【今週の今日の一冊】こんな「鬼」ならこわくない? かわいい「鬼」、たのしい「鬼」大集合!
もうすぐ節分ですね。節分の日には、毎年子どもたちも、「おには~そと ふくは~うち」と鬼に豆まきをがんばっていることと思います。でも心の中では鬼がこわくてびくびくしていたり、退治するのに必死! という子も多いかもしれませんよね。実は鬼がこわくて仕方ないという小さな子どもたちに向けて、今週は、かわいくてたのしい「鬼」の絵本をご紹介します。中でも子どもの鬼は、人間の子どもたちと共通するところもいろいろありそうで、お友達になれちゃうかも?
2023年1月23日から1月29日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
1月23日 お母さんの居場所はどこ?
※1月23日は、日付の語呂合わせから「ワン(1)ツー(2)スリー(3)」の日ともいわれていて、人生に対してジャンプする気持ちを持とうという日でもあるそうです。
月曜日は『あかたろうの1・2・3の3・4・5 』
あかたろうが外から帰ってくるとおかあさんがいません。おばあちゃんにはじまって、次から次へと電話でお母さんを追いかけます。
読者の声より
赤鬼のあかたろうが帰るとお母さんがいない。あかたろうは、とても不安になります。そんなあかたろうは、次々と電話をかけるのです。タイトルにある数字は電話番号のこと。数字を知ったばかりのお子さんや、電話が好きなお子さんにもおすすめです。
お母さんおにが買ったものまで当ててしまう、あかたろうにはびっくり!こちらは全く怖くないおにさんで、小さい子どもも安心して読めます。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子4歳)
合わせておすすめ。「おにのこあかたろうのほん 」シリーズ
1月24日 子どもたちとオニタロウの楽しい勝負の行方は?
火曜日は『オニタロウ』
「カキの木山」にひとりで暮らしている「オニタロウ」。
まだ子どものオニのようですが、「オニが谷」で生まれた子オニたちは十さいになると、「オニが谷」を出て、自分で住む山を見つけなければならないという決まりがあり、ひとり「カキの木山」にやってきたのでした。優しい性格のオニタロウは、「オニが谷」ではばかにされたり、しかられてばかりでしたが、「カキの木山」では動物たちの人気もので仲良く暮らしていました。
ある秋のこと、オニタロウのところへ「とうさんオニ」がやってきます。そこで「コブン(子分)はいるのか?」と聞かれ、ついコブンが30人もいる、とウソをついてしまったオニタロウ。二月の満月のお祭りの日にとうさんオニにコブンを会わせる約束をしてしまいます。本当はコブンなんてひとりもいないのに‥‥‥。いったいどうしたら良いのでしょう。
そこに登場したのが、オニタロウの良き相談相手であるカラスのカースケ。カースケの提案により、オニタロウは、とうさんオニに会わせるときだけ、だれかにコブンになってもらおうと考えます。
そんなわけで、ひとつ山を越えたところの町にある「たけのこえん」にオニタロウからの挑戦状が届きます。そこには、「おれさまは、わがままで悪いこどもが大すきだ。相撲で勝負して勝てなければ、おれさまのコブンになれ。まっていろ。~鬼の親分より」と書いてありました。子どもたちは大騒ぎ。オニがやってくる日まで、相撲の練習をしたり、作戦を練ったり、お豆を準備したりと頑張ります。
さて、オニタロウは人間の子どもたちを無事にコブンにできるのでしょうか?
