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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】読書週間に感じたい 本の力、読むよろこび

読書週間におすすめする本の力を感じる本記事バナー

10月27日から11月9日は「読書週間」。
戦後まもなく、「文化の日」を中心に“読書の力で平和な文化国家を築こう”という願いのもとに始まりました。

私たちの日常には、いつもたくさんの本があります。
ページを開けば、そこには新しい世界が広がり、今ここではないどこかへと連れていってくれる……その体験が、時に心を支え、そっと救ってくれることもあります。

今週は、本を読む楽しさや喜びに出会う物語、絵本文化に力を尽くした人々の物語、そして困難な状況下でこそ発揮される本の力……など、読書のすばらしさをあらためて感じさせてくれる作品を集めました。

2025年10月27日から11月2日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

10月27日 なにがおきたの? なんだかドキドキする…

月曜日は『本がきらい 本がすき』

本がきらい 本がすき

読書が苦手なすべての子どもたちへ贈る
“本の魔法”が伝わる冒険絵本!
読書が苦手な女の子が図書館で一冊の本と出会い、本の物語の世界でキツネと一緒に大冒険!だんだんと本に夢中になっていく、物語の魔法を感じる絵本です。2025年カーネギー賞(イラスト部門)候補作。

◆訳者・小川紗良さんコメント
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なにを隠そう、私も本がきらいな子どもでした。空想や表現することは好きだけど、文字の世界に壁を感じていたあのころ、こんな絵本と出会いたかった!ポップなイラストと、ユニークなキャラクターが、物語の冒険へとぐいぐい引き込んでくれます。想像の翼を広げ、新たな世界へ羽ばたく、本の魔法がこめられた一冊です。読み終わるころには、あなたもきっと本が好きになるはず。

読者の声より

本を読むのが嫌いな理由も、本を好きになった理由も感じられる絵本です。
義務感で本を手にしようとすれば、拒絶反応が出ても仕方ないですね。
本という形態、文字の羅列にアレルギーを起こしても仕方がないですよね。
(そんな人のために、絵本や児童書が最適だと私は考えるのですが)
本の魅力は、そんな文字の海に入り込んで、書かれているものを感じ取るところから始まるのです。
主人公の女の子は、ちょっとしたきっかけから、描かれていることに興味を持ち、どんどん物語の世界に入り込んでいきました。
読み終えても、その余韻が次の本探しに結びついていくのです。

この絵本、興味を持てる本の選び方も暗示しているかも知れません。
題材になっているのは物語ですが、関心興味があるのであれば、どんな本にも通じています。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方)

10月28日 コールデコット賞の元となった画家とはどんな人?

火曜日は『その絵ときたら! 新しい絵本の時代をつくったコールデコット』

その絵ときたら! 新しい絵本の時代をつくったコールデコット

米国で毎年、その年に出版された もっともすぐれた絵本の画家におくられるコールデコット賞は、ある画家の名前を冠した絵本賞です。その画家とは、ランドルフ・コールデコット。 19世紀絵本の巨匠で、生き生きと動きだしそうな絵で大人気となりのちのちの作家たちにまで影響をあたえました。いったい、どんな人物だったのでしょう。19世紀絵本の巨匠の伝記絵本。

読者の声より

コールデコットさんの名前は今までに聞いたことはありましたが、何をしていた人だったのかは、今回初めて知りました。
とても素敵な方ですね!

好きなことを職業にすることもできて、うらやましい!!

職業にしたからには我慢や落胆も多くて、良いことばかりではなかったでしょう。
でも、なんて楽しそうな絵!

いつまでも見ていたくなります。

絵本の世界に革命をおこしたコールデコットさん。
今度また図書館に行ったとき、彼の絵本を探してみようと思います。
(めむたんさん 40代・ママ 男の子21歳)

10月29日 ママが教えてくれた空をとぶ方法とは!?

