【7月に読みたい絵本と新刊】夏の始まりのおはなし会におすすめ
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絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本のおはなし会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに7月のおはなし会プログラムに取り入れたい絵本や、新刊絵本のおすすめを教えていただきました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
7月では…
小暑しょうしょ (7月7日) 小さく暑いと書いて小暑。本格的な夏のはじまり。
梅雨明けを迎え夏本番を迎える。暑中見舞いはこの頃から。
大暑たいしょ(7月22日)一年で一番暑いといわれる頃。太陽は容赦なく照りつける。暑い暑い夏の始まり。
7月のおはなし会
あついあつい夏が始まりました。
今月は目で見て涼しくなるものや、元気になるような絵本を集めてみました。
おはなし会は絵本を真ん中に人と人が作り出す時間、空間です。
同じ絵本を読んでも、聞いてくださる方たちが違うと雰囲気も全く違います。
走り回る子がいるかもしれません。でもその子の耳には絵本を読んでいる声が聞こえています。
私は子どもたちに以上に、ご参加くださるお母さんやお父さんへ絵本を読んでいます。
読んでもらう心地よさをしり、絵本の楽しさを届けたい。
そうすることで、きっとお子さんに読んであげたいと思ってもらえると思うから。
子どもたちにとって、大好きなお母さんお父さんに読んでもらうのに勝るものはないですからね。
【今月の手遊びうた】絵本と一緒に魚になって
今月は季節の手遊び歌からいきましょう。
夏本番の7月。
暑い暑い夏の日。みんなでおさかなさんになるよー。
両手を合わせてすーいすい。
さぁ、お歌にあわせて……
さかながはねて ぴょーん
あたまにくっついた ぼうし
ぴょーんとはねたさかなは、頭にくっついてぼうしに。
お次はお目めにくっついて、めがねに。
そしておくちにくっついてマスクに。
お次はどこに……。
そんな楽しい歌は絵本にも。
今度は絵本と一緒に遊びましょう。
【はじまりの絵本】手遊び歌の絵本
それはこんな始まり
ねこが にゃーにゃー
おいけのほとりを あるいていると
さかなが はねて ぴょん、ぴょんと
(P2本文引用)

お話と一緒に絵本は進みます。
お池のさかなはぴょんと飛び跳ねて、
ねこのあたまに!
あたまに くっついたぼうし

ぼうしになりました。
次はねずみがちゅーちゅーボートにのっていると、
さかながはねて…
さぁ、次はどこにくっつくのでしょう。
森あさ子さんのカラフルな切り絵がお話と歌を楽しく進めます。
最後は夜空のお星さまに。
巻末には楽譜と手遊びの説明のイラストが掲載されています。
読み聞かせ時間目安<1分45秒>
【季節の絵本】暑い暑い夏の日に
「あついあつい」つい口をついてしまいます。
次はこちら『カルちゃんエルくんあついあつい』
カエルたちも暑そうですよ。
それはこんな始まり
ここは とまとの はたけ。
カルちゃん エルくん、あつい あつい。
とまとも あつい あつい。
もっと すずしい とこ さがそっと、と カルちゃん。
エルくん、ぴょこん ぴょこん。
カルちゃん ぴょーん。
(p2-p7本文引用)
涼しいところをさがして、カエルのふたりはぴょこんぴょこん、ぴょーん。
次はかぼちゃの畑へ。
作者のいわむらかずおさんは1998年に栃木県馬頭町(現・那珂川町)に「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館。絵本・自然・こどもをテーマに活動を続けられました。
小動物や草花、野菜たちは生き生きと、雨のしずくは力強く、空の色ひとつとっても、自らそこで暮らし、体感されているのが絵本から感じられます。カエルたちは今にも動き出しそうです。
音としてのリズムもよく、小さなお子さんから、科学絵本として少し大きくなった人たちも楽しめる絵本です。
カルちゃんエルくんはこの『カルちゃんエルくんあついあつい』の他、『カルちゃんエルくんたかいたかい』『カルちゃんエルくんいいないいな』『カルちゃんエルくんねむいねむい』の四作シリーズとなっています。
「あついあつい」がたくさん出てきますが読み終わった後はすこーしだけ涼しく感じられるかもしれません。
読み聞かせ時間目安<2分15秒>
強い陽射しを浴びた夏の畑を舞台にしたカルちゃんエルくんが「あつい、あつい」。すると ピカッ ゴロゴロ ザザー、夕立の後には涼しい風が…… 。
【写真の絵本】みんなで一緒に考えてみよう!
お次は、なぜ、どうしてを考えながら、出てきた答えに「くすっ」と笑ってしまう科学絵本。
『うかぶかな?しずむかな?』
どうやら見返しから始まっているようですよ。
それはこんな始まり。
じゃば じゃば じゃば
おみずが いっぱい
いれちゃえ いれちゃえ おみずに いれちゃえ
(見返し〜p1本文引用)
水槽にお水をいれて考える。
緑のボールと消防車のミニカー
うかぶかな?しずむかな?
ページをめくると答えが。
でもそれだけでは終わらない。
浮いた緑のボールをぐいっと押さえて
ぶく ぶく ぶく…
さぁどうなる?
次はねんど。こねて丸めて
うかぶかな?
しずむかな?
みんなでいっしょに考えながらお話会は進みます。
うかんだ!しずんだ!!と大盛り上がり。
きっと読み終わった後は、おうちでうかぶかな?しずむかな?をやってみたくなることでしょう。
※こちらの読み聞かせ時間は、対話型の絵本のため、その時々の読み手と聞き手の状況で所要時間が変わります。
水の中にボールを入れたりミニカーを入れたり野菜を入れたり…。どれうかぶ?どれしずむ?どんどん実験してみよう。ラストにくすっ!目に見えない浮力が幼児に伝わる絵本。
【仕掛けの絵本】開いてびっくり仕掛けを楽しむ科学絵本
お次はこちら
仕掛けが楽しい子どもたちにも大人気のシリーズ
『おおきなおおきなきいろいひまわり』
それはこんな始まり
ちいさな ちいさな しましまの たね
じめんに おちたら どうなるの?
じめんに おちた ちいさな たねは
つちに もぐって、どうなるの?
(p1-3本文引用)
ねずみさんの足元に落ちた種はモグラさんと一緒に土の中へ。
種の成長と共に絵本自体が変身する仕掛けに感嘆の声があがります。
リズミカルにお話が進み最後はなんと!!
最後のページにはひまわりの育て方が書かれています。
私はこれは単なる仕掛け絵本以上に出会いや学びとなる科学絵本だと思っていて。
お話会でも大人気の一冊です。
読み聞かせ時間目安<1分40秒>
かわいいイラストとリズミカルな言葉を楽しみながらページをめくっていくと、絵本が大きなひまわりになる、素敵なしかけえほんです。
ひまわりの育て方も紹介。
【新刊絵本】いのちを守る絵本
最後の一冊は6月に出たばかりの新刊絵本。
『ぶたすけのラッパ』
それはこんな始まり
ここは もりの なかにある ほしくえん。
きょうも こどもたちの たのしそうな こえが きこえてきます。
(p2本文引用)
さあ、これから絵本の時間。先生が読み聞かせをしようとしたとき
ブー!
突然大きな音が響きました。みんながびっくりして振り向くと…。
鼻を押すと頭のうえにあるラッパから大きな音を鳴らすことができる、ぶたのぶたすけくんがいました。
ぶたすけくんはお絵描きの時間も、ごはんの時間もお昼寝の時間にもブー!と鳴らしてみんなをびっくりさせます。
そんなある日のこと。
かくれんぼをしていたぶたすけくんとおともだちのりすちゃんは空いていた保育園バスのドアからこっそり乗り込みました。
いい隠れ場所が見つかったと思っていた2人でしたが、バタン‼︎
なんとバスのドアが閉まってしまいました。
バスに取り残されたふたり。いったいどうなるのでしょう。
今を時めく大人気絵本作家柴田ケイコさんの最新作。
かわいいぶたすけに一目惚れで手に取った絵本でしたが、実はこの絵本、子どもの車中置き去り防止を目的として作られた絵本で、子どもを取り巻く社会問題に対して、絵本で何か出来ることはないかと始まったプロジェクトだそうです。言葉だけでなく、絵本というツールをつかって子どもたちにわかりやすく自分の命を守る方法を伝えることができるなら、それはとても大きな役割だと考えます。
読み聞かせ時間目安<4分15秒>
ぶたすけは森のほいくえんに通う、ぶたの男の子。あたまのラッパから「ブー!」と元気な音がでます。おえかきのじかんに「ブー!」、きゅうしょくのじかんに「ブー!」、そしておひるね中にも「ブー!」。保育園の先生に「ぶたすけくんのラッパはくるまのクラクションみたいで、みんなびっくりしちゃうわ」と言われても、おかまいなしです。
ある日、ぶたすけはかくれんぼをしていると、ほいくえんバスのドアが空いているのに気づきました。「しめしめ」と、バスの中に隠れると、ドアを閉められて出られなくなってしまい……。
こどもたちを取り巻く社会問題の一つとして、近年発生している、保育園・幼稚園バスにおける置き去り事故が挙げられます。もしも車内に閉じ込められたとき、事態を周囲に知らせる手段として、「クラクションを押す」という方法があります。そこで、こどもたちへのクラクション認知を高めるため、このお話はうまれました。こどもたちが家族や先生と一緒にこの絵本を読んで、悲しい事故が一つでもなくなることを願っています。
【その他 7月の読み聞かせにおすすめの絵本】
絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
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ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)
絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋ぐ。
絵本のある暮らしを発信するインスタグラムはフォロワーが2万人を超える。
大学2年生と子ども園教諭の娘をもつ。
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