【今週の今日の一冊】辰年の始まりは、竜、ドラゴンの絵本特集でスタート!
あけましておめでとうございます。2024年が始まりました。今年は「辰年」ですね。「辰年」は、天高く昇っていく竜のイメージから、運気や景気が上がるとも言われているそうです。今週は、そんな辰年にちなんで、竜(龍)やドラゴンが登場する絵本をご紹介します。1週間の今日の一冊には、たくさんある竜とドラゴンの絵本の中から長く読み継がれている名作をピックアップしました。迫力あふれる竜の姿や、心に深く残る竜のお話を素晴らしいさし絵と共にご堪能ください。
2024年1月1日から1月7日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
1月1日 天の川にまつわる中国民話を赤羽末吉さんの絵で
月曜日は『ほしになったりゅうのきば』
ある村で、じいさまとばあさまのもとへ、大きな石に入った元気な男の赤ちゃんがやってきました。サンと名付けられた子は、やがて立派な若者になりました。あるとき、2匹のりゅうのけんかで天が裂けてしまいます。その天の裂け目は、サンの村のちょうど上。若者サンは村のために、天の裂け目をつくろう方法をライロン山へ探しに出かけます。夜空の星の天の川にまつわる壮大な中国民話の世界です。
読者の声より
壮大なストーリーと赤羽末吉さんのやはり壮大な絵が、とてもマッチしています。
桃太郎のようなかぐや姫のような……なんだかいろいろな昔話のエッセンスを感じます。
主人公サンが、竜の兄弟げんかでできてしまった天の裂け目を繕うために奮闘するところはそれはそれは壮大で、読みながら、とても浮遊感を感じます。
嫁とりのシーンには、繰り返しパターンもあり、昔話の王道のような名作です。
(やこちんさん 40代・ママ 女の子12歳)
1月2日 りゅうに必要だったものは?浜田広介さんの名作
読者の声より
娘が図書館でみつけました。
「この絵本の絵、いわさきちひろさんの?」と。
ひらがなも読むことができる娘ですが、「いわさきちひろ」の文字を読んだわけではなく、絵をみて気づいたようでそれがうれしくて借りてきてしまいました。
この物語、遠い昔読んだとは思うのですがすっかり忘れていて。
あらためて読んでいいお話だなあと思いました。
いわさきちひろさんが描く男の子が、「やさしく素直で、でもきちっと芯がある主人公の男の子」と絶妙にマッチしていてすうっと入っていくことができました。
娘は恐がりですので、りゅうが登場する場面ではびくびくしていましたが、見たこともないものを、人のうわさでただ怖がるのではなく、この男の子のように自分の頭で考え、判断できる人にいつかなってほしいなあと思います。もちろんやさしい気持ちも持って。
手元に置きたい絵本です。
(ぽこさんママさん 40代・ママ 女の子4歳)
1月3日 「ちび竜 うまれるのを たのしみに まっていた。」
水曜日は『ちび竜』
誰もが心の中で憧れを抱いているかもしれない、竜。
想像するのは、あの壮大な姿。
ところが、その竜が生まれてきたのは……雨つぶの中!
小さな小さなちび竜が最初に出会うのは、水たまりで出会ったボウフラ。
一緒にぴんぴんしながら、彼らは言うのです。
「みんなで ちび竜 うまれるのを たのしみに まっていた。」
そして、教えてくれます。ちび竜はここを飛び出して、どんどんでか竜になる、と。
その言葉通り、たんぽぽの綿毛で飛び立つと、とんぼに飛び方を教えてもらい、フナからは「うろこ通信」のやり方を、もぐらからは「土」の色んなことを。うさぎと飛びくらべをし、こうまとかけっこをし、杉の木と背くらべ。さらに、入道雲から…海から…山や森と…。そうやってあらゆる自然界の友だちと遊びながら、仲良くしながら、やがて神通力も身につけて。
みえないほどのチビチビだったちび竜は、今や……
光る青い地球を抱いている!
あらゆる命のキラキラした輝きを、うたうような言葉にのせてお話を作り出す詩人工藤直子さん。最初は驚くほど愛らしいちび竜の姿を、めくるたびに迫力を加えていき、やがて地球を包み込むほどのスケールの大きさへと変化させていく絵本作家あべ弘士さん。
そのラストのシーンに感動を覚えながら、それでも嬉しいような、くすぐったいような気持ちが残るのは、工藤さんが誰も彼もを私たちの「ともだち」として描いてくれているからでしょうか。竜はきみの心の中にも……いる!