水曜日は『空をとびたいルーカスと世界でいちばんたかい本の山』

空をとびたいルーカスと世界でいちばんたかい本の山

ぼくは空をとぶために生まれてきた。空をとびまわる鳥を何時間もながめた。画用紙やダンボールでたくさんのつばさを作った。サンタさんにもおねがいした。どうか、空をとべるつばさをください――けど、いっつもうまくいかない。そしたらママが「とぶ方法は、ほかにもあるわ」そういって、1さつの本をくれた。まったく意味がわからなかったけど、ママがくれた本はものすごくおもしろくて、あっというまに読んじゃった。その日から、ルーカスは本に夢中になっていき…

世界20か国で注目を浴びる大人気絵本がついに日本へ。
スぺイン発、数々のベストセラーをうみだしてきたロシオ・ボロージャが伝える読書の魅力――本を読めば、想像のちからでたくさんの驚きにであえる!
自らも母である著者が、主人公の愛くるしい表情、子どもらしいしぐさを躍動感たっぷりに描いています。
 

読者の声より

空をとびたいルーカスにママが渡したのは1冊の本。まわりが聞こえなくなるほど、本にのめりこむルーカスに本好きとしては共感してしまいました。本を読むことで、どんな世界にもとびたてることが楽しく描かれています。そして、絵もとても素敵。特に本が重なった上で本を読んでいる様子が、本の世界にのめりこむルーカスをよく表していて印象的でした。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)

10月30日 将来の道を開いてくれたのは司書さんと1冊の本

木曜日は『あこがれの図書館』

あこがれの図書館

農村から町へひっこしてきたパトリシアは、学校の帰り道、お城のようにりっぱな建物に目をうばわれます。

あのすてきなお城に行ってみたい!

そこは、だれでもはいれる町の図書館でした。

字を読むのが苦手だったパトリシアは、きれいな絵でいっぱいの画集をみつけます。
毎日のように図書館へかよい、むちゅうで本をながめるパトリシアに、図書館員のクリービーさんは、いいました。
「いよいよあなたに、図書館のとくべつな本を見せるときがきたわ」
  
将来の道をひらいてくれたクリービーさんと、1さつの美しい本。
あこがれの図書館は、パトリシアに一生わすれられない出あいをくれました。

読者の声より

タイトルにひかれ、手に取りました。
鳥が好きで読み書きが苦手な女の子、パトリシアのおはなし。図書館で出会った図書館員のクリービーさんにたくさんの鳥の本を見せてもらい、世界が広がります。
ディスレクシアである著書のパトリシア・ポラッコの自伝的作品。読書バリアフリーやレファレンスについても知ることができます。
同著者の『ありがとうフォルカーせんせい』もおすすめです。
(クッチーナママさん 50代・ママ 女の子21歳、女の子18歳、男の子15歳)

10月31日 本を読み始めたら、不思議なことが起こって…

金曜日は『すごいぜ ほんの ちからって! ? モーリスの おうちは ライブラリー』

すごいぜ ほんの ちからって! ? モーリスの おうちは ライブラリー

ある日、ネコのモーリスはネズミを捕まえて食べるための作戦を思いつきました。
ネズミたちに本を読んで、聞かせて、おびき寄せ、集まってきたところを食べちゃおう、という作戦でした。でも本を読み始めたら、皆んなで一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に感動し、一緒にドキドキしているうちに、ネズミを食べよう、というと気にならなくなってしまったのです。本が大好きなネコとネズミのお話です。2023年イタリアボローニャ、国際絵本絵画展入選作です。

読者の声より

この絵本、とっても良いです。大好きです。
まず、絵が好みです。
そしてモーリスの部屋のポスターを見てください。子供たちはよくわかってなかったですが、大人がみるとツッコミたくなると思います。
お話も、
読み聞かせをしているうちに、モーリスとねずみたちのあいだに あたたかな気持ちがめばえてしまった・・・
まさに本のちから、読み聞かせのまほうです!
本が好き、読み聞かせが好きな方には特に刺さるのではないでしょうか。
(maaruさん 40代・ママ 女の子11歳、女の子9歳)

合わせて読みたい一冊(2025年10月30日発売予定!)

