【今週の今日の一冊】いろいろな行事を楽しむ一週間♪ テーマとともに紹介します。
2024年7月1日から7月7日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
今日から7月。はじまりの一週間になる今週は、大きなところでは1日に「山開き」があったり、3日に「新紙幣の発行」があったり、7日の「七夕」などの行事がありますね。他にも「真ん中の日」や「梨の日」「ピアノの日」など、1日ごとにユニークな記念日が制定されています。今週は、1日1日違ったテーマでおすすめの絵本をご紹介します。さて、どんな記念日と絵本が登場するでしょうか。
7月1日 今日は「山開き」。ポレポレのぼろう。
※7月1日は「山開き」。
その年、初めて一般の登山者に山登りを許す日。「開山(かいざん)」と呼ばれることもある。
昔、登山は信仰行事で普段は登山を禁止していた。夏の一定期間だけ解禁され、それを「山開き(やまびらき)」と称した。そうした昔のしきたりを受け継いで、多くの山でこの日7月1日に「山開き」をして夏山登山の安全を祈願する。
月曜日は『ポレポレやまのぼり』
表紙で澄んだ青空の中にそびえ立っているのが「たかいたかいやま」。そしてふもとの方に小さく佇んでいるのは、慌てんぼうのやぎくん、お調子者のはりねずみくん、しっかり者のぞうくん。これから頂上をめざして出発するのです。大丈夫なのかな?だって、やぎくんの荷物の大きさといったら・・・!(笑)
そんなスタートの場面を見ているだけでワクワクしてくる『ポレポレやまのぼり』。
絵本の中には登山の楽しさがぎゅっと詰まっています。さわやかな景色と空気の中ゆっくりと歩くふもと部分、意外なほど険しい岩壁、そして息をのむほどの雲海。
頂上についた後はにぎやかな食事と静かで深い闇の夜。
(ここでは、やぎくんが大活躍しますよ!)
なんだか、私も一緒に山登りがしたくてむずむずしてきました。
こんな景色や楽しい時間、経験がないと描けないのでは?と思っていたら、たしろさん、キリマンジャロ山に登った時のことを思い出されながらこのお話を創られたのだそう。(本格的!)山登りの醍醐味はそのままに、こんなに愛らしいお話が完成してしまうなんて、さすがなのです。
ところで、ポレポレってどんな意味だかわかりますか?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
7月2日 ここは、ぼくのまんなかです。今日は「真ん中の日」
※7月2日は「一年の折り返しの日・真ん中の日」。
一年のちょうど真ん中の日。
平年ではこの日が一年の183日目に当たり、残り182日ある。1月1日から数えて183日目、12月31日から数えても183日目となる。平年はこの日の正午、閏年は午前0時がちょうど真ん中の時間となる。
「真ん中の日」は2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により記念日として認定・登録された。一年365日のちょうど真ん中の日を「半分」「シェア」「折り返し」「真ん中」などをキーワードに、みんなで笑顔でお祝いすることを目的としている。
火曜日は『ここは』
「ここは、おかあさんの ひざのうえです。」
今、ぼくがいるのは家の中。
そして、椅子にすわるおかあさんのひざの上。
ここは、まちのまんなかであり、公園の近くでもあり。
空の下でもあり、大地の上でもあり。
誰かにとっての「ここ」のはしっこでもあるけれど。
この広い宇宙の中、ぼくがいるのは「ここ」。
ここは、確かにぼくの「まんなか」なのです。
詩人・最果タヒさんが初めて手がけるこの絵本、読んでいるうちに呼び起こされるのは小さい頃の自分の記憶。それは確かな場所というよりも、自分の立っている絨毯の感触であったり、母親のワンピースの模様の一部であったり、窓から遠く見える遊ぶ子どもたちの走る姿であったりと断片的。だけど、そこがかけがえのない場所であったという感覚はしっかりと思い出すのです。
今、子どもたちがこの絵本を読めば、さらにその場所がこんなに楽しい世界に包まれているということを知るのです。絵を担当している及川賢治さんが枝葉を広げていくように丁寧に描くのは、「ここにいるぼく」を取り巻く近くて知らない景色や仕組み、あちらこちらで起こっている大きくて小さな出来事。その視点がどれだけ世界を広げ、心を穏やかにしてくれるでしょう。
子どもから大人まで、あらゆる人たちにとっての「大切な一冊」となることを予感させてくれる絵本。私も繰り返し読んでいこうと思います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
7月3日 新紙幣の肖像に採用されたのはどんな人?
