【今週の今日の一冊】子どもの声に耳を傾けよう。11月20日は「世界子どもの日」
11月20日は「世界子どもの日」です。1954年、世界の子どもたちの相互理解と福祉の向上を目的として国連によって制定され、その後1989年には、すべての子どもに人権を保障する初めての国際条約「子どもの権利条約」が国連総会で採択されました。日本では、1994年に「子どもの権利条約」が批准され、2023年4月には、この権利条約に則り、こども施策を総合的に推進していくことを目的とした「こども基本法」が施行されました。
「世界子どもの日」を迎える今週は、「子どもの声に耳を傾けよう」というテーマで、「子どもの権利」について大人が考えるきっかけになるような本や、子どもが分かりやすく理解できるような本を紹介していきます。まだまだ大人も、そして子どもたち自身も理解や知識が必要だと思われる「子どもの権利」について、考え方やそれを日々の生活でどう実現していったら良いのか、さまざまな本をきっかけに考えてみませんか。
2024年11月18日から11月24日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
11月18日 「あのね、きょうね」親子の語らいを描く絵本
読者レビューより
園の帰り道での、子供と親の何気ないやりとりを描いた、ほのぼとした物語。
うちも自転車で送り迎えをしているので、こんな風に帰り道、園でのことを色々話してくれます。
この絵本のぼくは、幼稚園でのちょっと悲しかったことを頑張ってお父さんに話していて、お父さんはその悲しい気持ちを受け止めながら、ちゃんとぼくの良くできたことを褒めてあげていて、こんな風に何でも話せることはいいなと思いました。まだ年少なので、あまり難しいことは話せないからか悲しかった、辛かったみたいな話は聞いたことがないですが、そんな思いをした時は、この僕のように、話してほしいなと思いました。
(tori.madamさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子3歳)
11月19日 今日の議題は「怒られたときはどうしたらいいか」
火曜日は『こどもかいぎ』
今日は大事な会議の日!
こどもたちだけでこっそりひらかれる、『こども会議』がはじまります。
「今日のお題は、『おこられたときはどうしたらいいか?』です」
「わたしは、ごめんなさいってあやまるのがいいと思います」
「でも、コラーっていわれると、こわくてごめんなさいっていえなくなっちゃうんだよね」
「泣いちゃうのはどうかな?」
「笑ってごまかすのは?」
ああでもないこうでもないと、意見をたたかわせる子どもたち。
ところがだんだん話はそれて、パパやママが怒るとどんなふうになるか、お披露目大会に――!?
そのうち、どっちのパパやママが怖いかでけんかまではじまっちゃって、会議はしっちゃかめっちゃか!
おとなになって、親から怒られたときの気持ちなんて、すっかり忘れてしまいました。
怒ったときのママは、ほっぺがぷくーってふくらむ妖怪みたい!
いやいや、口から火を噴く大怪獣だ!
怒られているとき、こどもたちから親はこんなふうにみえているのかと思うと、ちょっと悪いなあとも思うけど、なんだかかわいくて、ほほ笑ましくもあり――
スーツ姿の子どもたちが真剣に会議をする姿がかわいくて、おとなも笑顔がこぼれてしまう、たのしい一冊です。
さて、なんとか議長が場をおさめ、議論は再開。
そして出された、おどろきの結論とは!?
満場一致の即可決!
ごめんなさいとすぐにあやまるより、効果あるかも?
あざとい? ずるい? それでもきっと、ママやパパだって大賛成!
ほんとはおとなに秘密の会議、こっそりのぞいてみてください。
(堀井拓馬 小説家)
読者レビューより
園の5歳児クラスで読みました。
自分の意見を発表したり、
自分以外の意見を聞いたり、
園でもそういう話し合いの時間は大切な経験です。
タイトルの『こどもかいぎ』には、子どもたちも興味津々。
表情豊かな子どもたちが描かれています。
絵本に登場する6人の意見には、
「ぼくも、そう思う!」と共感したり、、
「え~っ!」と感嘆したり、
「うちのお母さんはな・・」と話し始めたり。。
お話に登場する子どもたちと一緒に、お話を読んでいる子どもたちも考えているのですよね。
親子で一緒に、このお話を読み聞かせするとまた新たな発見もありそうです。
(アッコちゃん♪さん 50代・その他の方 )
11月20日 あなたも もっている あたりまえの「権利」
水曜日は『ようこそ こどものけんりのほん』
今、注目を集める「子どもの権利」を、えがしらみちこさんのあたたかいイラストがやさしく紹介してくれます。
権利というと、一見難しいイメージがありますが、子どもたちと子どもに関わる大人を守る大切なもの。
子どもの権利のはじめの一歩を親子で学べる絵本です。
カバー裏には子どもの権利条約ポスターを印刷。
11月21日 子どもの権利は大事なものであり、特別なもの
木曜日は『子どもの権利ってなあに?』
本書は、子どもが権利を持つとはどういうことかについて伝える絵本です。食べ物を得る権利に始まり、水を飲む権利、家に住む権利、学校に通う権利、暴力を受けない権利、きれいな空気を吸う権利など、たくさんの権利について取り上げています
こうした権利は地球上に住むすべての子どもが持つものです。「肌の色が違っても、小さくても大きくても、お金持ちでもそうじゃなくても、この国で生まれてもほかの国で生まれても」持つ権利なのです。すべての人がこうした権利を尊重することに大きな意義があります。
