【今週の今日の1冊】節分に向けて読みたい、鬼の名作!
2022年1月24日から1月30日までの絵本「今日の1冊」をご紹介
「心に残っている鬼のお話はなんですか?」と聞かれたら、どんな本が頭に浮かびますか?
長く読み継がれている鬼のお話には、印象深いものがいろいろありますね。大人になって読み返してみるとまた新たな発見があるかもしれませんし、鬼がこわいという子どもたちには、こわいだけでない、笑っちゃう鬼や、優しい鬼、鬼の悲しみなどいろいろな鬼の姿を伝えることができることでしょう。
今週は、鬼の名作をお届けします。節分に向けて、親子で鬼のお話を楽しんでみませんか。
1月24日 深い友情ゆえの切なさが心に深く残る名作
他にもこんな「ないたあかおに」の絵本が出ています。
1月25日 鬼のなまえを当てる勝負の行方は・・・?
1月26日 落語を題材とした、笑いいっぱいの地獄での大騒動!
水曜日は『じごくのそうべえ』
みどころ
「とざい とうざい。かるわざしの そうべえ。
いっせいいちだいの かるわざでござあい。」
扇を手にもって軽業師そうべえが「そうれ。ぺペン ペンペン ペーン」と綱渡りを披露していたそのとき、「おっとっとっとっと。あーーーーっ。」落ちて死んでしまったからさあたいへん。
気がつくとどうやらそこは地獄への道。そうべえは衣をはぎとられ、さんずの川をわたり、鏡の前でえんま大王に地獄行きを命じられます。しかし途中で出会った山伏ふっかい、歯ぬき師しかい、医者ちくあんと、4人そろって地獄のなかを大暴れ。糞尿地獄も、熱湯釜ゆでも、針の山も、それぞれの特技をいかして平気のへっちゃらです。人呑鬼(じんどんき。人を食べてしまう鬼)の腹のなかで4人がいっせいにいたずらをする絵は最高!
関西弁と勢いのある絵にのせられ、子どもたちに熱弁ふるって読み聞かせると、息切れしそうなスケール感が味わえます。「もう一回読んで!」といわれると「ちょっと待って・・・」と息を整える間が必要なほど(笑)。
上方落語の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を題材にした落語絵本。元の落語が大作だというのもうなずけます。でも決して難しくはありません。一気に読めます。そして子どもも大人も抱腹絶倒。圧倒的存在感を誇るロングセラーです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
1月27日 おにたの優しさと思いやりに出会う名作
読者の声より
姿は鬼だけど、本当は心優しいおにた。
お腹をすかせた女の子のために、雪まみれになってごちそうを用意するおにたの優しさに心が和みました。
しかし、女の子の「鬼が来ればお母さんの病気が悪くなる」の言葉に打ちひしがれ、姿を消してしまうおにた。
おにたは豆に姿を変えて、完全に消えてしまったのでしょうか。
ぱらぱらと静かな音でまかれる豆が、おにたの涙のような気がしました。
お話だけでも心を打つものですが、いわさきちひろさんの絵の美しさがこの作品の切なさと美しさを倍増させていると感じます。
(ともっちーさん 40代・ママ 女の子8歳、男の子4歳)
1月28日 鬼の報われない想いに胸が詰まります
金曜日は『島ひきおに』
みどころ
昔、海の真ん中の島に鬼が住んでいて、ひとりぼっちで寂しがっていました。
ある嵐の晩、沖を通りがかった漁船が、遠くに光る鬼の目を家の明かりと見間違えて、助けを求めて鬼の島へやってきました。
鬼はうれしくなって漁師たちの前に現れましたが、漁師たちは肝をつぶし、命乞いをします。
人間たちと一緒に暮らすにはどうしたらよいかを尋ねる鬼に困惑した漁師たちは、自分たちの島は狭いので、鬼が島をひっぱってきたら一緒に暮らせるのだが、と、口からでまかせを言いいます。
これを真に受けた鬼は、島を引っ張って海を歩き、人間たちの島へと行くのですが・・・。
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1月29日 赤羽末吉さんの画も圧巻の、今昔物語集が元になった名作
1月30日 児童文学ファンタジー大賞受賞の心に刻まれる名作!
読者の声より
実在した人物、小野篁。井戸を通って地獄へ通っていたという伝説は聞いたことがありましたが、そこを使って見事な物語になっています。
平安時代の京が舞台です。モノノケと人との境が混沌としていた時代に、主人公たちも重い葛藤を抱えています。そこを乗り越えていくまでのお話なので、明るいお話ではないですが、読みごたえがあります。
児童文学というくくりですが、時代物が好きな大人にもオススメです。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方 )
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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