11月1日 絵本作家バーバラ・クーニーがのこしたもの

土曜日は『世界をもっとうつくしく』(2025年9月刊)

世界をもっとうつくしく

生涯で110冊以上もの絵本を手がけ、アメリカでもっとも権威ある絵本の賞であるコールデコット賞を2度も受賞して、世界中で親しまれている絵本作家バーバラ・クーニー。2000年に亡くなってからも、いまなお、多くのひとびとを魅了しつづけています。バーバラの生い立ち、色に秘められた事情、物語の源泉、そして、信念をもった生き方。バーバラ・クーニーの人生とその魅力を紹介する伝記絵本です。巻末にはクーニーの息子バーナビー・ポーター氏の言葉を掲載。

11月2日 図書館が、戦争という海に浮かぶ、安心できる港に…

日曜日は『シリアの秘密の図書館』

シリアの秘密の図書館

日常を破壊された人々が希望と安らぎを見出したのは、街から集められたたくさんの本だった――。レバノン内戦経験者である著者が、内戦下のシリアに実在した秘密図書館から着想を受けて紡いだ物語絵本。
なぜ、人間には本が必要なのか。困難な状況下でこそ発揮される、図書館の存在意義とは。
IPPY Award児童書部門金賞をはじめ、数々の賞に輝く話題作。小学校中学年から。

=あらすじ=
ヌールの暮らすダマスカスは、かつて花々の香りにあふれる美しい街だった。
しかし内戦が始まってからというもの、街は危険な戦場へと一変し、ヌールたちは地下シェルターでの避難生活を余儀なくされるようになる。
そんななか、ヌールとそのいとこ・アミールはあることを思いつく――秘密の地下図書館を作ろう!
やがてふたりが作った地下図書館は、恐怖と不安に苛まれるダマスカスの人々にとって、希望の光となっていく。

=受賞歴=
2024年 Anne Izard Storytellers’Choice Award受賞
2023年 Nautilus Book Awards金賞受賞
2022年 IPPY Award児童書部門金賞受賞

読者の声より

どうして人間は争いをやめないのだろう。
ワファー・タルノーフスカさん作の絵本『シリアの秘密の図書館』を読んでいるまさにその最中の2025年7月、イスラエル軍がシリアの首都ダマスカスに空爆を行った生々しい映像が伝わってきた。
今回の空爆とこの絵本の中で描かれている紛争とは別の争いだろうが、
争いには変わりはない。
今回の空爆でも犠牲者が出ているし、この絵本に描かれているように地下シェルターに避難している人もいるだろう。

そもそもこの絵本の作者タルノーフスカさんも、レバノン内戦経験者で、
内戦下のシリアに実在した秘密図書館から着想を得たそうだ。
爆撃によって街のあちこちに打ち捨てられた本を集めて図書館を開く、
絵本で描かれているようなことが実際にシリアのアサド政権下での内戦の時代にあったという。

絵本では図書館を作った父親が図書館に集まってくる人たちを見て、
「なぜ本にはそんな力があるんだろう?」と問いかける場面がある。
問われて娘は「本は人間みたいに争わない」と答えている。
さらに、絵本巻末にある作者の言葉の中で、
図書館員に教えられたこんな言葉が紹介されている。
「本は雨に似ている。雨がふれば、かならず草木が育つ。」

地下壕でつくられた秘密の図書館ではなく、
世界中の人が爆撃もない平和な図書館でみんなが堂々と本を読める
そんな時代が来ることを願ってやまない。
(夏の雨さん 70代以上・パパ)

合わせてこちらの記事もどうぞ。

いかがでしたか。

今回ご紹介した絵本たちは、読むことの喜びを思い出させてくれます。もし、まだ本の楽しさに出会っていない子どもたちがいるなら、
その扉を開くきっかけを、大人がそっと届けていけたらいいですね。

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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