「だるまさん」など、ユーモア絵本の名手・かがくいひろしさんの世界
今も多くの読者に愛され続けるかがくいひろしさんの絵本の魅力を大解剖
50歳で絵本作家としてデビューし、赤ちゃんから絶大な支持を集める「だるまさん」シリーズなどの名作を発表しながら、54歳で急逝した絵本作家のかがくいひろしさん。
「だるまさん」シリーズだけでなく、おもちややかん、梅干しが主人公の絵本など、今も多くの読者に愛され続けるかがくいひろしさんの絵本の魅力をご紹介します。
「一風変わった」主人公たちが、「かがくいワールド」を彩る!
講談社絵本新人賞を受賞したデビュー作「おもちのきもち」をはじめ、かがくいひろしさんの絵本は「一風変わったモノ」が主人公の作品が多いのです。インタビューでも、「絵本の主人公になりそうもないもの、身のまわりで光の当たらなそうなものに脚光を浴びさせたい」というお話が。
主人公たちは一風変わったモノではありますが、どれも身近なものなので、読んでいると主人公の気持ちがすうっと理解できるのです。ぜひ、主人公の気持ちになって、「かがくいワールド」にどっぷりとはまってみてくださいね。
主人公は、「おもち」!
お正月になれば、床の間に鎮座まします「かがみもち」。
二段になった、真っ白で大きなおもち。頭にはみかんとおめでたい扇子。
堂々として立派なものです。
でも、なんだか浮かない顔をしているみたい。
「かがみもち」にも悩みがあるのでしょうか。
いや、そもそもおもちに「きもち」なんてあるの?
…それが、あるみたいですよ!?
興味深いですよね。聞いてみることにしましょうか。
「もう たいへんなんです。」
何かといえば。
おもちつきでは頭をペッタンペッタンたたかれ、のしぼうでのばされ、プッチンとちぎられ。あんこやきなこや挙句にねばねば納豆に混ざられて。確かに散々です。「かがみもち」と呼ばれるようになった私は、今のところ大事にされておるようです。でも…
「いつ なんどき たべられる ことやら。ああ おそろしや。」
なるほど、ちょうどそんな気持ちが表情に表れていた訳ですね、納得です。
でも、ここで話は終わりませんよ。なんと「かがみもち」、床の間から逃げ出すことにするのです! 一体どこに? どうやって? なんのために…? もうここからは、想像の範囲を超えていく話です。驚きの展開が待っていますよ、お楽しみに。
年末年始の時期になると、おはなし会でも引っ張りだこになるこの絵本。子どもたちは大爆笑、スカッとした気持ちで新年を迎えられそうです。でも、食卓に出てくるおもちや飾られている「かがみもち」を見る目はガラっと変わってしまうかもしれませんね。
逃げ出した鏡餅
お正月につきものの鏡餅。あんこやきな粉、はては納豆でねばねばにされた仲間たちを見て、「食べられるのは嫌だ!」と逃げ出しました。きっと、つきたてのお餅だったのでしょう。走って逃げていくうちにビロ~ンと伸びてしまいます。思いっきり走ってお腹がすいた鏡餅は、自分の足を食べてみると・・
お餅の表情が豊かでストーリーもユニーク!親子で初笑いでした。本の帯の「お年賀にどうぞ」という出版社のコメントにも思わず笑ってしまいました。お正月らしいお話しを探していて出合った1冊です。
(ポポロさん 30代・神奈川県厚木市 男6歳 )
主人公は、「じゃがいも」と「さつまいも」!
そろそろ気になっている方も増えてきているのではないでしょうか・・・絵本作家かがくいひろしさん。
ほんわかしているけど、シュールで個性的な絵。予測のつかない不思議なお話の展開。
今度のお話も、やっぱりちょっと見ただけじゃ、内容の予想がつきません。
この方が更に面白いのは、こんな何でもない「じゃがいも」や「さつまいも」を主人公にしてしまうところ。
でも、なぜかとっても表情が豊かで生き生きしてるんですよね・・・。
さて、お話は。ものぐさコンビのじゃがさんとさつまさんが電話で出前を頼みます。ラーメンとカレーライス、おすしに天丼に・・・。さぁ、最初にラーメンとカレーライス、のはずがやって来たのは?
