【今週の今日の1冊】クリスマスと一年の締めくくりに。心に温かく灯るキャンドルの絵本
12月13日~12月19日までの絵本「今日の1冊」をご紹介
クリスマスの飾りつけとして欠かせないキャンドル。また、クリスマスを迎える準備として、クリスマスまでのカウントダウンをするアドベントキャンドルという風習もあるようですね。優しく温かいろうそくの炎は、特別な日に私たちを祝い、照らし、温めてくれる存在。今週は、心をぽっと温かくしてくれる物語の中でキャンドルが印象的に登場する絵本を集めました。
12月13日 ロウソクを灯し、静かに祈ります
読者の声より
荒井良二さんの独特のタッチでとても幻想的に描かれた絵本です。
とても簡単な言葉で、しずかに小さな灯に込められた祈りを読んでいます。
「きょうというひ」は、読む人にとってさまざまに受けとることができます。
それは、だれかにとって大切な日でもあり、なにか平和を祈るような特別な日でもあるのだと思います。
ろうそくに灯りをともすときは、何か特別な思いをそこに込めるときだと思います。
それは、生まれてきたことへの喜びや感謝、平和への祈り、亡くなった方への哀悼、さまざまな「思い」があると思います。
そうした特別な思いを込めた「きょうというひ」を描いているのだと思います。
特別な日を、大切にしていきたいと、改めて感じた一冊です。
(lazy-planetさん 30代・パパ 女の子3歳)
12月14日 パカポコ パカポコ キャンドルはどこへ運ばれる?
火曜日は『おおきなキャンドル 馬車にのせ』
みどころ
小人のニコさんとロボットのダダくんが作っているのは、大きなキャンドル。森で見つけたハチの巣が材料です。ふたりはそれを馬車に乗せると、のんびりパカポコ出発です。
途中で出会ったのは、自分の体よりも大きなイチゴをつんでいる小人たちや、シナモンを運ぶ空飛ぶバイク。カカオの実を運ぶ船や、たくさんのパティシエたちが乗った汽車。追い抜くみんなを見送りながら、ニコさんとダダくんは、ゆっくりランチです。
良く晴れた空の下、キラキラと光る海、そのすぐ横にはまっすぐ続く白い道。まわりに生えているのは、大きな草やたんぽぽ。なんて幸せな景色、いったいみんなはどこへ向かっているのでしょう?
……読者が不思議に思う頃、素敵な「それ」が見えてきます。ああ、そうだったのか! 一瞬にして全てを理解し、これから起こる出来事を思いながら胸がいっぱいになってきます。みんながみんな、空からはお月様まで、一斉に祝福してくれるのです。
「ありがとう、うまれてきてくれた こどもたち」
こんな美味しそうなケーキ、ずっと忘れられそうにありませんよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
物語はキャンドルを作るところから始まります。
小人のニコさんと、ロボットのダダくんが、そのおおきなキャンドルを馬車に乗せ、どこかに向かいます。
おや、途中でいちごをつんでいる人たち。
シナモンのいい匂いもしますね。
あれ、沢山のパティシエが乗った列車が。
なるほどー。私はこの辺りでぴんときましたが、勘のいい方はもっと早くに気づくかな。
お祝いの日にぴったりなお話だと思います。
(torimadamさん 30代・ママ 大阪府 女の子7歳、女の子4歳)
12月15日 ろうそくを灯したり消したり、遊べるわらべうた絵本
読者の声より
とっても優しい絵本ですね。赤ちゃんでも楽しめると思います。
ろうそくの火を灯したり吹き消したり、うたいながら振り付けして遊ぶ歌です。
最後に譜面と振り付けが載っています。
クリスマスにむけてみんなでやると楽しいと思います。
保育士をされていた方が描いた絵本です。
(ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子9歳)
12月16日 キラキラひかる不思議なタネはいったいなんのタネ?
