【今週の今日の一冊】宝物のような夏の一日。夏の終わりに読みたい絵本
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今年の夏は、どんな思い出ができましたか? 海へ山へ、水遊び、キャンプ、花火、夏祭りに、家族や親戚、友達と過ごした時間……。夏だからこその特別な体験は、振り返れば宝物のような思い出になっていきますね。
今週は、それぞれの大切な夏を思い起こすような、夏の終わりに読みたい絵本をお届けします。
2025年8月25日から8月31日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
8月25日 よせてはかえす波。波との追いかけっこ。
読者の声より
文章がない絵本だからこそいろいろな物語が想像できます。
打ちよせる波の音。引いていく波の音。
女の子は何と声を発しているのだろうか?
お母さんが迎えに来たのかな? などなど。
躍動感溢れる素晴らしい絵に込められた物語を想像して楽しむ☆
贅沢な憩いの時間をもらった気がしました。
海の音が聞こえてきそうです。
(カトリーヌみどりんさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子2歳)
8月26日 いつかの夏が思い起こされるような、まぶしい時間
読者の声より
海外在住です。夏には日本へ行って、日本のおうち・たべもの・おまつりを楽しんでくる子たちが多いので話のきっかけに良さそうだと買いました。
ぼくもプール行った、おまつり行ったと声が聞けました。
何より大人が古い記憶を呼び覚まされるような絵です。親戚の家に行くこと、いとこたちとあそぶこと、いつもと違うみんなでの食事、プール、おひるね、スイカにお祭り。子どもが寝たあとにノスタルジーに浸れます。
シリーズも買っちゃいます。
(Flappeさん 50代・せんせい)
合わせておすすめ。
8月27日 貝がらは伝える、海のものがたりを。
水曜日は『うみのたからもの』
海辺にいったら、貝がらをさがそう。そっとゆらしてみて、チリン、カタンと音がしたら、中には小さなたからものが入っているかもしれない。海にゆらりと浮かぶなら、それは遠い国からやってきたふね。ポツンと穴があいていたなら、小さな小さな海の家かもしれない。
手のひらにのせた貝がらに、じっと耳をすませると。見えてくるのはどんな景色? 深い深い海の底や太古の昔、あるいは満点の星空、イルカの群れや空高く飛んでいく渡り鳥まで。伝えてくれるのは、時空を越えた海の物語。
形も色も大きさも、ひとつひとつがバラバラの貝がら。砂浜に落ちているそれらを、夢中になって拾い集めた経験がある人は多いはず。この子はどんな海にいたのだろう。渦をまいたその奥には違う世界が広がっているのかもしれない。耳にあてれば波の音が聞こえてくる。誰もが抱く、貝がらの向こう側にある未知の世界への憧れを、たかおゆうこさんが一冊の美しい絵本にして、私たちに見せてくれます。私の一番好きな貝がらは……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
魅力的ですばらしい絵に魅入られました。なんて、幻想的! ページをめくりながら、わくわくしました。お話も、かいがらから、どんどん想像の世界がひろがっていくようで楽しいです。海辺に行って、かいがらを探したくなります。夏の時期にぴったりの、素敵な絵本でした。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方)
8月28日 なっちゃんが体験する濃密な日本の夏
読者の声より
お盆の時期の暑い夏をなっちゃんが満喫する様子が、片山健さんの生命力のあるエネルギッシュなイラストで語られます。
そこには田舎の懐かしい風景が広がっていました。
やぶ蚊に刺されたり、夕立にふられたり。体じゅうで夏を感じる作品。
自分が小さい頃の夏を思い出し、懐かしい気持ちになりました。
(クッチーナママさん 50代・ママ 女の子21歳、女の子18歳、男の子15歳)
8月29日 ひとりで過ごすかけがえのない時間
金曜日は『しずかな夏休み』
ある夏のこと。少年が家族とともに車で街を抜け、橋を渡り、向かったのは遠い田舎に住む祖父母の家。窓から見える庭の小道に誘われ、愛犬とともに大木の生い茂った深い森へと歩いていく。道が細くなっていき、ふと顔をあげると、目の前には美しい湖畔が広がっていた!
