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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【5月に読みたい絵本と新刊】緑濃く、花開く季節のおはなし会におすすめ

香川県高松市の新刊書店 本屋ルヌガンガにて

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに5月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

5月では

立夏りっか   (5月5日) 立つ夏と書いて立夏。暦の上ではこの日より夏となる。優しかった日差しが日に日に力をます頃。

小満しょうまん(5月21日)太陽の力を受け、あらゆる命がすくすくと育ち満ちる頃。
昨年の秋に蒔いた麦の穂が育ち、ほっと安心することから、小さな満足 で小満とも。

5月のおはなし会

新しい生活にもすこしずつ慣れてきた頃でしょうか。

日差しも日に日に強くなり、木々はその緑を濃くしていく。

生命力あふれる5月。でもその裏腹に新生活の疲れも出てくるころ。

絵本は片手間ではできないコミュニケーションツールです。

そんな時間をご家庭でも園や学校でも大切にしてほしいと思っています。

そしてそんな時こそ、楽しくみんなで盛り上がれるものを。

だれひとり置いてけぼりになりませんように。そんな想いをのせたラインナップです。

楽しんでいただけますように。

【今月のわらべうた】絵本と一緒にうたうわらべうた

今月も季節のわらべうたからいきましょう。

緑も色濃くなり、花開く5月。

こんなわらべうたはいかがでしょう。

 

ひらいた ひらいた

なんのはなが ひらいた

れんげのはなが ひらいた

ひらいたと おもったら

いつのまにか つぼんだ


つぼんだ つぼんだ

なんのはなが つぼんだ

れんげのはなが つぼんだ

つぼんだと おもったら

いつのまにか ひらいた

一度は聞いたことのあるわらべうたではないでしょうか。
 

このれんげは蓮の花と言われていて、蓮の花は日の出とともにゆっくりと時間をかけて咲きはじめ満開を迎え、その後、またゆっくりと時間をかけてしぼみ蕾へと戻ります。まさにこの歌の歌詞と重なります。

 

幼児さんは手をつないで輪を作り、「ひらいた」や「つぼんだ」の歌詞に合わせて、手を広げ大きな輪になったり、花がしぼむように小さな輪になったり。乳児さんはお母さんのお膝の上で、お母さんと一緒に歌に合わせて合わせた両手をお花にみたてて開いたり閉じたりと歌いながら楽しみましょう。

【はじまりの絵本】わらべうたの絵本

大人気こぐまちゃんシリーズの中にわらべうたの絵本があるのをご存知でしょうか。

一冊は『さよならさんかく』そしてもう一冊がこちら『ひらいたひらいた』

それはこんな始まり

ひらいた ひらいた なんの はなが ひらいた

れんげの はなが ひらいた

ひらいたと おもったら いつのまにか つぼんだ

(P2-3本文引用)

そうなんです。わらべうたそのままに絵本は始まります。

こぐまちゃんにしろくまちゃん、ちいさなりすちゃんにうさぎさんが、ひらいたりとじたりと歌に合わせて踊っています。

でもこの絵本。それだけでは終わりません。

はなははなでもぞうさんの鼻が伸びたり縮んだり。

ねずみさんが巣穴からのぞいたり隠れたり。

転んだ起きた、泣いた笑った、もぐった顔出したなど対の言葉で、お話は広がります。

こぐまちゃんしろくまちゃん以外に動物が出てくるのも、当時娘たちと楽しんでいた時は新鮮だったなあ。

わらべうたのあとに、絵本と一緒にまた楽しむのはどうでしょう。

読み聞かせ時間目安<3分45秒>

ひらいた ひらいた

誰でも知ってる「ひらいたひらいた」のわらべ歌をもとに、”ないた―わらった””のびた―ちぢんだ”のような対になる言葉を使って、再創造した、新しい感覚のわらべ歌絵本です。絵をみせながら、節をつけて歌ってあげれば、0歳児にも充分に楽しめ、リズミカルなくりかえしの快さにニコニコするはずです。もちろん言葉遊びの世界に興味津々の幼児にもぴったりです。

【おべんとうの絵本】おいしいと乗り物が一緒に楽しめる大人気の絵本

遠足シーズンの5月。お弁当持ってピクニックもいいですね。

お次は大人気のこちらの絵本。

『おべんとうバス』

赤いバスがやってきましたよ。

 

それはこんな始まり

「バスにのってください」
「ハンバーグくーん」「はーい」
「えびフライちゃん」「はーい」
(p2-p6本文引用)
 

たまごやきさんにブロッコリーくんにトマトちゃん、おにぎりさんたちも「はーい」「はい」「はーい」
次々とやってくるおべんとうの中身たち。
みんなお母さんバスのおひざで、おべんとうの仲間たちになりきって一緒に「はい!」「はい!はい!はーーーーい!」とお返事しながらおはなし会は進みます。もう、めっちゃかわいい!

ボードブックのこの絵本は小さな人たちに渡してても安心。
そしてお弁当やごはんを食べる時にも「トマトちゃん」「はい」なんて言いながら小さなお口にパクッ。
楽しいごはんの時間へと絵本が繋げてくれます。

この春からお弁当生活がはじまったご家庭もあるでしょうか。
小さな時のお弁当は好きなものを入れてあげたらいいと思っています。
お弁当は栄養やバランスはもちろんですがそれ以上に、お母さんの味が一緒にいない時の力になると思っています。
まずは好きなものを多めに食べれる分だけ入れてあげる。
美味しかった。全部食べれたよ! がまた明日への力になる気がします。
読み聞かせ時間目安<1分15秒>

おべんとうバス

お弁当の食べ物が返事をしながら次々に乗り込んでくるバス。食べ物大好き、乗り物大好き、お返事大好きな子どもたちにぴったりです。

【新刊の絵本】みんなで一緒に1を数えてみよう!

