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NHKラジオ「ふんわり」『もえの知りたい!絵本』コーナーに磯崎編集長がゲスト出演! 紹介された絵本は…

NHKラジオ「ふんわり」に磯崎編集長が出演しました!

2024年1月22日(月)、NHKラジオ「ふんわり」の山口もえさんのコーナー「もえの知りたい!絵本」に、ゲストとして磯崎園子編集長が出演しました。

 

不安な心を抱えている子どもたちにおすすめしたい絵本のほか、「2023年に話題になった絵本」「2024年に向けておすすめしたい絵本」など、絵本をたっぷり14冊ご紹介。子どもから大人まで楽しめる絵本として番組内でも大いに盛り上がっていました。

 

その内容は……?

不安な心を抱える子どもたちにおすすめしたい絵本

2024年は、年明けから不安な出来事が続きました。私たちが思っている以上に心が繊細な子どもたちに向けて、どんな絵本を選んだらいい? という質問に、磯崎編集長がおすすめしたのは「とにかく安心して寝られるように」と、こちらの2冊。

安心して眠りたいときの、おすすめ絵本の1冊目『よるくま』

よるくま

「ママ あのね……
 きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこが きたんだよ。」

おやすみ前のベッドの中で男の子はママに話します。
その子はくまのこ、名前は「よるくま」です。
よるくまは、夜みたいにまっくろくて、胸のおつきさまがひかってる。
どうやらお母さんを探しにきたみたい。
目が覚めたらいなかったんだって。

ここから男の子とよるくまの夜の冒険が始まります。
こんな可愛い子をおいて、どこにいったんだろうね。
ふたりでよく行くお店や公園をまわってみますが、お母さんは見つけられません。

「もしかして もう とっくに おうちにかえったのかもね。」

ところが、おうちに帰ってみてもお母さんはいません。
とうとうよるくまの目から夜みたいにまっくらまっくろの涙がこぼれてきて…。

小さな男の子が、大好きなお母さんを探すよるくまのために奮闘する、素敵な夜のファンタジー絵本です。物語の後半で登場するよるくまのお母さんの大きなこと。子どもたちがみんな抱きつきたくなるような憧れのお母さんです。男の子も、きっとそんなよるくまのお母さんの優しさに触れながら、自分のお母さんのことを思うのでしょうね。ふかふかして気持ちよくていい匂い…。それは、この絵本を読んでいるたくさんの子どもたちと同じ気持ち。

さあ、そのままゆっくり幸せな眠りについてね。
「おやすみなさい」。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=700

安心して眠りたいときの、おすすめ絵本の2冊目『はぐ』

はぐ

海辺にやってきた、らくだとしまうま。久しぶりに会った嬉しさで、「はぐ」っと抱き合います。次にやってきたわにとぺんぎんも、たことおじさんも、女の子とぶたも、嬉しくて、ギュッと抱き合います。海辺にしまうまやらくだが現れる奇想天外でナンセンスなおかしさと、大好きな人とギュッと抱き合う喜びがミックスして、不思議に嬉しい気持ちで満たされます。ギュッとするのが大好きな幼い子どもが喜ぶ絵本。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=82148

2023年、話題になった絵本は?

一つ目は「日常を楽しむ絵本」です。毎日の生活の中で起こる些細なことにスポットライトを当て、それを楽しんだり愛おしむことのできる絵本が話題となりました。

絵本児童書の垣根を越えて、大ヒットしたのは『大ピンチずかん』

大ピンチずかん

もういつピンチが来ても大丈夫だ!

大ピンチを知れば、いつ大ピンチになってもこわくない。この図鑑は、こどもが出あう世の中のさまざまな大ピンチを、「大ピンチレベル」の大きさと、5段階の「なりやすさ」で分類し、レベルの小さいものから順番に紹介します。また、その大ピンチの対処法や、似ている大ピンチ、大ピンチからさらにおそいかかる大ピンチなど、あらゆる方向から 大ピンチを ときあかします。
……などといえば、かたい本に聞こえますが、もちろんそうではありません。期待を裏切らない「のりたけワールド」炸裂で、鋭くもあたたかい観察眼と、思わずふき出すユーモアにあふれた1冊です。

2023年11月に発売されたばかりの続編も大人気!『大ピンチずかん2』

大ピンチずかん(2)

大ピンチグラフ採用で大ピンチが丸わかり!

