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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】父の日のギフトに絵本はいかが? 作家でおすすめパパ向け絵本

もうすぐ「父の日」ですね。
父の日に絵本を贈ってみませんか? いつも頑張っているパパに、肩の力がふっと抜けるような絵本や、雄大な自然の光景に包まれるような絵本、パパの少年ゴコロをくすぐるような冒険の絵本など、目の前のパパが好きそうなのはどんな絵本でしょう。
今週は、パパにおすすめの絵本を作家の紹介やさらなるおすすめ作品を交えながらご紹介します。

2023年6月12日から6月18日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

6月12日 朝日が次第に湖畔の山々を明るく照らし出して…

月曜日は『よあけ』

よあけ

夜明け前の、静かな湖のほとり。
木の下で眠る、おじいさんとその孫。
月が湖を照らし、山は黒々とたたずんでいる。
なにもかもが、ぼんやりと影になったその場所に、今、少しずつ朝が訪れようとしていた――

ある湖が夜明けを迎えるまでの光景を、淡くていねいに描いた作品です。
湖で眠るおじいさんと孫が、朝を待って湖に漕ぎ出す。
ストーリーはそれだけで、とてもシンプル。
文章もごくごく短く、ただ淡々と、湖畔の様子を語るばかり。

うごくものがない
あ、そよかぜ
さざなみがたつ
しだいに、ぼおっと もやがこもる

それなのに、この作品はとても雄弁です。
少しずつ朝を迎えて、青くよみがえっていくその空気までもが、描きこまれているような色使い。
小さな月の光に照らされた湖畔の景色からは、あたかもその静けさが、しん、と耳に響いてくるようです。
夜明けの空気の冷たい感触や、しっとりとした水辺の香りまでもが感じられそうなほど。
目に見えて空気の色が変わっていく中で、じっと日の出を待つときの、不思議な高揚さえ覚えます。

まだ夜のあけきらないうちに、湖畔に漕ぎ出したおじいさんと男の子。
ふたりを待っていたのは、朝日が湖畔の山々を明るく照らし出す、壮大な光景でした。
まぶしさに思わず目を細めてしまうほどの、色鮮やかな景色がページいっぱいに広がります。
夜が朝に変わった瞬間の、あのさわやかな解放感がみずみずしく迫ってきて、本物の夜明けに立ちあったかのような感嘆が、胸を満たします。

どんなに言葉を尽くしても伝えられない、壮大な色彩の光景!
1ページ1ページを、かみしめながら味わって読んでほしい、静かで美しい一冊です。

(堀井拓馬  小説家)

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=968

みんなの声より

湖の畔、おじいさんと孫が、寝ています。
何も音が聞こえない。
生き物も風も音を立てない瞬間って、
確かにあるものです。
大自然の中、自分の息以外、何も聞こえないような体験を
今まで一度だけしたことがあります。
静まりかえったページを読みながら、そのときのことを思い出しました。
夜明け前、
風が水辺を揺らす音が聞こえてきます。
鳥が起きます。
だんだん朝が近くなる様子が伝わってきます。
おじいさんと孫はボートで湖に出ます。
そこで山から太陽が顔を出し、あたりを照らし、
はじめてページが明るくなります。
ページをめくった一瞬の、明るさの変化がとてもリアルで美しい。
絵本を読みながら、耳を澄ましたり緊張させたり、
光の変化に感動したり・・・、
他の絵本ではなかなかこんな感覚は得られないと思います。
小さい頃にも読んだ絵本を数十年ぶりに読んだのですが、
当時は気に入ったという記憶はありません。
大人向けの絵本なのかも。
(NARIGEさん 30代・パパ 女の子4歳、男の子1歳)

ユリ・シュルヴィッツ(Uri Shulevitz)

 

1935年ポーランド ワルシャワ生まれ。1959年アメリカに渡り、2年間ブルックリンの絵画学校で学ぶ。「空とぶ船と世界一のばか」(岩波書店刊)でコルデコット賞受賞。他に「あめのひ」(福音館書店刊)などの作品がある。東洋の文芸・美術にも造詣が深く、この「よあけ」のモチーフは、唐の詩人宗元の詩「漁翁」によっている。

6月13日 名コンビがつくった猫絵本の傑作が25年ぶりに新版に!

