【今週の今日の一冊】2025年の始まりに。一日一日を大切にしたくなる絵本
2025年、最初の月曜日。今日から仕事始めという方も多くいらっしゃるでしょうか。学校も今週から始まるところが多そうですね。あたらしい一年のあたらしい一日。今週は、一年の始めに、一日一日を大切にしたくなるような絵本を集めてみました。
1月6日~1月12日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
1月6日 「ぼくはうれしいんだよ。とてもうれしいんだ。」
月曜日は『ふたりは きょうも』
がまくんとかえるくんのシリーズ4作目。たこあげするときも、誕生日をお祝いするときも、おばけの話をするときも、いつもふたりはいっしょです。
読者レビューより
がまくんとかえるくんのやりとりがほほえましい
シリーズ4作目です。
珠玉の5編がつづられています。
なかでも、最後の「ひとりきり」が
私はとても好きです(*^_^*)
友達がいて、お互いが離れていても心はつながっている・・・。
何気ない日常の中に、ふと
こみ上げるように「しあわせだなぁー」と感じる瞬間。
そんな一こまが描かれている気がして
胸に迫るものがあります。
(やこちんさん 40代・ママ 女の子8歳)
1月7日 「ああ、今日もまた新しい一日がはじまる。」
火曜日は『あさになったので まどをあけますよ』
「あさになったので まどをあけますよ」
子どもたちが、部屋の窓をあけます。
新しい一日を迎えるために、毎朝、窓辺に立つのです。
「やまは やっぱり そこにいて
きは やっぱり ここにいる」
そこから見えるのは、いつもと変わらない風景。
もちろん、窓を開けてそこにあるのは山ばかりではなく。
にぎやかな街が見える窓だって、のんびりと流れる川が見える窓だって。
たくさんのお花が目に飛び込んでくる窓や、風が気持ちのいい窓だってあります。
どこかの知らない国に住む、あの子の窓辺はどんな景色だろう。
そこには、いつもと変わらない景色がある。
だから、ここが好きなのです。
晴れている街もあれば、雨がふっている場所もあるでしょう。
君のところはどう……?
何気ない日々の繰り返し、毎日変わらずにある景色の中にいる自分。そこにこそ、その中にこそ、生きることの喜びがある。そんな強い思いが込められた、荒井良二さんのこの絵本に登場する景色には、すべてに明るい朝の陽ざしがふりそそぎ、とても清々しく、読む人の心をまっさらにしてくれます。
「ああ、今日もまた新しい一日がはじまる。」
そう思えることの幸せ。
私たちは、絵本を開くたびに味わうことができるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
何気ない日々の繰り返しの中、毎日を過ごしていてもその中に確かにある生きることの喜び。力みなぎる光と気配、風景の力が読み手に生きる力を与えてくれるような絵本です。朝を迎えるようなリセットする気持ちになります。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子6歳、女の子2歳)
1月8日 みんなの「いい一日」は、なにでできている?
水曜日は『いい一日ってなあに?』
ダニエルは近所の人たちと仲良し。街を歩いていると、みんなが「いい一日をすごしてね!」と声をかけてくれます。「いい一日ってなんだろう?」ダニエルは、おばあちゃんちに歩いて向かいながら、いろんな人に尋ねます。「ねえ、サンチェスさんにとって、いい一日ってなあに?」「おねえさんは、どんなときに、いい一日だって思うの?」
仲良しのサンチェスさんは「空が晴れ渡ってる日」と言い、「だってこんなふうにペンキが塗れるでしょ」と答えます。凧を持っているおねえさんは「穏やかに風が吹いている日」と答えます。ダニエルはお隣のご夫婦にも聞きます。公園で子どもを抱えるシッターさんにも、バスの運転士さんにも……。
それぞれ答えは違うけれどどの人にとっても「いい一日」がある。そして、皆、自分の大切なものが「いい一日」を作っているのだとわかります。おばあちゃんには大好きなダニエルがハグしてくれた今日が「いい一日」なんだってことも……。
世界のささやかなものへの愛が溢れた、美しい絵本。作者のミーシャ・アーチャーは、初めての自作絵本『詩ってなあに?』でエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞。油絵やコラージュを使った技法で、カラフルな作品を作り出しています。
本書で、最後に家に帰ってきたダニエルに、お母さんは尋ねます。「きょうは、どんな一日だった?」 そこで「すっごくいい一日だったよ」とほほ笑みながら答えるダニエルの表情が素敵なのです。みんなの愛する「いいもの」が、わたしやぼくの、幸せにつながっていくんですね。ダニエルは自然にそれを学びます。日々のシンプルな幸せに気づかせてくれる、そして、力強い未来への希望が伝わってくる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者レビューより
イラストもカラフルで楽しい情景が伝わってきます。
「いい一日」ってどんな一日だろう?と読み手も考えさせられますが、特別に何か大きな出来事やハッピーがなくても、いい一日はすぐそこにたくさんあるんだなぁと思わせてくれる絵本にも思いました。
いい笑顔!これこそいい一日だった証ですね!
