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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ9月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、9月に読みたい絵本

9月になったからといってすぐに涼しくなるわけではないですが、朝晩がだんだんに過ごしやすくなっていくのにふと気づいて、ああ秋だなあって思う、そんな瞬間がけっこう好きです。そういう時に、日本は四季があって本当にいいなあと改めて思います。 さて、今月の季節の絵本の最初のテーマは「月」。

月夜の絵本

ある月夜、湖に現れたのは…?

つきよのかいじゅう

湖のそばにテントを張り、10年間かいじゅうが出てくるのを待ち続けた男がいます。ある月夜、ついにかいじゅうは出てきました。しかし、それは湖に住む・・・。笑いと美しい絵で心が開放される絵本。

長新太さんの発想は、ほんとにばかばかしくて(ほめ言葉です!)、大好きですが、なかでもこの絵本はその中でもオススメ度ナンバーワン。僕の世代だとネス湖のネッシーが今でいうところのUMA(未確認生物)として1番有名だったけど、この表紙はそのネッシーそのもの、だけど本当は・・・。湖のほとりで10年観察を続ける男っていう設定にロマンを感じますが、10年の重みを全く感じさせない脱力感が面白い!

『22世紀を見る君たちへ』(講談社現代新書)の中で著者の平田オリザさんはお茶の水女子大学の浜野隆教授とベネッセ教育研究所による、「学力テストの上位層(A層)25%と下位層(D層)25%を比べて親の日頃の子どもに対するどんな働きかけ・接し方がその差を生んでいるか」の研究を紹介している。これがけっこう面白くて、孫引きになるが少し紹介すると、A層とD層で、一番差が大きかったのは「家には本(漫画や雑誌を除く)がたくさんある」という項目で、「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした」もそれに続いて差が出ていたそうだ。このあたりは個人的にも納得いくところがある。面白いのはその続きで、3番目の「子どもが英語や外国の文化にふれるよう意識している」(もわかるような気がするが)、さらにその次に差が大きかったのが「博物館や美術館に連れて行く」ということ。これは本にも紹介されているが「毎日子どもに朝食を食べさせている」より5ポイント以上も高い差がみられたそうだ。平田オリザさん曰く、 「子どもの成績を上げたければ、朝ご飯を食べさせるより美術館に連れて行ったほうがいいことになる」。
前後の文脈なくここだけ引用すると歪んで伝わってしまうところがあるので補足すると、オリザさんは「身体的文化資本がこれから大事になる」ということを伝えたいためにこのエピソードを引いているのであって、「成績のためには朝ご飯を食べさせる代わりに美術館にいったほうがいい」と主張しているわけではない。が、調査結果としては確かにそういうふうな結果が出ていることはとても興味深い。 で、かように美術は重要なのです!ということを長々と説明をしましたが、次のご紹介のキーワードは「芸術の秋」。芸術の絵本です。

アートな絵本!

ルーヴル美術館公式探し絵本!

ルーヴル美術館でさがせ!

ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、『ミロのヴィーナス』、『サモトラケのニケ』……
ルーヴル美術館の有名な展示品35点のなかにかくれた、青いカバ「ヒッポ」をさがそう!

ページのすみずみまで目をこらすことで、ひらめき力や集中力がアップ!
子どももおとなも自然とアートに親しめる、遊び心いっぱいの探し物絵本です。
巻末には、西洋美術史家・木村泰司による、アートが10倍おもしろくなる全点解説つき!

このルーヴル美術館のシリーズは、最初図書館版として刊行されたが好評につき一般の書店でもリーズナブルになって手に入れられるようになったもの。ルーヴル美術館の数々の有名な作品をもとにした「探し絵」絵本となっている。ルーヴル公式、というのもすごい。探し絵ということで、美術館で見る以上に絵の細部を見ることになっちゃう。モナリザをこんなにじっと見たのは初めてかもしれません。

「敬老の日」に読みたい絵本

さて次の9月のテーマは「敬老の日」。おじいちゃん、おばあちゃんが出てくる絵本はいろいろありますが、僕の読み聞かせの中での定番ともいえるこの本をご紹介。

おじいちゃんのおじいちゃんはどんなひと?

おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん

「ねえ、おじいちゃん。おじいちゃんのおじいちゃんはどんなひと?」
5歳の男の子の素朴な質問から、時がどんどんさかのぼる。
おじいちゃんからおじいちゃんへ、そのまたおじいちゃんへ……。
そしてたどり着いたところは、原始時代!
「ぼくのおじいちゃんはおさるさんなの?」
大胆な構図とユーモラスな仕掛けで、読むものを引きつけ、笑いを誘う、長谷川義史の初めての絵本です!

よく「デビュー作にはその作家のすべてが詰まっている」みたいなことを言いますが、これはたとえばその後に書かれた名作「おへそのあな」にも通ずる輪廻転生といった壮大なテーマを描いた傑作だと思います。しかもそれが難解な言葉をいっさいつかわず「ひい ひい ひい ひい・・」で表現しちゃうという・・・。絵本というものの底力、奥深さを見せつけられているといっても過言ではありません!いやちょっとおおげさか!?でもとにかく素晴らしい。読み聞かせの時は「ひい ひい ひい ひい・・・」を子どもたちと一緒になって読むと場が盛り上がって楽しいです。

だいじょうぶだいじょうぶ』おじいちゃんと孫のとてもとても大事な話。必ず優しい気持ちになります。

おじいちゃんがおばけになったわけ』こちらもおばけのおじいちゃんと孫の心温まる交流。泣けます。

うそつきのつき』ダジャレのオンパレードと無表情な絵の対比が面白い。

オルセー美術館でさがせ!』上で紹介したルーヴル美術館の探し絵本の姉妹版。ミレーの「落穂ひろい」の中にも見つかるかな?

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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