新年度を迎えた中学生に贈りたい本 ~本と迎えるごきげんな新学期~
みなさんこんにちは!
学校司書の山下ちどりです。
2022年度、新しい環境には少しずつなじんできましたか?
新入学の中学1年生は、まだまだ緊張でいっぱいの日々と思います。家に着いたら、制服を着たまま眠ってしまった……なんてこともあるでしょう。ゴールデンウィークはゆっくり体と心を休めてくださいね。ゴールデンウイークが過ぎた5月の終わり頃には、今よりずっと毎日の生活が楽になっているはずです。
さて、今回の連載は「新年度を迎えた中学生に贈りたい本」です。
入学間もない1年生にも、中学生が板についてきた中2、中3のみなさんにも、役に立ちそうな本を選びました。保護者の方に読んでいただきたい本もあります。紹介した本が親子の会話にのぼったら、これほどうれしいことはありません。みなさんぜひ手に取ってみてくださいね。
新年度を迎えた中学生におすすめの本は?
中学校をもっと知りたい!
『中学校ってどんなとこ?』
この本は、学校生活、学習、部活、友だちづきあい、スマホやネットとの付き合い方、体と心の成長など、中学校生活と中学生についてトータルに紹介している心強い本です。
どの部活が自分に向いているのかわからない人は、フローチャート式の「ぴったり部活診断」がおすすめ。中学校の勉強についていけるか心配な人や、定期テストの対策をどうしたらいいのか不安になっている人は、第1章「中学校の勉強って、どんなことをするの?」を読んでみましょう。部活と家庭学習の両立方法についても、一日のスケジュール例が出ているので、参考になります。イラストや図が多くて読みやすいうえ、困ったときの相談先リストも載っているので、いざというときに役立ちます。
この本は、当事者の中学生はもちろん、保護者の方にもおすすめなんです。お父さん、お母さんのときには存在しなかった(ですよね?)スマホや学習に使うタブレット端末など、子どもたちの中学校生活は、親世代とはだいぶ異なったものになっています。「中学生の保護者1年生」にむけたページも各章末に載っています。親子で中学校について会話をするきっかけになれそうな本です。
一日の朝をごきげんに始めたいあなたに
『一日がしあわせになる朝ごはん』
みなさん、学校に行く日の朝はどんな過ごし方をしていますか?
どんな過ごし方とか……そんな余裕はなくて、めっちゃテンパってます!
という人は居ませんか? たぶんたくさん、居ますよね……。
かくいう私も、恥ずかしながら「……フワッ! 寝坊!!!」という日が時々あります。
「いっけな〜い! 遅刻遅刻!」と寝癖のままパンをかじって家を飛び出すと、通学路の角で恋が芽生えるのはマンガの中だけです(断言)!
みなさん夜更かしはほどほどに、余裕を持った朝を過ごしましょう!
通学時間が長かったり、部活の朝練があったりして、朝に余裕がない人は、この本を読んでせめて休日だけでも優雅な朝を過ごしてみませんか。
この本には、とっても美味しそうなのに、自分でも簡単に作れそうな(←ココ大事)朝食がたくさん載っています。
39種類のトーストアレンジや、火を使わない3分丼などなど。私のおすすめは、明太子+クリームチーズトーストと、のりじゃこナッツ丼です。ね、美味しそうで、かつ簡単そうでしょう? 時間に余裕がある日に、家族の朝食も作ってあげたら、みなさんの家庭内好感度が爆上がりなこと、間違いなしです!
計画を立てて充実した一日を過ごしたいあなたに
『13歳からの 「手帳活用術」 新装版 学力向上習慣が身につく本 実力&成績アップに役立つ60のヒント』
みなさん「手帳」を持ち歩いていますか?
手帳って忙しい大人が持つものじゃないの?
予定はスマホに入れているから大丈夫!
そう思ってこの本をスルーしてしまうのはもったいない! ちょっとばかりお付き合いください。実は私は、中学生の終わり頃から現在まで「手帳マニア」を自負する手帳好きです。一貫して「紙の手帳」を使っていて、みなさんにも「手帳を持つなら絶対アナログな紙のタイプがいいよ!」と声を大にして言いたいです。
私が紙の手帳をおすすめする理由は
- 開くまでの時間が圧倒的に短い
- 寄り道(動画アプリやゲームなど)の誘惑もない
- 自分の生活の履歴と計画をいつでも確認できる
です。
小学校には「連絡帳」があったのに、中学生になったら何も持っていない、という人も多いかもしれませんね。
中学生こそ手帳を強くおすすめしたい理由は2つ。
- 授業は教科担当制になるので担任の先生がクラスの生徒の課題やテストの情報をすべて把握しているわけではなく、各先生からの情報を自分でまとめる必要があるから
- 中学生は活動場所が複数あって、部活の予定は部によって異なるから
小学校時代は情報を担任の先生が把握して、みなさんに伝えてくれていたことでしょう。中学生からは、「自分で予定を管理して実行する能力」が必要になります。なんだか「大人の仲間入り」って感じですね。
この本には、中学生のみなさんに向けた手帳の活用方法がたくさん載っています。まずは、宿題の内容と、期限を書く。部活の予定を書く。勉強したらその記録を書いておく。この3つだけで十分。手帳を使った「計画」→「実行」の積み重ねは、みなさんの自己肯定感を上げ、いつのまにか周りの人からの信頼も厚くなっていきますよ!
友だちができるか不安なあなたに
『友だちってなんだろう?ーひとりになる勇気、人とつながる力』
「新しい環境で友だちができるかな?」「一人も友だちができなくて一人ぼっちになったらどうしよう!」と不安な人はいませんか?「友だち」の悩みは、中学生だけのものではなく、実は大人だってすごーく重大な悩みごとなんです。
友だちのことで不安になったら、中高生のみなさんの「友だち」問題にドンピシャ切り込んだこの本を手に取ってみてください。第1章には「友だち付き合いを無敵にする3つの力」が書かれています。そのうち、「友だちを作る」という力は1つだけ。あとの2つはなんでしょう? 気になる人はこの本の52ページを開いてみてくださいね。
私は中学校時代に、クラス替えで友だちができず、世界が終わるような感覚になりました。中学時代は、友だちがいることが世の中のすべてのような感覚になって、言いようもない不安や寂しさを感じてしまいがちです。だからこそ、この本を読んで「友だち」を一歩引いた眼でとらえなおし、「能動的ひとりぼっち」の楽しみ方や、「一番」の友だちは自分であることを確認してほしいのです。とはいえ、孤独や不安にさいなまれてしまう人もいることでしょう。本書の4章や付録には、友だち付き合いに関するノウハウ的な要素が盛り込まれています。今、友だちに恵まれている人も、一度は読んでみてほしい本です。
ネットトラブルに巻き込まれる前に、読んでおきたい本
『しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール』
中学生になって、スマホデビューをした人はいませんか? まだスマホを持ってはいないけれど、小学校に引き続いて授業でタブレット端末を使用している人はたくさんいますよね。
インターネットは楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまいます。先日私も、めちゃめちゃ忙しい日だったのにインスタとネットフリマで2時間も時間を溶かしてしまいました……(反省)。大人の私でも、スマホとの付き合い方に四苦八苦です。
この本は、インターネットを「車」に例えて、上手な乗りこなし方を説明しています。そう、スマホは悪者でもなく、現代社会に欠かすことのできないアイテムです。しかし、便利なツールであるものの、危険な側面も持っています。つまり、スマホは上手に使いこなす限り、怖いことはありません。起きそうな事故を想定して未然に防ぐのが大事なのです! 自分の投稿が炎上して大バッシングされてしまった。ネットでお小遣い稼ぎって、本当にできるの? ソーシャルゲームにはまって抜け出せない。この本に載っている事故が起きそうな事例を読んで、自分が事故に遭うのを防ぐことができる、それが「しくじりから学ぶ」のタイトルの意味です。「ネットは怖い」の一番の理由は「その仕組みが分からない」からです。みなさんがソシャゲにはまるのは、弱いからではなく、世界中の英知を集めてはまる仕掛けが組まれているからです。保護者のみなさんも、中学生のネット事情を知ることで、お子さんと同じ目線で会話ができること思います。安全かつ、楽しいスマホの運転をするために、ぜひこの本を手に取ってみてくださいね。
歯は一生の宝物! 自分でケアできるのが大人の一歩
『 歯医者に行きたくない人のための自分でできるデンタルケア』
小学生の頃は、自治体が発行する医療証によって医療費負担がかからなかったという人も多いでしょう(みなさんの医療費は自治体が負担していていたということです)。中学生になると、医療費が必要になる自治体も多くなります。
体のトラブルを予防によって一番防げるのが「歯」。食事を気にしたり、正しい歯磨きをすることで、口の中のトラブルの多くを防ぐことができます。ケアを怠って虫歯だらけになると、最終的には「入れ歯」という手段があるわけですが、持って産まれた歯を生かすことで、皆さんの人生は美味しくて健康的なものになります。「もう大人なんだから、おうちの方の仕上げ磨きなんて必要ないもんね!」というみなさん。自分の体と心をケアできてこそ、大人です。
この本を読んで、大人の第一歩ともいえる「オーラルケア(口腔ケア)」を自分でできる人になってくださいね。
ピンチの時にあわてたくないあなたに
『10代から身につけたい ギリギリな自分を助ける方法』
実は今ちょっとトラブルを抱えていて……という人はもちろん、今は順調だけれど、ピンチの時に慌てたくない、という心配性さんにもオススメしたいのがこの本。友だち、恋愛、家族、自分、中学生は何かと悩みが多い時期。これらの悩みについて各章ごとにいくつもの例を挙げ、自分自身で解決できるようアドバイスしてくれます。この本の最大の特徴はサブタイトルにある「自分を助ける方法」ということです。中学生になったみなさんは、他人の手を借りずに自分でなんとかしたい、と思うことも多いと思います。本書では自分の悩みを「整理して」、「繋がって」、「対処する」という3つの流れが第1章で説明されています。
