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児童文学作家 角野栄子さんの「魔法の文学館」がついにオープン! 角野栄子さんの作品、どれから読む?

2023年11月3日(金)についに「魔法の文学館」(江戸川区角野栄子児童文学館)がオープンしました。いったいどんな場所なのでしょう? 本記事では開館を記念して、「魔法の文学館」のご紹介と、館長に就任された国際アンデルセン賞受賞作家である角野栄子さんのおすすめ作品をロングセラーから新刊までたっぷりご紹介します。

角野 栄子(かどのえいこ)
1935年東京都生まれ。早稲田大学教育学部英語英文科卒業。日本福祉大学客員教授。1984年に路傍の石文学賞を受賞。「おおどろぼうブラブラ氏」(講談社)でサンケイ児童出版文化賞大賞、「魔女の宅急便」(福音館書店)で野間児童文芸賞と小学館文学賞を受賞。絵本に「ケンケンとびのけんちゃん」(あかね書房)、「ぼくびょうきじゃないよ」(福音館書店)、童話に「ちびねこチョビ」(あかね書房)など作品多数。
 

「魔法の文学館」ってどんなところ?

「魔法の文学館」とは……
角野栄子さんの作品と功績を多くの方々に知っていただくとともに、未来を担う子どもたちが児童文学に親しみ、豊かな想像力を育む場となることを目指した児童文学館です。

なぎさ公園の丘に建つ純白の建物は、建築家・隈研吾氏が設計を担当されたとのこと。「フラワールーフ」と名付けられた特徴的な屋根は、花びらが広がるようなデザインになっています。周囲の景観と調和しつつ、外と中をつなぎ、子どもたちの想像力と創造力がふくらむような工夫がされています。屋外のテラスや芝生の上でも本を読むことができ、四季折々に咲きほこる花々を楽しめます。
 

【外観写真】江戸川区の自然と一体化したお花のような建物「写真提供:魔法の文学館」

コンセプトカラーは「いちご色」。『魔女の宅急便』の舞台となった「コリコの町」をイメージした世界が広がる館内の内装デザインは、アートディレクター・くぼしまりおさんが手がけられました。ちいさな「おうち」が集まったようないちご色の本棚や、いちご色のソファなど、館内いっぱいにいちご色が広がっています。

【館内写真】見渡す限りのいちご色が楽しい「写真提供:魔法の文学館」

「おうち型」の本棚に囲まれたライブラリーには、角野栄子さんの著作はもちろんのこと、栄子さんが自ら選んだ世界の児童書や絵本が、並べられています。子どもたちは自由に本を選び、自分の好きな場所でゆっくりとお気に入りの本を読むことができます。なお、本の並べ方は、子どもたちの自主性を活かすべく敢えてあまり分類せずに置かれているのだそう。

好きな場所で自由に本を楽しんで「写真提供:魔法の文学館」

「魔法の文学館」概要

【施設名】 魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)
【所 在 地】 東京都江戸川区南葛西7-3-1 なぎさ公園内
【開館時間】 9:30~17:30 (最終入館 16:30)
【休館日】 火曜日、年末年始(12月29日~1月3日)

【入館料】 一般(15歳以上):700円<500円> こども(4歳~中学生):300円<200円>

江戸川区在住・在勤・在学者、障がい者、団体割引あり。

入館は、日時指定の事前予約制が基本。詳細は公式HPにて。

角野栄子さん作品紹介

ここからは、絵本から幼年童話、物語、大人向けのエッセイまで、角野栄子さんのおすすめ作品をご紹介します。「魔法の文学館」へお出かけする前の予習に、また出かけた後の余韻に手にとってみませんか。

「魔女の宅急便」シリーズ

まず、角野栄子さんの代表作といえば、「魔女の宅急便」ですね。スタジオジブリのアニメやミュージカル、さらに実写映画にもなりました。主人公である魔女のキキは子どもから大人まで、日本で一番知られている魔女かもしれませんね。「魔女の宅急便」シリーズは全部で6巻。自立や、進む道への悩み、自身のこと、恋愛、結婚など、さまざまな事に悩んだり、傷つきながらも、何度も立ち上がり成長していくキキの姿は、読む人に大きな共感をもって愛されています。