自分だけの本棚にしまっておきたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
子ども達に勧められて、手に取った一冊。
睡蓮鉢の中に生まれた、ちび竜。
ボウフラと同じ大きさです。
自分が誰かも分かりません。
これは、そのちび竜が色々なモノ達と出会い、教えられ、でか竜になるお話。
あべ弘士さんの絵に吸い込まれながら、ちび竜の成長を見守り・・・胸の奥にズンッと響くラストシーンを迎えます。
この世の全て、心、宇宙、まぶしいほどの可能性。
とても、とても深くて、明るい、一冊でした。
この本を「お勧め!」と教えてくれる子ども達がいることを、嬉しく、頼もしく感じました。
(こはこはくさん 40代・ママ)
1月4日 リンドグレーンによるドラゴンとの温かな交流と別れ
木曜日は『赤い目のドラゴン』
ある日,ブタ小屋のかたすみで子ブタといっしょにドラゴンの赤ちゃんが生まれました.子どもたちは大よろこび.ちょっとかわりもののユーモラスなドラゴンと,子どもの表情をいきいきと描きます.
読者の声より
「わたし」が小さかった頃のドラゴンとの思い出。
ブタ小屋で生まれたばかりの子ブタ達と一緒にいた小さな赤い目のドラゴン。
「わたし」は弟と一緒にひと時をドラゴンと交流します。
東洋の龍とはまた一味違うドラゴン。
西洋のお話に出てくるドラゴンもいろんなキャラクターがありますが、
この赤い目のドラゴンはなんとも愛らしい仕草が憎めませんね。
ドラゴンがろうそくやひもやコルクが好きなんて初めて知りました。
リンドグレーンの滑らかな文章が「わたし」の気持ちに寄り添ってくれています。
(レイラさん 40代・ママ 男の子13歳、男の子11歳)
1月5日 田島征三さんが迫力とユーモアたっぷりに描く『龍』
読者の声より
今江さんの龍の話がいいんです。
恥ずかしがり屋の龍の三太郎の気持ちが分かります。
お父さんの龍大王にも見捨てられるほど 気がよわいのです。
ところが 沼の底に潜んでいては 生きづらくて とうとうものすごい勢いで 沼の底から飛び出すのです。
そしたら 竜巻が起こり田畑に 大雨を降らし村人たちを救ったのです。
田島さんの龍に対する愛情がほとばしるような絵に 吸い込まれました。
龍どしに ちなんで 良い絵本に巡り会えました。
お話を覚えて 語りで聞いてもらうも いいな~。
(にぎりすしさん 50代・その他の方)
1月6日 「優しさ」の意味や本質を問いかける宮沢賢治の名作
土曜日は『竜のはなし』
読者の声より
5年生で宮沢賢治の作品を読み、6年生で彼の伝記を学習していくため、読み聞かせていました。このお話は、短い中にも宮沢賢治の思想が濃く表れていると思います。また、油絵から身体的にも精神的にも悩み苦しみ竜の姿が感じられ、お話が心に深く入り込みます。
低学年や幼児であっても
「ここまで 我慢せなあかんの? なんで?」「かわいそうすぎる」
と竜の生き様、死に様に何かを感じずにはいられません。この見返りを求めず与える愛に徹する竜の姿から感じたことを少しずつ子どもたちと考えていきたいと思える本でした。
高学年には、他作品とあわせて是非読んでもらいたい一冊です。
(バオバブさん 30代・ママ 男の子10歳、男の子7歳、女の子5歳、女の子1歳)
1月7日 龍になった母をたずねて、長く苦しい旅に…
読者の声より
貧しい村に生まれてしまったために食べるものがなく……みんなで分け合わなければいけない「いわな」を3匹とも食べてしまったことで龍になってしまった母を探す太郎の冒険物語です。
死んだと聞かされていた母が実は龍の姿で生きている。と聞かされた太郎はいろんな至難を乗り越えて母の住む沼を探し求めます。
その道中で、土地によって作物のできばえが違う事をしり、自分の村もこんなに広いよい土地があればおばあさんのように谷へ落ちることなく、お母さんのように食べるものがなくてつらい思いをすることもなくなる。
ただ母との対面だけではない、大きな生き方が描かれています。
是非、子どもの頃に出会って欲しい本だと思います。
(とむままさん 40代・ママ 男の子13歳、女の子11歳)
童話版はこちら
いかがでしたか。
「今週の今日の一冊」では、毎週月曜日の朝に、季節や行事や記念日、また時勢に合わせて、絵本や読み物の情報をお届けしています。
2024年もどうぞよろしくお願い致します。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |