パリ、ボローニャからのお国帰り展「絵本原画展 いもとようこの世界」@上野の森美術館
オリジナル原画から紐解く、絵本作家いもとようこさんの軌跡
5月19日(金)~6月11日(日)まで「絵本原画展 いもとようこの世界」が上野の森美術館で開催されます。
絵本をよく知らない方でも、いもとようこさんの絵本に触れた方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。親から子どもへ世代を超えて、尚愛され続けている絵本作家・いもとようこさん。
日本の昔話の「さるかにがっせん」「はなさかじいさん」や世界の名作「あかずきんちゃん」「おやゆびひめ」をはじめ、おそらく誰もが一度は読んだことのある絵本だったり、NHK教育テレビの「いない いないばあっ!」に登場する童謡のソフトアニメでいもとさんの描いてきた挿絵は、大人になった今でも記憶に残っているという親御さんたちも多いかもしれませんね。
いもとさんが独自に編み出した貼り絵に着色するという技法は、絵本の世界をより温かく優しいぬくもりで包んでくれているように感じます。この独自の技法をしっかりと鑑賞することができる、絵本のオリジナル原画を展示した貴重な展覧会がはじまります。
6つのコーナーによる展示構成
挿絵画家だけでなく、たくさんの作品を残された創作童話の作家さんでもあるいもとようこさん。本展では、出版された300余タイトルの中から選ばれた314点が、6つのコーナーで構成された展示スペースでご紹介されています。この機会に、いもとようこさんの貴重な原画展をご覧くださいね。
- 「あかちやんのためのえほん」から、3タイトル3点
- 「どうよう」の中から、15タイトル15点
- 「日本むかしばなし」は、「おむすびころりん」「つるのおんがえし」など14タイトル57点
- 「世界の名作」は、「こびとのくつや」「しあわせ王子」など、24タイトル83点
- 「日本の名作」 は、「てぶくろをかいに」など、11タイトル21点
- 「いもとようこの創作絵本」は、「いとしの犬ハチ」「かぜのでんわ」など、67タイトル118点
展覧会情報
【会 期】2017年5月19日(金)~6月11日(日)会期中無休
【開館時間】10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
【会 場】上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2 TEL:03-3833-4191
【入場料】高校生以上1,000円(800円)、中学・小学生600円(400円)
※小学生未満無料
※( )内は前売料金および20名様以上の団体料金
※障害者手帳を持参の方と介護の方1名は無料
【お問合せ】03-5777-8600
●いもとようこサイン会 会期中、毎週土曜日・日曜日各回14:00から(1日1回開催)
当日会場で作家著作本をお買い上げの方、各回先着100名様(お1人様1枚1冊分)に整理券を配布します。
●馬頭琴演奏 会期中、毎週土曜日各回13:00から(1日1回開催)
いもとようこさんの絵本紹介
かわいくてたまらない猫のポーズがいっぱい。
表情たっぷりのかわいいこねこたちが、じゃれたり、あまえたり、寝ころがったり。
いもとようこが猫への愛情をこめて描いた、大人も子どもも、猫好き必見の絵本。
しょんぼり歩いているメガネ姿の男の子。
塾の帰り、スマホをどこかに落としたらしい。
「どこにおとしたんだろう……。あれがないと……ぼくはこまるんだ」
「なにしてるの?」1匹のこぎつねに声をかけられてふりかえったぼく。
「あっ、きつねくん!」と言ったら、「なにいってるんだい? きみもきつねだろう?」と言われて……あれれ、びっくり。ぼくもいつのまにか、きつねになっています。
こぎつねに引っ張られ、着いたところは……きつねのがっこう!
「時間はまもりましょう」と先生からお小言をもらい、みんなで歌をうたいます。
その後、きつねの先生が「みなさんにかんがえてもらいたいことがあります」と言いました。
先生の手にある、見覚えのあるちいさな四角の機械は……!?
いもとようこさんの絵に「スマホ」が出てきたのもびっくりですが、この後に出てくる、こぎつねたちのセリフにもびっくりです。
「にんげんたちは、いちにちじゅう そのきかいをみるのに いそがしそうです!」
「じぶんのかわりに なんでもやってくれるきかいがあると、じぶんはいらないということになります。ぼくは、いらないといわれるのがいやです!」
「あたまもからだも つかわないと、ひますぎるとおもいます!」
なんと、題名とかわいい絵からは思いもよらない展開。ぐさぐさと心に刺さります。
元気いっぱい答えるきつねたちにくらべて、ぼくはなんとなく元気がありません。
ぼくが「きつねのがっこう」で学んだことは何だったのでしょうか?
貼り絵でぬくもりあふれる絵本を長年作ってこられた、いもとようこさん。
手や頭、時間をつかってうみだしてきたものの力を、いもとようこさんは知っているにちがいありません。
ほんとうに大切なものは何か、考えさせられる一冊です。
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