【今週の今日の一冊】うん、やっぱりこうでなくっちゃ!「おいしいクリスマス」絵本特集
大きなチキンにスープ、イチゴがのった豪華なケーキにシュトーレン……。クリスマスと聞いて思い浮かぶものが、こんなおいしそうなものばっかりな人へ。うん、やっぱりクリスマスはこうでなくっちゃね! 今週は「おいしいクリスマス」と題して、いろどりもあざやかな「ごちそう」が登場する絵本や、憧れのクリスマスケーキ、あるいは心があたたまる飲み物などが登場する絵本をご紹介していきます。
……はやくクリスマスが来ないかな!
2022年11月28日から12月4日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
11月28日 なにも食べずに飛び出したサンタは…?
見るもの見るもの、なにもかもが食べ物に見えてきて……。こんなサンタクロースがいたら、親近感しかわきません!
月曜日は『はらぺこサンタのクリスマス』
いよいよ明日はクリスマス。サンタクロースは準備中。ところが時間がなくて大あわて。食事はあきらめ出発です。たくさんのプレゼントをソリに積みこみ、こびとたちに見送られ、トナカイにひかれて夜空に飛びたったのですが……
おや?
こんなところにシュトーレン!?
はらぺこサンタは思わずごくり。夜空に浮かびあがっているのは、真っ白な粉砂糖に包まれ、果実や木の実がぎゅっとつまっているシュトーレン、のはずもなく。雪が積もったお山です。しっかりしなくちゃ、サンタさん。ところが、今度は目の前にコンソメスープ、ミートローフにブッシュ・ド・ノエル……なにもかもが食べものに見えてきてしまうのです。こんなはらぺこで、サンタさんは大事な仕事を終えられるのでしょうか。
クリスマスのごちそうが画面いっぱいに次から次へ。なんて迫力、なんて美味しそう。こんなに何度も「ごくり」とつばを飲みこむクリスマス絵本があったでしょうか。それもそのはず、作者は「はらぺこめがね」さん。食と人をテーマに創作活動を続ける彼らが手がければ、クリスマスの物語だってこの通り。
さあ皆さんも。この絵本を読んで、めいっぱいお腹をすかせて。素敵な夜を迎えてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
クリスマス気分を高めるために11月に入って少しずつクリスマスの本を読んでいます。
こちらは、クリスマスにまつわる美味しそうなご馳走がたーくさん出てくるので、子どもたちも大興奮。最初のシュトーレンってなに?となりましたが、ケーキやチキンなど、自分たちが知っている食べ物がでるたびにぱくっ!と食べる真似をしていました。
(ままmamaママさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子5歳、男の子3歳、女の子1歳)
11月29日 台所からいい匂い。そこには焼きたての…
「ぐりとぐら」シリーズで印象的な場面といったら、やっぱりおいしいものが登場する場面ですよね。大きな焼きたてのケーキが登場する場面も忘れられません。
火曜日は『ぐりとぐらのおきゃくさま』
森で雪合戦をしていたぐりとぐらが見つけたのは、大きなあしあと。きつねよりもくまよりも大きな、長靴のあしあと。一体だれのものなのでしょう。ふたりがあとを追ってみると、やがて一件の家があらわれます。
「おやおや。なんだか みたことのある…」
それはそうです。そこはぐりとぐら、ふたりが暮らす家だったのです! ドアを開ければ玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバー、まっしろなえりまきや、大きな赤い帽子までかかっています。そして暖炉の横には……。
こんな風に、ぐりとぐらと一緒にドキドキしながらページをめくっていくと、謎のおきゃくさまのヒントが次々にあらわれます。あれ、もしかしたら…? 少しずつ期待の気持ちが芽生えてきた頃、突然ふたりの鼻が何かを捉えます。
「ああ、いいにおい!」
青と赤のとんがり帽子とつなぎがトレードマークの「ぐり」と「ぐら」。この世で一番好きなのは、お料理すること、食べること。そんな二人が活躍する絵本「ぐりとぐら」シリーズは、発売から50年以上経った今でも変わらぬ人気者。その2冊目に登場したのが『ぐりとぐらのおきゃくさま』なのです。
冬のクリスマスの季節にぴったりなこのおはなし。サンタクロースの登場の仕方がとっても個性的なのが強く印象に残るのですが、それに負けないくらい美味しそうなケーキもしっかりと登場します。やっぱり「ぐりとぐら」は、これですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
毎年、クリスマスシーズンに必ず読む本。
おなじみ「ぐりとぐら」のいえに素敵なおきゃくさまがやってきて、ケーキを焼いてくれます。
とっても大きく、おいしそうなケーキです。
いいにおいにつられてやってきたおおぜいのともだちと一緒に、ケーキを食べているページが、みんなとても幸せそうで大好きです。
(クッチーナママさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子4歳、男の子2歳)
11月30日 tとびっきりなクリスマスのごちそうやケーキ!
