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松嶋菜々子さんの朗読で楽しむJ.K.ローリング書き下ろし童話『イッカボッグ』

『イッカボッグ』は、「ハリー・ポッター」シリーズの作者J.K.ローリングさんが書き下ろした童話です。その390ページにも及ぶ日本語翻訳版を女優の松嶋菜々子さんが朗読した、聴いて楽しむオーディオブック『イッカボッグ』がAmazon オーディブル(Audible)から登場しました。

朗読音源は小中学校の国語の授業で使用されていたり、ラジオ番組として放送されていたりしており、有名な俳優や声優による聞き応えたっぷりの朗読音源も登場するなど、物語を楽しむ新しいツールとしても注目されています。

そこで『イッカボッグ』のみどころと併せて、オーディオブックの利点とその楽しみ方を紹介しましょう。

Amazon オーディブル(Audible)とは?

Amazon オーディブル(以下、オーディブル)は、いつでもどこでも気軽にコンテンツを耳で楽しむことができる、世界最大級のオーディオエンターテインメントサービスです。プロのナレーターや俳優、声優が読み上げる約40万もの豊富なオーディオブックや、ニュースからお笑いまでバラエティあふれるプレミアムなポッドキャストを提供しています。再生速度の変更やスマホでのオフライン再生はもちろん、Amazon EchoやAlexa搭載デバイスにも対応。現在、世界10ヶ国でサービスを展開。オリジナルコンテンツ制作を手掛けるなど、オーディオエンターテイメントの先駆者として可能性に挑戦し続けています。

世界一幸せな王国に危機をもたらしたのは怪物か?それとも人間か?

『イッカボッグ』の舞台は、世界一幸福な国・コルヌコピア王国。お金にも食べ物にも困らない恵まれた国ですが、怖ろしい怪物が棲むという伝説がありました。その伝説上の怪物が、作品のタイトルにもなっているイッカボッグです。

あらすじ

コルヌコピア王国は、立派な口髭をもつ王様が治める、世界一幸福な国でした。
豊かな黄金があり、職人たちが作り出す食べ物は、うれし泣きするくらいの美味しさでした。
しかし、国の北部にはマーシランドという霧深い土地があり、伝説によると、そこにはイッカボッグという怪物が棲んでいました。人々はみな、イッカボッグなんて、子どもを怖がらせてお行儀よくさせるために創られた伝説にすぎないと思っていました。
でも、ある出来事をきっかけに、この伝説が利用されることになります。
王様の側近たちが自分勝手な都合で、イッカボッグは本当にいると、人々に信じさせようとしたのです。信じない人や、邪魔をする人は、牢屋に入れられてしまいます。そのせいで、王様の人気は陰りをみせ、豊かだった国は荒廃していきます。
やがて、不運に見舞われた二人の子どもたちが、望みもしていなかった冒険へと送り出されていきます。
イッカボッグ伝説とその真実、希望、友情の物語が、あなたを待っています。

どうやら物語は怪物退治の英雄譚ではなく、怪物イッカボッグの存在を利用して、自分に都合の良い状況を作り出そうとする、やっかいな大人たちの話のようです。でも気になるのが、冒険へと旅立った二人の子どもたちのおはなし。ひょっとしたら、イッカボッグは本当にいるかもしれない。いたとしたら、どんな姿をしているんだろう? 子どもたちは、そして荒廃した国はどうなるんだろう? と想像が膨らみますね。

家族や友だちと一緒に物語を聞いて、感想を話したり絵を描いたりしてみよう

読書は基本的にひとりで楽しみますが、オーディオブックは家族や友だちと一緒に楽しむことができるのが、大きな違いです。聞いたその場で感想を話し合うことができるので、「あの人はなぜ、あんなことを言ったんだろう?」、「あの人の行動の意味はなんだったんだろう?」といった疑問も、ひとりで考えるよりも早く解決できるでしょうし、ひとりでは考えつかなかった答えが飛び出すかもしれません。

 

実際にオーディオブック『イッカボッグ』を、小学校低学年のお子さんがいるご家族で楽しんだという、読者の感想がこちらです。

『イッカボッグ』を楽しんだ小学校低学年の子どもたちの感想

小学一年生の元気な男の子。お父さんと一緒に『イッカボッグ』を聞きました。

おもしろい! ちょっと難しかったけど、先が気になってドキドキした。

(小学一年生・男の子)

小学二年生の女の子は、おはなしを聞いて、両親と一緒に絵を描くことにしました。

おはなしがどんどん進むので、ずっと聴いちゃう

(小学二年生・女の子)

日本語翻訳の書籍は、小学二年生ではまだ習っていない漢字がたくさん出てきますが、すべて声に出して読んでくれるので、文字や漢字がまだ読めない子でもおはなし自体を楽しむことができます。子どもに限らず、視力に問題があったり、長時間の読書が大変だったりする場合でも、オーディオブックが活躍します。

