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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】絵本ナビパパスタッフが選ぶ2月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、絵本ナビスタッフの奥平亨パパ。2児のパパで、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている絵本のプロです。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、2月に読みたい絵本

節分の絵本

一年の中で一番寒い日が続く2月。まずは節分の絵本から。 鬼が出てくる絵本は数あれど、僕はこの『かえるをのんだととさん』をおススメします。この時期、読み聞かせをする機会があれば必ずラインナップに加えます。ととさんのおなかがいたくなって、かかさんに聞くと、お寺の和尚さんにききなされ、と言われ、和尚さんの言うことを素直に聞くととさんは・・・、と続いていくお話なのですが、子どもが好きな絵本の王道である、“同じパターンの繰り返し”、しかもだんだんとエスカレートしていく内容は、読み進むにつれて盛り上がること間違いなし!つい先日も小学校1年生に読み聞かせをする機会がありましたが、和尚さんの指示が出るたび、子どもたちは「ぎゃー」「無理無理」「キモっ」と好反応を示してくれました(笑)。日野十成さんの再話は、ちょっとぶっきらぼうにも聞こえる田舎者らしい言葉遣いで読んでて楽しい。斎藤隆夫さんのデフォルメの利いた絵のおかげで、ややもするとグロテスクになりそうなお話がとても楽しく読めます。

かえるをのんだととさん

ある日、ととさんのお腹が痛くなり、お寺の和尚さんに相談に行くと、和尚さんは「お腹に虫がいるせいだから、蛙をのむといい」と教えてくれます。教わったとおりに蛙をのみこむと、お腹にはいった蛙が虫を食ったのでお腹の痛いのはなおります。でも今度は、お腹の中で蛙が歩くので気持ちが悪くなり、また和尚さんに相談すると、「蛇をのむといい」といわれます。蛇の次は雉、というように前にのみこんだものを食べる動物を次々とのみこみます。その後は、雉を撃つ猟師をのみこみ、次に鬼をのみこみ、最後はお腹の中の鬼を退治するため和尚さんが「鬼はそとー」と、ととさんの口の中に豆を投げ込むと、お腹の鬼は「これは節分の豆だ。痛い痛い。たすけてくれえ」といって、尻の穴からとびだし逃げていくという落ちになっています。
 このような聞いて笑える昔話は、とくに子どもたちの好むところです。節分の時期だけでなく、何度も何度も親子で読んでお楽しみください。
このお話は新潟県の「まわりもちの運命」という昔話から採りました。

寒い寒い世界を堪能

「ほうら、もう ぎんいろに かがやく ながい かみのひとすじまで くっきりと みえるよ・・・そうさ、これが ゆきおんなと いうものさ」

富安陽子さんの、流れるような名文にしびれます。江戸っ子がちょっと啖呵を切っているようにも聞こえて、読んでいるこちらが良い気持ちになるくらい。飯野和好さんの描くゆきおんなは、目は切れ長で青く、唇はくっきりと赤い。見つめられたら確かに吸い込まれそうな気がしますが、ちょっとふっくらしていて、なんというか、怖い存在ではあるけれど、少し愛着も感じてしまうのです。

描かれる世界は本当に寒そうですが、春が近づくといつしか消えてしまうはかない存在でもあります。春までもう少しの間、ゆきおんなにお付き合いいたしましょう。

あたし ゆきおんな

北風が山をふきぬけ、風がひゅーるひゅーると歌いながらダンスを踊るうちに…白い影がふわりとたなびくと、ほうら、ゆきおんなが生まれるんだよ。
冷たいひとみは青く輝き、唇は雪にさくさざんかみたいに赤い。
ある夜、ゆきおんなは人間の家を見つける。そして音もなく近づいて…。
冬の厳しい寒さ、やがて訪れる春。美しい山の風景とともに、ゆきおんなの恐ろしさやはかなさが描かれます。

寒い日にはあったかーいお風呂に入ろう!

