笑って暑さを吹き飛ばそう! パパママも爆笑の「お笑い絵本」
子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介!
注目の新刊や作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。
お笑い好き必読! ネタ番組のように楽しめる「お笑い絵本」
絵本のジャンルの中には、ナンセンス絵本やユーモア絵本というジャンルがございますが、今回はそことは一線を画す“お笑い絵本”をご紹介したいと存じます。もともと「お笑い絵本」なんてジャンルはございません。勝手に作らせていただきました。選んだ基準は“意図的に笑いをとりにいっている!こと”、“お笑い要素(漫才・コント・大喜利など)が濃厚なこと” でございます。お笑いのテクニック(「かぶせ」や「てんどん」など)が存分に楽しめるのではないかと。お笑い番組好きの親子には、ハマること間違いナッシングな選書でございます。
漫才・コントスタイルで爆笑!
まずは、シリーズ最新作が出版されたばかりのこちら!
「なんでやねん」シリーズの最新作、『うみでなんでやねん』(世界文化社)でございます。このシリーズ、一言でご説明すると“漫才絵本”でございます。「なんでやねん」と突っ込みたいことが次々に出てまいります。絵本の中でも「なんでやねん!」とツッコミを入れております。まさに漫才(コント)を見ている気分で楽しめる絵本シリーズでございます。なかでも最新刊の『うみでなんでやねん』は夏にぴったりかと存じます。
このシリーズの絵を担当されているのは、人気絵本作家のあおきひろえさまでございます。落語が大好きで、自宅を『ツギハギ荘』という寄席にしたり、桂文枝師匠(桂三枝師匠)から“大川亭ひろ絵”という高座名ももらうほどのレベルでございます。お笑い偏差値がゴイスーに高いのでございます。絵本の絵を見れば、そのお笑いセンスはお分かり頂けるかと。それだけではございません。テキスト(文章)の鈴木翼さまも、お笑い芸人さんかと思うほどのハイセンスでございます。最近、お笑い芸人さんで絵本を出される方が多いので、てっきりお笑い芸人の方かと思っておりました。芸人さんのネタを聞いているかのような、構成・展開なのでございます。ちなみに、鈴木さまは、あそび歌作家さまでございます。保育雑誌を中心に執筆活動もされており、全国でファミリーコンサートを行われたり、NHKの番組に出演もされております。そして、この「なんでやねん」シリーズが、絵本作家デビュー作なのでございます。お笑いレベルの高いお二人の共演作「なんでやねん」シリーズ、是非、ご体験くださいませ。
「なんでやねん」シリーズ
このだるま ひとすじなわではいきません!
だーるまさん
だーるまさん
にらめっこしましょ
わらうとまけよ
あっぷっ
よ!
よ!じゃないよ
もういちどいくよ
わらうとまけよ
あっぷっ
ぼー
ぼーっとしてないで
もういちどいくよ
・
・
・
このバトルの結末やいかに!
こちらも、ボケ・ツッコミで展開する絵本でございます。こちらの絵本は、だるまさんがボケ役を演じております。こちらも漫才・コントを観ている感覚で楽しめる絵本でございます。テキスト(文章)を担当しているのは、おおなり修司さま。おおなりさまも芸人ではございません。こちらは俳優さまでございます。ナレーターとしても活躍されております。ちなにみ、絵本デビューは、『だるまなんだ』(絵本館)でございます。こちらの絵を担当しているのが、人気絵本作家の丸山誠司さまで、おおなり・丸山コンビで、『アルパカパカパカやってきて』(絵本館)、『たぬきのおまじない』(絵本館)など人気言葉遊び(ユーモア)絵本を出されております。
おおなり修司さんの絵本
だじゃれで爆笑!
次にご紹介するのが、その丸山誠司さまの作・絵の作品でございます。数多くのユーモア絵本を出されております。だじゃれ絵本に関しては、近年一番多くの絵本を出されているのではないかと存じます。ご存知ない方は、是非ご体験頂ければと。「最近のだじゃれ絵本って、こんな感じなんだぁ」と、その構成の面白さに驚いて頂けるのではないかと。新しいスタイルのだじゃれ絵本を開拓されております。先日も『ひでよーし』というだじゃれ絵本を出版されたばかりでございます。
こちら、おととし(2020年)に出版された『ノブーナガ』の姉妹本(武将絵本の第二弾)でございます。主人公はお分かりのとおり、豊臣秀吉さまでございます。内容はというと、「ひでよーし わしは ひでよーし このごろ てんぐと なかよーし みまわり いこみゃー よーし しゅっぱーつ」と始まる物語で、「ながめよーし」「きぶんよーし」と“よーし”が続々に登場いたします。ラップ絵本といってもよろしいかもでございます。それでいて、ちゃんと物語になっております。そこが丸山さまのだじゃれ絵本の魅力でございます。大人も「なるほど……」と納得の構成になっております。パパママも笑える&楽しめる言葉遊び絵本でございます。
『そうだソーダ』(くもん出版)も、“〇〇そうだ”が続々登場するお話でございます。こちらの主人公はソーダ屋の店長でございます。こちらも是非是非。
フリップネタスタイルで爆笑!
こちらの作者のたなかひかるさまは、お笑い芸人さんでございます。『サラリーマン山崎シゲル』の作者さまでございます。パパママの中には、ご存知の方もいらっしゃるのでは…。デビュー作の『パンツさん』(ポプラ社)は、日本絵本賞を受賞。先日、3冊目の絵本『おばけのかわをむいたら』(文響社)が出版されたばかりですが、今回ご紹介するのは二冊目の『ねこいる!』(ポプラ社)でございます。シュールな作品が多いなか、こちらは子どもも存分に楽しめる絵本でございます。ただただ、いろんなところから猫が登場するお話でございます。芸人さんのフリップショーをそのまま絵本にしたような作品でございます。
たなかひかるさんの絵本
芸人さんになりきって爆笑!
バナナのかわですべるサル、もちつきしているウサギ、きんトレするライオン、オンチなゴリラ…おかしなことをする動物ばっかり。でも大丈夫!
みんなが元気になる動物園。
最後にご紹介するのは、人気お笑いコンビ“ぺこぱ”さまが先日出版されたばかりの絵本でございます。こちらは、ネタ番組を観ている感覚で楽しめるというより、自分たちが芸人さんになった気分が味わえる絵本でございます。芸人さんが絵本を出す場合、その芸風そのままが絵本に反映されることはそんなに多くはございませんが、こちらの絵本は、まさにぺこぱそのもの。文章の口調からぺこぱ口調(松陰寺口調)で書かれております。
読んでいると、松陰寺気分、お笑い芸人(ぺこぱ)になった気分が味わえるのでございます。読み聞かせをするパパ・ママも楽しいこと間違いナッシングでございます。お笑い番組好き(ぺこぱファン)のお子様も大喜びでございます。
お笑い芸人と絵本作家がコラボした、岩崎書店「お笑いえほん」シリーズ
N田N昌
絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。
(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)
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