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プログラミング教育がスタート!家庭でできることは?(後編)

まなび 2020-09-16

2020年度から全国の小学校で開始されたプログラミング教育。

「プログラミングって何をするの?」「うちの子にできるかしら…」などなど、心配に思っている方も多いのではないでしょうか。

 

今回は株式会社しくみデザイン代表の中村俊介さんに、プログラミング教育について教えていただく記事の後編です。

記事の後半では、絵本でプログラミング体験ができる絵本もご紹介しますよ。

中村 俊介
芸術工学博士、(株)しくみデザイン代表
九州芸術工科大学大学院(現・九州大学芸術工学研究院)にてメディアアートを制作しながら研究を続け、博士(芸術工学)を取得。 パソコンのカメラで手や体の動きを検知し、楽器を演奏する電子楽器「KAGURA」が米Intel社主催の世界コンテストでグランプリを獲得。その後、創造的ビジュアルプログラミングツール「Springin'」を開発するとともに、世界中の子どもたちがクリエイティブになれる方法と環境を研究・実践する「クリエイティブ教育ラボ」を立ち上げ、研究所長に就任。

プログラミング教育についての連載2回目。前回は、プログラミング教育とは何かについてご紹介しました。
(前編の記事はこちら)

 

さて今回は学校での学習内容や家庭での支援について取り上げます。

学校ではどんなことを学習するの?

プログラミング教育で創造力を育むと前回の記事でお伝えしました。
…とは言っても、学校での学習がはじまるとなれば、
「うちの子だけ、分からなかったらどうしよう」
「親は何をすればいいのだろう」
と不安になるものです。

 

具体的にどんなことを学習するのかが分かっていると親としても安心ですよね。

 

そこで、ここからは実際に学習する内容や、親のかかわり方についてお伝えしていきます。

 

プログラミング教育が始まることになり、よく聞かれるのが
「プログラマーを育てる教育なの?」
「難しいコードを書く勉強をするの?」
ということ。

 

いいえ、違うんです。

 

例えば他の学習で考えてみましょう。
小学5年生の社会科では、第一次産業の学習として「お米のつくり方」「漁の仕方」を学習します。でもこれは、農家や漁師を育てるための教育ではありません。

 

私たちが身近に接している食べ物について「どうやってつくられているか」「どんな思いでつくられているのか」を知ることで、そのことについて考えたり、社会の仕組みを理解したりすることができるのです。

プログラミングも同じです。今や子どもたちにとってコンピューターは毎日触る身近なものでありながら、それがどうやってつくられているのか、仕組みがどうなっているのか等を知っている子どもはあまりいません。

 

「コンピューターは、あらかじめ入力されたプログラムをもとに動いている」
「コンピューターのおかげで私たちの生活は豊かになっている」

これを理解し、どんな場面でどんなコンピュータを活用していけば良いか考える。これが大切とされています。

 

とはいえ、そんな内容はいくら口で言っても、子どもたちにはチンプンカンプン…。
そこで「実際にコンピューターに触れながら、体験を通して学びましょう」というのが国の方針です。

 

そのため、難しいコード入力を学習するのでなく、プログラミング教材で絵を書いたり、自分が描いた絵を動かしたりしていく。自分のイメージする動きになるために、どんな命令を組み合わせれば良いかを考える学習を行います。

 

そうする中で試行錯誤を繰り返し、創造する力を鍛えたり、コンピューターを上手に活用して身近な問題を解決したりしていく態度を養っていきます。

 

中にはプログラミングの楽しさに気づき、プログラマーを志す子どもも出てくるかもしれません。これは将来の選択肢が広がり、子どもにとってもいいことです。

家庭でできることは?

学校で取り組まれるプログラミング教育。さて、家庭ではどんなことができるでしょうか。

 

親ができること、それは子どもに合ったプログラミングアプリに出会わせること。
そして教えるのではなく、子どもと一緒に考えたり子どもがつくったものに興味をもって認めてあげることです。

 

ですが世の中にはたくさんのプログラミング教材があふれています。
学校と同じ教材を使えば授業には対応できますが、本当に育みたい力の育成にはつながらないかもしれません。

 

オススメしたいのは、次のような条件を満たしたプログラミングアプリです。

子どもが自由に創作できるもの

「○○をつくりたい」と自ら考えて自由に創作できるアプリを使うのがオススメです。「ロボットを○○まで進めましょう」など、あらかじめゴールが設定されているようなアプリより、自由に創作できるアプリの方が子どもの創造性を育むのに適しています。

子どもの年齢にあったもの

たくさんあるプログラミングアプリですが、実は対象となる年齢が少しずつ違います。子どもの年齢にあったものを使うと楽しく使え、自主的に、そして継続的に取り組んでいくことができます。

 

自由度の高いアプリを1つ紹介します。それがSpringin’です。

Springin’(スプリンギン)
主に小学校低~高学年向け。自分の描いた絵を動かしたり、録音したりすることができます。プログラミングは言葉を使わずアイコンを組み合わせるだけなので、操作はシンプルですが自由度の高い作品づくりができます。

では実際にどんなものをつくることができるのでしょうか。いくつか紹介していきます。

Springin’(スプリンギン)で、どんなものがつくれるの?

その1.動く絵本

学校の授業でも物語づくりはありますが、作文用紙に文章を書いてつくることがほとんどですよね。もちろんそれも大切ですが、Springin’なら自分で描いた絵を動かしたり喋らせたりすることが簡単にできます。楽しみながら自分だけのオリジナル物語をつくり出す。そんな機会をお家でもつくってみてはいかがでしょうか。

その2.ゲーム

シューティング型やパズル型など、様々な種類のオリジナルゲームをつくることができます。もちろん1人で遊ぶだけでなく対戦型のゲームもつくれますので、子どもがつくったゲームで一緒に遊ぶこともできます。ゲームづくりに一緒に取組めば親子でのコミュニケーションの場にもなりますね。

その3.楽器

Springin’では録音の機能を使ってオリジナルの楽器までつくれてしまうんです。リアルに楽器をつくろうとすると、箱をたたいたり振ったりして音を鳴らす「打楽器」をつくることはできますが、結構大変。Springin’を使えば打楽器はもちろん、音階のついた楽器まで簡単につくることができます。自分でつくった楽器で演奏すると曲をつくることにもつながっていきます。

子どものプログラミング教育につながるオススメの絵本は?

今回は「プログラミング的思考」につながる絵本を紹介します。

プログラムすごろく アベベのぼうけん おどろきの上巻

主人公のアベベは、立派な王になるため、父の残したプログラムに挑戦する旅に出ています。プログラムを読み解き、すごろくのようなマスの上を旅するアベベを動かしていくと、そこに驚きの物語が現れます。
こうして夢中になってプログラムを読み解いていくうちに、手順やルールを筋道立てて考える力、つまり「プログラミング的思考」が自然と養われます。

2回にわたってお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。「プログラミング教育って楽しそう」と思っていただければ幸いです。何をつくるにしても、自分のイメージする動きになるように試行錯誤を重ねる中で「創造する力」を育くんでいく、それがプログラミング教育です。

 

先ほどご紹介したアプリSpringin’(スプリンギン)は文部科学省主催の「みらプロ2020」にも採択されており、全国の学校でも使われています。iOS対応のためiPhoneやiPadでご利用いただけます。

 

詳しく知りたい方は、Springin’公式HPをご覧ください。
https://www.springin.org/jp/

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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