お次は、2025年4月に出たばかりの新刊を。

『1だけ かぞえる えほん 1より おおきい かずは かぞえちゃ だめ!』

 

それはこんな始まり。

こんにちは! これは とっても たのしい かずを かぞえる えほんだよ!

といっても、1だけを かぞえるんだ。

おもしろそうでしょ!

えを みながら いわれたとおりに かぞえてみてね。

まちがえても きにしないで!

まずは、かんたんな ものから いこう。

リンゴって しってる?よかった!

じゃあ、この リンゴの かずを かぞえて。

(p2本文引用)

右ページにはりんごがひとつ。

子どもも大人も元気よく「1(いち)!」と答えてくれます。

はい!大正解。ではお次は……?

文字通り参加型の絵本です。でもこれが一筋縄ではいかないのです。

どんなにたくさん出てきても1より大きな数は数えちゃだめなんです!

ちがうちがう、それの数じゃなくてこっちの数!なんて言われちゃう。

惑わされずひっかからず最後までいけるかな?

じゃあこれは?

※こちらの読み聞かせ時間は、対話型の絵本のため、その時々の読み手と聞き手の状況で所要時間が変わります。

1だけ かぞえる えほん 1より おおきい かずは かぞえちゃ だめ!

かずって、しってる? よかった!
この えほんには、かぞえる ものが いっぱい でてくるんだけど、
きみは かぞえられるかな?
あ、ちょっと まって!
はじめる まえに、ひとつだけ ルールが あるんだ。
この えほんでは、1だけ かぞえること!
それより おおきい かずは かぞえちゃ だめ! わかった!?

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数えたくなるようなものがたくさんあるのに、とにかく1しか数えさせてくれない!?
今まで見たことのない数を数える絵本です。
1より先を数えたくてうずうずしちゃう!
子どもたちの意欲を引き出す、ユニークな翻訳絵本。


★読み聞かせで盛り上がる! 参加型絵本★

【言葉の絵本】言葉の面白さを知る一冊

お次はこちら

数の次は言葉を楽しみましょう。

『ことばサーカス』

それはこんな始まり

よってらっしゃい みてらっしゃい!

かしのきひろばに ことばサーカスが やってきた。

まもなく ショーの はじまり はじまり〜
(p1本文引用)

登場するのはふうせんつかいのジョニーとマリー、そしてピエロのゾビゾビ。
マリーは何やら文字の書かれた風船を持っています。

では一緒にふうせんに書かれた文字を読んでみましょう。

いきますよ、せーの……「は」

 

はい! こちらも参加型の楽しい絵本。

ページをめくるとなんとゾビゾビの「は(歯)」が大きくなっています!

そこにジョニーが「な」と書かれた風船を持ってきて……。

 

日本語の言葉は、五十音の組み合わせで成り立っています。

そんな言葉の楽しさを絵本が教えてくれます。

それがちゃんと物語になっていて、読者も巻き込んで一緒に楽しめる。

最高じゃないですか?

大勢の読み聞かせとご家庭での読み聞かせは全く違うものです。

大勢での場合は、参加することで一体感や場の盛り上がりが出ます。
一方通行ではなく絵本を真ん中に一緒に楽しむ。これぞ読み聞かせの楽しさ。

しかし、盛り上がるならなんでもいい。と言うわけではありません。

 

「たった一文字で世界が変わる。」(本誌付録の言葉より)

そんな面白さをこの絵本は教えてくれます。

読み聞かせ時間目安<4分>

ことばサーカス

ぼくらは、ことばサーカス団。文字の風船を使って不思議なショーを世界中に届けます。「は」と「な」と「び」の風船をくっつけたら、なんと本物が飛び出した!子どもたちと『せーの』で読んで展開します。読み聞かせで大盛り上がり。

【贈り物にしたい絵本】そっと背中をおしてくれる一冊

最後の一冊は形の面白さに手にとったこちら。

『かたちえほん おはなさん』

それはこんな始まり

わたし おはなさん

まいにち おかのうえに

さいてるだけって

ああ つまんない

 

だから

そうぞうするんだ

 

こんなのは どう?

(p1本文引用)

アルファベットのBのような形のその絵本は、開くとお花の形になる。
丘の上に咲く花が想像する世界。
空を飛んだり、友達を作ったり。風に邪魔されてうまくいかないことも。そんな時は深呼吸。
ページがクロスされ、繋がり続ける。

 

今まで見たことのない形。
小さな人たちはカタチの面白さ、めくりの楽しさ、そして花や鳥など身近なものに心惹かれ、

大きな人たちはその優しい絵と言葉に心安らぐ。

新年度、新学期に開いてほしい一冊。
自分のペースでゆっくりと楽しい方へ。
ワクワクすること探しに行けますように。
春のプレゼントにもオススメです!

読み聞かせ時間目安<1分15秒>

かたちえほん おはなさん

本は四角でなければいけないの?
丘に咲く一輪の花。このおはなさんが想像する楽しい世界ってなに?空を飛ぶ?友達をつくる?たとえ失敗したって、落ち着いて深呼吸すれば大丈夫。どのページを開いても、常に前後のページと絵がつながる。これまでにないユニークな姿・かたち・構造をもった絵本。本を開いた形もお話の内容とリンクします。

【その他 5月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

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ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)


絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋ぐ。
絵本のある暮らしを発信するインスタグラムはフォロワーが2万人を超える。
大学2年生と子ども園教諭の娘をもつ。
インスタグラム @fuwahane 
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絵本ナビ編集部
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