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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【3月に読みたい絵本と新刊】春の訪れを感じる時期のおはなし会におすすめ

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに3月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

3月では

啓蟄けいちつ   (3月5日) 土の中で冬ごもりしていた虫や蛙が、春の気配を感じて外に這い出る頃。

春分しゅんぶん(3月20日) 昼と夜の長さが同じになる日。「自然をたたえ生物をいつくしむ日」とされる国民の休日。

 

3月のおはなし会

春の陽気にさそわれて生き物たちが土の中から顔を出す。私たち人間も、寒さの中、縮こまっていた体が少しずつ緩んでいく。

そんな絵本を集めてみました。

季節は巡り繋がっていく。

さぁ、今月は繋がりや順番をテーマにしました。春へと一歩一歩近づく、今の季節にぴったりのお話をたくさん準備しました。

楽しんでいただけますように。

【今月のわらべうた】春の訪れを告げるわらべうた

今月もまずは季節のわらべうたからいきましょう。

春の足音が近づいてきました。

こんなわらべうたはどうでしょう。

ずくぼんじょ ずくぼんじょ

ずっきん かぶって でてこらい

「ずくぼんじょ」とは九州の佐賀県の方言でつくしのことだそうです。

春になると野原に芽生えるつくし。そんなつくしを探しにいく時のうたです。

 

乳児さんはひざのうえに座って「ずくぼんじょ ずくぼんじょ・・・」ゆらゆら揺らししながらうたいます。

「ずっきんかぶって でてこらさい」のあとに、にょきにょきすっぽーんと脇をかかえて上に抜いてもらいます。

 

幼児さんは自分がつくしになったつもりで、小さくなって両手で頭の上にずきんをつくり、上下にふってうたいます。

うたにあわせてだんだん伸びて、最後にすっぽーん!大きくなって先生やお母さんお父さんに、抜いてもらいましょう。

春の訪れを知らせるつくしが伸びていく様子を体現する子どもたち。

元気いっぱいすぽーんと子どもたちを抜くとみんな大喜びのわらべうたです。

 

参考文献 『にほんのわらべうた①うめとさくら』近藤信子 柳生源一郎 福音館書店

【暦の絵本】二十四節気「啓蟄」の絵本

さぁ、春の日差しに誘われて土の中から芽をだしたつくしですが、こちらでは冬眠していた生き物たちが、地上に這い出てきたようです。

あたたかな春の訪れを教えてくれる二十四節気のひとつ春の季語でもある啓蟄(けいちつ)。

そんな啓蟄の日の絵本から今月はご紹介していきましょう。

 

ほるぷ出版から【はじめてのこよみえほん 啓蟄】

『かえるがぴょこっ』

 

それはこんなはじまり

あたたかい かぜが ふわり

 

かえるが ぴょこっ

はるるるる

(p1-2 本文引用)

ぴょこっ ぴょこっ ぴょこっ と跳ねるかえるに尋ねます。

どこいくの?

かえるは答えます。

ともだち おこしに いくんだよ 

ぴょこっ ぴょこっ ぴょこっ

 

声に出して心地よいリズムのいい絵本です。

次に出てくるのは、りす。

りすは ちょろ ちょろ ちょろ と出かけます。

つくしも出てくるのでわらべうたからのつながりにもぴったり。

ぴょこっぴょこっ、ちょろちょろ、のっそりのっそり、ひらりひらり…

みんなで誰を起こしにいくのでしょう。

あたたかな春の訪れをやさしく告げてくれるお話会にもぴったりの絵本です。
読み聞かせ時間目安<1分55秒>

かえるが ぴょこっ

【はじめてのこよみえほん・啓蟄(けいちつ)】冬眠から目覚めたかえる、りす、かめ、ちょうは、ともだちを起こしにでかけます。「ぴょん ぴょん。ちょろ ちょろ。のっそり ひらり。だれをおこしにいくのかな。」春のはじまりをみんなでよろこぶお話です。日本の季節の豊かさを二十四節気の暦で伝える2、3歳児向けのシリーズ。「啓蟄」は3月6日ごろです。

【電車の絵本】前からも後ろからも楽しめる一冊

お次は『かえるがぴょこっ』にもさりげなく登場する菜の花つながりでこちらの絵本を。

 

前からも後ろからも読める絵本です。

まだ雪深い「やまのえき」から電車は走ります。

 

それはこんな始まり

やまの むら
デデン ドドン
デデン ドドン

やまの むらを
でんしゃは いくよ

(p3本文引用)

線路の先にはトンネルがあり、

トンネルの入り口には穴があいていて、暗闇が見えます。

ページをめくるとトンネルの中。

 

ゴー

トンネルを抜けるとー

雪の野原。

 

デデ トト

デデ トト

雪の野原を越え、またトンネルへ

山、鉄橋、海…

北から南へと下る電車。

最後のトンネルを抜けると…。

 

トンネルの中を辿ってみると、それぞれの家族や人々の小さな物語があって。

間瀬なおたかさんの細部までしっかりと作られた世界はいろんな発見があり、単純な繰り返しとは違う時間の経過がこの絵本で感じ取ることが出来ます。

この絵本はとても人気があり、大型絵本にもなっていて、大勢の子どもたちと楽しむには大型絵本もおすすめです。

読み終わった後には、是非もう一度、「うみのえき」から「やまのえき」まで読んでみてください。

また新たな発見があるかもしれません。
 

読み聞かせ時間目安<1分35秒>

でんしゃでいこう でんしゃでかえろう

ドデン…ドドン…と電車が山の村を通って行きます。穴あきページのトンネルを抜けると景色が一変。前からも後ろからも読める、楽しい乗り物しかけ絵本。

【新刊の絵本】みんな一緒に大合唱

お次は、2025年1月に出たばかりの新刊を。

『たいこどんどん』

 

それはこんな始まり。

たいこ たいこ 

たたいてみよう

 

どん どん

(p1−2本文引用)

どんどんと太鼓をたたく男の子。

その後ろからプップーとラッパの音。

どんどん プップー ぴーひゃらぴーひゃらと笛囃子。

シンバルにべんべんと三味線、ちんどん屋さんまでやってきて、絵本の中はますます賑やかに!