「魔法の文学館」の中には、キキのカフェがあるそうですよ。

『魔女の宅急便』(小学4年生ぐらいから大人の方に)

魔女の宅急便

魔法が使えて、ほうきに乗って空を飛べる……。子どもの頃、一度は憧れたことがあるでしょうか。
でも魔女ってなんだか遠い存在? いえいえ、とっても親しみやすくてかわいい魔女がここにいます。

その名はキキ。キキは魔女のお母さんと、人間のお父さんの間に生まれた女の子。
“13歳になったら、魔女としてひとり立ちするために、家を離れて知らない町で1年間暮らす”というきまりに従って、キキは満月の夜、ほうきに乗って相棒の黒猫ジジと一緒に新しい町へと旅立ちます。辿り着いたのは、きれいな海に囲まれたコリコの町。想像していたよりも大きな町ではあったけれど、ひと目で気に入ったキキはこの町で修行することにします。幸運にもグーチョキパン屋のおソノさんと出会い、下宿させてもらいながら、持っているたったひとつの魔法“ほうきで空を飛ぶこと”を生かして、お届けもの屋さんをはじめるのです。

ここでは魔法はたったひとつということが重要なポイント。ひとつだからこそ、自信をなくした時の落ち込みは相当なものですが、ひとつだからこそ、それを生かせたときの喜びが大きく伝わってくるのです。

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents_old.asp?id=96 インタビュー 実写映画記念「魔女の宅急便」の魅力にせまる!
【カフェ・キキ】旧江戸川を一望できる、見晴らしの良い空間「写真提供:魔法の文学館」

「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズ(4歳ぐらいから小学1、2年生に)

角野栄子さんがライフワークとして取り組み続けているのが、こちらの「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」。

アッチはレストランにすんでいる食いしんぼうのおばけ、コッチはとこ屋さんにすんでいるおしゃれなおばけ、ソッチはあめ屋さんにすんでいる歌の好きなおばけです。アッチ、コッチ、ソッチのまわりではいつも「ドキドキ」と「ワクワク」がいっぱい。 1979年に『スパゲッティがたべたいよう』でスタートした「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」は、魅力的なキャラクターと自由な発想のストーリーで、子どもたちの大きな支持を集め、親から子へと世代を超えて読み継がれています。

1979年にこちらの作品から始まりました!

スパゲッティがたべたいよう

おばけのアッチは、とてもくいしんぼ。ある日、夕やけの空をとんでいると、下のほうからとてもいいにおいがしてきました。

2023年10月発売の47巻目の新刊はこちら!

おばけのアッチ ドラキュラのママのあじ アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ(47)

ドラキュラのおじいちゃんが高い熱を出して、ダウン! 子どものころ、お母さんに作ってもらったママリーガを食べたくて、お城の台所をふらふら、うろうろ……。でも、だれも作りかたを知りません。アッチとドララちゃんたちは、むかしお城で働いていた「ガミばあさん」をさがして、ママリーガの作りかたを教えてもらおうとしますが……。
ひとり読みを始めた子どもたちのために、角野栄子氏がライフワークとして取り組み続ける「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」第47巻。1979年に『スパゲッティがたべたいよう』でシリーズスタート以来、世代をこえて愛され読み継がれています。

他にもおすすめの幼年童話シリーズはこちら

「アイウエ動物園」シリーズ

動物たちが大好きな園長さんと、園長さんを大好きな動物たちが、なかよく暮らす「アイウエ動物園」。でも、動物たちのだれかが園長さんを困らせてしまう事件が、ときどきあるのです。

「おばけとなかよし」シリーズ

おばけってね、みえないんだけど、いろいろなところにいるんだって! うちにもおばけって、いるのかな。こわいけど、あってみたいなあ……。角野栄子さんによる幼い子向けのおばけのおはなし