お姉さん(松嶋菜々子さん)が、いろんなひとの声を真似するからおもしろい。
(小学二年生・女の子)

これぞ、オーディオブックの一番の楽しみ! 松嶋菜々子さんは、子どもや老人、王様、悪い側近など、登場人物たちを巧みに演じ分け、おはなしをよりおもしろくしてくれます。

松嶋さんは、下のインタビュー映像の中で、「今まで出したことのないような声」を出したと発言しており、その声がいったい誰のものなのか(ひょっとしたら人間じゃないもの?)、どんなシーンで飛び出すのか、ドキドキしながら聞いてみてくださいね。

また、松嶋さんの声は聞き取りやすい音程なので耳通りが良く、長時間聞いても苦になりません。文字で見ると、どう発音するのか正解がかわからないカタカナの人物名も、音声で聞くとすんなり覚えることができるのが不思議。

イッカボッグの本当の姿を想像するのが難しかった。同じおはなしを聞いたのに、お母さん、お父さんと違う絵になっておもしろい。

(小学二年生・女の子)

このご家族は、オーディオブックを聞いた後に、印象に残ったシーンをみんなで絵に描いてみたそうです。その様子がこちら。

どんなシーンを描いたのか、お母さんに説明。
家族で同じ話を聞いたのに、想像した王様や怪物の姿を絵にすると、人によってこんなにも違いがあることがわかりますね。

子どもと一緒に『イッカボッグ』を楽しんだ親の感想

一方、子どもたちと一緒におはなしを聞いた親御さんも、新しい発見があったようです。

小学一年生の息子には耳慣れない言葉もあって、知らない言葉の意味を聞かれるたびにお話を止めることもありました。でも、子どもでも分かる言葉に置き換えて説明するのも、親としてひとつ考えさせられる時間にもなったと思います。当たり前のことを一緒に取り組む時間として、親子の時間として、有効なものになる気がしました。

(岡林さん・仮名)

子どもがひとりで寝るようになると、夜眠る前の読み聞かせの習慣がだんだんとなくなってしまいますよね。「親子で同じ本を読むのは、子どもの音読の宿題の時くらいかも」という方も多いと思います。オーディオブックは、親子で同じ体験をする機会づくりにぴったりの題材。自分の疑問に答えるために、親御さんが一生懸命考えて、説明してくれるなんて、子どもにとってもうれしい体験になると思います。

場面ごとに描きたかった小学二年生の娘のために、何度か同じシーンを聞き返したりしました。そこで気づいたのは、意外と大人の方が人物の風体や行動を聞き流してしまっていて、子どもとは聞くポイントが違うんだなということです。
寝る前などにはぼんやりと聞くのもいいなと思いますが、親子のレクリエーションの時間として、聞いた作品のことを話しながら絵を描いてみるのは、オーディオブックの活用法としておもしろいですし、久しぶりに私たち親も絵具を使って絵を描いてみて、童心に帰り楽しい時間になりました。

少々難しい言葉や少し厳しい表現もありましたが、背伸びしながら物語に触れるという意味では、J.K.ローリングの作品は良いのかもと感じました。

(小田さん・仮名)

歳が1つ違うだけで、物語の楽しみ方もずいぶんと違うようですね。小田さんが久しぶりに童心に帰り、お子さんと楽しい時間を過ごした様子が伝わってきます。

 

「ハリー・ポッター」シリーズもそうですが、J.K.ローリングさんが紡ぐ物語は、子ども心をくすぐる楽しい要素だけでなく、大人でも考えさせられるさまざまな社会問題をはらみ、「この場合、あなたならどう考え、どう行動するのか?」と常に問いかけられている気がします。そういう意味で、物語を読み終えた時に、子どもたちなりになにかを得たような、世界というものを、社会というものをひとつわかったような、そんな心の成長を実感できるのかもしれません。

 

いかがでしたか?

 

『イッカボッグ』の物語の誕生は10年以上前で、J.K.ローリングさんが自分の子どもたちの寝物語として、毎晩少しずつ語ったお話だそうです。ですからずっと、わが子のためのとっておきの物語として、屋根裏部屋で寝かせていたとのこと。

しかし昨年、コロナウィルスのために自宅で過ごすことが増えた子どもたちや、その保護者たちに楽しんで欲しいと考え、翻訳書籍やオーディオブックの発売が実現。J.K.ローリングさんは、パンデミックにより大きな被害を受けた団体を支援するために、印税の全額を寄付する予定だそう。『イッカボッグ』を通じて、親子で社会貢献について話してみるのもおすすめです。

『イッカボッグ』日本語訳の書籍は、静山社より発売されています。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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