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子12歳)
1月9日 よかったなあ、草や木がぼくらのまわりにいてくれて
木曜日は『よかったなあ』
画面いっぱい、生き生きと豊かに存在している草や木。目のさめるような鮮やかさで生い茂る葉っぱ。そして、誰もかれもがため息をつくような美しさで咲きほこる花。それらすべてに対して、詩人まど・みちおさんがなげかける言葉は「よかったなあ」……。
ぼくらのまわりにいてくれて。みんな違っていてくれて。どんなところにもいてくれて。鳥や動物や人、何が訪ねるのをでも動かないで待っていてくれて。
それらまどさんの発する言葉ひとつひとつと響きあい、あたりまえのようにそこに「ある」自然や動物たちをまぶしいくらいに輝かせてくれているのは、日本とアラスカを行き来しながら作品を制作している画家あずみ虫さんの絵。大胆ながら愛くるしさを感じるシルエット、筆の勢いを感じる瑞々しい絵の具の色、アルミ板を使った立体感のある独特な技法は一度見たら忘れられないほど魅力的なのです。
没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊として誕生したこの絵本。絵本を閉じてもまだ浮かんでくるのは、愛おしさとかけがえのなさに満ち溢れる世界と「よかったなあ」の言葉の響き。その余韻をまどさんからの贈りものとして受け取っていこうと思うのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
タイトル通り「よかったなぁ」という気持ちが込み上げてきました。
なにげないもの、普段意識しないものにも心や目を向けてみるとこんなにも清らかな気持ちになるものなのですね。
そんな気持ちを呼び起こしてくれるまどみちおさんの文章とあずみ虫さの、アルミカッティング技法の絵。
当たり前が当たり前でなかったコロナ期間を経た今だからこそ、ひときわ、心にしみるような気がします。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子20歳)
1月10日 きょうはなにをしよう? どこへいこうかな?
金曜日は『きょうがはじまる』
「さあ、おきる じかん!
きょうは なにを しようかな。」
こんな風に始まる日は楽しいに決まってる。
だって、なんだって自由に選べるんだから。
まずは着る服を選ばなきゃ。
セーター、ドレス、きもの、オーバーオール、水着、しましまタイツ、パジャマ(!?)、それとも…羽根?
髪型はどうする?
おかっぱ、みつあみ、まじめ風、ハードモヒカン、それとも…伸ばしっぱなし?
準備が整ったら、今度は朝ごはん。
朝ごはんだって自由だよ。何をたべようかな。
ああ、楽しい。
さて、これからどこに行こう? どうやって行こう?
どんな一日にしよう!
朝の目覚めから、夜眠りにつくまで。
自分で選んで、考えて、好きなように過ごす一日。
毎日おとずれる、わたしの新しい一日が、
こんなにも色んな可能性を秘めているなんて。
絵本の中には、たくさんの選択肢が、素敵な絵と言葉で散りばめられていて、子どもたちの想像する世界をどんどん広げてくれます。カナダ在住の注目の絵本作家ジュリー・モースタッドが、子どもたちの探求心もオシャレ心も突いてくれます。だから、着た事のない服にだって、やったことのない遊びにだって挑戦できちゃうのです。みんながみんな、自分だけの違う一日を過ごせるのです。
「今日が終われば…また明日!」
明日が待ち遠しい、そんな気持ちの子どもたちが増えますように。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者レビューより
これから始まる一日がどんな一日か、いろんな選択肢があればあるだけ、それぞれの人の一日が違っていることを実感できる絵本です。
着るもの、髪型、ちょっとしたアイテムひとつとっても、違う感じの一日になるのかも知れませんね。
ストーリー性はありませんが、一日の自分の可能性を感じることができる絵本です。
(ヒラP21さん 60代・パパ)
1月11日 ひとつの建物の中の、それぞれの部屋の暮らし
土曜日は『みんなのいちにち』
ひとつの建物の中の、それぞれの部屋の暮らしが、たけうちちひろさんの繊細でかわいい切り絵で、朝の6時から昼、夜、もう一度明け方になるまで、順々に描かれていきます。
1階はパン屋さん、床屋さん。2階には時計職人のおじいさん、おばあさんが猫と暮らす部屋、5人家族の一家も。3階に住むのは絵描きのお姉さんに、ギターを弾くお兄さん……。
さあ、あなたはどの部屋が気になる? 楽しそうな部屋に描き込まれているものをひとつひとつ、探してみましょう。ページをめくっていくごとに時間が過ぎ、それぞれの“一日の暮らし”がわかります。
影絵のように黒い建物の風見鶏、大時計、格子戸ガラスの玄関が素敵。「こんなおしゃれな建物に住んでみたい!」と憧れちゃいますね。見開きのページでは、同じ道沿いに並ぶお花屋さんや本屋さん。アイスクリームの移動販売車やピザ配達のオートバイ、道を歩く人……。街並みへ世界観が広がって行きます。
(ちなみに作者のたけうちさんによると、とても細かい切り絵なので、特に時計職人のおじいさんの時計をいくつも切ることなどには苦労されたそうです!)
「5人家族の子どもたちが眠ったあと、お父さんとお母さんは何をしているのかな?」「上の階のお兄さんは何をしているのかな?」「みんなの部屋がまだ暗い早朝から、働いている人たちがいるんだな」といろんな発見が楽しめます。そして「おばけだって実は暮らしているのかも」と想像するとわくわくします。1人でじっくり眺めるのも、家族や友だちとわいわい楽しむのも、どちらもおすすめです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者レビューより
『だれのほね?』や『おおきいちいさい』など、たけうちちひろさんの切り絵絵本が好きなので、こちらを読むのが楽しみでした。
1階にパン屋さんと床屋さんが入ったマンションに暮らすそれぞれの暮らしが、朝、昼、夜と時間ごとに描かれています。
隅々まで見ると、いろんな発見があって、とても楽しい。おしゃれなイラストなので、大人も夢中になってしまいます。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子12歳)
1月12日 今日いちにちの朝がきて、今日いちにちの歌が始まる
日曜日は『きょういちにちのラッタッタ!』
いかがでしたか。
今年も記事を目にした皆さんが、思わず手にとってみたくなるような絵本や読み物の紹介、そして子どもたちやお孫さん、ご家族との毎日に幸せな時間をお届けできるよう、心を込めて発信していけたらと思います。
2025年も絵本ナビスタイルをどうぞよろしくお願い致します。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |