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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ10月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、10月に読みたい絵本

10月は衣替えの時期。クールビズだとか在宅勤務だとかで服装の上で季節ごとの区切りはもう薄れているのかもしれません。昔と違って気象状況もだいぶ変わった、暑い日は暑いしね。でも昭和生まれの僕にとってはなんとなく10月からは裏地のついた厚手のジャケットを着なきゃいけないような気がしています。さあそれでは10月にオススメする絵本です!

美しい秋の景色を背景に……

なめると声が聞こえてくる?! 不思議な6つのあめだま

あめだま

文房具屋でドンドンが見つけたのは、6つのあめだま。部屋で1つ食べると、「リモコンがはさまって痛い!」とソファの声が聞こえてきた! もう1つ食べると、今度は犬のグスリが話しはじめて......あめだまを通して周囲の愛に気づいたとき、ひとりぼっちの少年におとずれた変化とは? 心あたたまる成長の物語。

この本はラストに紅葉のシーンがあるので秋の本ということになると思います。でもそうであってもなくても、ずっと紹介したかった本なのです。

あるインタビューで読んだのだけど、作者のペク・ヒナさんは、この作品を父子家庭でのお話として企図されたとのことでした。世の中には様々な家族の形態があるにもかかわらず、何かひとつを「ふつうの家庭」として固定化してしまうことに「すまない」気持ちをもって作品を作るようになったそうなのです。そしてそういう多様な家庭を想定してお話を作るペク・ヒナさんのことを、やや変な言い方になっちゃいますが「信用できる」と強く思ったんです。

 

僕は絵本を紹介することを通していろいろな方とお話をする機会がときどきあります。僕自身が父親であることから「父親におすすめの絵本」みたいな切り口での紹介を求められることもあります(この連載もそうかもしれないですが)。

「母親と絵本」(もしくは「女性と絵本」)ということと比べれば「父親と絵本」はどちらかといえば少し距離があるかもしれません。なので父親と絵本の繋がりを語ることは、そういう距離をもしかしたら感じている方に向けて少しは意味があることなのかもしれないと思ったりもしますが、やっぱり「性別」や「父親であること」、それ自体に意味をもたせたくはないと、ためらうことも多いんです。本当のところをいえば父親かどうかが重要なのではなく(もちろん母親かどうかというのもここでは同じ程度に重要ではありません)、もっというと血のつながった親かどうかも関係なく、子どもの育ちには多様な人々の関わりが重要であって、絵本についていえば「多様な人々が絵本を楽しみ、読んであげることが子どもたちに必要なこと」と思っています。絵本選びを一人の親に独占させるのではなく、おじいちゃんおばあちゃんも近所のおじさんも田舎にいるおばさんも、そしてもちろん父親もそれぞれが絵本を「楽しみ」、近くにいる子どもたちとそれを「共有する」ことが大切、それが僕の一番伝えたいことなんです。そしてそういう家族の様々な形のひとつを伝えることができるこの本を強くおススメします。

もちろん設定だけじゃなく、造形もお話も本当に素晴らしく、ラストの落ち葉や秋の陽射しのシーンはまるで映画のワンシーンのようでとても美しい、必見ですよ。

読む方も聞く方も爆笑できる、楽しい やきいも絵本

焼き芋食べたら「おなら大会」!

やきいもするぞ

森の動物たちは、焼き芋に夢中! お腹いっぱい食べたあとは「おなら大会」のはじまりです。
かわいいおなら、元気なおなら、おどりたくなるおなら、いろんなおならのオンパレード。〈おいものかみさま〉もあらわれて……。
あたらしい「やきいも絵本」の登場です!!

やきいもとくればおならはつきもの。ただ特にこの本が素晴らしいのは、「エイエイオー」といった乗りやすい文章、文節のちょうどよい長さ、そしておならの擬音がサイコーで読む方も聞く方も爆笑できる、そう読み聞かせには最適な絵本というところ。とても楽しい気持ちになるのでみんなで読もう、エイエイオー!。

やっぱり秋はどんぐり!

一番偉いどんぐりは誰?

宮沢賢治の絵本 どんぐりと山猫

ある土曜日の夕方、一郎の元に届いたおかしな葉書。果たして一番偉いどんぐりは誰なのか?山猫裁判長に頼まれて一郎が思いついた判決とは?ユーモアに包まれた、メッセージの深さに思わずしんとする・・・。宮沢賢治の生前にただ一冊出版された童話集「注文の多い料理店」の冒頭を飾った傑作を、「小学館絵画賞」をはじめとする数々の賞を受賞している田島征三が、自然界ののどかな雰囲気をダイナミックに描いています。お子さんが成長しても記憶に残る傑作です。

宮沢賢治さんの無骨で素朴な表現に対して田島征三さんの野趣あふれる絵が拮抗していて素晴らしい絵本。動物どころか滝やきのこ、そしてどんぐりまでが言葉を発する奇妙な世界も、この絵ならなんとなく納得できちゃうから不思議。

秋の恵みをコレクションしたくなる!

ぼくのコレクション 自然のなかの宝さがし

花、実、種、葉っぱ、虫、ぬけがら、虫の巣、鳥の巣、羽、骨、食べあと、フン……。自然が残っているとはいっても、あまり変哲のない武蔵野の雑木林の一角で、自称「拾い屋」という著者が、下を向きつつ拾い集めた自然の「宝もの」を、四季を通し、ていねいに紹介します。子どもたちにとって、今すぐにでも自然の中へ宝さがしに出かけたくなるような、魅力あふれる、自然へのいざないの本です。ご家族みなさんでお楽しみ下さい。

中身を見れば四季それぞれの野山にある「宝」を紹介してくれていることがわかるのだけど、なんと言っても表紙が豊かな秋の恵みをコレクションしたものが描かれているので、僕にとっては秋の本。毎秋になると思い出してページを開いています。実りの秋、この本の中にも鮮やかに色づいたたくさんの赤い実が紹介されているけれど、やっぱり秋はどんぐり。僕は特にマテバシイが大きくてとても好きです。我が家から一番近い大きい公園には、ふるさとの森なるものがあってここに行くとマテバシイがいっぱい拾えます。それを持っていった袋や帽子に入れられるだけ入れて持ち帰ったことは本当に懐かしい思い出です。息子とでかけた先でざまざまな公園に立ち寄るたびに、マテバシイ以外にもクヌギ、コナラ、シイの実、シラカシ・・・と少しずつコレクションの幅が広がっていくこともとても楽しみにしていました。ここ何シーズンか、このコレクションをスキップしてしまっているので、今年はもう一度公園にでかけよう。そしてずっとできずにいる「どんぐりを食べる」ことにも、今年はチャレンジしてみようかな!?

「ゾンビのホラーちゃん」シリーズ 今年新作の2冊が出て、これでシリーズ4冊に。ホラーちゃんは普通のゾンビの女の子、っていうんだけど普通のゾンビって!?

やさいのおなか』実りの秋、表紙は秋の野菜の定番!小さい子と読み聞かせでやり取りするのが楽しい絵本。

やまなしもぎ』紅葉がとてもきれいです。とにかく太田大八さんが大好きなもので……

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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