「こんなでまえがきたらどうする!?」
どうなるんでしょう。それは読んでのお楽しみ。
図書室での読み聞かせ
2回目の小学校の図書室での,おはなし会で
この本と,川端誠さんの「うえきばちです」,ステファニー・ブレイク の「うんちっち」を持っていきました。
ユーモア絵本の揃い踏みです♪
「今日はどの本を読もうかな?・・・」
ちょうど,中華料理屋さんのお子さんの顔が見えます。
「そうだ!!今日は○○ちゃんがいるから,おいしい出前の話にしよう♪」
と この本を取り出すと,子供たちは「わあぁ♪」
言われた本人も ちょっと くすぐったそうに笑っています。
さて,じゃがいも君とさつまいもさんの奮闘振りを
熱く擬音で語り,
途中,「出前って 大変なんだねぇ」のせりふを実感を込めて,その子に向かって発しました。
「そうだよ たいへんなんだよ」とその子の目が,頷いています。
最後のオチはさりげなく。
裏表紙のすし桶くんと丼くんの後姿で もうひと笑い。
後引く,おいしい笑いの絵本でした。
(あんぴかさん 40代・ママ 女の子15歳、女の子8歳)
主人公は、「やかん」!?
やかんが主人公、なんてちょっと意表をついてきます。
そしてやかんの他に、ポット、じょうろ、きゅうすが集まって何かを始めようとしています。
「何を始める」のか言ってしまうと絵本の面白さが半減してしまうので言えませんが、とにかくやかん達がかなり必死の形相になることだけはお伝えしておきます(笑)。やかん達の大活躍のお陰で喜んでいる者たちがいっぱい、一躍ヒーローなんです。
彼らに何が出来るのか・・・考えるだけでもちょっと面白い。そしてとても力のこもった絵もとても楽しい!
変わった題材のおはなしですが、なんだか作者のかがくいさんの視点にはまりそうな予感・・・。次はどんな主人公が生み出されるのやら?
一生懸命描いている
とにかく絵がいいのです。
すごく一生懸命描いている!!
新人作家さんなのでしょうか?
「やかん」たちも、すごく一生懸命!!
何を何のためかはお楽しみ。
きっと低学年でも高学年でも読んで楽しいだろうなと思い、
今一番心にひっかかっている本です。
(ちうやかなさん 40代・北海道釧路市 男11歳、男8歳)
爆笑間違いなしのユーモア絵本
かがくいひろしさんの絵本はどれも底抜けに楽しくて、読んでいて思わず笑ってしまうのですが……その中でも特に「爆笑間違いなし」の3作品を集めました!
子どもたちの食いつきも抜群なので、学校や園での読み聞かせにもおすすめです!
かがくいさん、すごい!
タイトルからして、興味をそそるこの一冊、読んでみると、どこまで笑わせるの?というほど、おもしろさ満点でした。
登場するものがどうしてこんなにユニークなんでしょうか。変わってるとかではなくて、どれも温かみのある性格の持ち主で、それでいて、どの本のだれにも似ていない。。。かがくいさんのつくりだしたものは、みんな愛らしいキャラクターばかりですね。
笑いが絶えないので、ぜひ、クラスのよみきかせに使わせてもらいたいです。最後の部分は、びっくりするものが登場するので、読まれた方は、「この季節に読めばいいなあ!」と思われるはず。全体にただようほのぼの感がまたよくて、なつかしさも感じます。
みみかきされる心地よさと同様、この本を読むと心地よくなることまちがいなしです。
(けいご!さん 30代・ママ 女の子10歳、男の子6歳)
笑いました
目の前のケーキを前に、必死で食べるのを我慢する二人のお話です。
ストーリー自体は目新しくないかもしれませんが、出てくるキャラクターがとってもおもしろいのです。二人の妄想とやりとり、笑ってしまいます。娘と笑いながら読みました。最後に出てくるかえるさん、私はちょっと怖いかもなんて思ったのですが、娘は「かわいい~まつ毛長くて」と言ってました…。他の子どもたちの反応はどうなのか気になります。
かがくいさんの絵本に出てくるキャラクターたちはみんなユニークで楽しいので大好きです。
(じっこさん 30代・ママ 女の子5歳、男の子1歳)
「おまんじゅう」が「おしくらまんじゅう」!
「だるまさん」「おもち」「やかん」「まくら」・・・これ全部かがくいひろしさんの絵本の主人公。
とくれば次はなに?いやがおうにも期待が高まってしまいますよね。
そして登場したのが。なんと「紅白まんじゅう」!
ただ丸いだけのおまんじゅうなのに、ちょっと紅と白の色がついているだけなのに・・・
どうしてこんなに可愛いのでしょう!
そして題名の通り、おまんじゅうがおしくらまんじゅうをします。
が、そこはかがくいさん。もちろんぎゅうぎゅう押すだけでは終わりません。
一体どんなお友達が登場するのでしょう?
そしてどんな展開を見せてくれるのでしょう?
