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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【8月に読みたい絵本と新刊】夏真っ盛りの季節のおはなし会におすすめ

ザ・キャビンカンパニー 大絵本美術展<童堂賛歌>にて

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに8月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

8月では

立秋りっしゅう(8月7日)暑さがピークを迎え、暦の上では秋を迎える。この日を境に、暑中見舞いから残暑見舞いへと夏の挨拶は変わっていく。

処暑しょしょ(8月22日)暑さが止まるという意味の処暑。日中はまだまだ暑さが続くが、朝夕頬にあたる風や、耳に届く虫の声に秋の気配を感じる頃。

 

8月のおはなし会

夏真っ盛りの8月。暑い暑い毎日ですが夏だからこその体験や経験も。

絵本から広がる世界をぜひ楽しんで欲しい10冊です。

季節を肌で感じ、今月も楽しんでいきましょう。

今月のうた

今月もまずはお歌からいきましょう。

数え歌というのをご存知でしょうか。

たくさんあるものを数えるときに「 二 にの 四 しの  六 ろの 八 やの 十 とお 」など音に歌やふしをつけて

数える歌をいいます。

 

絵本になっているものも多く、『いちじくにんじん』や『まめのかぞえうた』『へんてこかぞえうた 1ちゃんいちにち』など、子どもたちに人気の作品もあります。

今回はこちらの数え歌の絵本をご紹介します。

【はじまりの絵本】数とり歌が絵本に

「ちゅう ちゅう たこ かい な」

こんな数え歌を聞いたことはありますか?

そんな数とり歌が絵本になりました。

それはこんな始まり

 

ちゅう ちゅう たこ かい・・・

(本文p2−4本文引用)

たこつぼの中から「ちゅうちゅうたこかいな」の言葉とリズムにあわせて、いろいろなものが飛び出します。

ちゅう ちゅう たこ かい…のところから、しっかりと間を開けて、開いた瞬間に次のページを。

予想外の展開に大人も子どもも大盛り上がり!

 

指の数を数えたり、おはじきやお手玉を数えたり。

遊びの中で数のセンスを学ぶ、数とり歌。絵本と一緒にいかがでしょう。

読み聞かせ時間目安<1分40秒>

ちゅうちゅうたこかいな

「ちゅうちゅうたこかいな」の数え歌にのって壺の中から現れたのは、たこ。たこが歌うたびにさまざまな「な」のつくものが壺から出てきます。ところが、そこへお仲間が現れて……。読み聞かせで盛り上がること間違いなしの、爆笑話題作!

【参加型絵本】スピード感を楽しんで!

次は、たこつながりでこちらの絵本を

それはこんな始まり
 

タコさんが うみから あがってきました

タコさん トコトコ どこいくの?

(p1−2本文引用)

 

タコさん
自転車乗って、車に乗って、電車に乗って、飛行機乗って…

どんどん大きく早くなる乗り物。
「お次はなんだ?」と掛け合いしながら最後は一緒にカウントダウン!
子どもたちは絵本の中にすっぽり入ってタコさんと一緒にどこへいく?

乗り物、リズム、スピード感、数字、カウントダウン、そしてストンと終わる。
子どもたちがだいすきなものばかり。さすがtuperatuperaさん。
 

娘さんが1歳の時、すくって立って、立ったと思ったら、もう歩いてて、走って、ワーッみたいになっていって(笑)
子どものあまりの成長の早さに驚いたそうです。
このままもう飛行機とかに乗って、どっか宇宙までいっちゃえばいいのにと(笑)
そして娘さんの名前を取って、『トコさんトコトコどこいくの?』を作ろうと思ったら、トコさんより、タコの方がいいんじゃないかな、と思って。それでタコさんになったそうです。勢いで描いた本です。とおっしゃっていました。

確かに。読んでいる方もぐっと引き込まれます。
オールシーズン、そしてかなりの年齢幅で楽しめる絵本です。
でも私はやっぱり夏に読みたいなぁ。
細かなところも楽しくて。

たくさんのtuperatuperaさんの絵本の中でもかなりお気に入りの一冊です。

読み聞かせ時間目安<1分15秒>

タコさんトコトコどこいくの?

tupera tupera 初の、ドローイング+コラージュ絵本!

海からあがったタコさんが、トコトコむかった先はどこ?
チリリン自転車、車でブウ~ン、ビューンとひこうき、そして次は?
次々登場するのりものに、ワクワク感も加速します。
タコさんトコトコどこいくの?
ああ、どこへ行くのか気になってたまらない!