角野栄子さん絵本作品(絵本作家としても楽しい作品がたくさんあります)

『サラダでげんき』

サラダでげんき

りっちゃんは病気になったお母さんのために、サラダを作りはじめました。そこへ動物たちが次々にあらわれて、サラダ作りのアドバイス。最後には飛行機でぞうまでがやってきて、サラダ作りを手伝ってくれました。

『一年生になるんだもん』

一年生になるんだもん

一年生になる準備は前の年の秋ごろから始まります。健康診断に行ったり、ランドセルを買ったり、手さげ袋を作ったり……。入学式までの、楽しい準備の様子を描きます。

『わたしおべんきょうするの』

わたしおべんきょうするの

「わたし おべんきょうするの」
クリちゃんが言うと、
いぬのムムとぬいぐるみのブタコも「ぼくも」「わたしも」
クリちゃんと楽しい仲間たちの「おべんきょう」が始まります。
そこにねこのママチョやありやすずめやお花も仲間入りしてきて……。

ちょっぴり可笑しくてヘンテコな「おべんきょう」がどんどん続きます。
「あいうえお」から始まって、算数? 音楽? そして、英語も……??

実は……、子どもって、「おべんきょう」が大好きなんですよね。
好奇心が刺激されて、新しい発見があり、褒められたらうれしいし、誇らしい……。
この絵本には、子どもたちにとっての「おべんきょうは楽しい」が詰まっています。

でもいつから、「勉強しなさい!」「やだ~」になるんでしょう。
クリちゃんたちは、こんなにも楽しそうに自分からわくわくとおべんきょうしているというのに……

幼児から読める絵本なので、もしかすると、この絵本がお子さんにとってはじめて「おべんきょう」との出逢いになるかもしれません。
初めての出逢いがこんなに楽しいものであれば、お子さんは「おべんきょうは楽しい!」と認識すること間違いなし。
もし、成長の過程で「おべんきょういやだ」になってしまったとしたら……、
そのときはぜひもう一度この絵本を開いて、「おべんきょうは楽しい」とワクワクしたころの気持ちを思い出していただければ……と願います。

(洪愛舜  編集者・ライター)

小学校中学年から高学年向けの物語はこちら

『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』1970年に刊行された角野栄子先生のデビュー作

ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて

1970年に刊行された角野栄子先生のデビュー作を、国際アンデルセン賞・作家賞の受賞を記念して復刻。
1959年、自費移民としてブラジルへ2か月の船旅を経て渡航し、2年間滞在した経験をもとに、ポルトガル語を教えてくれた同じアパートの少年ルイジンニョをはじめ、多様な人々との生き生きした交流をみずみずしい筆致で描いた、角野文学の原点と言える貴重な作品。
巻末に、当時を振り返り、またその後の作家としての歩みを綴った書きおろしエッセイを収録。

『福音館文庫 ズボン船長さんの話』7つの海をかけめぐった船長の宝物のお話

福音館文庫 ズボン船長さんの話

ケンは夏休みに海辺の町で近所に住む元船長さんと知りあいました。船長さんの家は船のような形をしていてその名もズボン号。部屋の隅には、船長さんの”宝物”が置いてあり、興味をもったケンは、船長の工事を手伝いながら、その宝物のお話をひとつずつ聞くことになります。海の苔船、ドードー鳥の羽根、柄のとれたおなべなど、7つの海をかけめぐった船長の宝物にまつわるお話は、どれもおかしくて奇妙な出来事ばかりでした。

『アイとサムの街』出会いと謎がいっぱいの真夜中の大冒険!

