【話題】世界中に愛された大ヒット映画から発見!楽しくて愛しいカラフルな「メキシコ」の世界
メキシコのシンボルを知るとさらに面白い『リメンバー・ミー』
日本でも大ヒットした映画『リメンバー・ミー』。
感動的でドラマチックな物語の中で描かれる、眩しいくらいに色鮮やかな色彩が躍る世界。これぞ!メキシコといわんばかり。そして、見れば見るほど、キュートで面白いシンボリックな動物やものがたくさん登場します。
「メキシコでは当たり前のことなの?」「死者の日ってなに?」
とにかく好奇心が強く刺激される興味津々のメキシコワールド全開なのです。
そこで、2010年よりご結婚されメキシコシティでお子さんとメキシコ人の旦那様と暮らしているMariposa Torresさんにお話を伺いました。この記事を読んでから、ぜひ映画をまた見てくださいね。メキシコのキュートな部分、そしてより深い世界を体験できますよ!
死者の日ってなに?
ご存知の通り、この映画はメキシコの死者の日をベースにした物語です。
死者の日とは、日本で言うところのお盆のような習慣。亡くなった人々が家族や親戚の元に帰ってくる、と言われている日です。
プレヒスパニックの時代は、この日は水が原因で亡くなった人が帰ってくる日。この日は火が原因で亡くなった人、といった細かい分類があったそうですが、スペイン侵略以降、カトリックの祭日と合わさり、現在では子どもが帰ってくる11/1と大人が帰ってくる11/2を死者の日と呼んでいます。
死者の花は、マリーゴールド
映画全編を通して大事な役割を担うのがオレンジ色のセンパスチルの花。日本ではマリーゴールドと呼ばれるこの花は、死者の日になくてはならない花。
映画本編でも語られていましたが、この花を頼りに死者は家族の元に戻るのだそう。
ガイコツに特別な意味はあるの?
死者の国の住人は、みなガイコツの姿をしています。
メキシコではポピュラーなこのモチーフは、19世紀の風刺画家ホセ・グアダルーペ・ポサダの生み出した「カトリーナ」というガイコツをベースにしている、と言われています。
ちなみにこのカトリーナは、メキシコの壁画家として、また画家フリーダ・カーロ(彼女も映画の中で大活躍ですね!)の夫として有名なディエゴ・リベラの「アラメダ公園の日曜の午後の夢」の中心に、幼い日のディエゴの手をひいて描かれています。
「アラメダ公園の日曜の午後の夢」はメキシコシティのディエゴ・リベラ壁画美術館で見ることができます。
これぞメキシカンキュート! パペル・ピカードやピニャータ
映画を華やかに彩るメキシコのアイコンが、パペル・ピカードやピニャータ。
パペル・ピカードは、クレープペーパー(お花紙とよばれる薄紙)に様々な模様を切り絵にした旗です。映画では、冒頭にもパぺル・ピカードで物語を説明しているシーンがありましたね!
上映当時、メキシコの映画館では、COCO(※『リメンバー・ミー』原題)のパペル・ピカードで溢れていました。
また、ピニャータの華やかさもメキシコにはなくてはならないもの。
キャラクターや動物の形をした張り子のくす玉の中に駄菓子やフルーツを入れて、スイカ割の要領で割って楽しむパーティーゲームです。
映画に登場する重要で不思議な生き物「アレブリへ」
映画の中で大事な役割を担っていたアレブリヘ。
名称に関しても諸説あり、その誕生の経緯も詳しくたどっていくとまた別の面白さがあるようです。なにはともあれ、木彫りのものや張り子のものがあり、どちらもメキシコを代表する民芸品です。
木彫りのアレブリヘ職人として著名なオアハカ在住ハコボ&マリアご夫妻は、日本人の間でも大人気で、2017年にも木曽と東京でアレブリヘのワークショップを行いました。映画のエンディングロールのSpecial Thanksにも彼らの名前が載っているそうです。※
(※日本でのアレブリヘワークショップを企画し、この記事を書くにあたり、質問させていただいた「さる屋」さんからの情報になります。さる屋さんのFacebookやツイッターには、これぞ『COCO/リメンバー・ミー』の世界!といった写真がたくさんありますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。さる屋webサイト:http://saruyaoax.com/)
こちらは、毎年レフォルマ通りで行われるアレブリヘパレードの作品です。
ココおばあちゃんの衣裳など素敵な刺繍にも注目して!