子どもが大ピンチに陥ってしまったとき、その大ピンチの理由がわかれば、そんなにおそれることはない。進化した『大ピンチずかん2』では、子どもが陥りやすい大ピンチを、大ピンチレベルの順に掲載するのはそのままに、新たに採用した「大ピンチグラフ」で、6つの要素からその理由を解明する。さてきみの大ピンチの原因はなんだろう?ドキドキ?イライラ?それともつらい?

日常を楽しむ絵本、2~3歳の子と楽しめる絵本『ねぞうプロレス』

ねぞうプロレス

こんやも「ねぞうプロレス」の時間がやってきました。
選手は、おとうさん、おかあさん、そして、ひろくんです。
「ふとんトンネル」「ミラクルブリッジ」、つぎつぎ繰り出されるキメキメの技!!
おぼえのある風景に、思わず笑顔がこぼれます。

寝顔だらけの家族絵本。
一緒に読みたい、愛情いっぱいの1冊です。

日常を楽しむ絵本、4~5歳の子と一緒に『たべて うんこして ねる』

たべて うんこして ねる

たべて、うんこして、ねる。食と人をテーマに創作活動を続ける夫婦ユニットはらぺこめがねが、コロナ禍中に見つめ直した愛おしい日々の営み。兄妹の成長と共に描く。

日常を楽しむ絵本、6歳以上から大人まで楽しめる絵童話『ちいさなトガリネズミ』

ちいさなトガリネズミ

ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞、ニューヨークタイムズ・ニューヨーク公共図書館絵本賞などを受賞し、海外からも高い評価を受けている絵本作家が初めて手がける絵童話!

トガリネズミは働きもの。朝おきてから夜ねるまで、毎日きまった予定をこなし、つつがなく暮らしています。でも今日はひとつだけ、いつもと違うことがありました! ひとめ見たら忘れられない、つぶらな瞳のトガリネズミ。そのささやかでありふれた日常を、独特のおかしみをもって描きます。

2つ目のテーマは「意外な組み合わせ」から生まれる不思議な世界を楽しむ絵本。どれも気になる3冊です。

「すし×のりもの」!? 子どもたち爆笑の絵本『すしん』

すしん

このすしは、生き物なのか、乗り物なのか、食べ物なのか……? 
謎のすし達が絵本のなかを「すしーん」と駆け抜ける! 
不思議な「すし語」もくせになる、こどもたち爆笑のナンセンス×食べ物絵本です。

「ねこ×パン×おすもう」の組み合わせは迫力も愛嬌もたっぷり『どすこい みいちゃん パンやさん』

どすこい みいちゃん パンやさん

みいちゃんは、グーパーグーパーきじをこねる。どすこいどすこい、おいしくなあれ。猫のみいちゃんがパンをつくるすがたは、なぜだかおすもうさんみたい! 見ているだけで楽しくなる、パンやのみいちゃんの朝がはじまります。

驚きの組み合わせ「レストラン×ふろ」いったいどうなる?『レストランふろ』

レストランふろ

「レストランふろ」って なんだろう?

こうたくんの目の前に突如あらわれた、「レストランふろ」と書かれたのれん。思い切ってくぐってみると、なんだかいい匂いが漂ってきます。奥へ進むと、見えてきたのは大きくておいしそうな料理の数々。あれ、よく見ると、中には人の姿が。ラーメンに天ぷら、ほかにもたくさんの食べものを、肩まで浸かりながらいただきます。真上から見たり、真横から見たり、麻生知子さんのユニークな視点から描かれた「食べもの×お風呂」の世界を、じっくりゆっくりご堪能ください。

2024年、これからおすすめしたい絵本は?

今年もさまざまなテーマで楽しませてくれそうな絵本の世界。1冊目は一見普通の内容に見えるこちらの絵本の意外な内容に、稲垣アナも興味津々。

左から読んでも右から読んでも同じ読み方…『よるよ』

よるよ

とある夜。海にうかぶ島に、3匹の動物がいました。いぬと、くまと、ねこです。夜の虹の世界は、摩訶不思議。虹のうえでトランポリンみたいに跳ねたり、虹のなかでプールみたいに泳いだりと、3匹はへんてこな冒険を楽しみます。そのうちに、虹にあいた大きな穴を見つけて……?
「さかさことば(回文)」からひろがるふしぎな夜のできごとを、何層にも重なり合うクレヨンが、色鮮やかに描きだします。夜の静けさのなかにナンセンスなユーモアがあふれる、ことば遊び絵本です。