アイとサムの街

こわいもの見たさで、夜の動物園に忍びこんだアイは、闇に光る謎のライトを見てしまいます。追跡すると、事件は意外な方向へ…。

平和への祈りが込められた読み応えある作品も

『靴屋のタスケさん』一度しかない人生を、戦争とともに生きざるを得なかった人たちの物語。

靴屋のタスケさん

1942年、初夏。
戦争がいよいよ激しくなっていくちょっと前のこと。
家のすぐそばの表通りに、「タスケ靴店」ができた。わたしは毎日ガラス戸に顔をくっつけて、中をのぞくようになった。タスケさんは背中をまるめて、靴をカナヅチでトントンたたいたり、ぼーっと火をつけて何かをあぶったり…。ずっと見つめていると、あるとき「おいで」といってタスケさんがガラス戸をあけてくれました。それからわたしは毎日おやつのあと靴屋さんに行くようになりました。

「今は材料の革がないし、靴をあつらえるなんて贅沢は許されないしなあ。でも、こう見えても、腕はたしかなんだぞ」
そういって、ひょろ長い体にぶあついめがねをかけた靴屋のタスケさんは、いつも古びた靴を直していましたが…。
あるときわたしのねがいがかない、タスケさんにあたらしい靴を作ってもらえることになります。

大好きだった靴屋のお兄さんと、小さい女の子の物語。
かかと ととと
ととと かかと
モノクロの鉛筆画の中から、わたしのあこがれの赤い革靴が、ふしぎなリズムと共にあざやかに目にとびこんできます。
戦争の日々の中のユーモアとつつましやかなよろこび。戦争の哀しさと、女の子の胸に芽生えたときめきのあかしの赤い靴…。
皮がとても贅沢品だった戦争中、たった一足を、心をこめて作る切なさに打たれます。
戦争が激化する中、兵隊さんになるために田舎にかえっていったタスケさん。二度ともどらない時間を思わせる、最後の場面に、ぐっと心をつかまれます。

「魔女の宅急便」シリーズをはじめ楽しい作品をたくさん書いてきた児童文学作家・角野栄子さんが、今の子どもたちに読んでほしいと願って綴ったお話。一度しかない人生を、戦争とともに生きざるを得なかった人たちを描きます。
小さい女の子と靴屋のお兄さんの心の交流が描かれたかわいらしいお話でありながら、ずしんと心に残る「何か」を考えさせられる絵童話です。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

 

『トンネルの森』10歳の少女の目を通して描かれた戦争の姿。角野さんご自身の戦争体験をもとに執筆された物語。

トンネルの森 1945

「魔女の宅急便」の著者が描き下す、9歳の少女の戦争物語

太平洋戦争のさなか、幼くして母を亡くしたイコは父の再婚相手とともに疎開する。家のそばにある、暗く大きな森のトンネルで、脱走兵が自殺した噂を耳にするが……。

『イコ トラベリング 1948-』戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長(『トンネルの森1945』に続く自伝的物語)

イコ トラベリング 1948- 1

1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【~ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ!

2023年発売の最新刊はこちら!

『ちいさな木』「じぶんがすきなところ」をもとめて、冒険の旅に出発した1本の木のお話

ちいさな木

町はずれの寂しい道に、ポツンと1本の木が生えていました。もう何年もそこにいましたが、ずっと小さいままでした。あるとき、1匹のみすぼらしい犬がやってきました。「ぼく、家出したんだよ。これから、じぶんのすきなところへ行くんだ。きみも、いっしょに行こうよ」。そういわれた木は、初めて根っこを「よっこらしょ」と土から引き抜いてみました。すると、なんと歩けるようになったのです! さあ、ここではないどこか、「じぶんがすきなところ」をもとめて、冒険の旅に出発です!

とちゅうで岩と沼も加わり、歩みもバラバラな異色の4人が、山あり谷ありの道を一歩ずつ進んでいきます。スタンスタン、イッポイッポ、ゴロンチョゴロンチョ、ポチョンチョポチョンチョ。

はたして、みんなの「じぶんのすきなところ」は見つかるでしょうか?

『はなとりかえっこ』気分をスカッとさせてくれる奇想天外で愉快な一冊!