誰もいない広い湖に潜り、桟橋でひとり横になって日差しを浴び、静かに時間は過ぎていく。賑やかな夕食をすませると、すっかり暗くなった外へ出て、愛犬と一緒に空を見上げる。その漆黒の夜空に輝く星々は……。
雄大な景色に触れ合い、心の中からじわじわと湧き上がってくる静かな感動。それは、彼にとって間違いなく忘れられない景色であり、忘れられない時間となるのだろう。その記憶を刻み込むようにじっと佇む少年の姿を見ていると、いつしか読者も同じ経験を味わっているかのような気持ちになるのです。
その大切なひと時を、文字のないモノクロームの世界で描き出しているのは、韓国とイギリスでデザインを勉強し、現在イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍されているキム・ジヒョンさん。初めて手掛けた創作絵本なのだそう。異国情緒がありながら、どこか懐かしい湿度を感じる魅力的な場面の数々。静けさに浸りたくなった時には、そっと一人で開いてみてほしい。そんな1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
韓国の作家さんによる字の無いほぼモノクロの絵本作品。
主人公の男の子は、どうやら、両親と一緒に、田舎の祖父母の家にやって来たようです。
町中から、山奥へ。
そして、犬と一緒に森を探検します。
ふと見つけたのは水辺。
え?飛び込むの?
まあ、なんて素敵な時間。
ほぼモノクロの絵ですが、それだけに、意外に色彩豊かに感じます。
そして、文章がないことで、無音が紡ぐ音を感じます。
圧巻は、満天の星空。
まさに絵本の醍醐味です。
小学生くらいから大人まで、感性を澄ませて感じてほしいです。
(レイラさん 50代・ママ)
8月30日 虫取り、木登り、海…自然と思いっきり遊んだ夏!
読者の声より
この絵本のお話は
我が息子が私の実家で過ごす夏休みにとても似ています。
(実家のある都市はもうちょっと「町」ですが)
息子も田舎暮らしが大好きです。
帰省の度に(息子の夏休みはここにあるんだなぁ)と感じます。
そして お話の中に出てくる男の子と同じように
家に帰りたくなくなっちゃうんですよね。
でも生活は「家」のある都会にありますから
泣く泣く帰ってくるわけですが…。
自宅に戻り 普段の生活が始まってしまうと
実家で過ごした夏は 夢だったのではないかと思われる瞬間もあり
我が家の帰省もまさに「まほうの夏」です。
この絵本を読む度に帰省した時間を思い出します。
大好きな絵本です。
(西の魔女さん 40代・ママ 女の子15、男の子11歳)
8月31日 夏の間にふと訪れた、特別な友だちとの出会い
日曜日は『みちとなつ』
大きな町のマンションに、お母さんと二人で暮らす女の子、みち。海辺の小さな町に、大家族で暮らす女の子、なつ。
遠く離れた二つの町、環境も生活も性格だって違うみちとなつ。二人は、まだ出会ってはいません。お互いのことを知りもしないのです。
だけど、二人には共通の趣味があります。みちはハート型の石を集め、なつは丸くなったガラスの欠片をひろいます。そして、その趣味が二人を結びつけるきっかけとなり……。
この広い世界の中で、自分とは全然違う場所で暮らす知らない誰か。その誰かと出会うことなんて、想像もつかないけれど。気の合う友だちになれるなんて奇跡のようだけれど。でも、二人の物語を読んでいると、「もしかしたら……」と心が浮き立ってくるのです。いつかきっと私にも。
広くて青い空と海を背景に、二人の少女の出会いを爽やかに描き出すこの絵本。どんな性格の子にも、世界が広がるこの瞬間が訪れますように!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
まるで違うところで育って、全く関係のなかった二人が友達になるまでのお話。文章は短くて、わかりやすい。そして、なんて素敵! 沢山の人がいるなかで、友達になるのは、奇跡みたいなことなんだと思いました。いつどこで、どんな人と出会えるかと思うと、わくわくしてきます。
(あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
いかがでしたか。今週は、子どもたちの夏休みが終わり、学校が始まるという方も多いかと思います。もし「なんだか夏らしいことができなかったな…」と感じたとしても、大丈夫。絵本をめくれば、いつでも、どこでも、夏の特別な旅に出かけられます。いつかの夏に心に残った風景や憧れの夏の風景に、絵本をきっかけに思いを馳せてみませんか。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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