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月別児童書ランキングBEST10

【ランキング】2021年9月の児童書売上ランキングBEST10は?


今、絵本ナビで売れている児童書は? 話題になっているのはどんな本? なかなか見えづらい児童書の売れ傾向ですが、少しでも旬の情報をお伝えできるよう、1ケ月分のランキングを発表していきます。2021年9月は、読書感想文関連の本がよく動く夏を過ぎて、2ケ月ぶりにロングセラーの人気がまた戻ってきたようです。また9月も素敵な児童書の新刊がたくさん発売されました。ランキングと新刊情報をあわせてたっぷりお届けします。

2021年9月の児童書売上ランキングBEST10【2021/9/1~9/30】

第1位は、国語の教科書にも取り上げられている名作。ウォートンははたして誕生日に食べられてしまうのでしょうか?

新版ヒキガエルとんだ大冒険(1) 火曜日のごちそうはヒキガエル

みどころ

ヒキガエルのウォートンが、恐ろしいミミズクにつかまった! 誕生日のごちそうに食べられちゃうの!?

小学校の国語の教科書にも長い間取り上げられているこちらのお話。大人の方には懐かしく感じられる方も多いのではないでしょうか。1982年に日本で初めて刊行された後、2008年に訳を新たに装丁も大きく変わり、さらに手にとりやすく、読みやすくなりました。

土の中で暮らしているヒキガエルのきょうだい、ウォートンとモートン。ある冬の日、ウォートンはモートンが作った美味しい砂糖菓子をおばさんに届けるため、寒い雪道をスキーで出かけます。しかし途中で足をケガして、たちの悪いミミズクにつかまってしまうのでした。ミミズクは6日後の自分の誕生日の特別なごちそうとして、ウォートンを食べるといいます。けれどもウォートンとミミズクは毎晩、お茶を飲んでたくさんおしゃべりをするように。もしかしたらミミズクの気が変わるかも? と淡い期待を持つウォートン。読者である私たちもウォートンがどうか食べられませんように、と祈らずにはいられません。そうするうちにもミミズクは、カレンダーの日付をいちにちいちにち「×」で消していき、誕生日はどんどん近づいて‥‥‥。
はたしてウォートンは食べられてしまうのでしょうか?
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第2位は同数の売れで、2タイトルが並びました。

第2位は、読書の秋にもおすすめしたい探偵のお話。ネートといっしょにナゾを解こう!

ぼくはめいたんてい(1) きえた犬のえ(新装版)

みどころ

9歳のネートは探偵です。
今日もネートの元に1本の電話が入りました。
仲良しの女の子アニーから、なくなった絵を探してほしいとの依頼です。

すぐにアニーのところへ駆けつけるネート。
まず、アニーの話をじっくり聞き、部屋の中をくまなく調べます。
次に、その絵を見た他の人たちー仲良しのロザモンド、弟のハリー、犬のファングについて丁寧に調査していきます。
はたしてネートは、アニーのなくなった絵を発見することができたのでしょうか。

一見、すぐに解けそうと思わせておきながら、意外になかなか解けないナゾの面白さと、ネートのツボを押さえた探偵ぶりに子どもも(大人も!)たちまち心を掴まれてしまいます。
また9歳という年齢でありながら、どんなナゾが来ても常に落ち着き、周りから頼りにされているネート。子どもたちは、自分と同じぐらいの年齢の子の活躍とカッコよさにたちまち憧れてしまうのではないでしょうか。一方でパンケーキが大好物で、気が付けばいつもパンケーキを食べているところには親しみを感じてしまいますね。

こちらは、1982年の発売以来、たくさんの子どもたちに愛され、読み継がれてきた「ぼくはめいたんてい」シリーズの第1巻目。マージョリー・W・シャーマットさんによる全17巻となるこちらのシリーズは、5歳ぐらいから小学校低学年の子どもたちにちょうど良いハラハラさで、子どもたちがはじめて物語の楽しさに出会えるシリーズでもあります。つぎつぎにネートに降りかかるナゾ解きの面白さはもちろんのこと、巻ごとに増えていく個性的な登場人物、ネートからママへの置き手紙の内容など、読めば読むほど多くの楽しみをも発見できるでしょう。

すべての漢字にふりがながついているので、はじめての読み物としてもぴったり。ひとり読みに移る前に、まずは読んであげながら親子で一緒にナゾ解きを楽しんでみるのもいいですね。シーモントさんの温かくユーモアたっぷりの挿絵と、訳者の小宮由さんの柔らかな語り口も、子どもたちの読書をやさしく応援してくれます。お話の最後には「めいたんていのこころえ」もついていて、もし周りでなにかナゾが起きた時の役に立つかも!? さあ、ネートとどんどんナゾを解いて、一緒に名探偵になろう!