※2024年7月3日は、「新紙幣発行の日」
令和6年(2024年)7月3日から、新しい一万円札、五千円札、千円札が発行されます。20年ぶりに新しくなるお札では、偽造対策が強化されたほか、お札を識別しやすくするための新たな工夫を施しています。
新しい一万円札には「渋沢栄一」、五千円札には「津田梅子」、千円札には「北里柴三郎」を採用しています。
(「政府広報オンライン」の説明より抜粋)
水曜日は『北里柴三郎と千円札物語』
2024年から新紙幣になる3人の伝記と、お札のデザインや機能も紹介するシリーズ。この巻では近代日本医学の父、北里柴三郎。破傷風の治療法を開発したエピソードや、慶応大医学部の創設にかかわった話なども紹介します。さらに、過去の千円札の野口英世や夏目漱石、伊藤博文の伝記も紹介。
合わせておすすめ「新紙幣ウラオモテ」シリーズ
7月4日 「梨の日」に。小さな梨の木とめぐる季節の旅へ
※7月4日は「梨の日」
鳥取県東郷町(現:湯梨浜町)の「東郷町二十世紀梨を大切にする町づくり委員会」が2004年(平成16年)に制定。
日付は「な(7)し(4)」(梨)と読む語呂合わせから。
木曜日は『ちいさなナシのき』
『ちいなさナシのきと ともに めぐりゆく きせつの たびに でてみましょう』ページをめくるたび、季節が移ろう色鮮やかなめくりしかけえほんです。
7月5日 キンメダイ、アナゴ…釣った魚が切り身に変わるまで
※7月5日は「穴子の日」
大阪府大阪市中央区に本社を置き、寿司・弁当用の穴子食材を製造・販売する株式会社グリーンフーズが制定。
日付は「あな(7)ご(5)」(穴子)と読む語呂合わせと、穴子が最も美味しい時季であることから。
金曜日は『おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで』
おすしやさんに子どもたちがやってきます。
目の前に並ぶのは、美しい魚や貝たち。
「さあて、どれをおすしにしようか。」
キンメダイ、アナゴ、イカの順に、寿司職人がおすしにしてくれます。
まずはキンメダイの体をじっくり観察していきますよ。
せびれ、むなびれ、はらびれ、しりびれ、おびれ、角度を変えると金色に光る目、前から下からのぞいたり、口を開いて中を見てみたり。うろこをはがすと、子どもたちにうろこが飛んでいきます。赤くてとってもきれいなうろこ。水に入れると、ピンク色になってキラキラしています。頭を切り落とすと胃ぶくろが出てきました。胃ぶくろにはいったい何が入っているのでしょう? そのあと内臓を取って中をきれいに洗ったら三枚におろし、皮ももったいないのであぶってしっかりいただきます。
次はアナゴ。
顔を下から見たり、上から見たり、前から見たり。キバのように見えたのは鼻の穴で‥‥‥。お顔をじっと見ているとなんだか可愛らしく思えてきます。体を開いていくとホースみたいな腸が出てきました。おっ! 腸になにか入っています。ぐうっと押していくとおしりのあなから出てきたのはウンチ!「くさいのかな~!?」「そんなににおわないな。」
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(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
7月6日 ふたりの音はお話しするようにひびきあって……
※7月6日は「ピアノの日」
1823年(文政6年)のこの日、オランダ商館医となるドイツの医師シーボルト(Siebold、1796~1866年)が日本に初めてピアノを持ち込んだとされる。この「日本で一番古いピアノ」は山口県萩市の「熊谷美術館」に保存・展示されている。製造されたのは1806年(文化3年)頃のイギリス・ロンドンで、四角いテーブルのような形をしたスクエア型の小型のピアノである。足を外して持ち運ぶこともできる。
7月7日 星の子と出会い友情を育む七夕のファンタジー
※7月7日は「七夕」
「七夕(たなばた)」は、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が天の川(あまのがわ)を渡って年に一度だけ会うことができるという中国の伝説に由来する日である。
この伝説が奈良時代に日本に伝わり、日本に元々あった七夕信仰と結びついて年中行事としての「七夕」へと発展した。
日曜日は『たなばたの よるの ともだち』
七夕の短冊に書いた願い事って、どうやって叶えられるのでしょうか?
「こんな風に、短冊が天に届くのかも!」と、七夕の行事をより待ち遠しく思えるファンタジックな絵本が登場しました。
七夕の夜、しゅうくんが願い事を書きかえたいと思って、つるした短冊をひっぱっていると、短冊と一緒に誰か落ちてきました。
それは、星の子の“ぴかすけ”。手には小さな釣りざおを持っています。七夕の短冊は全部天の川に流れてきて、星の子たちが釣りあげては願い事が叶うよう応援するのだそう。しゅうくんの短冊を釣りあげた、ぴかすけは、短冊が引っ張られたおかげでいっしょに落っこちてきてしまったのです。
「ごめんね、でも ぼく、ねがいごとが かわったんだ」と、しゅうくんが新しい願い事を言うと、ぴかすけは「ダメダメ」と、ダメ出しばかり。そして、「じゃあね、もっと りっぱな ねがいごと、まってるよ」
と帰ろうとするのですが……。
天に帰るには、たらいにはった水に天の川を映してのぞきこむのですが、急に雨が降ってきて、天の川の姿が見えなくなってしまったのです。
「おいら かえれなくなっちゃった……」
と泣き出すぴかすけ。無事に天に帰れるでしょうか?
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(徳永真紀 絵本編集者)
いかがでしたか。気になる記念日や絵本はあったでしょうか。私も今回はじめて知った記念日がいくつかありました。
こちらで挙げた絵本以外にも、今週の記念日に関するテーマをテーマページからのぞいてみてくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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