木曜日は『クリスマスげきじょう』
みどころ
ようこそ、クリスマス劇場へ。
天使からのクリスマスプレゼントは、4つの不思議なお話です。
はじまり、はじまり…。
おはなし(1)は、「サンタコサンタ」。
子どもたちにプレゼントを配り終わったサンタさん。
「これで、にんげんの子はおしまい。」
そういうと、トナカイの鼻をひねります。
ぷにっ……、ぷにゅぷにゅぷぷぷ~~
何が起きてるの!?
おはなし(2)は、「ぶるぶるツリー」。
世界一大きなクリスマスツリー。
ところがこのツリー、とってもさむがりでぶるぶる震えています。
「はっ…はっ…はっ…」「はくしょーーん」
うわあ、大変!?
おはなし(3)は、「キラキラのたね」。
しろうさぎたちが、山で植えているのは、キラキラひかる不思議なタネ。油を注いで、雪をほぐしてふわふわに。火が小さくならないように気をつけて。やがて、火はぐんぐん育っていき…?
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読者の声より
2018年息子が2歳10ヶ月の時にクリスマスの成り立ちを理解出来るような絵本が欲しいなぁと思って絵本屋さんに選びにいったら、こちらの絵本の絵に惹かれて手に取り、内容の可愛らしさと不思議さに一目惚れして、クリスマスの成り立ちを描いた内容ではないのに、これ買っちゃおう!と思わず買ってしまった1冊です。
絵本屋さんではあまり反応を見せなかった息子ですが、家に帰ってから読むと、絵の雰囲気と不思議な内容が気に入ったのか毎夜寝る前によむ!といって持ってきました。
絵も素敵だし、内容も、海の子供達にもプレゼントをあげるサンタコサンタがいたり、大きなツリーがくしゃみをしたらいろーんなツリーが出来上がったり、キャンドルを育ててケーキを収穫したり、サンタとトナカイが星と雲を食べてお風呂入って寝たりと不思議だけれどほんわかして優しさを感じる内容です。
クリスマスが終わっても繰り返し読んでいます。
大人も子供も楽しめる1冊です。
(asazさん 30代・ママ 男の子2歳)
12月17日 ページを開くたびにたちあがる8つの美しい物語
金曜日は『ハヌカーのあかり』
みどころ
炎を灯した9本枝の白い燭台と、
空色に金色のタイトルがとても印象的な美しい表紙。
厳かな気持ちでゆっくりとページをめくると、まず、その凛としたしかけの美しさに目をみはります。
虹色にうつりかわる美しい夜空を背景に、白一色が映える荘厳な神殿が、突然目の前に立体的に登場します!
細部までつくりこまれた繊細なしかけをじっくりとみてみると、神殿の中に小さな金色の炎らしきものが2つ、揺らいでみえます。次のページをめくってみると、今度は三日月の下、らくだと砂漠のテントが出現です。先ほどとはまったく異なる美しい世界が広がり・・・。あれ?ここにも。テントの中を見ると、今度は炎が3つ灯されているのです。
ページを開くたびに、新たに展開する時代背景や場所も異なる8つの美しい物語。
一見脈略もないそれぞれの物語は、ある一つの共通点で結ばれています。それはいつの時代のどの場所でも、必ず誰かが毎晩ろうそくを1本ずつ増やして、あかりを灯し祈りをささげていることです。
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読者の声より
毎年12月に行われるユダヤ教のお祭りを、ロバートサブタの紙工作で仕掛け絵本した本です。
白を基調とした仕掛けが神秘的で静かにお祝いを感じさせてくれます。
とにかく美しいです!!
