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考えよう!明日の地球とこどもの未来。はじめよう!今しかできないできること。

第2回 今からはじめたい!子どもとまなぼう!エコ育絵本

年々、「エコ」への関心は高まるばかり。

でも、大人自身もよくわからないまま、子どもたちに良いことだからとルールを押し付けてしまっていたり、質問されてもはぐらかしたりしてませんか。子どものためにわかりやすい絵本をさがすことはもちろん、なにより親子で一緒に考える!その姿勢がとても大切なのではないかなと思います。そこで、日頃から気になっていたエコに関する用語と、実際に面白い絵本やためになる絵本をご紹介していきたいと思います。

「エコ」の本当の意味は?「ESD」の視点とは?

言葉は耳にするけれど、だれかに説明できますか?

よく使われている「エコ」の本当の意味とは?

いまさら「エコ」の意味なんてと思われるかもしれません!でも誰もがエコに対するイメージは、漠然ともっているにも関わらず、言葉でちゃんと説明しようとするとなんて曖昧になるんでしょう。

「エコ」は、エコロジー(ecology)という言葉から生まれています。エコロジーとは、生態学、自然環境保護運動という意味があります。人間は地球に存在する生き物たちの仲間であり、人間の生活が自然と調和できる環境を目指そうという考え方を言います。つまり、「エコ=環境に良い」というのはここからきているんですね。また、同じようにエコノミー(経済economy)のエコを指しているとも言われています。経済の発展と環境の保全は、両立していかないといけません。環境問題を解決していくことで、世界の経済が発展し、人間が安心して豊かな暮しを送れるようにという意味で使われています。知ってましたか?

ESD(=Education for Sustainable Development)はどんな考え方? 

 

エコ活動や環境問題に触れると登場するESD。この言葉の意味、ご存知ですか。

日本語では、「持続可能な開発のための教育」と訳されていますが、ちょっとわかりにくいですね。

ESDには大切にしている視点があります。それは、地球のすべての人間、環境、出来事はつながっているということ。より良い未来をつくるためには、世界で起きている災害や環境、貧困、いろいろな問題に気づいて、自分たちには何ができるかを考えて行動することが大事です。それは個人レベルでも企業レベルでもいろいろな分野で共有し、協力することによって、「持続可能な社会」を目指していくことを指します。

長く継続して活動していくことに意味があるんですね。

 

【持続可能な社会で大切なことを理解するー捉え方の例ー】

 

① 多様性・・・人を取り巻く環境は、いろいろあるということ。

② 相互性・・・人を取り巻く環境は、関わり合っていること。

③ 有限性・・・人を取り巻く環境は、限りがあること。

④ 公平性・・・一人ひとりを大切にすること。

⑤ 連携性・・・みんなで力を合わせること。

⑥ 責任性・・・一人ひとりが責任をもつこと。

 

出典:環境省「こども環境白書2016」を参考に作成

 

ESDの考え方を知った上で、エコ育絵本を読んでみるといろいろなことがつながりだして、より「エコ」が身近に、重要に感じるはず!「問題に気づいて、調べて、何ができるか考えて、できることを実行する」

その手助けやきっかけ作りをしてくれそうな絵本をご紹介します。

いろいろなエコ育絵本をご紹介します!

海外のエコ育絵本はどんな絵本?

エコ教育にとても熱心な海外では、たくさんの絵本がでています。

デザインが素晴らしい絵本や驚くしかけがつまった絵本。子どもの関心をひくにはもってこいですね。

楽しくて、カワイイ!優れたデザインのおしゃれなエコ育絵本

わたしがぼくがちきゅうのためにできる10のこと

わたしがぼくがちきゅうのためにできる10のこと

(内容紹介)

英・米・独・伊・韓国など世界19か国同時刊行されている、イギリス生まれのグローバルなエコ育絵本です。

地球のためにできる10のことを提案します。

 

