【ランキング】2021年7月の児童書売上ランキングBEST10は?
今、絵本ナビで売れている児童書は? 話題になっているのはどんな本? なかなか見えづらい児童書の売れ傾向ですが、少しでも旬の情報をお伝えできるよう、1ケ月分のランキングを発表していきます。2021年7月は、 いつものランキングと比べてがらりとラインナップが変わりました! 定番やロングセラーが人気の児童書ランキングにおいて、どんな変化があったのでしょう。記事の最後には、今回も7月のおすすめ新刊情報をお届けします。旬の児童書情報をたっぷりお楽しみ下さい。
2021年7月の児童書売上ランキングBEST10【2021/7/1~7/31】
第1位は、今年の課題図書低学年の部から『そのときがくるくる』
みどころ
食べ物の好き嫌いはありますか?
どうしても食べられないもの、子どもだけでなく大人だって、なにか一つぐらいは心当たりがありますよね。
主人公の「たくま」はなすが嫌いです。理由は、苦くてぐじゅぐじゅしているから。給食でなすのメニューが出るときは朝から気が重くて大変です。なかなか食べ終えられずに、みんながあとかたづけを始めても、なすとにらめっこ。けれども教室を見回すと、体も声も大きくてちょっとこわいと思っていた「りょうくん」も座ったまま。わっ、仲間がいた! たちまち意気投合して嬉しい気持ちになる二人でしたが、次のなすメニューの日もやっぱり二人そろって食べられなくて‥‥‥。
そんな中、夏休みに入り、「たくま」はおじいちゃんとおばあちゃんの家に1週間お泊まりすることに。しかし、野菜を育てているおじいちゃんの家ではたくさんのなす料理が登場します。そこでなすが食べられないと告白した「たくま」とおじいちゃんの間でこんなやりとりが繰り広げられます。
「いつかきっと、そのときがくるから、むりに 食べさせちゃいかん。」
「そのときって?」
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第2位は、同数の売れで2タイトルが並びました。
第2位には、課題図書中学校の部から『with you』
出版社からの内容紹介
中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……
母親の介護に携わる“ヤングケアラー”の少女・朱音に恋をした中学生・悠人の物語を通して、「誰かを大切に思うこと、社会へ目をむける機会」を読者に提供する児童文学です。
同じく第2位となったのは、課題図書中学年の部の『ぼくのあいぼうはカモノハシ』
出版社からの内容紹介
気のやさしい男の子と、
ちょっとすましたカモノハシの
とぼけたやりとりが楽しい、
ほのぼのとした冒険物語。
ルフスはドイツの男の子。
お姉ちゃん、お母さんといっしょに、
くらしています。
エンジニアのお父さんは、
オーストラリアに単身赴任中。
ルフスは、お父さんと離れてくらすのを
さみしく思っていました。
そんなルフスは、
人間の言葉をしゃべるカモノハシに出会います。
そのカモノハシは、動物園から抜け出してきたと
いい、「シドニー」と名乗りました。
そしてシドニーは、
故郷のオーストラリアに帰るのを
ルフスに手伝ってほしいというのです。
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第4位も同数の売れで、2タイトルが並びました。
第4位 『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』
第4位も課題図書からランクイン。中学年の部『カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥』
みどころ
毎日の生活の中でよく見かける身近な鳥、カラス。
皆さんは、カラスにどんな印象を持っているでしょうか?
ごみをちらかす、
黒くて大きくてこわい‥‥‥。
みんなの「きらわれもの」!?
著者の嶋田泰子さんが、これまであまり気にとめていなかったカラスという存在にであわされたのは、頭にうんちを落とされるという体験からでした。いったん意識しはじめると、ごみ置き場をあらすカラスの姿が目につき、攻防がはじまりました。けれどもカラスへの勝ち目はなし。どうにかカラスとの戦いに勝つためには作戦を練らなければ‥‥‥と考えた時に気づいたのが、
「カラスは人間がどんな生きものかということに気づいているようなのに、わたしはカラスのことなんて、なにも知らなかった」ということ。ここから、嶋田さんのカラスへの調査が始まります。
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第4位 『先生、しゅくだいわすれました』
毎年読書感想文の時期に、さらに人気があがる作品です。
みどころ
ある朝、宿題を忘れてしまったゆうすけくん。
このままだと、先生に「追加の宿題」をさせられる!
とっさに、おなかが痛くて宿題ができなかったとウソをつきますが、話すうちにどんどんボロが出て、結局バレてしまいました。
「ウソつくなら、すぐばれるようなのはだめだよ。もっと、ばれないようなので、それから、聞いた相手が楽しくなるようなのじゃなくちゃ」
そう言ってニヤリと笑う、えりこ先生。
それなら、よーし、見てろよ!
「先生、しゅくだい忘れました!」
次の日、さっそくはりきってそう報告したゆうすけくん。
理由をきかれて、さあ、待ってました!