登場人物の着ているオアハカ各地の刺繍のかわいらしいデザインも見所の1つです。
そして、ココおばあちゃんのベッドに置いてあるのが「テナンゴ刺繍」をほどこした枕カバー。出番は本当に一瞬だけですが、こんなところまでメキシコっぽい、と思わずにはいられなかった小道具です。
このテナンゴ刺繍、2011年のエルメスのスカーフモチーフにも選ばれたことで当時注目を浴びた、イダルゴ州生まれの刺繍です。イダルゴといえば、本田圭祐選手の所属するチーム本拠地、パチューカのある州です。
無形文化財にも選ばれている、メキシコの食
2010年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたメキシコ料理は、映画でも花を添えています。
チョコレートとチレを使った独特のソース「モレ」やメキシコ版とうもろこしちまきともいうべき「タマレス」、そしてメキシコの甘系パンの定番「コンチャ」などなど。
中でも筆者が「うわ、メキシコ!」と思ったのが、茹でトウモロコシ「エローテ」。こちらでは、ゆでたトウモロコシにたっぷりのマヨネーズとチーズ、それからレモンにチレをふりかけて食べるのが定番です。夕方、小腹の空いた頃に屋台で売られるこのマヨネーズべったべたエローテを持って、乗車率100%のメトロバスに乗り込んでくるのがメキシコ流…だったりします。
さて、こちらのエローテ、どのシーンで出てきたか、お気づきですか?
メキシコ人たちはこのシーンに大笑いでした。
『リメンバー・ミー』の世界にインスピレーションを与えた場所
死者の日のパンテオン(墓地)はメキシコシティのミスキック、ミチョアカンのパツクアロなどがイメージされているそう。
そしてもっともインスピレーションを与えたのがオアハカ、と言われています。
筆者も、ミゲルが走り回る町の風景を見てオアハカのトラコルーラ(Tlacolula)を思い出しました。トラコルーラは、日曜日の青空市場で知られる場所です。きっとオアハカ在住や滞在経験のある皆さんは「あ、ここは!」と思い出す場所がたくさんあるんじゃないかな、と感じます。
人気観光スポットのテオティワカン・ピラミッドやセノーテ(ユカタン半島に見られる地底湖のこと)なども登場しますので、お見逃しなく。
そんな中、またもや筆者に「うわ、メキシコ!」と思わせたのが、ミゲルが死者の国で乗るモノレールの行き先。「Hidalgo(イダルゴ) – Juarez(フアレス) Oriente」とあったのですが、この2つの通りの名前は、メキシコのどの町にもあるといっても過言ではない名前。
イダルゴは、メキシコ独立初期の指導者であるミゲル・イダルゴ。そしてフアレスは、先住民から選ばれた初の大統領ベニート・フアレスのことです。この「どの町にもあるある」が細かいながらも「まごうことなく、メキシコ」と思わせる要素でした。
主人公ミゲルのよき友人の犬、ダンテもメキシコの犬種
そして最後に、主人公ミゲルのよき友人であるダンテ。
彼は、メキシコ原産の毛のないアステカ犬。
「メキシカン・へアレス・ドッグ」などと呼ばれるようですが、メキシコでの正式名はショロイツクイントリ/Xoloitzcuintli。起源は3000年前までにさかのぼり、アステカ文明においては聖なる犬とされていたと共に、16世紀のスペイン人の書物によると、食用でもあったと言われています。
Mariposa Torres(ライター)
メヒコぐらしの手帖:https://www.mexicogurashinotecho.com/
いかがでしたか。
メキシコ在住のMariposa Torresさんがうなるほど、本物のメキシコの魅力がたっぷりとつまった映画。まるで、メキシコに遊びに行ったような気持ちになります!映画を見た方も見ていない方も、メキシコのシンボルたちにグッときませんでしたか。知れば知るほど映画鑑賞がより味わい深いものになりそう。メキシコにもますます関心が高まりそうです。
親子で鑑賞する時に、これだけ魅力的なメキシコを知っていれば、子どもたちにも少しだけ解説してあげれそうです。ぜひ教えてあげてくださいね!
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