おかあさんが作る、とびっきりおいしそうなクリスマスのごちそうやケーキ。まねしてみれば、子どもたちもきっと大喜び!
水曜日は『ピヨピヨ メリークリスマス』
「まちに まった クリスマス!」
ピヨピヨひよこ5兄弟たちも、絵本を読んだり、ツリーの飾りつけをしたり。
クリスマスの準備に大忙しです。
でも……
「サンタさん、ちゃんと きてくれるかなあ」
なんだか心配です。おかあさんはいい子のところには来てくれるっていうけど。
5匹一緒にサンタさんに呼びかけてみます。
「いいこにしています。どうか こんばん きてください。」
さて、いよいよ夜がやってきて。
サンタさんはちゃんとみんなのところに来てくれたのでしょうか。
部屋には大きなクリスマスツリー。クリスマスを迎えるにぎやかな市場、おかあさんが作るとびっきり美味しそうなクリスマスのご馳走や豪華なケーキ。
みんなが憧れる、みんなが大好きな家族で過ごすクリスマスがここには描かれています。
ピヨピヨたちの嬉しそうな顔!
この笑顔がみたくて、世の中のおとうさんやおかあさんは頑張っちゃうんでしょうね。
大人気「ピヨピヨ」シリーズのクリスマス絵本。
期待通りの可愛さと面白さで、やっぱり幸せな気持ちにしてくれますよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声
3歳のクリスマスを迎えるにあたって、クリスマスってどんなものかを教えるのに、いい絵本がないかと探していたら、わたしのイメージにピッタリのこの本に出合いました。
作者の工藤さんらしい、ほのぼのした内容で、大人も童心にかえって、クリスマスを待ち遠しく感じる気持ちを思い出させてくれます。娘といっしょに、何度も読み、我が家のクリスマスもこの絵本と同じようにしてみました。
家庭の温かさいっぱいのピヨピヨファミリーのクリスマス。
クリスマスは、やっぱり、こうでなくっちゃと感じる絵本です。
(はーたんのママさん 30代・ママ 女の子3歳)
12月1日 しかけを動かして美味しいクリスマスを召し上がれ!
小さな子でも楽しめる、しかけで味わうクリスマス絵本の人気シリーズ!
木曜日は『おいしい! クリスマス』
かわいい小人がクリスマスのじゅんびをしています。くだものを切って、ケーキにはクリーム、オーブンのなかのチキンもおいしそう! しかけを動かして、おいしいクリスマスをめしあがれ!この絵本は、『クリスマスパーティはじまるよ!』のしかけをもとに、新たな作品として制作したものです。
読者の声より
小さな小さなお子さんにぴったりな可愛く楽しいクリスマス絵本に思いました。
しかけ要素があるのもわくわくしますね。
小人たちも美味しい楽しいクリスマスを送っているのかな。
そんなふうに思うと、ほんわか嬉しい気分にもなります。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子12歳)
合わせておすすめ!
12月2日 「ひとりぼっちじゃなく、いられますように」
心細い思いをしていたテオの心をあたためてくれたのは、あたたかいお茶とおいしいケーキ。それぞれの場面が味わい深く丁寧に描かれています。
金曜日は『テオのふしぎなクリスマス』
「流れ星だ」
テオは目をとじ、両手のこぶしをぎゅっとにぎり、舌をかみ…。お父さんがいつも言っていたのです、願いごとをするときは、心臓のありったけで願わなくちゃいけないって。テオは心臓のすみからすみまで、全部をこめて、願いごとをします。
「ひとりぼっちじゃなく、いられますように」
今夜は、クリスマスイブです。なのに、テオのお父さんとお母さんは、いつものように仕事で留守。ベビーシッターは、テオをほったらかして居眠りをしているのです。
すると、テオのうしろで、クリスマスツリーが、さわさわと音を立て…古ぼけたツリーの飾りたち(天使、ブリキの兵隊、コマドリ、木馬)が動きだします! テオは、とりあえずひとりじゃない。でも、彼らはそれぞれ自分たちの願いがあるようで、それを叶えるためにみんなで外へ出かけ……。こうして、テオと飾りたちの一夜限りの冒険がはじまります。
みんなが本当に大切にしているものを次々に見つけていくなか、テオの心からの願いは叶うのでしょうか。
読み応えのあるストーリーだけれど、愛らしく、カラフルで華やかなイラストが全ての場面を彩りながら進んでいくので、ちっとも長さは感じません。そして、少し切なさを感じるテオの置かれた環境だって、優しく包み込んでくれているようです。そして、最後。感動のクライマックスの場面へと連れていってくれます。テオ、お父さん、お母さん、どの立場の視点から読んだとしても、少し鼻の奥がツンとくるような奇跡を起こしたのが、まさかあの子だったとは!
