夏を乗り切る! 大人も楽しい「スイカ絵本」
子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介!
注目の新刊や作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。
スイカの絵本で涼をとる! 大人にもおすすめのスイカ絵本
リンゴやイチゴやバナナなど、くだものを題材・主人公にした絵本はたくさんあります。そんななか、1年の中で目にする期間は短いのに頑張っているのが、夏の風物詩、スイカの絵本でございます。わたくしの個人的な感想ですが、スイカ絵本は他のくだもの絵本に比べ、大人も楽しめる絵本が多いような気もいたします。
今年は3年ぶりの行動制限のない夏休み、しかし、感染が急拡大、さらに暑い夏ということで、熱中症も心配でございます。スイカは90%以上が水分ですが、カリウムやビタミンAなどのミネラルが豊富で、その成分比率も市販のスポーツドリンクとよく似ており、熱中症対策などにも効果的と言われております。また、赤い色の元であるリコピンをはじめビタミンB1やB2、リンや鉄分が含まれているので、夏バテの防止などの効果も期待できるとのことでございます。(少々脱線いたしました。)
ということで、今回は、大人にもおすすめ、夏を乗り切るスイカ絵本をご紹介させて頂きます。
まずは、超テッパンのスイカ絵本でございます。スイカの絵本、夏の絵本特集を書店で行う場合は、間違いなく並ぶスイカ絵本でございます。そして、まさに、子どもと一緒にパパママも楽しめる絵本でございます。
まず、石津ちひろさまの文章が面白いのでございます。大人も「なるほど!」でございます。それもそのはず、石津さまは、数々の言葉遊びの絵本を出版されている、言葉遊び絵本の第一人者でございます。長新太さまが挿絵を担当された『まさかさかさま 動物回文集』(河出書房新社)も有名ですが、回文(上から読んでも下から読んでも同じになる文句・言葉遊びの一種)に関しては、日本回文選手権があれば、優勝間違いございません。
それだけではございません。絵を担当しているは、大御所人気絵本作家の村上康成さまでございます。ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、日本絵本賞大賞を受賞、ドイツ児童文学賞にノミネートなど国内外でゴイスーに評価されている村上さまが描くスイカは、一見の価値ありでございます。まあ、絵本なので何度見の価値ありでございます。
次にご紹介するのが、こちらの絵本。『カエルのおでかけ』で第19回日本絵本賞を受賞。去年は、『うしとざん』で第70回小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞、ポップでお洒落な画風もあり大人からの人気も高い、高畠那生さまが絵を担当したスイカ絵本でございます。高畠さまご自身もナンセンス絵本をたくさん出版されていますが、この作品は文章を昼田弥子さまが担当。『あさって町のフミオくん』で日本児童文学者協会新人賞受賞するなど、ナンセンスな作風は大人ファンも多い人気児童文学者さまでございます。
内容的には、言葉遊び絵本なのですが、さすが高畠さま! ビジュアルもユニークな遊び要素満載なナンセンス絵本でございます。カタカナをマスターする年齢のお子様におすすめでございます。パパママはナンセンスな世界を存分に楽しんでいただけると存じます。
余談ですが、くだもの繋がりで高畠那生さまの『バナナじけん』(BL出版)、こちらもパパママも一緒に楽しめる絵本でございます。こちらも是非是非。
関連書籍
お次は、『すいかのたび』(絵本館)でございます。大御所絵本作家、高畠純さまのスイカ絵本でございます。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんがが、高畠那生さまの実父でございます。親子のスイカ絵本、見比べて楽しんでいただければと存じます。
小さいお子様からパパママまで幅広くお楽しみいただける絵本でございます。家に居ながらにして海にいる気にさせてくれる、海にぷかぷかしている気分を味わえるスイカ絵本でございます。
お次は、パパママの子どもの頃の願望を叶えてくれるような韓国絵本でございます。韓国も日本もスイカへの想いは同じなんだなぁと実感できる作品でございます。
内容はというと、今大人気の柴田ケイコさまが脚光を浴びるきっかけになった「しろくま」シリーズを連想する方もいるかもしれません。ただ、こちらはスイカに入るだけはございません。詳しい内容は、お手にとってご確認頂ければと。期待を裏切られることはナッシングかと…。その画風と淡々とした展開が魅力の絵本で、その世界観は大人もハマること間違いナッシングでございます。
こちらも、大きなスイカが題材になっております。正確には、アリから見て巨大なスイカであって、実際には通常大のスイカでございます。巨大なスイカを題材に、アプローチが違う絵本ということで、先ほどご紹介した『すいかのプール』と読み比べを楽しんで頂ければと存じます。ご紹介が遅れましたが、こちら、大人のファンも多い人気絵本作家のたむらしげるさまのスイカ絵本でございます。
先日、30年ぶりの本格画集『たむらしげる作品集』(玄光社)も話題でございます。たむらさまは、第65回産経児童出版文化賞の大賞を受賞した『よるのおと』(偕成社)をはじめ、たくさんの人気絵本を出されておりますが、この『ありとすいか』が、絵本デビュー作(1976年)でございます。
たむらしげるさんの作品
ご覧のとおり、スイカ絵本と言いましても、様々なテイストの作品がございます。今回ご紹介した絵本以外にもスイカ絵本はたくさんございますので、是非、「スイカ絵本」というテーマで、スイカ絵本の読み比べをされてみてはいかがでございましょう。同じスイカでも、いろんなお話があるんだなぁ、お話が作れるんだなぁと、絵本の創作についても体感頂けるのではないかと。そして、読み比べた感想だけでなく、最後に自分でスイカ絵本を創作するというのもよろしいかと。スイカ絵本をたくさん読むことで、自分でも描きたくなること間違いナッシングでございます。まだ、自由研究のテーマが決まっていないとお悩みのお子様、そのパパママ、こんな自由研究もちょっと面白いかもしれません。いかがでございましょう。
N田N昌
絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。
(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |