【今週の今日の一冊」「父の日」に読みたい絵本特集 ~お父さんと過ごす かけがえのない時間~

6月15日は「父の日」。お父さんと子どもが一緒に過ごす、ささやかだけれど大切なひととき。お父さんだからこその特別感。今週は、そんな父と子の“かけがえのない時間”や温かなふれあいを描いた絵本を特集します。毎日がんばるお父さんに感謝を感じながら……親子で一緒に読んでみませんか。
2025年6月9日から6月15日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
6月9日 こねことおとうさんのめくるめくおんぶの日々
月曜日は『おんぶねこ』(2025年3月刊行)
「おれ、おとうさん」
画面の向こうから、少し憂いのある表情でじっとこちらを見つめてくるのは、どうやらおとうさんねこ。肩から下げているのは、真っ赤なおんぶひも。
「おれのこ、おんぶじゃないと なくねん」
ということで、掃除をしている時も、スーパーのちらしを見る時も、お絵描きをしたり、お買いものに行く時だって、ずっとおんぶ。料理をする時も、食べる時も。こりゃ、大変だ。さすがにお風呂に入るときくらいは……と思ったけど、やっぱり!?
泣きたくなるようなワンオペ子育て苦労あるあるも、ゆるい関西弁でつぶやきながら、なんとかこなしていくおとうさんねこの様子を見ていると、なぜだか笑いがこみあげてきます。必死になっている姿って、可笑しくって愛おしいものなのです。こねこの泣きっぷりもお見事。けれど、永遠に続くと思われていたそんな日々も、気づかないうちに……。
第43回講談社絵本新人賞佳作作品から誕生した殿本祐子さんの記念すべき絵本デビュー作は、インパクト抜群の「おんぶ絵本」!? 濃厚に描き出された、こねことおとうさんのめくるめくおんぶの日々をご堪能ください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
表紙のかわいいねこに心をつかまれて読み始めると、夢中になりました。おもしろかった! 育児をがんばるおとうさんねこ。関西弁のつぶやきが味があっておもしろいです。そして、なんといっても絵が魅力的。とくにねこの目にひきこまれました。素敵な絵と、ユーモアいっぱいで、心あたたまるお話。初めて読む作家さんだと思ったら、デビュー作なんですね。すっかりファンになりました。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)
6月10日 パパとだからこそできる、楽しいおさんぽ♪
読者の声より
小さい子向けおはなし会用にセレクト。
くまちゃんとパパの散歩エピソードですね。
となれば、豪快バージョン!
きくちちきさんの大胆なタッチが輝きます。
目的地は公園、のはずが、あちこち目移りして。
くまちゃんの行動力に、パパもなかなか負けていませんね。
ちゃんとかなえてあげるのがすごいすごい!
パパ、お疲れ様でした。
ちょうちょが春らしい光景です。
(レイラさん 50代・じいじ・ばあば 女の子1歳、女の子1歳)
6月11日 退屈を吹き飛ばすお父さんのアイディアとは!?
水曜日は『ピッツァぼうや』
そとは雨。ピートはたいくつで、つまりません。
そこでおとうさんは、ピートでピッツァを作ることを思いつきました。
ピートのピザ生地をこねて、のばして、ぐをのせて……。絵本を読んだら、すぐにこのピザあそびがやりたくなっちゃうことまちがいなし!
読者の声より
オススメの本で、題名と表紙は何度か見たことが
あるものの、読む機会がなかった本。
はじめて読んでみての感想は、なんでもっと早くに
読まなかったのだろう!
息子の反応もすごくいいし、
雨の中、外に行けずに機嫌が悪い子供に対して
両親がしたことが、あたたかくて楽しくて。
最後の流れも最高で、こんな子育てができたら
最高だなぁ、こどもはうれしいだろうなぁ、と
しみじみしてしまった。
息子は、あたたかさだのなんだのではなく、
ひたすらストーリーの流れに爆笑。
明日からあたらしい遊びのレパートリーに
追加されること間違いなしだなぁ。また、
実際にまねして遊びやすいように、うまく
文が書かれているんです。感心しっぱなしです。
(こりこりこさん 30代・ママ 男の子5歳、女の子3歳)
6月12日 今日は、ぞうのパパの誕生日。すると子どもたちは…
木曜日は『しずかなよる』(2025年3月刊)
ぞうさんかぞく」シリーズ第2弾!
家族のちょっとしたわがままや思いやりをユーモラスに描いた、子どもも大人もいっしょに楽しめるお話です。
今日は、ぞうのパパの誕生日。ママは、やんちゃな子どもたちを早く寝かせて、パパに静かな夜を過ごしてもらおうと思いました。やがて仕事から帰ってきたパパは、とってもお疲れで・・・。
「ねえパパ―、ほんをよんで」
「おはなちちて!」
子どもたちに絵本を読んであげながら眠ってしまうパパ。代わって読んだママもウトウト。子どもたちは、パパとママにそうっと毛布を掛けてあげました。そして、ママがパパのために用意した食事を“しずかに”いただくことにしましたよ。
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6月13日 お父さんといっしょに、たのしい空のぼうけん!
金曜日は『ぼくはひこうき』
いっしょに、たのしい空のぼうけん!
ある日、たろうくんは「ひこうきみたいにとんでみたいな」と、お父さんに話しました。すると、お父さんは「それなら、いっしょにとんでみようか。こっちへおいで」と、たろうくんをよびました。お父さんに言われるまま、たろうくんはあしの上にのり、うでを広げると、目の前はひこうじょうにへんしん。そして次のしゅんかん、たろうくんは、ひこうきのように空をとんでいたのです!
ひこうきのように空をとぶことができたたろうくんは、町をとおりぬけ、山をこえ、雲のなかもどんどん進んでいきます。はたして、進んだ先には、なにが待っていたのでしょうか。
6月14日 大自然の中をゆったりと…子どもたちを見守りながら
土曜日は『ライオンのあしたのいちにち』(2025年4月刊)
ライオンとうさんは、今日も子どもたちと散歩に出かけます。遠くから並んで走ってくるダチョウ、首が長くて不思議な姿のジェレヌク。子どもたちはその出会いを大いに楽しみ、ライオンとうさんは温かく見守ります。
おっと、一句浮かびました。
こどもらと そよかぜまくらに ひるねかな
うん、なかなか。
ライオンとうさんは、俳句をよむのが大好きなのです。
どんどん行くと、一本道がずーっとつづいて空にきえていきます。
「あっちだっ!」と、みんなあっちにむかって走ります。
「わ――っ、すごい!」
「とうさん、空と 大地が 手を つないでる」
すると、空の遠くでカミナリが。
「きた―っ」「雨だーっ」「にげろーっ」「はしれーっ」
雨雲が左右から押し寄せる中、雨のトンネルの先に父子が見たものとは――?
人気のライオンシリーズ、待望の新刊。
読者の声より
「ライオン絵本」シリーズ。
ずいぶん昔からイクメンだったライオンのとうさん。
もうレジェンドの風格ですね。
さて、今日も今日とて、子どもたちと向き合います。
子どもたちの願いも受け止めつつ、散歩の際は天候チェックもぬかりなく。
そうそう、趣味の俳句も忘れません。
このゆったりとした対応、子育ての際のお手本のような素晴らしさ。
だからこそ、大自然もしっかり受け止め、なおかつ、未来への言葉も。
小学生くらいから、心に沁みます。
(レイラさん 50代・じいじ・ばあば 女の子1歳、女の子1歳)
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選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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