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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ10月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、10月に読みたい絵本

残暑も過ぎ、10月はいよいよ秋本番。過ごしやすく、気持ちの良い季節がやってきますね。食欲、芸術、読書、行楽、運動、実りなど様々に形容されるこの時期、僕はいつもムクムクと芸術への関心が高まります。今回は観ていて美しく、お話も素敵なまるで短編映画みたいな絵本をまとめてご紹介したいと思います。

中国古典の名作「三国志演義」のエピソードを絵本化

三国志絵本 十万本の矢

戦乱に明け暮れた中国の三国時代,呉の周瑜は,蜀の孔明の才気をねたみ,命をねらっていた.その挑戦をうけて,わずか3日間で10万本の矢を用意する約束をした孔明.夜明けの深い霧の中,長江に船出した孔明がえがいた計画とは? 中国古典の名作『三国志演義』の痛快なエピソードを絵本化.

これは三国志演義の一つのストーリーを絵本にしたもの。有名な「十万本の矢」です。策士諸葛亮孔明が機転を利かせ、相手の力を使って十万本もの矢を一晩で手に入れてしまうこのお話。なんと言ってもこの絵が美しく、伝統的な絵柄に見えますが、実はデフォルメの効いた、かわいくモダンな感じがするところが一番の魅力。お話も、戦国時代というものの、どこかのんびりとしていてとても面白いです。

心ゆさぶる物語。水墨画の手法で描かれた迫力の大判絵本。

ウェン王子とトラ

むかし、夜ごと村をおそうトラにこまりはてた王に、国の占い師が予言した。「王子をトラにさしだせば、国に平穏がおとずれる」と。王は、おさない王子をトラのすむ森に置き去りにするが…? 人間を憎みながらも、おさない者を愛する気もちを忘れなかったトラ。トラの元で強く優しい少年に育った王子。人とけもののあいだに生まれた絆が心ゆさぶる、迫力の大型絵本。中国の水墨画の手法で描かれた力強い絵は、各国で高い評価を得ています。

以前同じチェン・ジャンホンさん作の『ハスの花の精リアン』を紹介しました。ジャンホンさんの作品はどれも素晴らしいのですが、この『ウェン王子とトラ』はその中でも一番のおすすめです。力強い筆の運びで描かれたこの絵は、この絵本の大判の判型を存分に生かしていて、すごい迫力。ページごとに遠景・近景が効果的に散りばめられていて本当に短編映画を観ているような気分になります。

中国にはトラに育てられた子どもの伝説があるそうです。実際に動物に育てられた人間の話として、狼に育てられたというアマラとカマラという子どもの話が有名ですが、この真偽はともかく、親の愛というのは動物も人間も同じかもしれない、この絵本を読むとそんな気にもさせられます。

洗練された表現と語りの美しいアンデルセン童話絵本

ナイチンゲール

夜うぐいすとも呼ばれるナイチンゲール。はじめてその美しい歌声をきいた皇帝は涙をながします。ところが人びとは、地味な生きた鳥より、宝石のきらめく作り物の鳥に夢中になりました。ナイチンゲールは森へ帰ってしまいますが、やがて皇帝が病の床でひとり苦しんでいると……。洗練された表現と語りで古典の真髄を伝えます。

童話で有名なアンデルセンが当時のシノワズリ(ヨーロッパで流行った中国趣味)の影響の中で書いたとされるお話。ベルギー出身の画家、カンタン・グレバンさんの絵は洗練されたエキゾチズムとでもいうべくとても繊細で美しい。登場する中国の女性たちのまとう服の艶やかなこと。絵だけでも眺めていたくなるほどです。ナイチンゲールの自由気ままさ、そしてその強さと、日本から送られた人工鳥との対比によって描かれたこのお話の含意には、今も重要な意味があるように思えます。

はるかな時と巡る命を描いた、せつなく壮大な物語

100年たったら

ずっと昔、草原にライオンがひとりっきりで住んでいました。ある日、飛べなくなった一羽の鳥が草原におりたち、一緒に過ごすようになりますが……。ライオンと鳥がたどる、はるかな時と巡る命を描いた、せつなく壮大な物語。

この本を手にしたちょうどその頃、当時小学5年生だった娘が「人は死んだらどうなるの?」と聞いてきました。友達と話したか、身近でなにかがあったのかもしれません。その時僕は輪廻ということを説明してあげたかったのですが、うまく伝えられずで、そのときにこの本のことを思い出し、読んで聞かせました。それで輪廻のことがうまく伝わったかどうかはわかりません。でもこの本のスケールの大きさや、優しさは十分に伝えられたと思います。石井睦美さんの描く世界はとてもドラマティックで深い余韻があります。絵はあべ弘士さん。ライオンと鳥の表紙はとてもインパクトがあります。

1963年刊行、マリー・ホール・エッツのロングセラー絵本

もりのなか

ラッパをもって森に散歩にでかけた男の子は、ライオン、ゾウ、クマと、いろいろな動物たちに出会います。男の子はラッパをふきながら、みんなと行列をつくって森を散歩をします。そして森の中で、かくれんぼうをはじめますが、男の子が鬼をしているうちに、動物たちは姿を消していました。かわりに現れたのは、男の子を探しにきたお父さんでした。「またこんどまでまっててくれるよ」、お父さんはそういうと男の子を肩車にのせて、おうちに帰っていきました。

 

僕の中で最初のエッツの絵本との出会いがこの『もりのなか』です。まるで定点カメラから撮影されたような一つ一つのシーンはすべてモノクローム、お話の幻想的な感じが際立ちます。絵が素敵なのはもちろんのことなのですが、僕はこの本の「おとうさん」が「ぼく」の世界に大きな影響を与えているその存在感に打たれました。機会あるごとにいろいろなところで、僕は「お父さんが読んで聞かせてほしい絵本」としておすすめしています。ぜひ世のお父さんには読んでほしいと思っています。

かいじゅうたちのいるところ』無音でかいじゅうたちが踊る静謐さがクール。

紙しばい屋さん』 今はあまり見られなくなった紙芝居屋さん。僕は実はときどき紙芝居屋さんになって地域の子供達に紙芝居を読んであげたりすることもあります。

この世で一番すばらしい馬』これもチェン・ジャンホンさんの傑作のひとつ。馬のしなやかな筋肉が美しい。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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