【今週の今日の一冊】今年も夏がやってきた… 2023年新刊「夏の絵本」が大集合!
今年も夏がやってきた!「 今日一日をどんな風に過ごそうか」……そんな風にのんびり考えることができるのも、時間がたっぷりある夏休みの魅力です。そして、子どもの頃に見た風景、暑さ、セミの声など、大人になっても忘れられない記憶となることも多いですよね。そんな夏の景色を画面に映し出してくれる魅力的な「夏の絵本」が、今年もたくさん登場しています。 気になる絵本をいち早くチェックしてみてくださいね。
2023年7月17日から7月23日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
7月17日 手のひらに乗せた貝がらから見えてくるのは?
「海の日」に読みたくなるのは、こんな素敵な海の物語。
7月18日 あの夏の日に見たぼくの不思議な体験は……
絵本作家・あべ弘士が、旭川での少年時代をもとに描く、少年と夏の絵本。
7月19日 子どもたちの憧れの光景がぎゅっとつまった夏休み
なかがわちひろさん&たかおゆうこさんコンビによる「プリンちゃん」シリーズ第6弾の舞台は「夏」。
水曜日は『プリンちゃんのなつやすみ』
さあ、プリンちゃんの夏休み。
家族みんなで海へお出かけです。
きらきら、さらさら、おさとうの砂浜。
ひんやりしゅわしゅわ、ソーダの海。
ああ、なんて素敵なのでしょう。
おなかが空いたら、おべんとう。
中身はもちろん、ぜーんぶおかし。
りっぱな砂のお城をつくったら、色とりどりの貝で飾りつけ。
夜になっても、まだまだお楽しみはたくさん!
なかがわちひろさん&たかおゆうこさんコンビによる「プリンちゃん」シリーズ第6弾の舞台は「夏」。まるごと一冊、どこをきりとってもトロピカル。青い空に白いくも、そして可愛いプリンちゃん。今回もやっぱり子どもたちの憧れの光景が、ぎゅっとつまっているのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
7月20日 夏休みのなかで、いちばん楽しい一日
俯瞰(ふかん)で見る独特のスタイルで描かれた『こたつ』が話題となった麻生知子さんの最新作のテーマは「なつやすみ」。
7月21日 ひまわりの一生を通じて、命を慈しむ心をはぐくむ絵本
赤ちゃん絵本として大人気の「ぴよちゃんえほん」より、少し文章が長めの「ぴよちゃんのおはなしえほん」シリーズ。長く読まれ続けていたお話が、新たに新版として登場です!
金曜日は『ぴよちゃんとひまわり』
ひまわりの種を拾ったひよこのぴよちゃんは、葉っぱを増やしてから食べようと待っているうちに、ひまわりと仲良しに。夏中、楽しく遊びますが、夏の終わりにぴよちゃんとひまわりの悲しい別れがやってきます。春から始まり、初夏から夏、秋、冬、次の夏へと、四季の移り変わりを美しい絵で描く中で、出会いと別れ、生命の誕生と喪失、そして再生。ひまわりの一生を通じて、命を慈しむ心をはぐくむ絵本です。ひまわりの花がパッと開くしかけ付き。
ロングセラーの旧版を装いも新たに新版としてリニューアルしました。
7月22日 波とおいかけっこしたり、うきわでプカプカしたり
「たちもとみちこのこぶたちゃんしかけえほん」シリーズでは、こぶたちゃんたちが遊んだり、出かけたり。さまざまな経験を楽しく描き出します。そしてこぶたちゃんは、はじめての海へ!
土曜日は『うみのおと』
日曜日、こぶたちゃん家族と電車に乗ってお出かけです。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
移り変わる窓の外の景色。真っ暗なトンネルを抜けて、目の前に広がったのはーー穏やかにキラキラと輝く、海!
「わあ、きれい」
ざざーざざー、波と追いかけっこ。浮き輪にのって、ぷかぷか。足をぱしゃぱしゃ、お父さんと泳ぎの練習……。
こぶたちゃんにとっては何もかもが新鮮で楽しい!
明るくカラフルなイラストと楽しいしかけが人気の「たちもとみちこのこぶたちゃんしかけえほん」シリーズ、今回はこぶたちゃん、初めて海と出会います。しかけをめくれば、真っ白な砂浜、どこまでも続く青い空、そして果てしなく広い海。思わず息をのむ感動がページいっぱいに広がります。
つま先で歩いちゃうほど熱い砂、もこもこの入道雲、しょっぱい海水、ドキドキ楽しくおいしいスイカ割り。初めて海で過ごした日の胸の高鳴りを思い出しながら、まだ行ったことのない人はいつか出会う日を想像しながら、海での特別な時間をこぶたちゃんのみずみずしい目線で味わえる絵本です。水平線に沈む夕日の美しさに込み上げる、ちょっと切ない気持ちも……。
「また、うみに いきたいな」
楽しかった一日のいろいろな感触、感覚を思い出させてくれるのは「うみのおと」。目を閉じて耳を澄ませて、こぶたちゃんといっしょに聞いてみてくださいね。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
7月23日 赤くて丸くて、ぴかピカのトマト
ブラティスラヴァ世界絵本原画展で金のりんご賞を受賞されている荒井真紀さんが、新作で描いたのは「トマト」。自然観察の参考にもなる一冊です。
日曜日は『トマト』
赤くて丸くて、ぴかピカのトマト。ヘタ周りの青さもみずみずしい大きなトマトに魅了されて次へページをめくると……。びっくり! ちっちゃな茶色っぽい種が、真っ白いページの中央にちょこんと描かれています(これが、本物の種の大きさ)。
「こんなに ちいさな たねが、どのようにして トマトの みに なるのでしょうか?」
種を蒔くと、その種は地中でグングン根と芽を伸ばし、やがて地面に顔を出す。小さな双葉から、ギザギザした葉が出て、どんどん大きくなって……。黄色い花が咲き、青い実になり、赤く染まった中にまたたくさんのつぶつぶの種が見えるまで。トマトができていく様子がよくわかる絵本です。
作者の荒井真紀さんは、繊細で美しい植物の絵に定評のある絵本作家さん。『たんぽぽ』(金の星社)で2017年度ブラティスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞しています。
本書も、茎やヘタに生えた白い産毛のようなものまで描かれる緻密さは圧巻。最後に登場するトマト料理もとってもおいしそう!
春から初夏にかけて園芸店やホームセンターで見かけるトマトの苗。実際に育てて、収穫して食べることができたら、子どもには忘れられない経験になるかもしれませんね。
親子で絵本を見ながら、スーパーのトマトがどのようにできたのか、おしゃべりしつつ想像するも良し、実際に育ててみるのも良し。幼い子の視点を広げてくれる植物観察絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
いかがでしたでしょうか。絵本を読んでいるだけで、なんだか同じ経験をしてきたような気持ちになるから不思議です。忘れられない一冊を見つけてくださいね。
磯崎園子(絵本ナビ編集長)
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