント
きみにぴったりのプレゼントをあげる
クリスマスの夜、真っ白な雪の上にぽつんと置かれた「ぼうしくん」。一体どうしたのでしょう。どうやら、あわてんぼうの誰かさんが、落として行っちゃったみたいで……。
すると、そこへやってきたのは、うさぎさん。
「えーんえーん、今日はクリスマスなのにひとりぼっち。
誰もプレゼントをくれないよ。」
泣いているうさぎさんに、ぼうしくんは自分のボンボン飾りをプレゼントします。うさぎさんが喜んで泣きやむと、今度はくまさん、きつねさん、トナカイさんまで次々にやってきては、みんなひとりぼっちだと泣いているのです。心優しいぼうしくんは……。
人気作家・新井洋行さんが描く新しいクリスマス絵本の主人公は、ぱっちりおめめがチャームポイントのぼうしくん。この鮮やかな赤い色、フワフワの飾り、なんとなく持ち主は想像できますよね。だけど、全てがなくなってしまったぼうしくんの姿と言ったら。もう、早く迎えにいってあげてよね! みんながそう願う中、大丈夫、最後はみんなが嬉しい場面が待っています。
子どもたちと過ごすクリスマスの夜には、こんな可愛らしくて心あたたまる絵本がぴったり。何度でも読んであげてくださいね。
クリスマスには おくりもの
相手を思う心と「贈るたのしさ」が伝わります
クリスマスを楽しみにしているのは、サンタさんもいっしょ!
真夜中にやってきたサンタクロース。
くつしたにプレゼントを入れようとして「おや?なにかはいっているぞ?」
それは女の子からサンタクロースへのプレゼント。
プレゼントをもらうのが当たり前になってしまったこのごろのクリスマスですが、この絵本が描いているのは相手を思う心と「贈るたのしさ」です。わが子もこんなふうに成長してほしいとおもうそんな絵本です。
クリスマスのおとしもの
ひとつひとつ、落とし物をひろっていったら……
外は一面、雪景色。
「あれれ? あおい バケツが おちてるよ」
おさんぽ中に見つけたのは、誰かのおとしもの。
「はーい ぼくのだよ」
バケツの主はゆきだるまさん。
あれれ? 今度はきいろいわっか。おとしたのは、天使さん。
このちゃいろの木の実をおとしたのは?
みんなで飾りつけてあげると、きれいなクリスマスツリーになったよ。
……あれれ、このあかいぼうしは?
おとしものを見つけているうちに、あたりはすっかり暗くなって。でも今日はクリスマスの夜。最後のおとしもの、赤いぼうしの持ち主が、家まで送っていってくれます。なんて素敵な光景でしょう!
えがしらみちこさんが水彩画で描くクリスマス絵本。登場するのは、さりげない日常の時間。けれど、やっぱりクリスマスは特別な日。大好きな景色がぎゅっと詰まって、何度読んでも嬉しくなっちゃいます。
メリークリスマス、いい夢みてね。
だれかのプレゼント
「これはだれのプレゼント? はやくもちぬしにとどけなきゃ」
クリスマスの日、そりいっぱいにプレゼントを積んで出発したサンタさん。「早くみんなに届けなきゃ」と急いでいますが……たいへん! プレゼントが落っこちちゃった!
空から落ちたプレゼントは海の中へ。「ぶくぶくぶく」と沈むのを見ていた魚は「このプレゼント、だれのか知らない?」とクジラに相談します。
プレゼントを持ち主へ返すため、クジラはカメへ、カメからウサギへ。「早く届けてあげなくちゃ」「きっと今ごろ探している」と心配した動物たちの、夜のリレーがはじまります。
眠そうに目をこすりながら「困っているひとがいる」と次々大切なプレゼントを手渡していく様子に心があたたかくなります。
そのリレーの行方がどうなるかというと……。「あれっ」というオチに、一緒に読んでいた子どもと顔を見合わせて思わずにっこり。ぜひ最後まで楽しみに読んでくださいね!
月がのぼったばかりの海から、真夜中の森、夜明け前まで。しっかりと塗り重ねた絵具のタッチが、味わい深い。作者の谷口智則さんは「“だれかのプレゼント”を届けることが、自分のプレゼントになる」という想いを込めてこの絵本を作ったそうです。
ちなみに、谷口さんが描いたサンタクロースの絵本は『100にんのサンタクロース』『おおきいサンタとちいさいサンタ』(共に、文溪堂)などがあります。読み比べるのも楽しいかも!