寒い日にはあったかーいお風呂に入ろう!お風呂の絵本で、いや、あまたある絵本の中でmy best絵本は、この『おふろやさん』です。

あっちゃんがお父さんと一緒に銭湯=おふろやさんに入るお話ですが、冒頭を除いてこの絵本には「ことば」がありません。最初のページをめくると、銭湯を中心に、俯瞰した街の絵からお話が始まります。そのあとは、番台、脱衣所、洗い場と進んでいきます。少年たちが浴槽で潜水遊びをしておじいちゃんたちに迷惑をかけ叱られてしょぼんとした後、一緒に湯船につかるところとか、銭湯の中で繰り広げられるささいな、けれども生き生きとした出来事を見ることができます。

あっちゃんがおとうさんの腿に頭を仰向けで乗せて洗ってもらっているシーンから、我が家ではそうした洗い方を「あっちゃん洗い」と言っていました。一緒にお風呂に入っているころは、僕がそう言って子どもたちを促すと、僕の腿に頭を乗せてきた、というのは本当に懐かしい思い出です。この姿勢をとるには風呂場が窮屈になってきたことで、子どもたちの成長を感じたこともありました。

息子が5歳くらいになってから初めて銭湯に連れて行ったのですが、息子はこの本で銭湯の存在をよく知っていましたので、最初から臆さず、楽しく入ることができたなんてことも思い出します。

西村繁男さんには、『やこうれっしゃ』という、これも言葉の無い超傑作絵本がありますが、この2冊は、やや大げさに言えば「いろいろな人がそれぞれの人生を歩んでいること」を丁寧に描いていて、言葉がないがゆえ、人々の生活や、そこで繰り広げられているであろう会話を子どもたちと想像しながら繰り返し読んだ、そんなとても大切な思い出とともに、僕の中での傑作絵本であり続けています。

おふろやさん

銭湯を知らない人でもこの絵本を見たら、必ず行ってみたくなること請け合います。行けばそこは別天地。大人は肩まで湯につかり、子どもはたっぷり遊べます。まずは絵本をご覧ください。

お風呂の本から、もう1冊ご紹介。『天女銭湯』も超おススメです!韓国の作家であるペク・ヒナさんの作品を長谷川義史さんが訳しています。ペク・ヒナさんの作品はちょっとユニークな造形(息子は「キモい!」と言いました)の人形が実際の街の中に置かれ撮影されていて、半分リアルで、かつ異世界のような独特な感じが表現されています。長谷川さんの訳す関西弁の柔らかな感じが、この異世界に温かみを与えている感じがします。これ関西弁じゃなかったら全く違う印象だったかも。

韓国の絵本ですが、銭湯やヤクルトなど、日本でおなじみのものが出てくることもあり、おはなしも読み聞かせをするのにちょうどよい長さなので、僕はよくこれをチョイスしています。

天女銭湯

少女・ドッチのすむ町には、ふるーい銭湯があります。ともだちはみんな、新しいスパランドに行くけれど、ドッチは、大好きな水風呂と、あかすりのあとに買ってもらえるヤクルトをたのしみに、きょうも長寿湯にかよいます。いぬかきしたり、水泳選手の真似をしたり、水風呂で遊んでいると...「なんや、このばあちゃん どっからでてきたん!」 はごろもをなくしたという、天女があらわれた!

てぶくろ』は、ウクライナ民話を絵本にしたもの。「てぶくろ」は色んなバージョン出ていますが、この”リアル”な動物たちの絵が僕は一番のオススメ。「エー、無理!無理!」という子どもたちの歓声が聞こえてきそう。

ゆき ふふふ』は、ひがしなおこさんのオノマトペときうちたつろうさんの絵がとても素敵です。同じシリーズで『さわさわもみじ』『あめぽぽぽ』など5タイトルありますがみんなおススメです。小さめのサイズ感もいい。

くうぴいときらきらちゃん』、この本の刊行は2005年11月。僕の息子が生まれてすぐに出たばかりの絵本としていただいた思い出の一冊です。数えきれないくらい一緒に読みました。とてもやさしいおはなしでそこも気に入っています。

やまのこどもたち』は、東北地方の寒い冬が描かれています。昔風の生活が懐かしい。僕はとにかく石井桃子さんが好きなのです。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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