・ へやをでるとき、わたし(ぼく)は…でんきをけします。
・ はをみがいてるあいだ、わたし(ぼく)は…すいどうをとめます。
・ ごみをみつけたら、わたし(ぼく)は…ごみばこにいれます。
・ おえかきするとき、わたし(ぼく)は…かみのおもてもうらもつかいます。他

紙はもちろん地球にやさしい100%再生紙を使用している、徹底っぷり。絵がとても可愛く楽しくて、身近にできることがわかりやすく表現されています。絵がくりぬかれていたり、文字が面白いレイアウトで並んでいたり、大事なことを伝えながらも目を楽しませてくれるので子どもたちも夢中になるようです。絵本を実際に読んだみなさんのレビューをご紹介します。

 

【みんなの声から】

小さい子にも分かりやすいエコ

エコというと、難しい感じもしますが、この絵本のかわいい絵のタッチ、しかけ絵本の工夫されたところ、文字の並べ方などもおもしろい。とにかく身近にエコを考えることができる絵本です。5歳の娘は、気に入って、何度も自分で読んでいました。そして、紙は両面使おう!とかいいながら、お絵かきしていました。小さい子にもわかりやすくエコを考えたり、実践したりできる絵本だと思います。

 

(さわこさん 30代・ママ 女の子5歳、女の子0歳)

 

小さいうちから・・・そして大人まで。

子供でも楽しんで読めるしかけがあり、絵もとても優しくて小さいうちからエコについて考える事が出来る絵本です。電気を消すことやゴミの分別など小さい子でもすぐに実践できるし、楽しみながら大切な事を教えられるのでいいですね。大人にも是非読んで頂きたい絵本です。私もこの絵本を読んで反省しなきゃいけないことが多々ありました。

これからの時代ますます重要になってくるエコ問題。小さいうちから触れる事が大切だと思います。

 

(ゆぺちさん 30代・ママ 女の子3歳、男の子1歳)

現状を知ること、伝えていくことが大切。生命の尊さを感じる美しいしかけ絵本

ナマケモノのいる森で

ナマケモノのいる森で

(内容紹介)

ナマケモノのいる森ってどんな森?
さがしてみて、葉っぱのあいだや木の根もと。その木の上のこずえまで。森のあちこちすみずみまで。 ある日ひびいたするどい音……。森でなにが起こったのでしょう? ページをめくるたびに動物や植物の息づかいが聴こえてくる。 360度広がる森の中で発見するよろこびや驚き。 世界9カ国で翻訳された、フランスで誕生した、こどもから大人までたのしめる絵本。 

ヒトは森を、守ることも、こわすことも、育てることも、できます。
この本が、一粒の種へ、一本の木の成長へ、自然とともに生きていける幸せな未来へ、つながりますように。

―訳者・松田素子―

ページをひらくと、動物たちが暮す緑豊かな森が立体的に目の前に姿を現します。

ところが・・・。

その緑はヒトの手によって姿を変えていき、

読者は、失われていく森を目の前で目撃します。

とても美しい絵本です。自分がしかけを引くことで緑が再生する最後のシーンでは、親子で思わず感嘆の声をあげてしまうのではないでしょうか。しかけ絵本ならではの演出が、読むだけではない実際の「行動」に参加させてくれます。

理屈で説明してもよくわからないそんなとき、やっぱり具体的な例があると、本当によくわかります。

モルモットのクリストファーくんを通して、独り占めしちゃうことがどういうことになるのか、そしてなにをすれば今必要なものを持続させることができるのか、わかりやすく実践してくれます。

思わず、なるほど~!!とうなってしまうこの絵本、物語を通して、子どもに自然と伝えることができます。

大人も納得!日々の生活の中から教えてくれる自然な「エコ」の考え方

タンポポたいへん!

タンポポたいへん!

