【中学生の読書感想文】読みたくなる!書ける!役に立つ! 2026年 課題図書攻略法
部活に勉強に、忙しい毎日を送っている中学生のみなさん、こんにちは!中学校や高等学校の学校図書館でみなさんの読書活動をサポートしている学校司書の山下ちどりです。
みなさんが通う中学校に読書感想文の課題はありますか?
「夏休みの読書感想文、どんな本で、何を書けばいいの?」と悩んでいる中学生がとっても多いのです。そのお悩み、本の読み方や書き方のコツを知ることで解決できるかもしれません。
本の選び方から読み方、書き方まで、ちょっとしたコツさえつかめば、読書感想文はちゃんと書けるようになります!
コツをつかんで書く読書感想文の経験は、探究学習や高校入試にも直結する「使える力」になります。
読みたくなる、書ける、そして役に立つ。一緒にここからはじめてみませんか?
どんな本にも応用可能!本の選び方、読み方、書き方のコツ
【選び方のコツ】何を選んだらいいかわからないならば、2026年の課題図書を
たくさん本があって、何を読んだらいいかわからない。そもそも、本を読む習慣があまりないので最後まで読み通せるか不安。そんな悩みを抱える中学生はとても多いのです。
そんなあなたには、2026年の課題図書として選ばれた3冊をおすすめします。なぜなら、「本と読書のプロが、世界中の作品の中から中学生の読書感想文にふさわしい!と選んだ珠玉の3冊」だからです。本選びで立ち止まってしまう人には、課題図書から選んでみることで、最初の心のハードルを越えることができますよ。3冊の内容と魅力はこれからご紹介します。
【読み方のコツ】「本を見える化」する!
登場人物が多い物語や、なじみの薄いキーワードが出てくると、頭の中が混乱しちゃって読み進められない!
という人はいませんか?そんな人は「本を見える化」してみましょう。
大きめの紙を用意して、登場人物を整理すると内容の理解が進みます。小説なら、家族、学校の友だち、学校外の友だち、のようにカテゴリ分けするとさらにすっきりしますよ。
ノンフィクション(小説以外のジャンル)は、できごとの順に年表を書いてみるのもおすすめです。
【書き方のコツ】メモ→「僕だったら」「私だったら」と分析
本を読んだら、心を動かされたシーンや人物、セリフなどをピックアップしましょう。
そして、そのことがらや人について、感じたことや疑問点、違和感なども含めてメモをしていきましょう。
誰の、どんな状況に、どうして、心動かされたのかなどの状況整理や、もし私だったら、もし別の状況だったらと置き換えをするなどして、多面的に分析するとよいですよ。
●書き始める前に
メモ書きでよいので、感想文の構成を考えましょう。伝えたいことを1つか2つに絞って書くとまとまりやすいです。
キーワードを決めて、場面や人ごとに比較してみるのもおすすめです。
●あらすじばかりになってしまう人は
課題図書は、読み手もその本について知っているはずですから、あらすじの紹介は「自分の思いを伝えるための必要最低限」で大丈夫です。
あらすじは誰でも書けますが、あなたの感想はあなたしか書けないので、自分の気持ちを中心に構成してくださいね。
●書き終わったら
一度音読してみましょう。音読によって、誤字やよりよい言い回しに気づくこともできます。
読書体験&感想文の執筆で得た力と経験は、このあともビブリオバトルや受験の面接などに応用可能です。
第72回青少年読書感想文全国コンクール 2026年課題図書:中学校の部に選定された3作品を解説
それでは、世界中の本から選ばれた珠玉の名作である、今年の課題図書を順番にご紹介しましょう!
『君の火がゆらめいている』(落合由佳/作 、講談社)
目に見えない他者の葛藤に寄り添う物語
【出版社より:あらすじ・みどころ】
葉澄は、発達障害のある双子の姉・菜々実の通院や学校送迎を日常的に手伝っている。友達と遊びたい日も、お母さんと一緒にいたい時も、菜々実の都合が最優先。何かを諦めるたび、胸の奥にモヤモヤがたまっていく。
そんな中、障害がある子のきょうだいが集まる「きょうだい会」の存在を知り、参加することになった葉澄は、同学年の恵太と出会う。恵太にも障害を持つ弟がおり、彼の明るい言動の裏にも複雑な感情がにじんでいた。
葉澄は、恵太や「きょうだい会」での交流を通じて、自分の未来について考え始める。障害のあるきょうだいのために生きるのが「みんなにとって」幸せなのだろうか、それとも──?
葉澄の小6から中学校卒業までのゆれる心を描く感動作です。
【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです
※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!
