読んでいるだけでウズウズしてくる…!絵が描きたくなる絵本
そこに大きな紙があって、絵の具がある。ためしに色の水をポタっと落としてみる。
「あ、きれい!」
今度は、クレヨンで思いっきりぐいいーーーっと線を引いてみる。
「楽しい!」
鉛筆、マジック、筆にスタンプ。思いついた画材や道具をどんどん取り出して、ぐるぐる、ぺたぺた、ぽんぽんぽん、色んな音をさせながら紙の上をいっぱいにして。好きなように思いっきり。でも……絵を描くって、こんなに自由でいいの?
いいんです。上手に描かなくちゃいけないなんて、誰が決めたのでしょう。
この秋、楽しい「絵」の絵本がこんなに揃いました。読んでいるだけでウズウズしてくるはず。その気持ちを大切にしてくださいね。
読んでいるだけでウズウズしてくる…!絵が描きたくなる絵本
新しい絵本からおすすめ5冊!
「絵を描くのって、たのしい!きもちいい!」
まっしろの紙、こわがらなくたっていい。
思いきって……「ぐっちょん!」
たっぷり絵の具をつけた筆をおろせば、そこに色が生まれる。
「ずういいいいいい」
思いっきり筆をうごかせば、今度はギザギザのいきもの。
あれ、これって気持ちいい?
そう感じたなら、そのまま続けて!
「てんてんてんてん」「ぐるぐるぐるぐる」
もっと大きく、もっとちらかして!
バケツの水で手を濡らしたら、今度はそのまま
「しゅりゅううううううううう」
手だって、足だって。
からだ全部をつかって、もっともっと描く。
色んな形が現れては消え、色がどんどん重なって混ざって。
生まれてくるのはみんな……「わたしのえ」!
作者のはたこうしろうさんが「絵を描くのって、たのしい!きもちいい!」、そんな感覚を子どもたちに伝えたいと思い続けて生まれてきたのがこの絵本。読んでみれば、とにかく気持ちがいい。最初のページからずっと楽しくてうずうずしてくる。だって、この絵には「こたえ」も「きまり」も一つもない。ただただ、色と遊び、からだと遊び、すべてが思いつきで、順序だって気にしない、もちろん「評価」もない。
そう。「わたしのえ」はわたしのもの。
いつだって、何からだって自由で楽しいものでいいのです。
絵の具の色も、女の子の表情も、それは生き生きとしていて…
凝り固まった大人の心までをも開放してくれるような、絵を描く喜びにあふれた1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ふーってすると…不思議、不思議、おもしろい!
真っ白な紙に色水ぽとり。
「ねえ ふーって して」
そうすると、どうなるの?
ページをめくると……あっ、たいよう。
次はみどりをぽたぽた、ふーっとすると。
草がはえてきたよ。
不思議、不思議、おもしろい!
ふーっとすると、ハリネズミのはりが生えてきたり、ねこのおひげが伸びてきたり、まつ毛がびょーんと長くなったりして。ねえねえ、いったいどうなってるの?
答えはね、紙にたらした色水をストローや口を使ってふーっと生きを吹きかけるのです。そうすると、色水がよくのびて線を描き出すのです。なんだ簡単。簡単だけど、けっこうすごい。思ったよりもずっと素敵で驚きの絵が生まれちゃう。なんだか色が生きてるみたいだね。
絵を描くだけでなく、子どもたちが気軽に楽しめる工作や遊びが大好きな松田奈那子さん。この絵本も、ふーっと絵本に息を吹きかけるだけで参加できちゃうし、読み終わって真似してみてもきっと楽しい。想像力や好奇心を刺激してくれる、美しくて愛らしい1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
お部屋の中のあれもこれもが「はんこ」に見えてくる!?
「けしごむぽん、いぬがわん」
どういうことかと言うと、けしごむに色をつけて、はんこみたいにぽんっと押して、鉛筆で描き足してあげると……わん、わん。あっという間に犬の絵が完成しちゃった、ということ!
