【編集長の絵本日記】思うような大人ではないかもしれないけれど。 2022年4月28日 『まどさんからの手紙 こどもたちへ』
ふと立ちどまることがあると考えてしまう。私は子どもの頃思っていたような大人になれているのか。
もちろん、なんとなく夢見ていたような形にはなれないことの方が多いのだけれど。思ってもみなかったような人生だって悪くはないのだけれど。
親が願っていたような子どもではなかったな、とも思う。してあげらなかった事を一つ一つ思い返しては、胸を痛めてしまう。
けれど、大人になってから一つだけ驚くことがある。気がつけば、自分が思っていたよりもずっと子どもたちのことが好きになっている。それはもう、元気いっぱいにやっている姿や全力で感情を爆発している姿を見ていると、それが自分の願いだったのだと思えるのである。
まどさんからの手紙を読みながら、自分なりの「大人」を改めてかみしめるのである。
まどさんからの手紙 こどもたちへ
「どうか みなさん、まいにち まいにちを
むだにしないで げんきいっぱいに やってください。」
きみがそうしてくれることを、お母さんもお父さんも、世界中の大人が、いや地球が宇宙が、そう願っている……子どもたちにそう伝えているのは、詩人まど・みちおさんが84歳の時にふるさとの小学校の子どもたちに送られた手紙です。
「子どもたちにこそ、たいせつなことを伝えたい」そう強く願い、100歳になっても詩を書き続けたまどさん。その魂の言葉は、どれも子どもたちにもわかるやさしいものばかりです。この手紙も、すべての子どもたちへむけて書かれたものでしょう。
画家ささめやゆきさんの絵が入り、さらに多くの子どもたちが手に取り読めるよう、1冊の本となりました。子どもたちを思う全ての大人にも。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ふと目の前に姿を見せるのは、すっかり大きくなった息子。何一つ期待を持たせないくせに、そこにいるだけで安心させてくれる。そういうものなのかもしれない。小さい頃、絵本を読んでへへと笑っていた時の顔は、生涯忘れることはないだろうなと思う。
そんないっときが世界中の子どもたちに訪れますように。
まどさんの詩の絵本
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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