はなとりかえっこ

色とりどりのお花が咲き、若葉がまぶしい季節。いいお天気です。
窓を開けて、思いっきり深呼吸をしたとたん……くしゃん くしゃん くしゃん くしゃん!
この季節になると、くしゃみが止まらない病気にかかってしまうアラさん。お洗濯、お掃除、やらなくちゃいけないのに、なーんにもしたくなーい! この鼻、どこかへ捨てちゃおうかしら!
そこへ家のドアを叩く音が。立っていたのは、まるまる太ったブタさんです。
「あなた、鼻いらないんですか? なら、わたしの鼻ととりかえっこ しません?」

鼻がムズムズ、イライラのつらーい季節。年々、子どもの花粉症も増えているのだとか。いっそ鼻を取ってしまいたい! アラさんの気持ち、わかるわかると大きくうなずく子も多いことでしょう。だけど取って変わるのはブタさんの鼻……なかなか究極の選択ですね。
季節の厄介なお悩みも、角野栄子さんの手にかかればユーモアたっぷりのおはなしに。リズミカルな言葉回し、テンポの良い展開にのってスイスイ楽しく読み進んでしまいます。さとうあやさんが描くアラさんやブタさんもおはなしにぴったり! 全ページにカラーの挿絵が入っていて、小さなお子さんのひとり読みにもおすすめです。

さてさてアラさんとブタさん、いとも簡単に鼻とりかえっこができちゃった!? そしてブタさんの鼻、見た目はともかく、なかなか便利そうなのですが……。
スッキリしない花粉症の季節や、ちょっと元気が足りない時にも。気分をスカッとさせてくれる奇想天外で愉快なこの一冊をどうぞ!

(竹原雅子  絵本ナビライター)

『ねこぜ山どうぶつ園』個性豊かな動物たちと、ちょっとふしぎな影むくむくさんのいる動物園の物語

ねこぜ山どうぶつ園

カバのオシリちゃんに、もんくをいってきたのは? カメのメカじいさんに赤ちゃんができた? リリー園長のゆめに出てきたものは!?
ちょっとふしぎな どうぶつ園のお話

カバのオシリちゃんなど個性豊かな動物たちと、ちょっとふしぎな影むくむくさんのいる動物園の物語。角野栄子が贈る幼年童話。

『月さんとザザさん』物語だけでなく、角野さんご自身で挿絵も手がけられたユーモラスなお話

月さんとザザさん

ひねくれ者のザザさんと月さんの楽しいお話

スミカさんという歩く家で一人暮らしのちょっとひねくれたザザさん。
ザザさんは、毎日朝から晩までもんくばかり言っているひねくれ者。
そんなザザさんのところに、月さんは気まぐれにやってきて、おもしろい話をしてくれます。
ザザさんのご機嫌も良くなるでしょうか?

角野栄子さん自ら描くちょっととぼけたキャラクターも魅力的です。

復刊作品のご紹介!

このたび「魔法の文学館」のオープンに向けて、たくさんの作品が復刊されました。

改訂新版『おみせやさん』(1992年初版)雨の日の子どもの心情をみずみずしく描いた作品

おみせやさん

きのうもあめ。きょうもあめ。あそびにいけなくて、つまらない。でもぼくは、いいことをかんがえついた。おみせやさんをするんだ。ゆかに、ハンカチ 、コップ、クレヨン、はさみ、ボール……いろいろならべて、「いらっしゃい。いい もの うりますよ。だれにでも うりますよう。」
するとね、すずめがやってきて、「ハンカチ くださいな。ピチチ。」
つぎにやってきたのは?
おみせやさんにやってくるお客さまは、それぞれにちょっぴり不思議で個性的。雨の日の子どもの心情をみずみずしく描いた作品です。
1992年初版の『おみせやさん』の改訂新版。改訂新版よりあとがきが追加されています。

新版『おはいんなさいえりまきに』(1984年初版)なが~いえりまきが つながる つながる

おはいんなさいえりまきに

りっちゃんのあんだ ながい えりまきが つながる つながる…みんな いらっしゃーい!
長~いえりまきを編んだりっちゃん。凍えるみんなをどんどんえりまきに入れてあげます。でも、やっぱり寒いよお!

