小学生におすすめ! はじめての星新一 名作12選
超短編小説「ショートショート」を1000篇以上も生み出した星新一さんは、「ショートショートの神様」と言われています。
その作品はどれも不思議で、ユーモラスで、ちょっとブラックで、とにかく面白く、大人の方の中にも、「初めて読んだ短編小説は星新一作品だった」という方も多いのではないでしょうか?
今は、子どもにも読みやすく編集された著書がたくさん出ていて、ますます「短編小説デビュー」にもぴったりです。
数多くの名作の中でも、初めて星新一作品を読むお子さんにおすすめの作品をご紹介します。
定番の『星新一作品』を読んでみよう
まずは、数ある星新一作品の中でも特に有名な定番作品をぜひ読んでみませんか。
子ども向けに読みやすく編集されているので、初めて星新一作品を読むお子さんにもおすすめです。
定番の名作(1)『きまぐれロボット』
■どんなお話?
「最も優秀だ」と紹介されたロボットを博士から買って、無人島の別荘で1か月過ごすことにしたエヌ氏。
料理に洗濯、部屋の掃除、ピアノの調律、面白い話など、最初は優秀な働きを見せたロボットだが、2日ほど経つと壊れたり、暴れたり、逃げ出したり……優秀なはずのロボットが、いったいなぜ!?
あらゐけいいちさんの挿絵がついた読みやすい『つばさ文庫』版!
おなかがすいたら料理を作り、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈(たいくつ)すれば話し相手に。なんでもできるロボットを連れて離(はな)れ島(じま)の別荘に出かけたエヌ氏。だがロボットはしだいにおかしな行動を取りはじめる…。次々と飛びだす博士のフシギな発明、発見が、さまざまな騒動(そうどう)を巻き起こす──! ちょっぴりリアルでちょっぴりユーモラス。「ショートショートの神様」と呼ばれた星新一(ほししんいち)の、時をこえて読みつがれる傑作(けっさく)27編!!
『つばさ文庫』で読める星新一作品、こちらもどうぞ!
定番の名作(2) 『おーい でてこーい』
■どんなお話?
村のはずれの山に、深い穴が発見された。
「おーい、でてこーい」と叫んでも、石を落としても、反響しない。
これは相当深い穴だと、その穴はゴミ捨て場として使われ、いろんな要らないものがどんどん捨てられた。
機密書類に動物の死体、原子炉の廃棄物など、都会から運ばれた様々な「ゴミ」が次々と捨てられるが、この穴は一体、どこにつながっているのだろうか……!?
『はなかっぱ』のあきやまただしさんの絵で読みやすい『青い鳥文庫』版!
星新一のショートショート傑作集!!
あっという間に読めるけど、ずーっと心にのこるストーリー。
「読書なんかきらいだ!」というあなたにも、読書好きのあなたにもぜったいおススメです!!
あなたはショートショートって知っていますか?
すごく短くて、ラストには奇想天外などんでん返しのある小説のことです。
星新一は、そのショートショートの天才です。
生涯に1000編以上も書いた、その作品は、どれもこれもおもしろいのですが、中から14作品を選りすぐりました。
すぐ読めて、ながく楽しめる星新一の世界にどうぞハマってください!
■読者の声
穴
ショートショートの神様、星新一さんの傑作が14作収録されています。
全体を通してどれも奇妙なお話なのですが、ラストはゾッとするような恐怖を感じるもの、ジーンと感動するものなど様々。
どれも短いお話なので読みやすいです。
本のタイトルにもなっている「おーいでてこーい」。
底なしの穴にあらゆるものを捨てる人間たち。
いらないもの、汚いものはすべて穴の中に投げ込み、都会がきれいになったと思ったら、思わぬどんでん返しが待っています。
この作品、1992年にテレビの「世にも奇妙な物語」に「穴」というタイトルでドラマ化されています。
この「世にも―」シリーズが好きで放送は必ずチェックしているちょっとしたマニアな私なのですが(笑)、この作品はかなり衝撃的で、ずっと覚えています。
テレビでは分かりやすくするためにいろいろ説明臭かったりするのですが、この原作はスッキリしている分、あとからジワジワと怖さがこみ上げてきます。
ゴミ問題を風刺しているように思えるのですが、星さんがこの作品を書かれた当時はまだそれほどゴミ処理問題が深刻ではなかったとのこと。
とすると、他の作品にあるような未来図ももしかしたら近い将来現実になるのかも・・・
そう思うと、それぞれの作品がちょっと怖さを増してきます。
(こりえ♪さん 30代・ママ 女の子2歳)
『青い鳥文庫』で読める星新一作品、こちらもどうぞ!