2冊目は、当たり前ではない日常を大切にしたくなる絵本。

喜びも悲しみも、全てを包み込んでくれるのは…『ゆうやけにとけていく』

ゆうやけにとけていく

だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、悔しくて石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=222620

最後に、一歩前に進みたい時に、背中を押してくれるような絵本を2冊。大人にも子どもにもおすすめです。

無理だというのは、思い込みかもしれない!?『ちいさな木』

ちいさな木

もう何年もそこに生えている一本のちいさな木。ある時一ぴきの犬が走ってきて、こんなことを言います。

「ぼく、ゴッチ。つなを くいちぎってね、家出したんだよ。
これから じぶんの すきなところに いくんだ」

自分の好きなところ? ちいさな木は自分も行ってみたくなります。でも動けないから無理だとあきらめかけていると、ゴッチはやってみなくちゃわからないと言います。ためしに根っこをよっこらしょって引き抜いてみると……歩けた! ちいさな木はキッコと名乗り、ゴッチと一緒に「じぶんがすきなところ」を求めて、冒険の旅に出発することに。

ゴッチは、スタンスタン。キッコはイッポイッポ。ゆるやかな丘を登ったり下りたりして歩いていくと、途中で岩のイワオ、沼のイッテキにも出会い、「じぶんのすきなところ」に魅入られた異色の4人が一歩ずつ進んでいきます。スタンスタン、イッポイッポ、ゴロンチョゴロンチョ、ポチョンチョポチョンチョ。その先に見えてきた景色は……?

ああ、なんて素敵な冒険なのでしょう。無理だと思っていたけれど、やってみたら出来るかもしれない。自分の居場所を自分の足で見つけられるのかもしれない。もちろん、その場所が4人とも一緒だとは限らないのですけどね。

文章を手掛けているのは、童話や絵本など、数々の名作を世に送り出してきた角野栄子さん。小さな木の不思議な物語を、軽快に、そして優しくシンプルな言葉で綴ります。絵を描かれているのは、「魔女の宅急便」シリーズ(福音館書店)で角野さんとタッグを組まれている佐竹美保さん。モノクロが基調となった絵は、象徴的でもあり、ユーモラスでもあり。後半に広がっていく緑色の風景は何年経っても心に残るであろう美しさ。

年齢に関係なく、読み終われば、なんだか背中を押してもらったような気分。今ならなんでもできる気がしてきます。「やってみないとわからないでしょ!」 角野さんと佐竹さん、お二人の声が聞こえてくるようですね。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=238712

「どうしようもないことさ」とみんなは言う。でも…『いつきっと』

いつかきっと

「どうってことないから、気にしないで」
「どうしようもないことさ」
「やってもむだだね」

みんなは言う。でも、やってみなくちゃわからないし、できることだってあるはずだ。とっても小さいものが大きいものを動かすことだって、あるんだよ。

「ほんとにかなしいね」

怖いし、どうしていいかわらないし、腹も立つ。でも、ほんの少しの希望があったとしたら、持ち続けた方がいい。友だちだって助けてくれる。うまくいかなかったとしても、またやり直すんだ。なんどでも、なんどでも。やがて……。

ジョー・バイデン大統領の就任式で自作の詩「わたしたちの登る丘」を朗読した詩人アマンダ・ゴーマンと、コルデコット賞を受賞したイラストレーターのクリスチャン・ロビンソンが生み出した絵本に込められているのは、時代を超えた希望のメッセージ。

小さな男の子の信念が、まわりを少しずつ変えていく力となっていく。私たちが今感じている嘆きやあきらめ、孤独や無力感。そういうものに、ゆっくりとじわじわ、でもしっかりと言葉が響いてくるのです。そのささやかで揺るぎない行動に、心を動かされるのです。どうかこの絵本が、子どもたちの、そして多くの大人たちの「勇気」となっていきますように。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=240971

いかがでしたでしょうか。2024年も始まったばかり。今年はどんな絵本が話題になっていくのでしょう。ロングセラー絵本を味わいながら、同時に新しい絵本の登場にもワクワクしていると、絵本との出会いの時間がより豊かになっていくはずですよね。気になったら、ぜひ手にとってみてくださいね。
 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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