火曜日は『ふわふわ』

ふわふわ

25年ぶりの新版、登場!
村上春樹・安西水丸の名コンビによる
猫絵本の傑作、よみがえる。

デザイン、判型を一新した、新しい『ふわふわ』です。
『ふわふわ』をもっと楽しめる「『ふわふわ』のしおり」がついてます。

「この『ふわふわ』で一番考えたのは猫の「ふわふわ感」です。
毎日、「ふわふわって何なんだろう」と考えながら他の仕事をしていました。」――安西水丸

6月14日 浜辺に打ち上げられた古いカメラに映っていたのは…

水曜日は『漂流物』

漂流物

浜辺に打ち上げられた一台の古いカメラ。ひろった少年が中のフィルムを現像してみると、そこには驚くような世界がうつっていた……。ウィーズナーのリアルで精緻な描写で表現された、文字のない絵本。 2007年コールデコット賞受賞作です。

みんなの声より

知らない世界を覗いているようで、ドキドキしました。

絵本なのですが、なんだか良質な映画を見終えたような気持ちです。

文字がないので、想像力を働かせないといけない場面もありましたが
何度か読むうちに、こういうことかな?と分かってきました。

眺めているだけでも、素敵な世界に浸れる絵本です。
(なーお00さん 30代・その他の方)

デヴィッド・ウィーズナー(David Wiesner)

 

1956年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。ロード・アイランド美術学院卒業後、子どもの本の仕事を始める。1989年に初めての自作絵本『フリー フォール』(BL出版)で、コールデコット賞にノミネート、1992年に『かようびのよる』で受賞。その後2002年『3びきのぶたたち』、2007年 『漂流物』(共にBL出版)でも同賞を受賞。

6月15日 いつも頑張るお父さんが肩の力を抜けますように

木曜日は『あつかったらぬげばいい』

あつかったら ぬげばいい

「ヘトヘトにつかれたら」
「ふとっちゃったら」
「だれもわかってくれなかったら」
「せかいがかわってしまったら」…。

2コマごとに展開する老若男女の疑問に、ユーモラスで痛快な答えが待っている。

大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本が登場!
大切な人への贈り物や、お守りのように側に置きたい1冊です。

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=150798

みんなの声より

「あつかったらぬげばいい」・・・その通りだ!と思いました。無理しないで思ったとおりに動いてみるのも一つの手。地味に生活様式がちょうど合っていて納得できる場面が多かったです。本もコンパクトサイズなのでちょうどいい。机にそっと置いて、たまにめくって「あー、そうだよなぁ」と思って癒されています。
ヨシタケシンスケさんのこの本は発想の転換次第で人の行動やこれからの生き方を変えることができるのかもと思いました。
(えなびぃさん 40代・ママ 女の子3歳)

ヨシタケシンスケ


1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。

6月16日 なんて気持ちよさそうな二人のドライブ!

金曜日は『ドライバーマイルズ』

ドライバーマイルズ

谷川俊太郎さんが訳したジョン・バーニンガムの絵本。
主人公はやっかいな犬!
何がやっかいって……
よばれてもこない。
さんぽがきらい。
あめもきらい。
名前は、マイルズ。

やっかいな犬なのに、飼い主のアリス・トラッジと息子のノーマンは、マイルズが大好き。
マイルズが本当に好きなのは、車で出かけること。
だけどくる日もくる日も犬のために車で出かけるなんてごめんだわ、とアリス・トラッジがぼやいています。
するとお隣のハディさんが、犬用のマイカーを作ってあげる、と言い出して……!?

すごい! 本当にマイルズの車ができちゃった!

マイルズがどんなに上手に車を運転するか、それはもう、絵本を見てくださいね。
ある日は、朝日ののぼる海辺。
ある朝は、左右に牧場がひろがる田舎道。
秋の落ち葉をまきあげながら、ハンドルを握って疾走するマイルズ。
もちろん横にはノーマンが乗っています。
なんて気持ちよさそうな二人のドライブ!
二人だけのヒミツ、というのがまた素敵です。

ジョン・バーニンガムが描く線や色彩はいつにもましてのびやかで、一見なんでもない犬、マイルズの表の顔(やっかいな飼い犬としての)と裏の顔(かっこいいドライバーとしての)をユーモアたっぷりに描き出します。
冒頭に「やっかいな我が家の愛犬マイルズ」とモノクロ写真が載っていますから、きっとジョン・バーニンガムの犬そのものだったんでしょう!?

マイルズのドライブセンスはすごい。でも……もっとすごいのはハディさんかも?
最後まで、読者に想像させ、わくわくさせてくれる絵本ですよ。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

みんなの声より

主人公はマイルズ。車にのってでかけるのが大好きな、やっかいな犬。そのやっかいさが、うちの犬にそっくりで笑ってしまいました。
でも、やっぱり、バーニンガム。ただの犬の本ではありません。そこからが、ユーモアいっぱいの、びっくりの展開に!
絵もきれいで、おもしろい。楽しさがつまった絵本です♪
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)

ジョン・バーニンガム(John Burningham)