定番の名作(3) 『ボッコちゃん』
■どんなお話?
あるバーのマスターが、美しい女性型アンドロイドを作り、店員としてお店に立たせた。
その名は、ボッコちゃん。
見た目は美しい人間の女性だが、知能は低く、客から言われた言葉をそのまま返すしかできない。
しかし男性客たちはボッコちゃんの美しさのトリコになり、お店は大繁盛。
そんな中、ある青年がボッコちゃんに本気の恋をして、お店に悲劇が……。
『ボッコちゃん』の他、『おーい でてこーい』『気前のいい家』など有名作品を多数収録!
異星人が皮をとかすというおそろしいウィルスを地球にばらまいた。ところが…。表題作の他「ボッコちゃん」「気前のいい家」など。
■収録作品
おーい でてこーい
ボッコちゃん
約束
ねらわれた星
デラックスな金庫
気前のいい家
妖精
ある研究
プレゼント
肩の上の秘書
被害
意気投合
よごれている本
なぞの青年
雨
桃源郷
証人
たのしみ
神々の作法
定番の名作(4) 『午後の恐竜』
■どんなお話?
ある日、世界に恐竜が現れた。
人々は最初こそ驚くものの、実態がなく触れらない存在だと知って、恐竜がいる生活を楽しむ。
すると、その存在が、少しずつ進化しているのに気づく。
古代から現代に進んでいくその先は……!?
和田誠さんのユーモラスな挿絵の世界も楽しもう
倒産寸前の電機会社が神頼みに星に願いをかけた。それに答えてある星から地球にない製品の設計図が送られてきたが…。他に12話。
■収録作品
おみやげを持って
指導
夏の夜
マッチ
ひとつの装置
宝船
すばらしい星
分工場
輸送中
友だち
ボタン星からの贈り物
終末の日
午後の恐竜
定番の名作(5) 『ゆきとどいた生活』
■どんなお話?
72階にあるアパートの一室に住むテール氏。
部屋にあるマジックハンドのような「手」が、テール氏を起こし、パジャパを脱がせてシャワーで洗い、ひげをそり、食事を食べさせ、あらゆる世話をしてくれる。
時間が来ると、手がテール氏を繭に乗せ、職場まで運んでくれる。
一切手を煩わせることがない行き届いた生活を送っているテール氏だが、ある日テール氏を乗せた繭が職場についたら……。
ヤングアダルト向けに編集された読みやすい短編集
快適な室温,花の香りをふくんだ新鮮な空気。生活全般を取り仕切る〈手〉と呼ばれる装置…。申し分のない生活にひそむ驚きの結末。
■収録作品
ゆきとどいた生活
愛用の時計
白い記憶
水音
蛍
悪をのろおう
ごうまんな客
探検隊
最高の作戦
顔のうえの軌道
椅子
善良な市民同盟
闇の眼
むだな時間
流行の鞄
『星新一YAセレクション』こちらもどうぞ!
ちょっと長めの作品にも挑戦してみよう
星新一作品のほとんどは短くて読みやすい超短編である「ショートショート」ですが、中には比較的文章量の多い作品もあります。
そんな、「ちょっと長めのショートショート」のみをセレクトしたシリーズがこちら。
読みやすさはそのままに、読み応えも兼ね備えた「ちょっと長めのショートショート」シリーズも、ぜひお楽しみください。
『親しげな悪魔』『侵入者との会話』『ひとつの目標』などを収録!
