まる、さんかく、しかく、最強なのは…? 2017年2月7日
絵本ナビオフィスがあるのは新宿の高層ビルの28階。高層ビルと聞けば、なんだか乱反射する新しいビルを思い浮かべてしまいますが、日本では初めて200mの高さを越えたビル、ということで意外と古い(…と思ったら私と同じ年齢だったのでここは撤回)。その構造と見た目から「三角ビル」と呼ばれています。
入ってみると、中央部分がズドーンと吹き抜けになっていて驚きます。
「ここの三角の部分にあと机が何席置けただろうか…」
はるか下まで続く吹き抜けを見下ろしながら、思わずつぶやいたりして。
「さんかくビル」。この響きは結構気に入っています。ちょっと可愛い。でもどうして「さんかく」だったのでしょう。毎朝目の前にそびえる三角柱に入っていきながら、頭の中がぐるぐるしてきます。
構造的に強そうなのは想像できるのですが、なんだか「さんかく」って、イメージ的に最強な感じはしない。もし、さんかく、まる、しかくって並んでいたら、どの形に「ついていきたい!」って感じるだろうか。まる顔、さんかく顔、しかく顔の人が並んでいたら、どの人と一緒にいるのが楽しそう!って思うだろうか。変な妄想が始まってしまいます。
もし「かたち」それぞれに人格があったとしたら?
そんな絵本が……あった!
まるでてんですみません
丸や三角や四角、そして点や線。それぞれのキャラクターが個性豊かに描かれたおはなしです。子ども達も喜ぶ様な、表情豊かな愛らしいキャラクターが画面を自由に動き回ります。
読んでいて惹きつけられるのは、その形と密接な関係にあるそれぞれの性格。
例えばまんまるちゃん達。いつも陽気に転げ回って、自分達の形に満足していてちょっとうぬぼれやさん。周りの事など興味もなく自分達の世界で楽しく過ごし続けるのです。
それから見た目は似ている様で性格はまるで違う二人が一緒に暮らすおはなし、さんかくとしかく、まっすぐな線とぐにゃぐにゃな線の関係もそれぞれ絶妙でにやり。
すんなり通り過ごさせないのがさすが佐野洋子節。ちょっととげがある様にも見えますが、個性豊かな面々がいかに自分らしく生き生きとしながらも共存していけるか…という世界観を感じられて味わい深いのです。取るに足らない小さな者にもスポットが当たる、実は温くて広く大きな視点。
自由で意思の強い二人の作家、長新太と佐野洋子による夢のコラボレート絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
まっすぐな線とぐにゃぐにゃの線。その関係もとっても気になりますよね。
それにしても「まる、さんかく、しかく」って、単純に響きがおもしろい。形のリズムも楽しい。こんな色々な絵本が生まれちゃうはずです。
まる、さんかく、しかくの絵本
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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