【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ12月の絵本
「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」 そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!
パパが選ぶ、12月に読みたい絵本
2020年は、誰にとっても特別な年として長く記憶されることになるでしょう。小6だった娘は卒業式の直前1ヶ月が突然休校になり、最後の思い出つくりが中途半端なものになりました。6年生のクラスは担任の先生も素敵な方でクラスの仲も良かったので、僕としても残念な思いがありました。それでも小学校はがんばって卒業式はやってくれたし、4月には中学校も入学式を実施してくれました。入学式では親は一人しか参列できず僕は映像での中継を遠くから見るだけに終わったけれど、ある意味余計なものが削ぎ落とされてシンプルで良い式だったと思います。春に中3になった息子は、出鼻をくじかれたせいか受験生という感じがしないままこのままなんとなく年を越してしまいそうな感じです(はて困った)。
かくいう僕も2月の終わりから在宅勤務となり、ずっと家で過ごす日々が続きました。奥さんはそんな中でも分散出社で会社に出ていたので、僕は2月の終わりから5月の終わりまで約3ヶ月、日中は子ども二人と過ごすという日々でした。朝昼晩のご飯作り、日々の買い物や洗濯。近場の散歩・・・。こういう日常は、ある意味で幸せでもあり嫌いではないけれど、自由に出かけられないというのはやはり息が詰まるものです。そして、それがいつ終わるのか、当時はわからなかった。いつかは終わる、そんな日を待っていました。
閑話休題。
12月は待ち遠しいことが多い、そんな気がします。クリスマス、冬休み、正月・・・。今回ご紹介する絵本は「待っている」がテーマです。
待ち遠しいクリスマスプレゼント!
おとうさんは こどものころ、サンタさんから なにを もらったの?
『ぼく』がもらったクリスマスプレゼントは、とてつもなくすてきなもの
だったーーー。
すべてのおとなとこどもに贈る クリスマス絵本です。
子どもにサンタさんの存在をどう伝えるか。たぶんすべての親が様々な工夫をこらしていることでしょう。僕の尊敬する先輩は、サンタさんが訪ねてきた証として庭にトナカイの足跡を残したことがあるそうです。すごい。クリスマスイブの夜、プレゼントを持ってきてくれるサンタさんを待つ子どもたちの気持ち。学校に入ると、クリスマスイブは同時に冬休みの始まりだったりして二重の意味で24日が待ち遠しかったものです。
今回ご紹介したこの本は、そういう子どもたちにサンタさんからの卒業を伝えるための本です。12歳になった子どもに、おとうさんはある方法でサンタさんからのプレゼントが今年で最後になることを伝えます。僕はそのやり方がとても気に入ったので、息子が13歳の冬に同じ方法でサンタさんからの卒業を伝えました。もうその頃はサンタさんの存在についてあれこれ詮索することもなく、ただクリスマスイブが明けると枕元にプレゼントがおいてあるという風になっていたので、僕としては納得のいく形できちんと伝える機会が持てたことは良かったと思っています。息子はそんな感慨を知ってか知らずか、その後も変わらず毎年クリスマスには欲しい物を手に入れているのですが……。
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夜ふかしできる日
大晦日、除夜の鐘をつきにいく時間を 版画で表現した絵本
大晦日の夜、男の子が、はじめてお父さんと除夜の鐘を撞きにいく緊張感を、版画で表現した絵本です。お父さんと一緒に歩く普段とは表情の違う夜の道、寒さの中で飲む甘酒のおいしさ、鐘の重み、そして新しい年に変わる瞬間の期待感。満天の星空の下、お父さんに手を引かれて家路につく男の子の後ろ姿が、何とも忘れがたい印象を残します。
高校生のとき、サッカー部の顧問の先生が寺の息子だったので、大晦日に部員で先生の寺に伺い、好きなだけ除夜の鐘をつかせてもらったことがあります。たしか108つどころじゃなかった。高校生男子の煩悩はもっとあるということで。そういう変な思い出もありますが、子どもにとっては大晦日から新年にかけては「夜遅くまで起きていても怒られない」ほとんど唯一の時間といえるかもしれないですね。この「じょやのかね」は木版画の黒と白だけで表現された素敵な絵本。子どもにとって特別な夜が描かれています。著者のとうごうなりささんは、他にも映画のような構図が素晴らしい『さくらがさくと』という春の絵本も出されていて、こちらもオススメです。
待っている絵本
「待つ」時間の豊かさ
クモは巣をはってトンボがかかるのを待っています。花はきれいな色といいにおいでハチやチョウを待っています。セミの幼虫は土の中で空を飛ぶ日を待っています。ほんの数秒、じっと静かに待ってみる。なにが見えてくるしょう? なにがきこえてくるでしょう? 急ぎすぎていた私たちに、「待つ」時間の豊かさを教えてくれる絵本です。
最後にご紹介するのは、タイトルもズバリ『まっている』。この本は冬の絵本ではありません。それでも僕は改めてこの絵本の伝えてくれる「待つこと」をいまご紹介したいと思いました。著者の村上さん同様、僕も釣りが好きなのですが、釣りはまさに待つことそれ自体が楽しかったりします。今年は、本当に大変な事態があったけれど、時間の過ごし方、日々の暮らし方を見直す良い機会ともなったと思います。そういう意味でこの絵本は2020年にご紹介しておきたい絵本です。
いろいろなことがあった2020年もまもなく終わり。子どもたちも僕たちも、2021年を、新しい世界を、楽しい未来を待っています。
まだまだたくさん! 奥平パパセレクト、パパが読みたい12月のおすすめ絵本
『クリスマスおめでとう』小さい子たちにクリスマスの意味を伝えられる、ひぐちみちこさんの優しい絵本。
『こどもたちはまっている』『ちへいせんのみえるところ』この2冊も2020年に読むとまた感慨深い。
『サンタさんのおとしもの』黒がとても印象的な2020年新作クリスマス絵本。
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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