まじめさだけがとりえの若き銀行員は,ある日,上司に多額の現金の輸送を命じられるのだが…。表題作を含む8編のショートショート。
■収録作品
侵入者との会話
ある占い
おのぞみの結末
親しげな悪魔
ひとつの目標
計略と結果
夢の大金
金色のピン
『マイ国家』『なりそこない王子』『だまされ保険』などを収録!
新しい惑星を発見するため地球をとびたった宇宙船。船には健康で,優秀な男たちが乗りこんでいたが…。表題作を含む9編の短編集。
■収録作品
マイ国家
そして、だれも…
なりそこない王子
だまされ保険
コレクター
友情の杯
冬きたりなば
親善キッス
事実
『ほれられた男』『まわれ右』『宇宙通信』などを収録!
神社で大凶のおみくじをひいて以来,やることなすことうまくいかない青年。彼の不運の原因は? 表題作を含む全9編の短編集。
■収録作品
重なった情景
とんとん拍子
ほれられた男
まわれ右
西部に生きる男
追跡
最後の事業
条件
宇宙通信
星新一作品が絵本になった!
星新一のショートショートを、絵本でも読むことができます。
まだ文字だけの本は読めない小さなお子さんにもおすすめです。
ドキドキの結末は、絵本になっても面白い!
博士のところで見つけたクスリを自分にふりかけたユキコちゃん。いじめっ子をこらしめようと思ったのですが、クスリの効能はちがったのでした!
■読者の声
星新一さんのお話が絵本に!?
星新一さんのお話が低年齢の子でも楽しめるなんて素敵!
もともと、ショートショートだから、一つ一つは読みやすいし、話によってはこうやって絵本に適したものも沢山ありそうですね。もっと、色々な作品を子供と楽しみたい。
こちらの話は私も初めてで、親子で読みました。なるほど~な結末。
私も息子も、この薬欲しいね~と意気投合しました。
(lunaさん 30代 ママ 大阪府 男の子6歳)
2本立てだから、1冊で2作品楽しめる!
未来の夜のニュース。
人類が失おうとしている
「友」とは、いったい誰?……
悪魔が人間の魂をねらっている!
「とりひき」をしてしまった男は
はたしてどうなってしまうのか?
ちょっと未来の夜のおはなしです。
■読者の声
人類に対する警笛
6歳の娘と読みました。
星さんのシュールな世界がクセになってきた私たちですが、
前半の「友を失ったー」は、短いけれど、
とっても考えさえられる物語です。
ゾウといえばとっても身近で、子供たちの中でもメジャーな動物。
そのゾウが、未来の世界ではどんどん数が減って行って、
地球上最後の一匹のゾウがついに息絶えるというお話。
これは人類に対する警笛として、深く心に残りました。
絵本の話だから、では済まされない。
私たち一人一人が、地球上の生態系をもっと真剣に大切にすべきだと
語りかけてくれるお話です。
「とりひき」の方はとってもシュール!
これぞ星さん!といったお話です。
分かりやすいので6歳の娘もとってもぐっときたようでした。
2本立てのお話、一粒で2度おいしい。
是非お勧めしたい一冊です!
(ムスカンさん 30代 ママ 東京都 男の子11歳、女の子6歳)
絵本になった星新一作品、こちらもどうぞ!
エッセイを読んで、星新一さんの頭の中を覗いてみよう
星新一作品の多くは、今から40年以上前に書かれたものですが、未来を予見していたかのようなその感性に、読んだ人は驚かされることでしょう。
一体どんなことを考えていたのか!?そんな星新一さんの頭の中を、ちょっとだけ覗いてみませんか。
作家の日常をつづったエッセイを、ぜひどうぞ。
絶えず世界を観察し、自己と向き合ったエッセイ36篇
星新一作品を読むと、これからの時代に必要な力が養える
星新一作品は、面白いだけでなく、その着眼点や驚きの結末から、「ものごとは様々な視点から観ることができる」ということを学ぶことができます。
それは、これからの社会を生きていく上でとても大切な力です。
時を超えて読み継がれる星新一作品を楽しみながら、ぜひいろんな視点を学んでみてくださいね。
編集協力・執筆:洪愛舜(ほんえすん/ライター・編集者・絵本作家)
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