子供には触らせたくないな~と思うほど(笑)。
大人への贈り物にも素敵ではないでしょうか。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子9歳)
12月18日 フランタに芽生えた優しさがあかりのように灯ります
土曜日は『クリスマスのあかり』
出版社からの内容紹介
チェコのクリスマスイブ。小さな男の子フランタが、ひとりで教会へむかいます。イエス様の生まれ故郷ベツレヘムから届いた灯りを、家のランプのろうそくにわけてもらうのです。しかし教会で思わぬ失敗をし、あわてて逃げだすことに。それでも、とちゅうで出あった気のどくなおじいさんを助けるために、知恵と勇気をふりしぼります。小さなフランタのやさしさに、心にぽっと灯がともるようなあたたかい気持ちにさせられます。
読者の声より
小学生になったばかりのフランタが繰り広げるクリスマスイブの冒険のお話です。
登場する大人達の多くが、小さな子供の行動を温かく見守り、優しく手助けをしてくれています。
それがクリスマスのお話にぴったりで、温かさが感じられます。
中盤の盛り上がりに対して、最後はさらっと終わってしまった感じがありますが、ちいさなイエスさまへの敬愛の念が全体を包み、日本では経験することの出来ない、クリスマスらしい風習が感じられる、外国らしいお話として読むにはちょうど良いのかなと思いました。
(hime59153さん 40代・ママ 男の子7歳)
12月19日 大切な時間に、家族はろうそくに火を灯しました。
日曜日は『あかり』
みどころ
「うまれて はじめて てらしたのは、うまれて まもない あかちゃんと、しあわせそうに わらっている かぞく。 オレンジいろの 小さな火が、くらいへやを いっしょうけんめい あかるくします」
女の子が生まれたとき、ろうそくは初めて火を灯されました。
それからは、いつも大切な時間に、家族はろうそくに火を灯しました。ろうそくは、家族の幸せな時間を照らし、女の子がつらいときにはよりそうあかりになり、その小さな火で女の子と家族を見守り続けたのです。思い出の数が増えるごとに、ろうそくは溶けて小さくなっていきました。
やがて女の子が大人になると、今度は女の子の新しい家族を照らしました。しかし時の流れとともに、ろうそくは使われることがなくなっていきます。
暗闇に灯るやさしいろうそくの光。ちらちら揺れる炎の動きは、語りかけると首をふったり、うなづいてくれているよう。女の子にとってろうそくは、いつも心強い味方でした。ろうそくに照らされた女の子の顔は、どの時代も柔らかなオレンジ色に包まれ、幸せそうです。
女の子の時間を照らしてきたろうそくの光は、いつしか、いのちの灯りと重なっていき・・・。
ぬくもりのある絵と叙情的な言葉が、優しく心に触れる、ろうそくのあかりのように心に灯る一冊です。
大人の方にもおすすめしたい絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
読者の声より
これは子供にも大人にもぜひ読んでもらいたい、心の深いところに残るすばらしい作品です。
たまたま紹介文を読んで興味を持ち、直ちに登録して全ページためしよみにて拝読しました。このような経験をさせてくれたことに大いに感謝します。とともに、是非後日購入して、手元に置いてじっくり読みたいと思いました。
この絵本を子供が読むと、あかりのありがたさ、ろうそくのあかりに包まれるあたたかい気持ち、などがきっと心に刻まれることでしょう。おはなしの内容は平易で心にじん、とくるものですし、絵がまた、それにぴったりの柔らかなタッチで、実にみごとです。わが家は子供たちがもう成人してしまいましたが、小学校中高学年くらいの頃に読ませたかった、と強く思いました。
そして大人が読むと、これは「愛情」というものの本質を、みごとに表現した佳作であることがすぐに感じ取れます。読みながら私はまず、自分の親の愛情がこのろうそくそのものだったと思え、つぎに自分の子供たちに対する気持ちもこのろうそくと同じなのではないかと感じ、そして読後は何とも言えないあたたかい気分に満たされました。オスカー・ワイルドの名作「幸福の王子」の話が、読みながら何度も頭をよぎりました。
子供・大人を問わず、心に残る絵本として、是非おすすめしたいです。
(一歩前進さん 50代・パパ )
いかがでしたか。
さまざまな祈りが込められたキャンドル(ろうそく)の物語。クリスマスに向けて、また一年の締めくくりに、そっと開いてみませんか。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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