(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)

こんな楽しい登場人物が出てくるよ♪

同じく第2位は、とくに今が読みごろ! おおきなおいもで思いっきり遊んで下さいね。

おおきなおおきな

みどころ

いよいよ明日はいもほり遠足。あおぞらようちえんの子ども達は、それはそれは楽しみにしています。ところが…当日は雨。いもほり遠足は一週間延期です。先生は仕方ありませんねって言うけれど。

「つまんない つまんない」

でも大丈夫。おいもは7つ寝ると、いっぱい大きくなって土の中で待っててくれるんですって! そのおいも、どのくらい大きくなっていると思う? 子ども達は想像しているうちに紙に描いてみたくなりましたよ。大きな大きな紙を用意して、それでも足りないからのりで貼り合わせてもっと大きくして。絵具を筆で「ごし ごし しゅっ しゅっ」「ぴちゃ ぴちゃ しゃっしゃっ」…もっと紙を足して。もっともっと。

ああーーーすごい!!
絵の具で描いたおいもの大きいこと、大きいこと。

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第4位 『エルマーのぼうけん』

第4位は、子どもに読んであげたい、本格冒険ものがたり!

エルマーのぼうけん

みどころ

さあ、リュックサックに道具をつめて、エルマーと一緒に冒険の旅に出発しよう!

これは僕の父さん、エルマーが小さかった頃のある冒険のお話です。ある雨の夜、エルマーは、年取ったのらねこから、「どうぶつ島」に捕らえられているかわいそうなりゅうの話を聞きます。りゅうは、空の低いところに浮いていた雲から落っこちてきたちっちゃな子どものりゅうで、ジャングルの猛獣たちに捕まえられて、川を渡るために働かされているというのです。

エルマーは、すぐに助けに行こうと決心します。早速ねこにどうぶつ島のことや、持っていくものを教えてもらい、旅の準備に取り掛かります。エルマーがリュックサックにつめたのは、「チューインガム、ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ、くろいゴムながぐつ、じしゃくが一つ、はブラシとチューブいりはみがき‥‥‥」などなどたくさんの道具。

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第5位 『はれときどきぶた』

第5位は、こちらも長く読み継がれる名作。とにかく面白い本が読みたいと思ったらこの本を!

はれときどきぶた

みどころ

三年三組。畠山則安。あだなは、十円やす。じまんは毎日、日記をつけていること。けれどもある日、大事な日記をお母さんが勝手に読んでいるところを目撃してしまった則安くんは、腹を立て、「あしたの日記」としてへんなことを書き始めます。トイレに大蛇がいた! お母さんが鉛筆を天ぷらに! 金魚が飛び回る、お母さんの首がのびた、そして空からぶたが降る!? はたして日記を書いた後に起きたこととは?

1980年に刊行され、40年近くにわたり読み継がれてきた『はれときどきぶた』。子どもの頃に読んだという大人の方もたくさんいらっしゃることでしょう。大人になって『はれときどきぶた』を思い出した時に頭をよぎったのは、本の中のエピソードの記憶。特に、鉛筆の天ぷらの記憶は五感とともに残っていて、食べたことはないのに口の中で鉛筆の味がしたり、ガリガリと固い感触がしたり、則安くんのお父さんと同じようにお腹が痛い気までしてくるようで、子どもの頃にお話を読んで感じた感覚がそのまま蘇ってくるようでした。さらに、空からぶたが降るのか、降らないのか、という場面では、心配そうに空を眺める則安くんと同じく、この後どうなるのだろうと不安とワクワクが混ざったような気持ちになったことを思い出したりも。そんな風に、子どもの頃に読んだ記憶が心の深いところに残り続けることがこの作品の持つすごい力ではないかと思います。