開いてのお楽しみ。
今回も子どもから大人まで大爆笑間違いなし、期待を裏切りませんよ。
それにしてもこの絵本、読む度に本当に体中の力が抜けちゃいます。
あまりに豊かなおまんじゅうの表情に、脱力してしまうのです。かなりお気に入りの1冊です。
友達と一緒に読める本
最初、よく行く児童館(遊び場あり)で出会った本でした。
絵本を読む人のそばに2~3人の子供が輪になって
謎の動きをしていました。
最初、先生が読んでいるのかな?と近づいていったところ、
どうやら自分の子供に絵本を読んでいるうちに、
他の子が集まってきてしまったとのこと。
うちの息子もその中にくわわって
おしくらまんじゅう のようなことをしながら
読んでもらっていました。
おしくらなっとう おされて ねば~♪
児童館にくる子供たちは、この絵本のリズム・テンポが大好きです。
2歳になった今でも、よく読む絵本です。
友達と一緒に楽しむことのできる踊りみたいな不思議な絵本です。
(みみずくままさん 30代・ママ 男の子2歳、男の子0歳)
泣く子も笑う赤ちゃん絵本の大定番、「だるまさん」シリーズ3部作!
かがくいひろしさんと言えば、やっぱりこの「だるまさん」シリーズは外せません。
言葉と動きが絶妙にマッチして、そこにだるまさんたちの可笑しな表情も加わり、「泣く子も笑う絵本」として絶大な人気を集めています。お子さんを膝の上にのせて一緒にゆらゆらしながら読んだり、読みながら「どてっ」と倒れてみたり。実際の動きもと組み合わせて楽しんでください!
表情、動き、言葉のリズム、そして意外性。全てが楽しい赤ちゃん絵本の決定版!
赤くて、ぷくーっと膨らんだように丸くて、小さな手足がちょこんとついていて、なんだかびっくりしたような顔をしてこちらを見ているのは…だれでしょう?
「だ る ま さ ん が」
ページをめくれば、そのまあるい体が、かけ声と共にゆらゆら揺れ出して……
「どてっ」
あ、ころんじゃった!!
「だ る ま さ ん が」
今度は……
「ぷしゅーっ」
あれ!? なんかぺっちゃんこになってる!!
0歳の赤ちゃんから大人まで笑ってしまうと、発売以来ずっと多くの読者を喜ばせ続けているこの絵本。柔らかそうな丸くて赤いかたまりが、伸びたり縮んだり、転んだり。目をつぶったり、開いたり、笑ったり。おまけに「ぷっ」とする。だるまさんっていう名前なんて知らない小さな子でも惹きつけられてしまっているのが、その反応を見ているだけでわかります。呼びかけるような言葉のリズムも声に出してみれば独特な「間」をつくってくれて、誰が読んだって笑っちゃうのです。
作者のかがくいひろしさんが絵本を作る時にこだわっていたのが「もの」「音」「うごき」「見立て」なのだそう。理屈がわからなくたって、見て、聞いているだけで楽しくなってくる。それがこの絵本の人気の秘密になっているのだということは、多くの読者からの感想を読んでいてもよくわかりますよね。
さらに、ユーモラスだけれど、どこまでも優しさを感じる表情。動きの愛らしさ。だるまさんが転ぶだけじゃない、という意外性。自然とスキンシップを取りながら読んでしまうこと。読んであげる大人の方が先に笑ってしまうこと。
…それらが全部、この絵本が愛される要素になっていることは言うまでもないですよね。
ぷっ
「だるまさんが」とくれば、続くのはあの言葉なんでしょうが、そうはいかないこのだるまさん。
いろんなだるまさんがとてもユーモラスでかわいいです。
私も1歳の娘も「ぷっ」が好きです。
チラッと見える横顔が、少し微笑んでいるのかたまりません。
娘はお尻を指さして「ぷっ」とおしゃべりしています。
かがくい ひろしさんのファンになりました。
(こりえ♪さん 30代・ママ・神奈川県厚木市 女1歳)
第二弾は、だるまさん「の」何か。何を見せてくれるかな?
大好きな、だるまさん!
「だるまさんが」が、購入したその日から息子の一番大笑いする絵本となり、
もちろん家族みんなにも大人気の絵本なので、「だるまさんの」を見つけて
「新刊だ!」とすぐに購入しました!
パラパラっと自分で読んで、1作目ほどの笑いが出るかな~とちょっと
心配でしたが。
だ・る・ま・さ・ん・の
と「だるまさんが」を読む時と同じように左右に揺らしながら読むと、
めくる瞬間のワクワクが、息子の体からすごく伝わってきます。
め
で、「わっ」と言う驚きから、すぐに爆笑。
心配なんてどこへやら。今回も、すごく楽しい絵本になっていました♪
最後の「お」には、思わず「こりゃ!」と手で絵本を叩く息子。
こういうユーモアもわかるようになってきたんだなあと、嬉しくなりました☆
(ねがいさん 30代・ママ・大阪府大阪市 女7歳、男3歳)
今度はお友達も一緒!