(内容紹介)

クリストファーくんが暮らすモルモットが丘には、毎日クシャクシャムシャムシャと幸せな音が響いていました。みんなが、大好物のタンポポの葉をかじる音です。ところが、いつからかタンポポの葉が足りなくなってきました。そしてある日、とうとう1本もなくなってしまいました! でもクリストファーくんはひっそりと生き残っているたった1本のタンポポを見つけました。これが世界中で最後のタンポポかもしれない! そう考えたクリストファーくんは、まず……
シャーロット・ミドルトンのチャーミングなコラージュイラストで綴られた、アーサー・ビナードの機智に富んだ訳が楽しい絵本です。

自然のとびら

自然のとびら

(内容紹介)

一歩踏み出して近づくと見える、ささやかで美しい自然。大切なのは、立ち止まり、気づくこと。そんなメッセージを、美しいイラストと文章で感じさせてくれる絵本です。 著者はイギリスの王立植物園で研究をし、自給自足の生活を実践しているケイ・マグワイア。 大きく美しい造本は、めくる楽しさ、眺めるよろこび、本の世界にたっぷりとひたる時間に惹き込みます。 わたしたちのすぐ目の前にあるすばらしい世界につながる“とびら”です。

庭、野菜畑、森、農場、畑、池、果樹園、街の8つの場面から1年の四季を感じることができる絵本です。今ある自然の豊かさや感謝の気持ちを伝えてくれます。

心華やぐ色彩豊かなイラストと自然の恵みを大切にすることで生まれる日々の潤いを実感できる、素敵な絵本です。美しい情景の中で命を育む生き物たちの存在を身近な生活に結び付け、わたしたちの環境を考えるきっかけを作ってくれます。

絵本や物語に学ぼう!未来のために「地球人」の生きる道

小さいお子さんにもおすすめです。「バーバパパ」シリーズにも環境のことを描いた絵本があるのをご存知でしたか。

「バーバパパのはこぶね」

バーバパパのはこぶね

(内容紹介)

バーバ一家と動物たちがロケットで地球脱出。
地球の空気や水がよごれて、動物たちが苦しんでいます。
バーバパパたちは、動物たちを助けるため、ロケットの箱船をつくって宇宙へ飛び出しました。

【みんなの声から】

何か伝わったよ!

お兄ちゃんが初めて幼稚園からかりて帰った本。なんだか楽しそうなバーバ一家。動物も鳥も人間も仲良し。ところが!黒いけむりや汚い水にみんなが苦しむよ。そして動物や鳥や魚を追い回す悪い人間の登場!人間とバーバパパたちは離れ離れになったよ。 お話がちょっと難しいかな?と思いながらも反応を見ると、絵でちゃんと伝わってたみたい。動物の皮でかばんやくつや毛皮ができることを知ったら「かわいそうだね」って見てた。バーバパパたちが動物を助けて悪い地球から逃げ出すときはロケット箱舟にわくわく。いい地球ってどんなかもわかったよ!最後にはみんなもどってきてうれしかったよ。ありがとうバーバパパ!読み終えると満足感にひたっておやすみのお兄ちゃんでした。環境問題っていうと難しいけど、読み進むうちに親も子もなんだかクリアな心地になれる一冊です。

 

(ケロポッポさん 30代・ママ 男の子4歳、女の子0歳)

「ちきゅうはみんなのいえ」

ちきゅうはみんなのいえ

喉の渇きを潤す水、草木の生長を助ける雨、あたたかな光をもたらす太陽、命を育てる土……。豊かな自然に恵まれた地球は、決して人間だけのものではなく、ともに生きるみんなのもの。まるで子守歌のような、リンダ・グレイザーによる柔らかな言葉と生命力あふれるエリサ・クレヴェンの絵が伝える、喜びと幸せに満ちた地球の詩。子どもたちは、生まれながらに自然の美しさや生物の神秘に驚き、感動する感性を持っています。子どもたちの心に、お父さんお母さんの声で届けたいメッセージです。 