1936年イギリスのサリー州に生まれる。若いころは、兵役を拒否し、さまざまな仕事をしながら世界中をまわった。その後、ロンドンにある美術学校に通いながらイラストの勉強をし、ポスターなどを描いていたが、はじめて手がけた絵本『ボルカはねなしガチョウのぼうけん』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞、絵本作家として鮮烈にデビューした。その後『ガンピーさんのふなあそび』で再度受賞し、この賞を2度受賞したはじめてのイラストレーターとなる。『ガンピーさんのドライブ』『おじいちゃん』『ねんころりん』『旅するベッド』『エドワルド せかいでいちばんおぞましいおとこのこ』など多数の作品を発表しており、いま、世界で最も注目されている絵本作家のひとり。夫人は著名な絵本作家であるヘレン・オクセンバリー。
 

6月17日 センス・オブ・ワンダーに満ちた「文字のない本」

土曜日は『アライバル Paperback Edition』

アライバル Paperback Edition

 

世界中に衝撃を与えた「文字のない物語」。知らない土地に移り住み、新たな人生を歩む人間を、豊かな想像力と魅力的なイラストで綴ったかつてない感動の絵本。社会的分断を乗り越える書物。

みんなの声より(※2011年刊行の通常版『アライバル』のレビューより抜粋)

セピア色の雰囲気のある表紙に惹かれ、手に取りました。
字のない、絵が語る本です。
新天地を目指して旅立った男性が、戸惑いながらも少しずつその街に慣れていき、ついには家族を呼び寄せるまでが、丁寧に語られます。
映画を見ているような感覚で読めます。
とても素敵でした。
男の人に絵本をプレゼントするなら、こちらも良さそうです。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子14歳、男の子11歳)

ショーン・タン(Shaun Tan)


1974年オーストラリア生まれ。これまでにオーストラリア児童図書賞他数々の賞を受賞。作品は世界中で翻訳出版されている。代表作『アライバル』のほかに『遠い町から来た話』『レッドツリー』が邦訳されている。

 

photo by Inari Kiuru

6月18日 今日は「父の日」。のんびりゆったりとした一日を。

日曜日は『まっている。』

まっている。

キョロロロロロ
キョロロロロロ

よく晴れた気持ちのいい空の下、山のどこかで響いているのはアカショウビンの鳴く声。ニイーニイ―ニイ―、セミの声も聞こえてきて。

ぼくはウキを見つめて、魚がかかるのを待っている。木の上ではクモが巣をはってトンボがかかるのを待っている。花はハチや蝶を、サンショウウオはアユを、セミは空を飛ぶ日を……待っている。

オオミズナギドリも、シカの子も、じっとそこにとどまって。それはほんの数秒かもしれないし、ずっとなのかもしれないけれど、そこで静かに待っている。だから、わたしだって「待ってみる」。すると降りそそいでくるのは……色んな感触! 音! そして。

何かが起こったような、起こらなかったかもしれない一日。絵本の中にあるのはのんびりゆったり、そんな時間だけ。でも、不思議とピンと張りつめているような緊張感もあり。読み終わってみれば、とても豊かで充実した一日を過ごしたような気持ちになるのです。

村上康成さんの最新作のタイトルは『まっている。』。言われてみて、私たちは改めて気がつきます。自然界ではそんな時間が当たり前なのだということ、そして「待つ」という行為そのものが、生きていくことなのだということに。

ふと周りを見れば、口をあけてどこか一点を見つめている子がいる。ベンチに座ったまま動かない人がいる。嬉しそうに少し笑ってお茶を飲んでいる人がいる。邪魔をしないようにしなくてはね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

http://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=149200

みんなの声より

大自然の中で、自然の一部になりながら、じっと獲物がかかるのを待っている。
釣りをするボクも、クモも、サンショウウオも…、ただただじっとしているところは、イライラからいつか解放されて、ゆったりとした気持ちになれますね。でも、その時をじっと待っているのです。
その瞬間を逃さぬように、その時が来ることを願いながら…、ちょっと緊張感や祈りを感じます。
村上康成さんの絵が素敵です。
(ヒラPさん 60代・その他の方)

村上 康成(むらかみやすなり)

 

1955年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルドライフアート、オリジナルグッズなどで独自の世界を展開する、自然派アーティスト。「ピンクとスノーじいさん」(徳間書店)、「プレゼント」(BL出版)、「ようこそ森へ」(徳間書店)で、ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞、「ピンク!パール!」(徳間書店)で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌、「なつのいけ」(ひかりのくに)で日本絵本賞大賞、「999ひきのきょうだいのおひっこし」(ひさかたチャイルド)が2012ドイツ児童文学賞にノミネートなど国内外で高く評価されている。主な作品に「星空キャンプ」(講談社)、「さかなつりにいこう!」(理論社)、「石のきもち」「くじらのバース」(ひさかたチャイルド)、新刊「どろんこ!どろんこ!」(講談社)など多数ある。伊豆高原と石垣島に、村上康成絵本ギャラリーがある。

いかがでしたか。
もしパパ自身がご覧になって気になる絵本がありましたら、ぜひ手にとってみてくださいね。

秋山朋恵(絵本ナビ 副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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