NHKの番組「カラフルな魔女〜角野栄子の物語が生まれる暮らし」(2023年11月5日放送分)の中でも創作風景が紹介された「びっくりさんちのみつごちゃん」のお話。2024年1月に、既刊の『びっくりさんちのみつごちゃん』が改訂新版となり、同じく2024年1月に姉妹編『みつごちゃんとびっくりセーター』が発売になります♪

改訂新版『びっくりさんちのみつごちゃん』が2024年1月下旬に発売されます。

びっくりさんちのみつごちゃん

びっくりさんちのみつごちゃん、
アーちゃん、レーちゃん、マーちゃん。
みんなさんさいのみつごちゃんです。

「とん とん とん」
みつごちゃんのおうちに、つぎつぎとおきゃくさんがやってきます。
「あー」「れー」「まー」
みつごちゃんは、びっくり びっくり!
おきゃくさんたちは、みんなみつごで、みんなさんさい。
うちのなかはみつごちゃんだらけに!

2003年初版『びっくりさんちのみつごちゃん』の改訂新版。
改訂新版よりあとがきが追加されています。

2024年1月下旬に発売予定の新刊『みつごちゃんとびっくりセーター』

みつごちゃんとびっくりセーター

びっくりさんちのみつごちゃん、
アーちゃん、レーちゃん、マーちゃん。
みんなさんさいのみつごちゃんです。

おしゃれごっこをしてあそんでいると、ビックリママのすてきなセーターをみつけました。
さんにんでいっしょにきたり、アーちゃんは、セーターいもむし。レーちゃんは、セーターでトランポリン。マーちゃんは、お花をいっぱいつけて、ファッションショー! すると、サボテンおじさんにあって……。

大人の方におすすめの角野栄子さんのエッセンスが詰まった素敵エッセイ

『『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ』

『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ

家の壁のほとんどを占めるたくさんの本棚。大好きないちご色の壁。長年の日々の台所仕事で得た、かんたんおいしい十八番のメニュー。カラフルなメガネやキャンディみたいなリング。ビビットなカラーのワンピース。『魔女の宅急便』をはじめ多くの児童文学の名作を生み出してきた、作家角野栄子の美しい暮らしをあますことなく紹介する一冊! 五歳で母をなくし、戦争と終戦も体験。二十四歳でブラジルに移民として渡り、世界中の人々と知り合った。現在八十二歳の角野栄子は言う。「魔法は一つ。すべての人が、必ず持っているのよ」人生を明るく、色鮮やかにいきていくための『衣』『食』『住』のレシピ集。

『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』喜びだけでなく、悲しみも人に力を与えてくれる。

「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出

洗濯する背中にもたれて感じたぬくもりは死別した母のたいせつな記憶、毎晩兄弟で取り合った父のあぐら、そこできいたオノマトペをまとう物語、ブラジルで出会った赤毛の魔女、「普通のおかあさんになってよ」と娘からいわれた日、昭和・江戸川の土手に住みついていた浮浪者のハーちゃん、紀伊國屋書店本店の喫茶室で見たフランス帰りの岡本太郎……。
喜びだけでなく、悲しみも人に力を与えてくれる。みんな、私を作った「集まっちゃった思い出」。
50年の作家生活で各紙・誌へ寄稿してきた中から選んだ、珠玉のエッセイ集!

『おいしいふ~せん』(2023年11月新刊)食をテーマに描くショートエッセイ56編

おいしいふ~せん

『魔女の宅急便』の角野栄子が食をテーマに描く、待望のショートエッセイ集。
たんぽぽの汁を吸って亡き母を想った子ども時代、弟と1コの卵を分け合った戦時下、初めての味に驚きの連続だったブラジル生活、『魔女の宅急便』の読者から届いたゆすらんめのジュース……。
めまぐるしく愛おしい88年間の日々を支えてくれたのは、いつも“おいしいもの”だったーー。
角野栄子ならではのユーモアと温かみにあふれる文章と、カラフルで愉快なイラストを散りばめたショートエッセイ56編をオールカラーで収載。
大人も子どもも楽しめて、かわいい装丁とサイズ感はプレゼントにもぴったり。
何気ない毎日の愛おしさに気がつき、前向きになれる一冊。