どんどん ぷっぷー ぴーひゃらぴーひゃら じゃーん べんべん ちんどんちんどん…

ページをめくる度にどんどん増え重なる音の数。

読んでいる方も聞いている方も自然にみんなのってきて、最後にドーンと!!

音の楽しさに絵の楽しさも相まって盛り上がること間違いなしの楽しい一冊!出ました!

 

読み聞かせ時間目安<1分50秒>

たいこどんどん

こころ弾む、音のパレード!
思わず声に出したくなる つみあげうた絵本、登場!

たいこたいこ、たたいてみよう、
どんどん
たいこのあとにトランペットもやってきて、
どんどん ぷっぷー
ふえもくわわり、
どんどん ぷっぷー ぴーひゃらぴーひゃら
こんどはシンバル、
どんどん ぷっぷー ぴーひゃらぴーひゃら じゃーん
まだまだつづくよどこまでも。

ページをめくるたびに、どんどん音がつらなって、力強い鼓動がひびいていく!
圧巻の観音ページもおたのしみに。

【春待ち絵本】それぞれの年齢に感じるものがある絵本

庭のミモザの蕾が少しずつふくらんで来ました。
春はもうすぐそこに。

最後の一冊はこちらを。

『じゅんばんじゅんばんじゅんばんですよ』

どこからか かぜが やさしく ふいてきて
はなびら ひらりと ちりました

はなびら くるくる まいおりて
さなぎに そっと ふれました
「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」
(p3-4本文引用)
 

さなぎはちょうになり、たんぽぽの綿毛に降り立ち言いました。
「じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ」

とても優しい絵本です。
声に出して読んでいるうちに、心がふんわりと暖かくなる。

軽やかに次の一歩を踏み出したくなる。そんな絵本です。

季節は巡ります。
寒い毎日が続いていますが、その先に必ず春があることを改めて気づかせてくれます。
卒園や卒業を控えた子どもたちにも。それぞれの年齢でそれぞれが感じるものがある気がします。
私はこの春、大学を卒業し、家を離れ社会人になる娘に贈りたいと思っている一冊。
日々の積み重ね、毎日の営みが人をつくります。
季節は巡り、子はまたそのバトンを引き継ぎ次の道へと歩み出す。
季節も人も誰かを想う気持ちも、順番なんですよね。


じゅんばん じゅんばん
じゅんばんですよ。

じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ

桜の花びらが散り、サナギにそっとふれます。やがてサナギはチョウになり…。春から夏へ、夏から秋へそして冬へと季節の巡る様子を描く四季の絵本。「じゅんばんですよ」のフレーズが読み聞かせにもぴったり!

今年も4月始まりの日めくり絵本カレンダーを作りました!

最後にご紹介をさせてください。

こちら5年目になります4月始まりの日めくり絵本カレンダーを今年も出版させていただきました。

今年は絵本作家の古沢たつおさんがイラストを担当してくださいました。

季節や行事、毎日の言葉に沿った365冊の絵本、月の満ち欠けはもちろん、今年の言葉は英語にチャレンジしてみました。

母国語ではない言葉を知るということは、その国の文化を知るということ。

ねこの家族の小さな物語をぜひ一緒にめくってください。

英語で!日めくり絵本カレンダー2025(4月はじまり)〈おすすめ絵本1日1冊〉

【ねこと絵本と英語、日めくり絵本カレンダー(卓上)】

毎年ご好評いただいている、絵本作家さんと作った日めくりカレンダー。絵本のつなぎてふわはねさんの選んだ、1日1冊の日替わりおすすめ絵本を掲載しています。
2025年は、日常で使う英語のフレーズも載せ、英語も学べるカレンダーになりました。
絵本作家の古沢たつおさんの描く、猫の家族たちも可愛い1冊です!!


●おすすめ絵本1日1冊
季節や行事、今日の言葉に合わせた日々の暮らしが色付くような、そんな絵本を365冊集めました。

●日常で使う英会話のフレーズ
今年の言葉は「日常で使う英会話のフレーズ」です。猫の家族たちと一緒に365日、英語を身近に感じてみませんか。母国語ではない言語を学ぶということは、その国の文化や思考を知ることになります。知るは始まりの一歩。1年後、新たな世界、新たな自分と出会えるかもしれません。

●毎日のイラスト
日常で使う英会話のシチュエーションにあわせて、猫の家族の生活が描かれています。イラストはなんと365枚描きおろし!どこか自分の生活とも重なるシーンに英語をつかってコミュニケーションがとりたくなるでしょう。

●今日のお月さま
その日の月が描かれています。今年から、月の出る時間と入りの時間がわかるようになりました。絵本『おつきさまのえほん』(ニジノ絵本屋)と一緒にぜひ空を見上げて答え合わせをしてみてくださいね。


一緒にめくりませんか?
毎日Instagramにてライブ配信を開催。絵本の森で出会う仲間たちの一員となって「日めくり絵本カレンダー」を一緒にめくりましょう!
※開催時間は、Instagramの@fuwahaneのプロフィール欄でお知らせしています。(都合により開催されない日もあります)

【その他 3月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

アンケート募集のお知らせ♪

【連載】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。

Q1. お名前またはニックネーム(記事でのご紹介が可能かどうかもご記入下さい)

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ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。

絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。

子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー

大学1年生と4年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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