はたらくくるまたちのクリスマス
朝から晩まで働いた帰り道に見つけた自分たちへのプレゼントとは?
大人気〈はたらくくるまたち〉シリーズにクリスマスのお話が登場! 工事現場で今年最後の大仕事にはげむブルドーザーやショベルカー、ミキサー車、ダンプカー、クレーン車たち……。朝から晩まで働いた彼らに待っていたのは、とってもすてきなプレゼント! そして、彼らのがんばった仕事もまた誰かへのすてきなプレゼントで――。「おやすみなさい」がテーマのシリーズだから、クリスマスの夜にもぴったりの物語。のりもの大好きなお子さまたちへの最高のプレゼントとしてどうぞ。
サンタさんのおとしもの
どうやってサンタさんを見つけたら良いの?
お話の舞台は、寒い寒いクリスマス・イブの夜の町。
おつかいに出ていた女の子が、大きな赤いてぶくろを拾います。
女の子はすぐに思います。
「これは、サンタさんのてぶくろにちがいない」
寒くて困っているだろうから、届けてあげなきゃ。だけど、この広い夜の町。どうやってサンタさんを見つけたらよいのでしょう。サンタさんは今頃きっと、空飛ぶそりにのって煙突から煙突へ……。
だけど、教会の前まで来た時に、彼女は思いつきます。そうだ、この高い塔に登れば!女の子は無事にサンタさんに会えたのでしょうか。てぶくろは渡せたのでしょうか。
真っ黒な背景に浮かびあがる町の灯りや、空から降ってくる白い雪。高い塔から見渡す遠い港や色とりどりの屋根。その全ての美しいことといったら! 三浦太郎さんの描くクリスマスは洗練された、だけどとっても可愛らしく。一目見たら忘れられない景色がたくさん閉じ込められていて。毎年この時期になると開きたくなる、小さな優しい物語です。
こりすのクリスマス
大好きなサンタさんにプレゼントをあげたい…
遠い遠い北の国、サンタさんの暮らす家があるその深い森に、こりすは住んでいました。こりすはいつも、もみの木からクリスマスのために準備をしているサンタさんの様子を見ています。プレゼントを贈る相手がいるのは幸せなことだと話しながら、サンタさんはビスケットをわけてくれます。コリスはそんなサンタさんが大好きなのでした。そして辺り一面が真っ白になる12月。
「では いってくるよ」
プレゼントを届けに出かける姿を見送りながら、こりすはふと、自分もサンタさんにプレゼントをあげたいと思い立ちます。でも、いったい何がいいのでしょう? 探しているうちに、夜が明けてしまい……。
相手が好きだからこそ、喜んでもらいたいからこそ、何を贈ればいいのかわからなくなってしまうこりす。その健気な姿を見守りながら、いつしか読んでいる私たちもプレゼントの本当の意味を考え始めてしまうのです。何しろ、相手の欲しいものをぴったり当てることなんて難しすぎます。だけど、サンタさんは絵本の中でちゃんと教えてくれます。素晴らしいプレゼントというのは?
小さく愛らしい主人公を、美しい風景とちょっぴり切ない物語で描き出す豊福まきこさん。そんな豊福さんが手がけるサンタクロースの姿はやっぱり魅力的。その世界を存分に味わってくださいね。
こぎつねのとくべつなクリスマス
小さなこぎつねに訪れた特別な夜、忘れられないクリスマスの出来事
遠い北の国で、雪の中を一人ぼっちで歩いているのはまっ白なこぎつね。お腹がぺこぺこなので、今夜のごはんを見つけなくてはならないのです。するとこぎつねは、雪の下に小さなあかりを見つけます。すいよせられるように掘っていくと…
「おや? ひっかかってしまったのかい?」
こぎつねを助けてくれたのは、まるまる太ったおじいさん。優しくだっこしてくれたので、こぎつねは怖がることなく、そのままごはんをいただき、一緒に眠りについたのです。
季節はめぐり、そのままおじいさんの家で過ごすこぎつねは、毎日忙しそうに働くその様子を見守っています。たくさんのおもちゃをつくったり、空から降ってくる手紙を整理したり、大きな袋におもちゃをつめていったり。何をしているのでしょう。やがて夜空にオーロラがあらわれるようになった頃、8頭のトナカイがやってきて……。
「おまえも いっしょにくるかい?」
小さなこぎつねに訪れた特別な夜、忘れられないクリスマス。その美しい出来事を、優しく丁寧に描き出したこの物語。『山はしっている』(鈴木出版)でも印象的だったリチャード・ジョーンズによる、愛らしくもきらびやかな絵によって、うっとりとしたその喜びが伝わってきます。サンタクロースの懐の深さやあたたかさが存分に味わえる、クリスマスの絵本です。
ちょっとしたサプライズが楽しい、驚きのあるクリスマス絵本
楽しいしかけで驚かせてくれるクリスマス絵本も、おはなし会のお楽しみに用意しておきたいですね。しかけの楽しさや、見開きで広がる大きなページなど、おはなし会を盛りあげる絵本としてプログラムに追加してみませんか。
まどからおくりもの
あわてんぼうのサンタさんの楽しいかんちがいをみんなで楽しもう♪
「きょうは どうやら クリスマス。」
サンタクロースが空からやってきましたよ。これから、みんなの家をまわって、窓から贈り物を配るみたい。部屋をのぞいてみると、みんなぐっすり眠っています。目が覚めたら喜ぶよね、きっと!
