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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ11月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、11月に読みたい絵本

長袖シャツにジャケット、薄手のコート。そんな格好で出かけられるこの季節は本当に気持ちいいです。でも今年の秋の日照時間は例年に比べて特に少ないようで・・・。とても残念。いろいろあった2020年ももう11月。暦の上では立冬、もう冬が来るんですね。
さて11月におススメする絵本は、勤労感謝の日にちなんで、「はたらくことを考える」絵本特集です!

「仕事ってこんなことをしているんだよ」と、子どもと話せる絵本

すべてのおとうさんに感謝をこめて

おとうさん

絵探しの楽しさあふれる おとうさんの一日。

「ここには一生懸命働くおとうさん達がたくさん登場します。長時間、電車に揺られて通勤し、家族を守っているおとうさんを通して、日本を伝えようとしたわたしの大切な一冊です。」(作者より)

細密に描かれた町や駅の風景のなかに、おとうさんがいます。町並みの様子や様々な人々の動きを楽しみながら、おとうさんを絵探してみましょう。
みんなのおとうさんがきっと見つかるはず。

昭和59年に出版された絵本の復刊です。
時代は変わっても今も昔も、おとうさん達の頑張る姿は変わりません。
すべてのおとうさんに感謝をこめて贈ります。

作者の秋山とも子さんはこの本のあとがきで、留学先のフランスから帰ったあと、(日本で)「みんなが一生懸命、何かに向かって一心に生きている姿に感動して」この本を作った、と書いています。そして「長時間、電車に揺られて通勤し、家族を守っているおとうさんを通して、日本を伝えようとした私の大切な一冊です」とも書かれています。 

僕は『でんしゃがまいります』という作品で秋山さんの作品に出会い、俯瞰の視点で描かれた駅や 駅で働く人々の描写がとても細かくて大好きになりました。その後(※)出会ったこの作品も、通勤時や駅前の風景などが同じような俯瞰の視点で丁寧に描き込まれていて、探し絵的にも楽しめるのですが、本作は、より具体的に、こども服の”アンファン”という会社に勤めているひとりのおとうさんの仕事ぶりも見開きで描かれています。この見開きだけでも「仕事ってこんなことしてるんだよ」と子どもと話せる、素敵なシーンになっています。 

(※:実際の刊行は『おとうさん』のほうが『でんしゃがまいります』より先行しています) 

 

この本が最初に刊行されたのは1984年、つまり昭和59年。街には人が溢れ、通勤電車はたいへんな混雑ぶりです。僕は昭和生まれなのでとても懐かしい感じもしますが、とはいえ平成の時代も令和に入ってからすぐもそんなに変わっていなかったようにも思えます。 

そして、改めて今年。人々が接触を避けざるを得ないような事態が生じ、満員の電車に揺られての長時間の通勤も一部ではなくなりつつあるようです。新しい働き方が定着すると、この絵本で描かれている「駅に人が溢れかえっている」風景も”懐かしいもの”として回顧されていくことになるんでしょうか。いや、僕は満員電車に戻りたいなんて全く思わないけれど。 

子どもの目線から見た親の仕事

パパのしごとはわるものです

パパの仕事を調べに行くと、なんとわるものレスラーだった。ずるいことばかりするパパ。最後にはやられてしまうパパ。観客は大喜び。そんな姿、見たくなかった!でも……。

さあ、次の「はたらくことを考える絵本」、このおとうさんの仕事は「わるもの」です。「わるもの」といっても悪役プロレスラーのこと。この本を最初に読んだとき、映画のようなドラマチックな展開と泣ける設定に素直に感動しました。そうしたらやっぱりその後、2018年になって新日本プロレス所属の棚橋選手主演で映画化されました! 

インパクトのある絵に対する文字の量が読み聞かせにもちょうどよい長さで、小学校での読み聞かせのときにはよく持っていきますが、悪役プロレスラーの仕事をしているパパを子どもが受け入れたくなくて、でも受け入れたくて、という揺れ動く主人公の気持ちを、読み聞かせを聞いている子どもたちも同じように感じているんだろうと思います。そして最終ページは、読んでいる側がちょっとホッとする。何度読んでも、やっぱり泣けます。 

多様な仕事に光を当てる絵本

しごとば

●9職業 9のしごとば
美容師・新幹線運転士・すし職人・自動車整備士・木のおもちゃ職人・革職人・歯医者
パティシエ・グラフィックデザイナー・+1

●仕事の現場が絵本に!
子どもたちに人気の、9職業・9のしごとばが大集合!
すべての職場を取材し、「しごとの現場」を再現しました。使う道具や、
しごとの流れもくわしく紹介。見ればみるほどおもしろい「しごとば」をのぞいてみませんか?

●しごとはつながっている!
「新幹線運転士」が「すし職人」のお店でおすしを食べていたり、せり帰りの「すし職人」が
「自動車整備士」のところに立ち寄っていたり・・・・・・。
自分の得意を生かした仕事は、ほかの人たちの役に立っている・・・・・・。
作者のそんなメッセージが、遊びごころいっぱいに散りばめられています。
そうしたしかけをさがすのも楽しい絵本です。

 

最後にご紹介する「はたらくことを考える絵本」は、その名もズバリ『しごとば』。今や人気絵本作家である鈴木のりたけさんの絵本デビュー作です。僕は父親を対象とした絵本講座で必ずこの「しごとば」シリーズをオススメしているのですが、この本はいわゆる「おはなし」はありません。どちらかというと図鑑に近いものとして、だからこそ父親にもとっつきやすい、大人も楽しめる絵本になっていると思います。いろいろな職業が取り上げられていますが、構成はその職業の「しごとば」が見開きで道具などと一緒に詳細に描き込まれているページ、続いてその職業の仕事内容や、実際の作業手順のようなものがこれまた細かく描かれている、というものになっています。同じシリーズで全部で4タイトル出ています。 

僕が子どものとき、こんな絵本があったらよかったのになと思います。今は、この本をはじめとして他にもさまざまな仕事、職種を描いたハローワーク本とでもいうべきジャンルがあるように思いますが、本当にいい時代になったなあ。”サラリーマン”と一言で言ってしまうことで消えてしまう多様な仕事、業界、道具、技術、そういうものに丁寧に、細かく光を当てて、絵本というジャンルで子どもたちに世界の広がりを見せてあげることはとても重要なことだと思っているんです。 

https://www.ehonnavi.net/style/1284/

『あたまにつまった石ころが』「好きを仕事にする」とはどういうことか?

ダムをつくったお父さんたち』工学部出身のかこさとしさんだから描ける科学ドキュメント絵本。

よるくま』こちらははたらくママが登場。しごとの内容はわからないけれど、忙しい中でも子どもに対する愛情あふれる泣けるセリフが出てきます。ぜひ読んで確かめてください!

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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