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第6位 『トムと3時の小人』

第6位は、今年6月に発売された、たかどのほうこさんが描く不思議なファンタジー。

トムと3時の小人

みどころ

小学生のつとむが古道具屋で見かけた1さつの古い本。赤い表紙に金色の線でくるくるしたもようが書いてあり、『トムと3時の小人〈下〉』という題がつけられています。

面白そうと思いながらも買わずに帰ってきてしまったつとむはどうしても読みたくなり、次の日、町の図書館で本を探します。司書のおばさんにたずねると出してくれたのは、赤い本にそっくりでありながらも、表紙に〈下〉という文字がない、青い表紙の本でした。

図書館でも1冊しかなく古くて貴重だというその本は、貸出禁止になっていて、つとむは、どっしりとした〈旧館〉にある閲覧室で読み始めます。
お話は、トムという男の子が、しんせきのフローラおばさんの家で体験した1週間の不思議な物語。時間のたびに青いハトが飛び出してくる山小屋の形のハト時計、いつのまにか数がへっているおやつのゼリービーンズ、毎晩かならず見るまぶしいくらいの明るい夢‥‥‥。
「あしたの3時に、見はってごらん」
数々の不思議の理由は、いったい誰のしわざだったのでしょう。

物語を読み終えたつとむは、さらにつづきが読みたくなり、もしかしたら古道具屋で見かけた赤い表紙の本がつづきなのでは? と考え、ふたたび古道具屋をおとずれます。
はたして赤い表紙の本はまだ残っているでしょうか?

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第7位は、同数の売れで6作品が並びました。一気にご紹介します。

最後に2021年9月の新刊の中から、おすすめの作品をご紹介します。

「読書の秋」用にチェックしてみて下さいね♪

9月の新刊よりPick up! 大人気シリーズ「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」の最新刊が発売されました。

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂(16)

出版社からの内容紹介

研究所の職員が紅子を装って、開発した駄菓子をばらまき、銭天堂の評判をおとしめる計画は、着々と進行していた。これを知った紅子は、この計画を阻止しようと、行動に出る。しかし、六条教授は、紅子の動きを完全に読んでいた……。
そして、ついに紅子と六条教授の対決のときがせまる。

絵本でおなじみ、いたずらっ子でやりたい放題の猫ラルフが幼年童話となって登場です!

あくたれラルフ おなかをこわす

出版社からの内容紹介

いつも自由にやりたい放題のラルフ。ごみバケツの中をあさって、おなかが痛くなります。動物病院に連れていかれますが、お医者さんの言うことを聞かず…。さてどうなる!?
いつでも自分らしくふるまうラルフ。はちゃめちゃぶりに笑いと共感がうまれ、細部までユーモラスな絵も相まって、楽しく読み進めれます。セイラとラルフ、お互いの愛情を感じる読後感のいいお話です。

あくたれラルフ コンテストにでる

出版社からの内容紹介

いつも自由にやりたい放題のラルフ。ねこの一番を決めるキャットショーに出場することになり、ライバルのパーシーに勝つため猛特訓をはじめます。いざコンテストへ!ラルフは優勝できるかな?
ラルフのはちゃめちゃぶりに笑いと共感がうまれ、細部までユーモラスな絵も相まって、楽しく読み進めれます。

オランダの国民的作家と画家による最後のコラボ作品!元気いっぱいの女の子ヨリーの楽しい騒動。

おてんばヨリーとひげおじさん

出版社からの内容紹介

今日は新しい特急列車がはじめて走る日。車掌のひげおじさんは大はりきり。ところが発車寸前、元気な女の子ヨリーがかけこんできて、列車の下にもぐりこんだハリネズミを助けます。列車の出発はおくれ、とんでもない事件が発覚します! ハラハラドキドキが止まらない、オランダの国民的作家&画家による最後のコラボ作品。

他にもおすすめ盛りだくさん。2021年9月新刊情報(小学生から中高生向けの新刊です)

秋山朋恵(あきやま ともえ) 

絵本ナビ 副編集長・児童書主担当

書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。

掲載されている情報は公開当時のものです。
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