お話を描いたのは、ユーモアと温かさあふれる絵本や童話を生み出されている作家のこさかまさみさん。ページ数は100ページと読み応えがありますが、お話の内容は5歳ぐらいから楽しめるでしょう。6章に分かれているので、1章ずつ読んであげるのもいいですね。元々はコブンなんて欲しいと思っていないオニタロウが、カラスのカースケと一緒にコブンについてあれこれ考えます。お話の中に出てくる「ぼくたち、ともだちだよ。そんな、コブンになんてならなくってもいいだろ」「そういえば、オニのコブンって、どんなことするの?」という言葉などから、コブンと友だちってどう違うのかを考えるきっかけにもなりそうです。
また北村人さんが描く気の弱そうなオニタロウの姿がとっても魅力的! 表紙をはじめ、どのページのオニタロウを見ても、優しそうでとっても愛らしいのです。お話を読んだ後は、きっとみんなオニタロウのことが好きになってしまうはず。
一方、たけのこえんの子どもたちのとってものびのびとした元気な様子にも楽しさがいっぱいです。後ろ見返しに描かれているひとりひとりのコブン? の愛らしい姿にもご注目下さいね。
2021年に誕生した『オニタロウ』のお話、この後長く子どもたちの友だちとなってくれることでしょう。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
1月25日 ある日「つの」がなくなっちゃった! どうしよう。
水曜日は『おにのつの』
かなぼうじまにすむミーくんは、おにのパンツやさん。ミーくんのつくるパンツは、じょうぶでかっこいいとひょうばんでした。ミーくんは、「いつかもっとたくさんのおにに、ぼくのつくったパンツをはいてもらいたい!」と思っていました。
ところがある朝、かがみをのぞいてみると、つのがありません。家の中を探しても見つかりません。おいしゃさんにみてもらいましたが、「どこもわるくない」と、いうだけでした。そこでミーくんは、かみがたをかえてつのがないことをかくそうと考え、いろいろ想像してみたけれど、どのかみがたもなんかへんです。
つのがなくなったミーくんは、おにらしいことができなくなってしまいました。そこで、つのにいいといわれるたべものや、のみものをためしてみましたが、つのははえてきません。つのがみさまのところに行ってみたり、モグまじょのところで魔法をかけてもらっても、うまくいきません。ところがある日……?
読者の声より
おにのミーくんはこどもだけど、評判のおにのパンツやさん。
ミーくん、なかなかのセンスです!
ところがある日、ミーくんのつのがなくなってしまったのです。
ミーくん、大ショック!
そりゃそうだよね~と思いました。つのがあるからおになのですから。
必死でなんとかしようとするミーくんの様子を見ていると、ハラハラするとともに、ガンバレ~と応援したくなります。
ミーくんのつのがなくなった理由、ストーリー展開、絵の可愛さ、どれをとっても満点でした!
ミーくんとの共通点を発見できる年長さんなら、さらに楽しさ倍増かな?と思います!
(しゅうくりぃむさん 40代・ママ 女の子10歳)
1月26日 おにたちのゆかいな小学校生活をのぞいてみよう!
木曜日は『おにのしょうがっこう』(2023年1月の新刊より)
人間に小学校があるように、おににも小学校があります。ふたごのおにのベニーとルリーは小学校に入学しました。小学校では、国語、算数、せいかつに、かなぼうの勉強もします。音楽の授業ではたいこをたたいて、めざせかみなりさま。給食では、豆料理が大人気。そんなある日、鬼ヶ島へ遠足にいったベニーとルリー。楽しくお弁当を食べていると、とつぜんサイレンが……。おにたちのゆかいな小学校生活の秘密が明らかになるお話!?
1月27日 「おに~のパンツはいいパンツ~」歌の紙芝居 ♪
金曜日は『紙芝居 ぴかっ! ごろごろ おにのパンツ』
今日はかみなりちゃんが、はじめておしごとをする日。かみなりちゃんのおしごとはもちろん、大きなかみなりをおこすこと。「ぴかっ!ごろごろって、じょうずにできるかなあ。」かみなりちゃんは、ちょっとしんぱいそう。かみなりの父さんと母さんは、おいわいに、すてきなパンツをプレゼントしました。パンツをはいてみると……なんだかもりもり力がわいてきました。「♪おに~のパンツはいいパンツ~」たのしい歌の紙芝居。
1月28日 「おに」がつく言葉を聞くたびに、びくびくドキドキ
土曜日は『おにのおにいさん』
……まるまる一冊「おに」だらけ!?
さいとうしのぶさんがおくる「おにの絵本」、どんな内容なのでしょう。
「おにの おにいさん おにくが だいすき」
人間の住む町で美味しいステーキを出すレストランができたらしい。
だけど、今日は節分の日です。
鬼だとばれたら大変です。
「そうだ! にんげんに へんそうだ!」
ヒョウ柄のトレーナーにおろしたてのジーンズ。ぼうしをかぶって、お気に入りの赤いくつをはいたら、どこから見ても人間そっくり。おにあいです。
早速、山から町におりてレストランを探すおにのおにいさんですが、今日は節分の日。おにんぎょう、おにしめ、オニオンスープ……どこに言っても「おに」だらけ、に聞こえるのです。その度にびくびくドキドキ。バレたらいけません。やっとレストランを見つけたと思ったら、ここにも!!