……ところが。
このサンタさん、なんだかちょっと慌てもので大ざっぱ!?
窓からのぞくと見える姿はねこさんの顔。じゃあ、贈りものは可愛いリボンね!
サンタクロースは投げ込みましたが、ページをめくると、なんとそこに寝ていたのは「ねこさん」の絵柄のパジャマを着たブタさんだったのです。
次にやってきた家の窓。今度はしましまの模様が見えます。
サンタクロースは、思います。
「ここは どうやら しましまさんのおうち。」
ページをめくってみると、やっぱり違う。
その部屋で寝ていたのは、なんと…!?
「五味太郎 しかけ絵本」シリーズ3作目のこの絵本。みんなの家の「窓」の部分が穴あきのしかけになっていて、ページをめくると、その部屋の中の意外な様子が見られるのです。慌てもののサンタクロースは間違ってばかり。だけど、この絵本を読んでいる子どもたちは、その間違え方に夢中!笑ったり、正しい答えを叫んだり。ページをめくるたびに楽しい事件が巻き起こります。
さて、どうやら全て配り終わったサンタクロース。間違った贈り物をもらったみんなは、ちゃんと喜んだのかな? 安心してくださいね、ちゃんと最後には上手いことおさまったようです。しかけが楽しい小さな子どもから、勘違いを楽しめる子どもたちまで。幅広い年齢層に毎年大人気のクリスマス絵本です。
ねずみくんのクリスマス
最後のどーんとおおきなしかけページをお楽しみに!
ねずみくんがうれしそうにモミの木を抱えてやってきましたよ。
「クリスマスツリーをつくって ねみちゃんをおどろかせるんだ」
だけど、あひるくんたら「ガーガー ガッハッハ~ ちいさい ちいさい」
ねずみくんがせっかく飾りつけたツリーを笑って、自分のツリーを自慢げに見せます。
「どうだい おおきいだろう」
ところが、今度はうさぎくんが「キュッキュッ キュッハッハ~ ちいさい ちいさい」
さらに、ぶたくん、くまくん、ぞうさんが自分のツリーを持ってきて、いばるんです。
あれれ、ツリーがおおきいからってそんなにいばらなくても・・・。
そこへ登場したねみちゃん。ねずみくんよりさらにミニサイズのツリーに、みんなは思いっきり大笑い。
「わー ちいさい ちいさい ちいさすぎだ~ パオッ ウオホッ ブフッ キュッ ガァハッ ワッハッハッハッハ」
でも、ねみちゃんは「ちょうどよかったわ うちへいらっしゃい」と、にっこり笑顔!?
なんだろう・・・と、おうちに行ったみんなは・・・ビックリ!
なぜならちいさなツリーは、おおきな、あるものの飾りだったのです!(うわー、おいしそう!)
ねみちゃんを笑ったみんなは、消え入りそうな表情。お礼をしなくちゃと、考えたこととは・・・?
最後のどーんとおおきなしかけページをお楽しみに!
それぞれのツリーにつるされた、足のかたちの靴下がかわいい。
動物たちの笑い声も、読み聞かせで盛り上がりそうです。
すてきな見どころがギュッとつまった、ねずみくんシリーズ第19作目。
クリスマスらしい真っ赤な枠に、黄色いお星さまの色が愛らしい絵本。
ねずみくんとゆかいな仲間たちからのプレゼントですよ。メリー・クリスマス!