【もくじ】
Part1 ゆすらんめのジュース、カフェジンニョ、たんぽぽサラダ、メイズ・ビスケット ほか全14話
Part2 みそ汁問題、クリスマスの鍋料理、いちじくと小鳥、思い出は待っている ほか全14話
Part3 そーめんランチ、くりご飯、ぬか漬け、きょうの料理 ほか全14話
Part4 つまみ食い、孤独なスープ、卵さま、カリコリが好き ほか全14話

『50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット』

50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット

「ある日、突然母が言った。『毎日のお洋服を考えるのが面倒になっちゃった』――魔女の宅急便の著者である角野栄子が、80歳を過ぎた頃のこと。そこで娘の私が、母の洋服をコーディネートすることになった」
こんな年の取り方をしたい、と誰もが憧れる美しい86歳。角野栄子スタイルは、こうして作られました。
その実例を著者自らが大公開!


シニア向けの既製品は老けた色とデザインばかり、と感じる母世代のあなたへ。
母親の地味なファッションに、自分の未来が不安になった大人女子のあなたへ。
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気持ちが前向きになる色合わせ。安全で動きやすく、機能的なデザイン。
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「白ワンピースはレフ板。光で気になる顔のシミやシワを飛ばしてくれる」
「赤やオレンジを身に着けるだけでオシャレに見える。シニア世代はおトク!」
「老けて見えがちな茶色やグレーも、素敵に着こなす方法はある」

ちょっとしたコツで、きれいな色合わせは簡単にできます。
オールカラーのイラストと写真でわかりやすく、思わずマネしたくなる魔法のコーディネートがいっぱい!

母娘一緒に実践しましょう。これは、大人になった娘と母のためのファッション・ブック!
「だって、母親が美しくなれば、娘である自分の未来も美しくなるってことでしょ」

おわりに

「魔女の宅急便」の原作の中で、主人公のキキがひとり立ちの日を決めた時に言う 「今は、贈りもののふたをあけるときみたいにわくわくしてるわ」という言葉。この言葉を受けて、以前メールインタビューで「角野さんご自身も「贈りもののふたをあけるときみたいにわくわくした」体験をされたことってありますか」と質問させていただいたところ、角野さんはこんな風に答えてくださいました。

「もちろんあります。この年になるまで、ずっとそういう気持ちで生きてきたと思います。この先に見えるものはなにか、この先自分が出来ることはなにか、今度は何をしようかと考えるのは、わくわくします。そしてきっといいことが待っているに違いないと思うのです。」

この言葉の通り、今回の「魔法の文学館」の世界観からも、角野さんご自身のわくわくした気持ちが伝わってきます。角野さんの長年のファンにとっても、角野さんの作品と出会い始めた子どもたちにとっても最高にわくわくする場所となることでしょう。

最後に、角野栄子さんの館長就任にあたってのコメントをご紹介させていただきます。

この度「魔法の文学館」の館長に就任いたしました、角野栄子です。この文学館は旧江戸川のほとりの美しい公園にあります。輝くような白い建物、そして、内部は、驚きに満ちた不思議な空間になっています。そこに、読み出したらとまらない、わくわくするような本がいっぱい並んでいます。自由に選んで、本と友だちになってください。本の世界から飛び出したキャラクターたちにも会えますよ。本には発見があります。冒険があります。想像する喜びがあります。また本はその人の一生を豊かにしてくれるでしょう。私はこれこそが、この文学館が持っている魔法だと思っています。どうぞ「魔法の文学館」へ遊びに来てください!お会いするのを楽しみにしております!

「魔法の文学館」で出会うことのできるたくさんの作品と、ここでしか味わえない体験は、子どもから大人まで幅広い年代の方たちを楽しませ、深く記憶に残っていくことでしょう。この先ずっと、角野栄子さんの作品と共にたっぷり楽しませていただきたいと思います。

構成・選書:秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長・児童書主担当)

写真提供:魔法の文学館

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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