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絵本講師ふわはねが案内する展覧会レポート

【展覧会へ行こう・番外編】「Bologna Children’s Book Fair ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」(案内人:ふわはね)

スフォルチェスコ城(ミラノ)にて 絵本作家たけうちちひろさんと

私は展覧会を訪れるのが大好きです。そこには生きている絵本の絵があります。

その絵からは作家さん画家さんの息遣いが聞こえてきます。描き手の背景を知り、想いを知ることで、その絵本がより好きになります。

 

ぜひ大人も子どもも本物と出会う場所に足を運んでみませんか。

それはもしかするとその後の人生を変える出会いとなるかもしれません。

 

今回は番外編として海外の絵本イベントをご紹介します。

ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアをレポートします!

2024年4月8日〜11日の4日間、イタリアの北部の都市ボローニャで開催された「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」(Bologna Children’s Book Fair)に行ってきました!

初参加の私の目を通した海外絵本イベントをレポしていきたいと思います!

フェア会場入り口。

ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアは世界で唯一の子どもの本専門の国際見本市です。

出版社や作家、イラストレーターや画家、翻訳家、エージェントなど児童文学に関わる様々な企業や人々が参加し、版権の売買や、出版への商談が行われます。

今回旅の同行は切り絵作家でもあり絵本作家でもあるたけうちちひろさん。

2015年、2016年とボローニャ国際絵本原画展に入選。今回3度目のボローニャということで、胸を借りてのイタリア旅でした。

 

ちひろさんは早速、アポイントを取っている出版社と商談へ

私はというと……。

どこを見ても本本本。大興奮しながらぶらぶらといろいろなブースをまわりました。

各出版社趣向を凝らしたブース。見ているだけでも楽しい。

なんと世界100カ国の約1300社以上の出版社が参加。
日本でお馴染みのあの絵本が海外で出版されていたり、翻訳されたものの原書があったり、もちろん見たことのない本もたくさん。

各社工夫を凝らしたブースや絵本の並べ方で見ているだけでも楽しかったです。

知っている絵本があると嬉しくなる。

日本の出版社も出展。こちらは東京都立大学にあるニジノ絵本屋さん。イタリアボローニャの出版社kirakiraと共同で出展されていました。

ニジノ絵本屋さんのブース いつも多くの人で賑わっていた

至る所で作家さんのサイン会が行われていたり、ライブペインティングやトークショーなど活気あふれるフェア会場。

疲れたら会場内にあるスタンドへ。

ピザに、カルツォーネ、イタリアの伝統的なお菓子、円筒状のパイ生地にクリームを詰めたカンノーロや、パイのような層の中にクリームが入ったスフォリアテッラなど軽食とカプチーノなどの飲み物が売っています。

なんとか購入してひとやすみ。

「ciao!」と「Grazie.」くらいのイタリア語でもどうにかなるものです(笑)

軽食の買える売店。大人気でお昼には長蛇の列。
その国ならではのスイーツも旅の楽しみのひとつ。甘すぎずとっても美味しかったです。

こちらはフェア会場入ってすぐにある壁。

これもボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア名物で、新人イラストレーターたちは出版社の目に止まるのを願い、壁に自分の作品や連絡先を貼る。初日真っ白だった壁は日に日に重なり元の壁は見えなくなりました。

イラストレーター掲示板

会場内には絵本の販売をされているところも。

たくさん買いすぎて、帰りの荷物が大変なことに笑

フェア会場内の絵本売り場

ボローニャと聞くと、絵本好きの皆さんは東京の板橋区立美術館や、兵庫県にある西宮市大谷記念美術館のイタリア・ボローニャ国際絵本原画展を思い出す方も多いかもしれません。

このブックフェアでは毎年、イベントの一つとして、絵本原画のコンクールが行われています。

子どもの本のために制作された作品を5枚1組にして応募。

国籍の異なる5人の審査員は毎年入れ替わり、応募作品は有名作家の作品も新人の作品も同じテーブルに並べられ、出版・未出版に関わらず審査の対象とされるため、新人イラストレーターたちの登竜門としても知られています。

この入選をきっかけに絵本作家への道が開かれる人も少なくはありません。

もちろんボローニャの会場には入選した作品が展示されています。

この作品たちが、日本にもやってきているのです。

イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の入選者の作品が飾られる
吊り下げられる絵本たち。こんな展示の仕方も。

ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアに参加して…

今回、作家でもなく、イラストレーターでもない。ましてや出版社や編集者でもない私がボローニャまで行く意味をずっと考えていました。

4日間フェア会場を巡り感じたことは、絵本を作る人、作りたい人がいて、届ける人がいる。

その小さな手に渡るまで大切に作られ国籍を越える。その想いや熱気をダイレクトに感じ取ることができました。

版権の売買という真剣な商談な場でありながら、主催者、そして各出版社が趣向を凝らし楽しみながら絵本たちを一冊一冊を丁寧に世に送り出していることを感じました。

またここでの新たな出会いやご縁も感じ、感謝でいっぱいの旅となりました。

ジャンニーノ・ストッパーニ書店でのライブイベント終了後にみんなで記念撮影

行ってみると案外身近に感じたブックフェア。

 

ボローニャの街は中世時代に建てられた建造物が今なお多く残る、歴史の香り漂う町です。

バスなども多く走っており、フェア会場や街の中心地であるマッジョーレ広場にも容易に行くことができます。

マッジョーレ広場には老舗児童書専門店ジャンニーノ・ストッパーニ書店や、中央が吹き抜けで1階から3階までがそれを囲むように本が並ぶボローニャの市立図書館サラボルサなど見どころがいっぱいです。

ミラノとフィレンツェの中間に位置し、ローマやヴェネチアにも足を伸ばせる距離感。

 

国際見本市というとハードルが高く感じられるかもしれませんが、絵本好きの方はぜひ、ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアの時期にイタリア旅行なんていかがでしょう。世界の児童書を見ることができる、またとないチャンスです。きっと大満足の旅になることでしょう。

案内人は……

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・JPIC読書アドバイザー・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。

絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。

大学3回生と高校3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

また次回の展覧会レポートもお楽しみに♪

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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