突然ですが、みなさん「自立」ってどんなことだと思いますか? 私は先日「親友(心の友の心友かな)」と呼べる仲間4人で、このことについて熱く語り合いました。その時ある人から「自立とは、頼れる先をたくさん確保すること」という意見が出たんです。「自立」と「依存」、なんだか正反対のように思えませんか? そして、自立とは「なんでも自分で解決できること」と思っていませんか? もちろん、なんでも自分で解決できれば、それはすばらしいことです。でも、解決できない悩みに直面した時に、頼れる、悩みを受け止めてくれる、親身になって一緒に考えてくれる、そんな存在があったら心強いですね。それまで私は「何でも自分でできること」=「自立」と考えていましたが、親友たちの意見で考え方が変わりました。関係性を日ごろの日常生活で構築できることこそが、自立した存在と思えるようになったのです。
本書に戻って、例えばこんな悩みが取り上げられています。
友だちから無視される
彼・彼女と仲のよい子にムカついてしまう
親が細かいことにまで口を出してくる
新しい環境になじめない
どれも深刻な悩みです。みなさんなら、どう整理して、繋がって、対処しますか?
こどもの心専門医であるお医者さんによるこの本が、きっとみなさんの心を勇気づけてくれるはずです。
一人旅でちょっと冒険してみたいあなたに
『新 青春18きっぷの教科書』
電車やバスの料金は、中学生から大人料金になります。中学生になって行動範囲を広げたいのに、交通費が今までの倍になって辛いわ〜と思いますよね。その気持ち、とってもよくわかります。でも、ちょっと待って!「青春18きっぷ」を使えば、1枚2410円でどこまででも行けるのです!
本当に!? と思ったあなた。本当です。青春18きっぷは5枚1セットで、全国のJR線で1日限り(0時から24時まで)有効です。子ども料金の設定はないので、小学生でも2410円かかります。大人料金になる中学生のみなさん、なんだかお得な気になりませんか?
この本は青春18きっぷの楽しみ方をあますところなく紹介した本です。カラー写真がたくさんあって、駅周辺の観光スポットもたくさん。もともと鉄分多めな乗り鉄のみなさんはもちろん、電車ひとり旅なんて考えたことがない! という人も楽しめる本です。
では! 実際に青春18きっぷでどこまで行けるのか、この本で調べてみましょう。
朝6時台に東京駅を出発すると、2410円で宮城県の宮古駅に行けます。鳥取県の米子駅や、四国の徳島県にある阿波池田駅にもたどり着けます。
すごいですよね。大阪から出発する人は6時に乗れば、熊本県の八代駅や、雪質のいいスキー場と温泉がある野沢駅までたどり着けちゃいます。
これぞ中学生の醍醐味! ひとりで旅を楽しむのもよし、友だち数名と電車旅を楽しむのも良しです。そうそう、ひとり旅を実行する前には、必ず事前にお家のかたの許可を得てくださいね! bon voyage(よい旅を!)
今回のスペシャルコンテンツ
最後に、今回も絵本ナビスタイルの読者さん限定の音声スペシャルコンテンツを用意しています。
「学校図書館ラジオ」を配信しているstand.fm で「音声版、ちどりのオススメ!今月のもう1冊」を聴くことができます♪
下のQRコードからのみ、聴くことができる限定配信です。
QRコードを読み取っていただくか、URLをクリックして聴いてみて下さいね♪
おわりに
今月の連載「新年度を迎えた中学生に贈りたい本」はいかがでしたか?
新年度で何かと慌ただしい時期とは思いますが、忙しいからこそ本を読んで落ち着く時間をとってみてくださいね。細切れでも時間をとって自分と向き合うと、焦る気持ちが整理できるかもしれません。スタート時期にしっかり自分の目標や計画を立てて、1年間を有意義に過ごしていきましょう!
連載【現役学校司書が本でCheer Up! 中学生に読んでほしいオススメ本】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。
Q1. お名前またはニックネーム(記事でのご紹介が可能かどうかもご記入下さい)
Q2. 属性(可能な範囲で)例:小学生、中学生、高校生、保護者、学校関係、図書館関係、その他等
Q3. 質問やご感想をお寄せください。
山下ちどり
現役学校司書。
音声メディアstand.fm「学校図書館ラジオ〜
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