なんとも鮮やか洒落た色。
とぼけた味付けはユーモラス。
すっきりことばはリズミカル。

【新刊絵本】山の日に向けて。こんな一冊はいかがでしょう

8月には「山の日」がありますね。

「山の日」は2016年から始まった国民の休日

山に親しむ機会を得て、山の恩赦に感謝する日です。


そんな「山の日」にちなんで、お次に紹介するのは、2024年7月に出たばかりの新刊です。

それはこんな一枚の絵日記からはじまります。

 

○がつ×にち

 

きょう ぼくは はじめて おとうさんの うまれた うみべの まちへ いきます。

そのまちには しろい とうだいが ある、と おとうさんは ゆうめいな がかが かいた えはがきを みせてくれました。

ぼくは まだ うみを みたことが ないので とても たのしみです。

(本文引用 見返し3)

この絵本は山沿いの家から海辺の町へ白い車に乗る男の子のお話と、本のうしろから始まる海辺の家から赤い車に乗って、祖父母を山のふもとへ訪ねる女の子のお話の両方を楽しめる少し変わったかたちの絵本です。
前からと後ろからふたつのお話が白い文字と赤い文字でわかれます。

同じ景色も見る人によって違っている面白さと深さ、三浦太郎さんの描く世界の楽しさが相まって、ずっと眺めていたくなる絵本です。
2024年、絵本作家デビュー20周年を迎えられた、三浦太郎さん。

また一冊、新たな世界を私たちに見せてくれました。

 

読み聞かせ時間目安<12分45秒>

うみへ やまへ

きょう ぼくは はじめて おとうさんの うまれた うみべのまちへ いきます。

「ぼく」は家族で白い車に乗って出発します。牧場をこえて、田んぼの一本道を通り、街なかをすぎて、大きな橋をわたったら……灯台が見えてくる!
山沿いの家から海辺の町へむかう道中の風景を、美しい絵と日記ふうの文体でえがきます。

この絵本には、もうひとり主人公がいます。
本をうしろから開くと、海辺にすむ「わたし」があかい車に乗って、母方の祖父母を山のふもとへ訪ねるお話になるのです。
前からとうしろから、ふたつのお話が楽しめる絵本です。

【お話の絵本】2024年度日本絵本賞大賞受賞作品

最後は2024年度日本絵本賞大賞を受賞したこちらの作品

『ゆうやけにとけていく』

それはこんな始まり

 

かぜが ふき、

すべての ものを きんいろに そめていく。

くうきが ひんやりと なって、

においが かわっていく。

(本文引用p2-5)

ザ・キャビンカンパニーさんが描く夕暮れの世界。

 

もう帰らないといけない時間。昼と夜が混じり夜に覆われてしまう前の不思議な時間。

ゆっくりゆっくり沈む夕日。

畑で、プールの中で、おうちでひとりで、お母さんのとの帰り道、ジャングルジムのてっぺんで…。

夕日は皆を優しく包み込む。それはどこか物悲しくノスタルジックで五感をちくっと刺激する。

絵本の世界にとけていく自分がいる。

今日いちにちの喜びと悲しみと共に。

 

自分の声が1番の自分の癒しだと聞いたことがある。

ぜひ1日の終わりに声に出して読んで欲しい一冊。

 

読み聞かせ時間目安<3分>

ゆうやけにとけていく

夕焼けは喜びも悲しみも包み込む

だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、悔しくて石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。


【編集担当からのおすすめ情報】
ページをめくる度に少しずつ沈んでいく太陽が印象的な、静かに噛みしめる雰囲気の絵本ができました。昭和初期を思わせるような少しノスタルジックな絵で展開する、ザ・キャビンカンパニーの新境地。贈り物としてもいいかもしれません。

【展示会へ行こう】ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>

今夏、神奈川県平塚市美術館では、この『ゆうやけにとけていく』の原画も展示されている

ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展<童堂賛歌>が開催されています。

私も先日行ってきたのですが、7つのテーマの部屋で構成され、活動初期からの絵本の原画400点に加え、立体造形、映像作品などまるで絵本の世界へ迷い込んだような美術展でした。

まさにアートに触れる体験ができる美術展。ザ・キャビンカンパニーのお二人の想いが絵と言葉と立体作品となり私たちに話しかけてくるような感じを受けました。

とても強く重く愉快で不可思議なものを体感し、今までの作品がもっともっと好きになるような、これからのザ・キャビンカンパニーさんたちに目が離せなくなるような気持ちになり、美術館を後にしました。

平塚市美術館での会期は9月1日(日)まで。

その後、全国を巡回するようです。老若男女ぜひ足を運び五感を刺激してほしい美術展でした。

【その他 8月の読み聞かせにおすすめの絵本】

【夏休みの読書におすすめの本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

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【連載】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。

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ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。

絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。

子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー

大学1年生と4年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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