【みんなの声から】

環境・平和 世界は一つ

地球には、様々な国があります。

でも、どの国にも同じように風がそよぎ、太陽の光はふりそそぐ。あたりまえのこと、と言えばそうですが、「地球」の中で争ったり、自分たちのことばかり考えて、環境を壊したり・・・。同じ「地球」に住んでいる、だから、争ったり自分たちのことばかり考えずに環境について考えるきっかけに・・・と思える作品でした。

(虹花さん 30代・ママ 男の子9歳)

前述のESDの考え方にもありましたが、実は自分たちが住んでいる地球は、いろいろな国のヒトや生き物、みんなで住んでいる家なんだということ。大きな視点で物事を捉えつつ、それをちゃんと自分のできることに置き換える力を子どもも大人も身につけていきたいですね。

 

小学中学年生以上におすすめの児童書もあります。

環境問題について理科の授業で学んだジュディは、率先して自然保護を実行しようとします。

最初はなかなか家族の理解を得ることができず、ひとりで活動していましたが、粘り強いジュディの行動で、家族をはじめ、教室のみんな、学校全体に旋風を巻き起こしていきます。ユーモアたっぷりの本作ですが、個人の心がけと行動がみんなを揺り動かし、仲間と協力して実践すると、こんなにも大きなことができてしまうのだということを教えてくれます。ESDについての考え方や実際に保護が必要な動物の情報や環境問題について学べるおすすめの児童書です!

「ジュディ・モード、地球をすくう!」

ジュディ・モード、地球をすくう!

(内容紹介)

授業で自然保護について習ったジュディは、熱帯雨林からつくられるものは、みんな禁止することにしました。お父さんのコーヒー、お母さんの口紅、それから学校で使う鉛筆も! 自然保護熱はどんどん高まって……。

今すぐできる身近なエコ活動を教えてくれる絵本

いろいろな絵本をご紹介しましたが、実際にわかりやすく、すぐに実践できることを子どもが好きな「しかけ」を使って教えてくれる絵本もあります。

「しかけ」絵本だから小さい子にもわかる!その行動は何のため?

子どもたちに「小さなエコ」を意識してもらうために作られたしかけ絵本です。

暮しの中で役立つ具体的なエコ生活を多方面から伝授してくれますよ。

「ちきゅうのためにやってみよう!きみにもできる9つのエコ」

ちきゅうのためにやってみよう!きみにもできる9つのエコ

(内容紹介)

楽しいしかけが満載!! 「水を大切に」「電気を大切に」など、子どもの暮らしの中でできるエコを、楽しいしかけで見せる絵本です。ワイドページ、回転盤、ミニページ、巻き折りページなど、各種のしかけで楽しく遊べます。

水道の水は、1分間出しっぱなしにすると、なんと約12リットルもお水が流れていってしまうのです。

つまり、1日3回3分間ずつ歯みがきをすると、108リットル、1年間に換算するとひとりで39トン余りのお水をむだにすることになります。ショック!必ず水道の蛇口をしめるようにこころがけましょう。ページでは、蛇口の部分のしかけをまわすと、お水が出たりとまったりしますよ。

同じように、水がなくなったら・・・想像すると本当にこわい。しかけをまわしてみると、子どもたちに身近なドキッとする「もしも」を教えてくれます。お水がいろいろ場所で使われていることを知ることで、節水することの大切を自分事に感じることができますね。

また、日常で分別しているゴミが最終的にリサイクルされて、何に生まれ変わるのかも教えてくれます。良質なパルプからできている牛乳パックは、リサイクルに最適で、1個のトイレットペーパーを作るのに必要な牛乳パックは6枚前後なのだそうです。何のためにエコ活動をしているか明確になれば、しっかりゴミの分別も頑張れそうです。

もっと増えるといいなぁ、エコを考えるきっかけを作る絵本

「エコ」を考えるきっかけとなる絵本は、興味をもてるものから選んでみるのが一番ですね。

絵本ナビでも少しずつ増えてきている「エコを考える」絵本をテーマにまとめてみました。お子さんにピッタリの、自分がおススメしたくなるお気に入りのエコ育絵本を見つけてくださいね。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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