おにのおにいさんの顔が面白くて愛嬌たっぷりなのは、もちろんのこと。ちょっとレトロな商店街のお店の雰囲気や、美味しそうなたべものも登場して、さいとうしのぶさんの世界をたっぷり味わうことができます。そして、もちろんもう一つの大きな魅力が自由自在な「ことばあそび」で進むストーリー。節分の季節だけじゃなく、年間を通してスキップしているみたいに楽しんでもらいたい絵本ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
さいとうしのぶさんのユーモラスなことばあそびの絵本。
おにくのだいすきな、おにのおにいさん。
ステーキのお店がオープンしたので、食べに行きたいのですが、今日は節分だからおにだとバレてはいけないと、人間に変装して、街へ出かけます。
しかし、街で、おに、と付く言葉を聞くたび、
おにのおにいさんはビクビク。
他にこんなにも、おにを連発することはないくらい、おに、と、おにの付く単語が沢山出てきます。
その”おに”は、おにじゃないよね、という違いがわかる年齢の子はとても楽しめる絵本。
(tori.madamさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子3歳)
1月29日 「わらっちゃまけよ あっぷっぷの~」 「ぷ~」
日曜日は『あっぷっぷのぷ~』
さあ、にらめっこがはじまりますよ。
まずは赤鬼さんとにらめっこ。
「わらっちゃまけよ あっぷっぷの~~」
ページをめくると……
「ぷ~~~~」と思いっきり頬を左右からへこませて変な顔!
次は緑鬼さん。
「わらっちゃまけね あっぷっぷの~~」
「ぷ~~~~」と今度は頬をびろーんと左右にひっぱります。
さてさて、青鬼さんは? 黄色の鬼さんは?
すずきまみさんが描く、かわいい鬼とたくさんにらめっこ!
子どもが引き込まれること間違いなしです。
実は本作は、「くまのがっこう」シリーズの文をはじめ、数々の絵本を手がけるあいはらひろゆきさんからの発案から生まれた絵本。
あいはらさんが10年ほど前に、青森の空港で偶然購入したかわいい鬼の置物から、制作者のすずきまみさんへとたどりつき、あいはらさん自ら誘ってこのたびの絵本誕生となったそうです。
生まれたてのあかちゃんが、だんだん周囲の人の表情に反応を見せるようになる頃、笑ってくれるのが“にらめっこ”。
大好きなお母さん・お父さんが「あっぷっぷ~」と顔をしかめたり頬をふくらませたり。
「ぷ」という破裂音のおもしろさもあって、あかちゃんがキャッキャッと笑ってくれると、もうそれだけで幸せになっちゃいますよね。
あかちゃんと遊ぶきっかけになる、コミュニケーションツールにぴったりの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
赤、青、そして緑に黄色、ユーモラスでやさしそうなオニさんたちと、にらめっこ。オニさんたちの変顔に笑ってしまいます。「あっぷっぷ」でページをめくって、「ぷー」で笑わせるシンプルなくりかえしは、赤ちゃんにぴったりですね。「あっぷっぷのぷー」のひびきも、心地良く、読んでいる大人も笑顔になります。赤ちゃんも、オニさんたちに負けないくらい変顔になって、いっぱい笑ってほしいなと思いました。
(どくだみ茶さん 40代・ママ 女の子20歳)
いかがでしたか? 我が息子も、保育園時代、毎年節分になるとやってくる鬼がこわすぎて(確かに大人でも怖いぐらいのすごい本格的な鬼でした…)、1年に何度も思い出しては、節分は園を休みたい、と訴えるほど。節分行事では鬼は退治する存在ですが、絵本を通して、子どもたちにいろいろな鬼がいることが伝わると良いですね。小学生になってからもまだまだ引きずっていそうな息子に、我が家でもこの時期、絵本が活躍してくれそうです。
秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)
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