絵本の中に私が……いた? 2018年7月5日
「あららら、これは。確かに。ここに私がいるね。」
今日で退社してしまう会社の後輩が、チームみんなのため、それぞれにぴったりな絵本を選んでプレゼントしてくれるというサプライズ。センス抜群の彼女が、イメージに合わせて選んでくれた包装紙もとっても素敵。でも、何より「緊張する」と言いながらじっと彼女がこっちの手もとを見ている。
そりゃ、そうか。絵本ナビ編集長に絵本を選んで渡すんだもんね。いつも選んでいるのはこちらの方。だからすごく嬉しい! で、どんな絵本が出てきたかといえば…?
ちょっとふっくらしたお腹と、大きなおしり、太いけれど小さくて可愛い足。あっけらかーんとした笑顔にダイナミックでお洒落な柄のお洋服がよく似合う……「ぶた」の女の子。
「これが、私?」
いえいえいえ、そういうことではないですよね。わかっています。さすがに私もそんなに意地悪ではありません。この絵本の主人公の女の子はとってもチャーミングなのです。楽しそうに毎日を過ごし、読書家でキレイ好きで食べるのが大好き。そして何より…自分が大好き!
わたしとなかよし
わたしには、素敵なともだちがいるの。
それはね……わ、た、し!
どういうことだろう?
明るい笑顔が素敵なぶたの女の子、「わたし」は続けます。
お絵描きしている時も、自転車をびゅんびゅんこいでいる時も、わたしはひとりぼっちじゃない。
わたしは、わたしと一緒にいるから。
わたしは、わたしのために本をいっぱい読んであげたり、ごはんをもりもり食べたり、きれいにしたり。
朝起きたら、鏡にむかってご挨拶。
「おはよう、きょうも かわいいね!」
なんだか……すごくいい。
この子は、自分のまんまるお腹もくるくるしっぽも小さな足も、みんな愛してる。
自分のことをとっても大事にしているんだね。
だから、元気が出ないときや、ちょっとつまづいちゃった時の対処法だってバッチリなのです。
それはね……。
「自分大好き!」
そんな風に思うのって、どうでしょう。
恥ずかしい? ちょっと傲慢? ひとりよがり?
だけど、そんな気持ちが邪魔しちゃっているせいで、もし自分が自分となかよしになれていなかったら。自分のことを大切に思う事ができなかったら。誰かの事を思う気持ちなんて生まれるのかな。
ダイナミックな線で描かれたぶたの女の子。水玉やハートの柄を身にまとい、ポーズはいつも足を開いて仁王立ち。
作者ナンシー・カールソンの軽やかで大らか、それでいて力強い声が絵本の向こうから聞こえてくるみたい。
細かいことなんて気にしない、わたしはわたしのことが好き。ね、すてきでしょ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
確かにこの女の子と私の共通点はとても多いかもしれない。自分とよく会話をするし、自分のためになるならと、仕事を修行と捉えて励んだり。落ち込みそうになったら、とにかく自分で自分をよく褒めるところもそっくり。そして服のコーディネートがうまくいくと鏡に「うん、可愛い」とつぶやく。(会社で周りの人に可愛いと言うように強要してしまうところは似ていない)
「自分大好き磯崎さん」…ぴったりな選書!
それが本当の自分かどうか、なんてこの際どうでもいい。「磯崎さんは磯崎さんと仲良くして、前向きに生きている」ように後輩から見えている磯崎さんの事は、自分でも結構好き。
というか、こんなに語っちゃう時点でやっぱりかなり「自分が大好き」だよね、という話でした。
磯崎 園子 絵本ナビ編集長
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