サンタのいちねん トナカイのいちねん
前からも後ろからも読める絵本! 2つのお話が真ん中でつながります。
2つのお話が真ん中でつながるユニーク絵本。クリスマスまでの一年間、サンタやトナカイは何をしているのかな?ラストはロマンチックなパノラマ画面が広がります。前から読めばサンタのお話、後ろから読めばトナカイのお話。クリスマスの日のために一年間準備をしたサンタとトナカイが、絵本の真ん中で出会います。裏表紙からは「トナカイのいちねん」がはじまるよ。
眺めてうっとり。とびきりの絵を楽しむクリスマス絵本
お話の楽しさはもちろんのこと、絵が凝っていて、眺めているだけでうっとりしてしまうような絵本を最後にご紹介します。普通の絵本よりもゆっくりめに読んで、みんなで絵を楽しみましょう。
さんかくサンタ
tupera tuperaさんによる、織物のような質感が味わえるクリスマス絵本
さんさんさんかく さんかくサンタ
まんまるふくろを せなかにしょって
しかくいおうちに はいっていった
さんかく・まる・しかくで愛らしいクリスマスのおはなしができました。
この質感、手触り感。まるで織物のよう。
これぞ、tupera tuperaならではのあたたかさ。
シンプルな展開だからこそ、生きてくる味わいです。
ぜひ、手にとってご覧ください。
大切なひとへのプレゼントとしても最適です!
サンタさん
丁寧に繊細に、色鮮やかに縫い込まれた「刺繍」を味わいながら読みたい
思い立ったのは、春の終わり。
羊の毛を刈りながら、サンタさんは思うのです。
「このフワフワの毛で、はなちゃんのマフラーを作ろう」
毛を紡いで、色を染めて、毛糸玉を作り。春、夏、秋、冬をまたいでじっくり丁寧にマフラーを編み上げます。クリスマスの夜、それを綺麗に包み、袋に入れて、長靴をはいて、外へ出て……「さあ行こう」。
絵本の中で、はなちゃんへプレゼントを渡すために、森を抜け、山をのぼり、街の中をひとりで歩き続けるサンタさんのその姿の小さなこと。だけど、思わず目を凝らして見入ってしまうのは、なんと全てが「刺繍」で描かれているから! サンタさんの赤い帽子も白いおひげも、森の木々も、静かな夜に並ぶたくさんの家も、全てが丁寧に繊細に、そして色鮮やかに縫い込まれているのです。
『クリスマス・イブのおはなし 3冊セット』、『サンタさんありがとう』などで人気の刺繍絵本作家長尾玲子さんの最新作は、ひたむきな姿が心を打つサンタさんが主人公。その一つ一つの画面の密度の濃さと相まって、ぎゅっと詰まった愛情を感じることのできる、素敵なクリスマス絵本です。
じっくりと、読む時間を大切にしながら味わってみてくださいね。
いろいろクリスマスツリー
動物たちが、思い思いに作るクリスマスツリー。みんなは、どんなツリーをかざりたい?
もうすぐクリスマス。 みんな飾りつけの真っ最中。
色々なところで、色々なツリーが飾られているみたいですよ。
例えば……、
森の中ではリスたちがどんぐりをいっぱい飾り付けて。
こおりのくにでは、ペンギンたちがシューシューすべるツリー・スライダー。
海の底では、海藻と真珠。海辺では、砂と貝殻とヒトデで。
なんて自由! なんて素敵!
こんなの思いつかなかった、ツリーの数々。
ほかにも小さなミニミニツリーから、縦にながーいツリー。
さらにさらに美味しそうなツリーまで……!?
クリスマスツリーの絵本はたくさんあるけれど、
こんなに「いろいろなツリー」は見たことない?
なんだかこのまま、お部屋に飾るツリーの参考になりそうです。
子どもたちが夢中で眺める姿が思い浮かぶこの絵本。作者のおおでゆかこさんは、絵本作家としてはもちろん、イラストレーターとして手がけられている可愛い雑貨も大人気。豊富なアイデアにも納得なのです。
「メリークリスマス!」
さて、今年はどんなツリーを飾りましょうか。
クリスマスのおはなし会に、クリスマスのお話以外で季節感のあるお話も入れたいという時には、下記のテーマも参考にしてみてくださいね。
11月、12月と子どもたちが集まるたくさんの場所で、クリスマス絵本の楽しい世界が広がりますように。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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