表紙はまるでツリーの飾りのようにキラキラとひかり、表紙カバーをはずせば更に驚きの装飾が入っている素敵な装丁は、もちろんクリスマスプレゼントにぴったりな一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
12月3日 テーブルにはごちそうがいっぱい!
ちいさなネズミが目にしたのは、木の実のパイや大きなケーキ、アイスクリームに……。
土曜日の『ちいさなねずみのクリスマス』
子ども大人もみーんな大好きなクリスマス。
もちろん、動物たちもその思いは一緒。
この絵本の主人公は、クリスマスカラーの王冠をかぶったちいさなネズミ。
クリスマスイブの日、家じゅうを回るちいさなネズミは、
部屋を彩るクリスマスの飾りにわくわくしたり、
クリスマスツリーに上り下りして遊んだり、
外からやってくるお客さんをおもてなししたり、
木の実のパイや大きなケーキ、アイスクリームを目の前にして
どれから食べようか迷ったり、
クリスマスを心から満喫しています。
(もちろん、“特別な友達”へのプレゼントも忘れません)
温かい暖炉の前でクリスマスの歌を歌い、
プレゼント用の靴下に潜り込んだちいさなネズミ。
ぐっすり眠るねずみの元に訪れたのはやっぱり…。
『クリスマスのこねこたち』(徳間書店)や『チョコレート屋のねこ』(ほるぷ出版)など、
毛先まで繊細に描く動物たちの美しさが人気の絵本作家、アン・モーティマーによる
とってもかわいいネズミ目線で描かれるクリスマスのおはなし。
細部まで丁寧に描きこまれたおもちゃやごちそう、クリスマスの飾りがとても美しく、
家じゅうのあちこちに現れるネズミの姿がとても生き生きとしていて、
この絵本を手に、クリスマスを待つことがとても幸せに感じる1冊です。
サンタさんからネズミへのクリスマスプレゼントはなんだったのか、
それは絵本を読んだ人だけのお楽しみ…。
(木村春子 絵本ナビライター)
12月4日 最後の一つは特別に大きなケーキ
みんなにとってクリスマスが特別な日であるように、ケーキ屋さんにとっても大事な日。朝から大忙しです。なにしろケーキを100個作らなければなりませんからね!
日曜日は『100こめのクリスマス・ケーキ クリスマス・イブのおはなし2』
クリスマス・イブの日のお話です。
いつもより、もっと早起きなのはケーキ屋さん。
「さあ、はじめるぞ!」
もちろん、今日は大事な日。なにしろケーキを100個作らなければなりません。クリームをぬって、いちごをのせて…99個が出来上がります。それから最後の一つは特別に大きなケーキ。毎年ねこのクロと一緒にクリスマス・ケーキを食べるのを楽しみにしているのです。
お店は大盛況。たくさんのお客様に次々とケーキが売れていきます。
「ありがとうございました」
99個のケーキが全部売れた時、ケーキ屋さんは小さな女の子に気がつきます。その子はケーキが買えなかったのです。泣き出してしまった女の子にケーキ屋さんはいいことを思いつきます。それはね…。
とっても素敵なクリスマスの夜を迎えたケーキ屋さんとクロ。あの女の子も楽しいクリスマスを迎えているのかな?
女の子とケーキ屋さん、そしてサンタさん。クリスマス・イブにそれぞれの心がどこかで少しずつ触れ合うことで生まれる物語を、刺繍という表現で素朴に、そして愛らしく描いた小さなクリスマス絵本です。(99個のクリスマスケーキが並ぶ場面は圧巻!)特筆すべきは、この絵本が実は3冊で一つの物語が出来上がっているということ。それぞれの視点から味わえる3冊、『あっちゃんとゆびにんぎょう』『サンタさんのいちにち』と合わせて読んでみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「クリスマス・イブのおはなし」シリーズ
いかがでしたか?
サンタクロースにもみの木、くつしたにプレゼント。どれも魅力的なものばかりが登場するクリスマス絵本。だけどやっぱり。食べることが大好きな子どもたちと一緒に読んでくださいね。
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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