本屋さんへ行って、「だるまさんと」を見つけ、娘と「えっっっっっ!」と大興奮!!!
「いつ、出たの???」と早速二人で立ち読み。
今回は、だるまさんが、いちごさんやばななさん、めろんさんと一緒。
だるまさんとお友達が2人で、それからみんなで何をするのでしょうか?
だるまさんのお友達も、体を動かしてかわいいです。
私は、「めろんさんと」がお気に入り!
娘に聞くと、みんな好きと言っています。
やっぱり、読んでいて、ホッとするし、自然に笑顔になってしまいます。
このシリーズ、全部そろえたい!!
お腹にいる赤ちゃんのためにも、4歳の娘のためにも、私のためにも、本気で3冊買おうかと思っています。
(さわこさん 30代・ママ・新潟県上越市 女4歳)
インタビューもどうぞ
だるまさんシリーズの制作秘話などが語られた、貴重なインタビューはこちら!
幻の絵本を、インタビューと共にぜひどうぞ
2005年に50歳で絵本デビューをしたかがくいひろしさん。本職であった養護学校でのお仕事と並行して絵本作家としても精力的に活動され、次々に名作絵本を出版していきましたが、デビューからわずか4年後の2009年にすい臓がんで急逝されました。
没後6年の2015年、デビュー10周年を記念して、デビューの前年に「講談社絵本新人賞」で佳作を受賞していた「幻のかがくい作品」である「うめじいのたんじょうび」が出版されました。担当編集者さんとかがくいひろしさんの奥様のインタビューとあわせて、ぜひご覧ください。
「幻の絵本」が、10年以上の時を経て出版
「だるまさんシリーズ」などで大人気のかがくいひろしさんが絵本作家デビュー前に描いた絵本。
講談社絵本新人賞に応募し、2004年度に佳作入賞した作品です。
長年“幻の絵本”でしたが、10年以上の時を経て出版されました!
きょうは梅干のうめじいのたんじょうび。
浅漬けきゅうりとたくあんがひょっこり道で出会い、うわさばなしをはじめます。
「ねえねえ、きょうは うめじいの たんじょうびだよね」
「うめじい なんさいだか しってる?」
「うわさじゃ 200さいだってさ」
「えー すごい」
しかし双子のらっきょうは「500さいだって」
千枚漬けは「1000さいづけ」
と、だんだんすごいことに……。
本当は何歳になったのか、みんなでうめじいに聞きにいくのですが……?
おもち、やかん、だるまなど、和風のキャラクターがいつも愛らしさ満点のかがくいひろし作品。
その原点ともいうべきこの作品、もちろん期待を裏切りませんよ。
登場するのはみーんなお漬物。
梅干し、漬物石、浅漬けきゅうり、たくあん、らっきょう、千枚漬け!
それが可愛い姿で、いきいきとおしゃべりしてくれるのですから、もうたまりません。
しわしわ顔の表情豊かなうめじいにほのぼの。みんなのずっこけぶりにニヤニヤ。
お祝いのろうそくをフーー!と吹き消す、迫力たっぷりのうめじいも見どころですよ!
おじいちゃんやおばあちゃんと話をしながら、家族で一緒に楽しみたい絵本。
何年生きてきたかわからないうめじいは、「トーテンポー」「ウッスラペン」と不思議な“うめことば”を話します。
みなさんも、おじいちゃんやおばあちゃんの言葉に耳をかたむけて、若い頃の話を聞いてみてくださいね。
ユーモラスでゆかいな会話、あたたかさに満ちた絵。
時が経ち味わいを増していく人やものへの、かがくいひろしさんの愛情が感じられる絵本です。
梅言葉?
あさづけきゅうりさん、たくあんさん
千枚漬けさん、らっきょう双子さん、
読んでいるだけで、お茶漬け食べたい!
食欲が沸いてきます。
なぞなぞ、うめことば?通訳がいる。
いったいいくつなんでしょうね。
プレゼントがふるさと旅行、まあ、元気で何よりです。
(capellaさん 60代・じいじ・ばあば )
インタビューはこちら
赤ちゃんから大人まで、夢中になること間違いなし
かがくいひろしさんの絵本を読めば、身近なものたちがいろんなことを考えているように思われて、なんだかいとおしく感じられるかもしれません。この不思議な感覚を、ぜひお子さまとお楽しみください。
編集協力:洪愛舜(編集者・ライター)
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