『よるくま』気持ちよくていい匂い…素敵な夜のファンタジー
子どもたちに、そして子どもだった私たちの心に響く上質なファンタジー絵本『よるくま』
自分が子どもだった頃、どんな瞬間が幸せだったんだろう。
母とのやり取りだったかもしれないし、父と手をつないだ時かもしれない。一番好きなものを手に入れた時だったかもしれない。すぐには思い出せないけれど、確かにその瞬間はあって、なんとなく甘くて温かな気持ちに包まれるのです。誰にでも、そんな共通する感覚はあるんじゃないかと思うのです。
おやすみ絵本として。母と子が心を通わせる大切な絵本として。
ずっと愛され続けている絵本『よるくま』。
この絵本を開くと、そこにはあるのです。
「温かくて、気持ちよくていい匂い…」
みんなが共通して持っている憧れの感覚。
母と子の時間は家庭によってそれぞれです。いつも一緒にいる幸せもあれば、短くても濃い時間を共有できる幸せもあるでしょう。夜みたいにまっくろで可愛い「よるくま」と一緒に過ごす時間が、そんなものを全て包み込んでくれる。そんな一冊です。
「ママ あのね……
きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこが きたんだよ。」
おやすみ前のベッドの中で男の子はママに話します。
その子はくまのこ、名前は「よるくま」です。
よるくまは、夜みたいにまっくろくて、胸のおつきさまがひかってる。
どうやらお母さんを探しにきたみたい。
目が覚めたらいなかったんだって。
ここから男の子とよるくまの夜の冒険が始まります。
こんな可愛い子をおいて、どこにいったんだろうね。
ふたりでよく行くお店や公園をまわってみますが、お母さんは見つけられません。
「もしかして もう とっくに おうちにかえったのかもね。」
ところが、おうちに帰ってみてもお母さんはいません。
とうとうよるくまの目から夜みたいにまっくらまっくろの涙がこぼれてきて…。
小さな男の子が、大好きなお母さんを探すよるくまのために奮闘する、素敵な夜のファンタジー絵本です。物語の後半で登場するよるくまのお母さんの大きなこと。子どもたちがみんな抱きつきたくなるような憧れのお母さんです。男の子も、きっとそんなよるくまのお母さんの優しさに触れながら、自分のお母さんのことを思うのでしょうね。ふかふかして気持ちよくていい匂い…。それは、この絵本を読んでいるたくさんの子どもたちと同じ気持ち。
さあ、そのままゆっくり幸せな眠りについてね。
「おやすみなさい」。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
【ママとパパの声より】忙しいお母さんにこそお勧めしたい
忙しいお母さんにこそお勧めしたい絵本です
男の子がお母さんに語りかける口調、
お母さんの柔らかな相槌
よるくまのおかあさんの暖かい言葉
とても心地よい文章と、“きゅんっ”となる可愛さの絵が
たまらない絵本です。
2歳の息子も大好きな絵本で、何度も何度も繰り返しせがまれます
読んだあとは2人で“ぎゅうっ!”てしています。
子供も親も感情移入のしやすい絵本です。
そして、読んだあとも柔らかい言葉が心に残り
私自身も柔らかい言葉を取り戻せる絵本です
(rittaさん 30代・ママ 男の子2歳)
お前はあったかいね、が好き
はじめてこの絵本を読み聞かせたとき、働くママたちのために書かれたんだと思いました。よるくまが、ママを捜して男の子の所にくるシーン。男の子がママを一緒に捜すシーン。そのどれもが、きっと保育園児の娘達にとっては、心に響いてしまうのでしょう。
よるくまが泣き出すと一緒になって探している、と次女がまだ小さいとき言っていたのを思い出します。
そして、いつも私が泣けるのは「おまえはあったかいね」とよるくまのママが抱きしめるところ。もう、大きくなってしまったので、抱きしめることはすくなくなりましたが、今でも小さな頃の娘達の「だきあと」が自分の体の記憶にしみ込んでいます。
(セルバさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子5歳、男の子0歳)
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磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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