この絵本が紹介しているのは、人権という概念です。とりわけ、国連子どもの権利条約で取り上げられている子どもの権利について説明しています。この条約が制定された後、世界中で子どもの権利についての意識が高まりました。しかし、豊かな国であれ貧しい国であれ、子どもの基本的なニーズを満たしていない国がたくさんあります。
この絵本は、子どもたちに伝わるように、著者であるアラン・セールが子どもたちに直接話しかけるような言葉遣いで書かれています。オレリア・フロンティの生き生きとしたイラストからは、子どもの権利が大事なものであるというだけでなく、特別なものでもあることが伝わってきます。
読者レビューより
子どもに、「あなたたちは愛されて、守られて当然なのよ」と伝える絵本です。
安心して住める、学校に行ける、男女の平等、むりやり働かされない。どれも当たり前のことすぎて、子どもは、その幸せそうな絵と、例えのおもしろさを楽しんでいました。
世界中の子どもたちが、この絵本を読んでも「え?そうなの…?」ってならず、にこにこ笑ってこの絵本を楽しめるような、そんな世界を大人が作っていかなくてはいけないなと感じました。
(みっとーさん 30代・ママ 男の子10歳、女の子8歳)
11月22日 こどもたちから生まれた生のことばに耳を傾けよう
金曜日は『一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション』
鹿島和夫と担任した小学校一年生たちとの、いわば交換日記であった「あのね帳」からセレクト。笑いをさそうもの、胸をうつもの…こどもたちから生まれた生のことばがヨシタケシンスケの絵とタッグを組み、新たに心をゆさぶる。
読者レビューより
「あのね帳」、私の子どもの頃にもありました。
1年生の宿題で、「せんせい、あのね」で書き出すのがお約束の日記帳。
学校や家で起きたこと、日々思ってること、面と向かって先生に言いにくいことも、あのね帳には何でも書けました。
絵本には54個の子どもたちのつぶやきが、出席番号順に載っています。
思わずクスッと笑えるもの、詩人顔負けの素敵な詩、大人も共感しまくりの素直なつぶやき……どれもこれもその時その子にしかつぶやけない宝石のような言葉の数々。
名前を見ると昭和感あるお名前が並んでいて、もしかして自分と変わらない年代の子たちの作品なのかな、とちょっぴり親近感を覚えました。 ヨシタケシンスケさんのイラストがほのぼのと面白く、シンプルだけど可愛らしくて、懐かしさと新しさが絶妙な1冊です。
(MYHOUSEさん 50代・ママ)
11月23日 ある1日を、子どもと大人それぞれの視点で描く絵本
土曜日は『きょう なにしてた?』
「なかよしえん」には、今日もたくさんの子どもたちが通ってきます。じゃあね!と、バイバイしたあと、おとなは一体なにをしているでしょう? そして子どもたちは園でどうしているでしょう? …ある1日を、子ども・おとな互いの視点で描いた絵本です。日々のなにげない風景ですが「それぞれの時間を肯定的に生きている」という、いとおしさにあふれます! 読んだ人同士も「きょう、なにしてた?」と、ぜひ、おしゃべりしてみてください。
読者レビューより
なかよしえんに通う色々な親子の一日を描いています。
朝の登園の様子 昼間の様子 お迎えの様子が丁寧に描かれています。
親はいつも、子どもと離れていても、「今何してるかなぁ?」と考えてしまいますよね。
そんな大人の気持ちを描いた絵本です。
(★ハチ★さん 30代・せんせい 男の子7歳、男の子5歳)
11月24日 安心して過ごすために「いるもの」「いらないもの」
日曜日は『「はい」「いいえ」ほうこく』
こどもたちから、だいじな報告があります。きもちよく毎日をすごすために、安心して大きくなるために、「はい」…「いるもの」と「いいえ」…「いらないもの」があるんです。このよが「大好き」と「嬉しい」であふれるように…
合わせて読みたい!「子どもの権利」や「人権」について知り、考える本
こちらの記事もご参考にどうぞ。
- 2023.03.27【今週の今日の一冊】子どもの権利について考えてみよう。
「子どもの権利条約の考え方」
「子どもの権利条約」は、子どもは「弱くておとなから守られる存在」という考え方から、それだけではなくて、子どもも「ひとりの人間として人権(権利)をもっている」、つまり、「権利の主体」だという考え方に大きく転換させた条約です。子どもを権利の主体ととらえ、おとなと同様にひとりの人間としてもつ様々な権利を認めると同時に、成長の過程にあって保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めているというのが、子どもの権利条約の特徴です。
子どもの権利(child rights)とは、子どもの人権(human rights of children)と同じ意味です。子どもは生まれながらに人権(権利)をもっていて、それは、義務と引き換えに与えられるものではなく、また、何かをしないと取り上げられるものでもありません。
ユニセフ「子どもの権利条約」HPより抜粋
https://www.unicef.or.jp/crc/
構成・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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