ぼくが宿題できなかったのは‥‥‥
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第6位も、同数の売れで2タイトルが並びました。
第6位 『ゆりの木荘の子どもたち』
課題図書、中学年の部『ゆりの木荘の子どもたち』
みどころ
不思議な魔法がかけられている、という言い伝えのある古くて立派な洋館「ゆりの木荘」。建てられたのは100年以上も前なので、どんな魔法がかけられたのか覚えている人は1人もいません。そのうち「ゆりの木荘」は老人ホームに生まれ変わり、サクラさん、モリノさんをはじめとした6人のお年寄りが住むようになりました。
春風が吹くある日、サクラさんとモリノさんが裏庭でおしゃべりしていると、どこからか手まり歌が聞こえてきました。
「ヒイラギ ひとは フジのは ふたは
みつばに よつば 五日のカズラ・・・」
どこかで聞いたことのある歌だとサクラさんが続きを歌うと、大きな風が巻き起こり、87歳のサクラさんとモリノさんは10歳ほどの女の子に!? ゆりの木荘の中では、89歳のスギタさんも女の子に、またいつも車イスに乗っているヤマフジさんも3歳か4歳ぐらいの女の子に、そして大さん省さんと呼ばれているおじいさん2人も、男の子に変わっていました。そして日めくりカレンダーが示していた日付は、昭和16年の8月3日。なんと77年も前にタイムスリップしてしまったのです。
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第6位 『しっぱいにかんぱい!』
1年中人気がある作品ですが、読書感想文の時期にもよく手に取られています。シリーズでおすすめ!
みどころ
表紙には、リレーのバトンを持って走る女の子。運動会でしょうか。タイトルが『しっぱいにかんぱい!』ですから、何か嫌な予感が…?
「おねえちゃんは、けさも牛乳をのんだだけでした。そのまんま口もきかずに自分の部屋へ、ひっこんでいってしまいました」という始まりの文から、予想通り?何かショックな出来事がおねえちゃんの身に起こったことがうかがえます。ゆうべから何も食べていない、というおねえちゃん、このおねえちゃんこと6年生の加奈は、前日の運動会のリレーで失敗をしてしまったのです。落ち込んだ加奈には、おとうさんやおかあさんの慰めの言葉も全く届きません。弟の達也は心配でおろおろするばかりです。そこに、おじいちゃんから1本の電話が入ります。
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第8位 『ふたりはともだち』
みどころ
仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で繰り広げられるのは、濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……様々な愛すべきエピソード。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズは幼年童話の傑作として、子どもから大人まで、たくさんの人たちに40年以上も愛され続けています。
そのシリーズ第1作目が『ふたりはともだち』、5つのお話が収録されています。
春が来たからと大急ぎでがまくんの家に走っていき、「おきなよ!」と大きな声で呼びたてるかえるくん。お日さまがきらきらして、雪も溶け、新しい一年がはじまったかと思うと、いてもたってもいられないのです。ところが、がまくんは布団の中。もう少し寝ていたいのです。11月から眠っているがまくんは「5月半ば頃にまた起こしてくれたまえよ。」なんて言うのです。そこで、かえるくんは……?
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第9位は、なんと同数で、6タイトルが並びました。こちらも課題図書や読書感想文向けの本が人気だったようです。一気にご紹介します。
今年の新刊の中から、今人気のおすすめ作品2冊をPickup!
感想文の悩みはこの本で解決しよう! 『先生、感想文、書けません!』
みどころ
「だって、書けないんだもん。」
「わたしには、感想文、むり!」
夏休みの登校日に、どうどうと訴えているのは、三年生のみずか。
みずかは本が決して嫌いなわけではないのです。夏休みに入ってから、友だちのあかねちゃんと三回も市民図書館に行きました。でもみずかにとって感想文を書ける本がなかったのです。面白くなかったわけではありません。
「おもしろい本を読むと、むねがいっぱいになるの。
ああ、よかったなあ、おもしろかったなあって」
「先生、なんで感想文って書かなくちゃいけないの? わたし、本は読んでるし、ちゃんとおもしろかったよ。ああ、よかったぁだけじゃだめなの?」
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児童文学作家、岡田淳さんによる、甘くてちょっぴりほろ苦い、贅沢な物語
みどころ
チョコレートの箱をそっと開けるようにページをめくりたいとびきりのお話。
作者は、物語を紡ぎ出す名手、児童文学作家の岡田淳さん。
小学五年生のわたしとお母さんの妹・みこおばさんとの神戸デートの1日。
港の公園のベンチに座って、途中で買ったチョコレートを開けるほんのひとときの時間。
箱のなかにチョコレートは六つ。赤や青や緑色の紙で包まれたちょっと贅沢そうなチョコレート。
わたしとおばさんで三つずつ。まずは私が緑色、おばさんが青。
そっと紙をはがして、ふたりいっしょに口にいれる。
舌の上で、かたまりがゆっくりととけていく。
「時間がとけていくみたい」
そう言って、みこおばさんは、ふいにこんな話をしてくれたのでした。
「坂道の上の洋館に、ひとりの男とニワトリがくらしていました。」
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続いて2021年7月の新刊の中から、おすすめの作品をご紹介します。7月もたくさんの素敵な新刊が続々発売となりました。夏の間に読み切れないぐらいいろいろ出ていますので、これからやってくる「読書の秋」用にチェックしてみて下さいね。
2021年7月のおすすめ新刊情報(小学生から中高生向けの新刊です)
秋山朋恵(あきやま ともえ)
絵本ナビ 副編集長・児童書主担当
書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。
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