【子どもと絵本のエピソード】保育士がっちょに聞く!繰り返し読んだ絵本4選
現役保育士で絵本専門士の大河原悠哉(がっちょ)です。私は公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験したのち、現在は株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて勤務しています。また、子育て支援のイベントを主催・運営したり、保護者向け・保育士向けの絵本講座をしています。子どもとの絵本エピソードや活用方法についてお話しします。
担任時代に繰り返し楽しんだ絵本4選
普段の連載は、季節に応じた内容やテーマの絵本を選書して記事を書くことがほとんどです。しかし、何気ない日常で読んだ絵本の方が1年を通して繰り返し読んだり、子どもたちとのエピソードも多かったりするので、「担任時代に繰り返し楽しんだ絵本」ということで、定期的にご紹介したいと思います。現在は、施設長を務めておりますので、担任時代を振り返りながら、絵本の紹介やエピソードについてお話していこうと思います。
【1】絵本からお店屋さんごっこに発展!
福音館書店の『マフィンおばさんのぱんや』をご存じでしょうか?
私の大好きなお話の1つで、子どもたちからも何度もリクエストをされた絵本です。繰り返し読んでいくと、最初はあまり反応のなかった子どもから「良いにおい~♪」「絶対美味しいよね!」なんて会話が出てくるほどでした!視覚から嗅覚や味覚までも刺激する絵本ってすごいなと思わされる絵本でもあります。これを読んだ後は、粘土を使ってパン作りが始まったり、画用紙などを使ってパン屋さんごっこが始まるなんてこともありました。パン屋さんができれば他のお店もやりたいと言い出す子も現れ、気付けば、お店屋さんごっこに発展!なんてこともありました。子どものつぶやきを大切にしていくと面白い遊びに発展することを感じさせられた絵本です。
パン屋の見習いアノダッテは、ある夜こっそりパンを作ります。好きなものをいっぱい入れた大きなパン種は、かまどからあふれて、どんどん どんどん ふくらんで、さあ大変!
【2】子どもからツッコミがとんでくる絵本
次にご紹介するのは、偕成社の『ベーコンわすれちゃだめよ!』という言葉遊びの絵本です。これは、私が学生時代に恩師に教えてもらった絵本で、初めて見たときに絵のタッチと繰り返しの言葉遊びが楽しくて、子どもたちに読み聞かせをする機会の多かった1冊。あまり馴染みのない言葉(ケープやレーキなど)が出てきたりするのですが、それらは絵で補ってくれ、細かい説明がなくても子どもたちなりに理解していたように感じます。主人公の男の子がお母さんに頼まれた内容をつぶやきながら、おつかいに行くストーリーですが、途中で少しずつ間違えてしまうので、間違える度に子どもたちからは「違うよ!」「〇〇だよ!」と言って鋭いツッコミが入り、読んでいるのが楽しくなってしまう絵本です。
【3】子どもの想像を掻き立ててくれた絵本
私が『おいしそうなしろくま』に出会ったのは、PHP研究所の絵本モニターを半年行っていた時でした。毎月、数冊新刊絵本が届いて、そのたびに子どもたちと読んで、反応や感想を送っていました。その半年の中で、子どもたちの反応が一番良かったのが、この『おいしそうなしろくま』でした。
1ページ1ページ開く度に、子どもたちがゲラゲラ笑って、なかなか次のページに進めないなんてこともありましたが、それくらい子どもたちの反応が良かった絵本でした。よほど気に入ったのか、絵本が読み終わると、「このページのしろくまを描いて!」と子どもたちにせがまれることもしばしば。子どもたちのリクエストに応えて描き続けていると、気付けば自分たちで描き始め、慣れた頃には自分でオリジナルのおいしそうなしろくまを描いて、楽しんでいる様子が見られました。
今では、シリーズ化されたしろくまシリーズですが、その当時子どもたちが描いていた絵の中には、シリーズに出てくるしろくまなども出てきて、「これはシリーズ化するな!」と子どもたちに確信させられた絵本です。
ぼくは、おいしいものをたべるのがだ~いすき。みんなから「くいしんぼうのしろくま」っていわれている。すききらいはもちろんないよ。
ある日、ぼくはおもったんだ。「たべものの中にはいってみたら、どんな感じかな?」そうぞうしただけで、よだれがでちゃう。
ごはんの中って、ふわふわしてあったかいだろうなぁ。みんなは、どんなごはんのおともがすき? ぼくがいちばんすきなのは、うめぼし!
からだとこころをぽかぽかにしてくれるみそしる。きみのおうちでは、どんな具がはいっているかな? ぼくはなめこととうふがおきにいり。
つるつるもちもちうどんもいいなぁ。じゅわっとあじがしみこんだあげもだいすき。おおきくてふわっふわなあげを、おふとんにしてみたいなぁ。
きみはどのすしねたがすき? ぼくはやっぱりまぐろだね。しゃりはすくなめ、ねたはおおきめ。ぺろ~んとしゃりにのってみたいな!
想像力をかきたてるユーモア絵本!
【4】ひたすらもも!大盛り上がり絵本
こちらの絵本は乳児幼児関係なく、盛り上がる絵本の1つです。
とにかくこの絵本に出てくるのは「もも」ばかり!この絵本を読むのに「も」を何回言うのやら、とにかく「もも」です。この絵本を読むたびに子どもにとって繰り返しが楽しいということを肌で感じさせられます。個人的に印象的なページは、もも、もも、りんご、ももの順番に描かれているページがあります。文章としては「もも もも もも」とりんごは空白になっています。なので、私は文章通りに「もも もも もも」と読むのですが、子どもたちは良いタイミングで「りんご!」と応えてくれるのです。読み進めていく中で、子どもたちとリズムが合うことを感じさせられた瞬間でした。
「もう1かい!」は誉め言葉
担任時代を思い出しながら、ニヤニヤしつつ記事を書きました。今は、施設長として、担任とは違った立場で子どもたちと関わっていますが、担任だからこそ、子どもの興味・関心や好みを間近で感じることができるのだと改めて感じます。
子どもたちから「もう1かい!」「また読んで!」は読み手として、最高の誉め言葉だと思います。できる限り、子どもたちのリクエストに応えて欲しいと思いますし、一緒に楽しんで欲しいと思います!また、たくさんの絵本を読むことも大切ですが、繰り返し楽しんで子どもたちの心に残る絵本を作ってあげて欲しいなと思います。ぜひ、子どもたちと一緒に絵本時間を楽しんでくださいね!
大河原悠哉(がっちょ)
公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験ののち退職。現在は、株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて勤務。 平成29年6月に独立行政法人国立青少年教育振興機構による「絵本専門士」を取得。子育て支援センターや図書館、本屋などでおはなし会や保育者・親子向けの絵本講座や研修を行っている。 現在は、保育士・ライター・子育て支援イベントの主催、運営・講師など様々な顔を持つ。 『がっちょの絵本ブログ』を運営。
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