【ふわはね絵本のある時間】2022年6月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
6月では…
芒種ぼうしゅ(6月6日)稲や麦などの穀物の種を蒔く時期。梅雨入り間近ということもあり農家は多忙を極める。
夏至げし(6月21日)一年で一番昼が長く夜が短くなる日。冬至と比べると約5時間も昼間が長いが、梅雨真っ只中のため太陽はなかなか顔を出さない。
日本では第五の季節とも呼ばれる梅雨。雨の日には雨の絵本を。今月はリズムの良い雨の絵本からはじめます。
そして歯と口の健康習慣や父の日など、季節の行事も絡めながら、最後は田植えの季節にもぴったりな農業女子さんの絵本を。
少しボリュームがあるので、この流れで読むのなら最後にするのがおすすめです。小学校での読み聞かせなどにもいいですよ。
【はじまりの絵本】
はじまりは元気よく『おひさまさんさん おはようさん』
はじまりはテンポの良い元気になるような絵本から。
大人気の装丁家、中嶋香織さんのはじめての絵本作品。
さすが装丁家さん。
もうこの表紙から、手に取らずにはいられませんでした。そして中身も…。
おひさま さんさん おはようさん
もくもく くもさん やってきて
おひさま さんさん いないいない
(p2−6本文引用)
声に出して、耳に心地いい。優しい水彩の絵と言葉が、子ども達をくすぐります。
テンポよく進む絵本は、赤ちゃんから楽しめます。
そして読み終わった時、子ども達の「もう一回!」という声が聞こえてくるような絵本です。
<読み聞かせ時間目安 55秒>
朝のおひさま、おはようさん!くもさん、あめさん、こんにちは!かぜさんいっしょにびゅうんびゅん。
あかるい色彩とリズミカルなことばが楽しいおひさま絵本の決定版!
お空つながりでもう一冊『あめあめぱらん』
雨の日には雨の絵本を!と思っています。
5月もそろそろ終わりに近づいてくると、我が家の絵本棚もそろそろ衣替え。
雨の絵本たちの出番です。小さな人たちと絵本を読み合うときに特に大切にしているのが音やリズム。
雨の絵本はそんな音やリズムが心地よく楽しいものが多くて大好きなジャンル。
この絵本は詩人の木坂涼さんのまるで歌いたくなるような言葉に、松成真理子さんの水彩のにじみをうまく使った絵が雨の世界とマッチ。
ぜひ声に乗せて届けたい一冊です。
みずたまは まるい
まるいは ボール
ボールは とぶよ
とぶのは ぼうし
ぼうしは かぶる
わらべうたのようなリズムが言葉を歌わせる。
雨の日には雨の絵本を。
<読み聞かせ時間目安 1分30秒>
【季節の絵本】
歯と口の健康週間にこんな絵本はいかがでしょう『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』
自ら進んで「行きたい」とは思いにくい歯医者さん。
どうやら絵本の中のわにさんも同じ気持ちみたい…。
ゆっくり遊んでいたいけどいかなくちゃいけないねと、わにさん。
そして同じく
ゆっくり遊んでいたいけどいかなくちゃいけないね、と歯医者の先生。
どきっ
どきっ
虫歯が痛いわにとそのわにの治療をする歯医者さん。わには歯医者さんが恐くて、歯医者さんはわにが恐い。
ドキドキとユーモアたっぷりのこれぞ絵本。五味太郎ワールド。
嫌な気持ちも勇気を出してみると、案外あっという間。歯医者さんを出る頃には気持ちも晴れ晴れ。
でももう二度とは会いたくない。だから、はみがきはみがき。
<読み聞かせ時間目安 1分25秒>
反復セリフのやり取りが面白い
虫歯になってしまったワニが、嫌々歯医者にやってくることから、物語は始まります。
ワニがやって来て、ドキッと、する歯医者さん。ワニは歯医者の道具にドキッ。ワニは虫歯を治すことに意を決して、歯医者はワニの口の中に手を入れることに意を決して・・・。
明るい色彩で、その表情がなんともいえず、いいんだなぁ。
結局なんとか歯の治療は終わるんだけど、ワニはもう2度と歯をいじくられたくないと思うし、歯医者は2度とワニの治療はしたくないと思う。
お互いに相反しているのに、セリフが同じで、本当に笑いを誘われます。
(てんぐざるさん 30代・埼玉県久喜市 7歳、2歳)
父の日にはこんな絵本はどうでしょう『えいっ』
小学2年生の国語の教科書に載っていたお話が、高畑純さんの絵で書き下ろしの絵本になりました。
町へポップコーンを買いに行ったくまの親子。
赤信号。横断歩道で止まっていると、くまのとうさん頃合いを見計らって手にしていたステッキを振り上げ信号をさして「えいっ」。
すると信号が青に!!!
とうさんの声で信号が黄色になったり、星が出たり。
作者の三木卓さんがお子さんとのお散歩の体験をもとに書かれたそう。
最後はほっこりと。父の日に読みたい大好きな一冊です。
<読み聞かせ時間目安 5分45秒>
【季節のお話絵本】
『あさごはんのたね』
「農業は楽しい!」を伝える絵本を日本中の子どもたちに届けようと、3人の農業女子がスタートさせたアグリバトンプロジェクト。
そこから生まれた絵本です。あさごはんのたねを探して畑の妖精、はたぽんと一緒に季節の畑を旅するひなたくんと妹のそらちゃん。
田植えの季節にぜひ絵本を開き、パタパタしゅるるんポン!
魔法の言葉と共に一緒に旅してみてください。
私たちが毎朝食べているごはんや、パン、たまごにレタス、まっかなトマトはどこから来たのか。
改めて知るという大切さ。
ひと粒の種から生まれるおいしいの魔法。
QRコードから見える聞こえる畑の景色。そして最後には歌も載っていて。
今回、この絵本の制作に微力ながら編集協力として携わらせていただきました。
全国の子どもたちへ読み聞かせをするという想定のもと作られた絵本。
だからこそお話の展開や声に出した時のリズ厶、そこは大切にしたいと一緒に考えさせていただきました。
少し長めのお話ですが、小学校での読み聞かせにもおすすめです。
<読み聞かせ時間目安 11分30秒>
子どもたちに「食」の大切さを伝え、「農業」に興味を持ってもらえる絵本です。
野菜は、どこで、どんなふうに育って
おいしい「あさごはん」になっているのでしょう?
絵本を読みながら、畑や田んぼを旅して種を育てるものがたり。
【その他 6月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。
子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー
大学2回生と高校2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane
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