これって楽しい。ペンのキャップでぽんぽんぽん、フォークでペタペタ、かなづち、ものさし、積み木にねじ……身の回りのものを使って、どんどん絵が生まれていくのです。ひつじにおおかみ、汽車に草原、やがてやって来たのは大きな街。ストーリーだって進んでいきます。
さて、到着したのはレストラン。ここでご馳走してくれるのは、やっぱりはんこ遊びでつくったピザにおすしにアイスクリーム。
「ぽんぽんぽん。さあ、めしあがれ」
創作絵本から図鑑までとても幅広く活動をされている画家・絵本作家のほりかわりまこさん。今度の新作は、すぐにでも真似したくなる可愛らしさ。はんこが大好きな彼女のアイデアがつまっているのだそう。
読めば不思議、お部屋の中のあれもこれもが「はんこ」に見えてくる!? 日常がアートに変わる瞬間、その楽しさを子どもたちにも存分に味わってもらいたいですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
えんぴつ付きの特別版の発売です!
えんぴつデビューはらくがき絵本で!『らくがき絵本 五味太郎50%』にらくがき模様のえんぴつが付きました。はじめてえんぴつを持つお子さんや、気ままにお絵かきをしてみたいおとなにもぴったりの特別版。筆圧の弱いお子さんにもぴったりの、芯が濃く柔らかいえんぴつと、楽しいマルチカラーをセット。おうち用やプレゼントにもおすすめです。
ケシゴムにだって絵を描くことができる…!?
絵を描くのがだいすきな、えんぴつ。
いつもひとりで絵を描いていたえんぴつがであったのは、消すのがだいすきな、ケシゴム。
消すのが好きとはいっても、ただ描いたものをなかったことにするのが好き、というわけではないのです。
えんぴつが描いた街並みのビルを減らして、空が見えるようにしたり——
花の咲く野原に、白い散歩道を引いたり——
はたまた、暗い夜空を星形に消して、星空に変えたり——
ケシゴムは、えんぴつが思いもしないことを考えつくのです。
ところが、それを見たえんぴつは、なんだかおもしろくなさそう……
ケシゴムを使って絵を描く、という発想の逆転が楽しい!
線を足すのではなく、引くことで描き出されるものもある、というのは、とても新鮮な驚きがありました。
個性的なイマジネーションと工夫によって、えんぴつの描いた絵をつぎつぎとパワーアップさせていくケシゴム。
そんな彼のことが気に食わないえんぴつは、
「さすがにこれは、ケシゴムのきみには、なんにもできないだろう!」
といって、なんの工夫もほどこしようがないような絵を、ケシゴムに見せます。
ところが、ケシゴムの創造性にかかれば、無理難題もなんのその!
やわらかな発想を通してながめる世界の、なんと自由なことでしょう!
創造すること、工夫することのたのしさがいっぱいにつまった、胸おどる一冊です。
物語の最後にあらわれる、定規やクレヨン、シャーペン、絵筆……
とくべつな道具を用意しなくても、やわらかな発想と工夫があれば、たのしい絵は描ける!
読み終わったらきっと、すぐにでも絵を描きたくなってしまうはずです。
(堀井拓馬 小説家)
ロングセラー絵本の中にもたくさん!
絵の具で描いたおいもの大きいこと、大きいこと。
いよいよ明日はいもほり遠足。あおぞらようちえんの子ども達は、それはそれは楽しみにしています。ところが…当日は雨。いもほり遠足は一週間延期です。先生は仕方ありませんねって言うけれど。
「つまんない つまんない」
でも大丈夫。おいもは7つ寝ると、いっぱい大きくなって土の中で待っててくれるんですって! そのおいも、どのくらい大きくなっていると思う? 子ども達は想像しているうちに紙に描いてみたくなりましたよ。大きな大きな紙を用意して、それでも足りないからのりで貼り合わせてもっと大きくして。絵具を筆で「ごし ごし しゅっ しゅっ」「ぴちゃ ぴちゃ しゃっしゃっ」…もっと紙を足して。もっともっと。
ああーーーすごい!!
絵の具で描いたおいもの大きいこと、大きいこと。
先生もびっくり仰天。
絵が描きたくなる絵本!
大好きな絵本を写したり、真似して描いてみるのも楽しいよね!
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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