□ きょうだいがいる
□ バリアフリーやノーマライゼーション(誰にでもやさしい社会作り)に関心がある
□ 苦手なことや生きづらさを感じている
□ 家や学校以外の居場所がほしい
□ 身近な社会にある困りごとについて知りたい
『君の火がゆらめいている』で感想文を書く時のヒント
病気や障害などのケアが必要なきょうだいを持つ子ども(きょうだい児)をテーマにした作品です。自閉症の双子の姉がいる葉澄は、当事者にしか分からない葛藤をいくつも抱えています。
「当事者にしか分からない」ことを体験できるのは本の醍醐味であり、それを自分なりに読み解いていくことは社会のどこかにいる見えない誰かに寄り添っていくことでもあります。
難しいテーマに正面から向き合って綴られたこの作品は、登場人物の心の中の後ろめたい部分も描かれています。
中学生の瑞々しい感性で、正面から向き合い、本音で感想文を書いてみてください。
この作品で感想文を書くことは、声高に訴えることの難しい現代社会の問題を知り、正解の無い問いに探究心を持って挑むことでもあります。
人物やできごとをいくつかに絞って、多面的に考えてみるとよいと思います。
私はこの作品の感想文を読むのが、いまからとても楽しみです。
読書感想文から広げてみよう
身近なところで活動してみよう
自由研究や探究レポートなどの課題がある人はいませんか?この本は、そうした課題作りにも役立ちます。
地元の市区町村や社会福祉協議会が中心となって、中学生に向けて夏休みのボランティアを紹介しているので、ぜひ調べてみてください(締め切りもあるのでお早めに!)。子どものための施設や高齢者施設、障害者施設などでの見学実習体験では、多くの気づきが得られると思います。町のゴミ拾いやイベントの手伝いなども、これまで知らなかった町の様子や問題点を知ることができるので、おすすめです。
本で知る→調べてみる→行動する→レポートなどにまとめる→発表する
このプロセスこそがまさに探究学習!一冊の本から行動(アクション)と表出(アウトプット)に繋げることでみなさんの学びの質が、レベルアップすること間違いなしです!
『チーム・テスならだいじょうぶ』(カービー・ラーソン&クイン・ワイアット/作、杉田 七重/訳、鈴木出版)
海外中学生のさわやかな等身大小説
【出版社より:あらすじ・みどころ】
中2の転校生テスは、友だち作りが少し苦手。でも、得意の手作りお菓子をふるまう作戦で、気の合う友だちを見つけ、学校生活が楽しくなります。
テスがハイレベルな焼き菓子コンテストに出場すると知った数人の友だちが「チーム・テス」を結成して盛り上げますが、テス自身は、ひんぱんに襲ってくる腹部の激痛に耐えられなくなり…。
作者のカービー・ラーソンが、娘でデビュー作家のクイン・ワイアットと、クローン病と共に生きるとはどういうことかをつづった、胸を打つ青春ストーリー。
クイン自身の経験をベースにしたこの物語は、心を支えてくれるチーム・テスとの友情や、ケアを担ってくれる医療チームへの信頼を描き、他者の助けを借りることの重要性を伝えます。
【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです
※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!
□ 転校を経験したことがある
□ お菓子作りなど、何かを作ることが好き
□ なんらかの困りごとを抱えている
□ 海外の学校生活に関心がある
□ 友情物語が読みたい
『チーム・テスならだいじょうぶ』で感想文を書く時のヒント
友だち作りが少し苦手な女の子のテスは、大規模校に転校したばかりの中学2年生。大好きだった父を亡くした後、キツツキに突かれるような腸の痛みにたびたび苦しめられています。お腹が痛くて、トイレに駆け込むことがある、というのは思春期の中学生には人に言いづらい悩みですよね。
人知れず困りごとを抱えるテスは、お菓子作りの腕前を披露したことがきっかけで、少しずつ友だちを増やしていきます。そして仲間たちとともにお菓子作りコンテストにチャレンジすることを決意するテスですが・・・。
重いテーマを、軽いタッチと優しい人物が包んでいる成長物語です。ドラマに出てくるような海外の学校のランチタイムや授業のようす、恋未満の揺れる心など、アメリカの中学生のスクールライフも楽しめる一冊です。
悩んだりへこんだりしながら成長するテスはもちろん、チーム・テスとして支える友だちも実に魅力的。自分の周りの友だちや自分に引き寄せて比較してみるのもよいと思います。
指輪や木や作文といったアイテムに注目してみるのもおすすめです。
読書感想文から広げてみよう
1.作ってみよう
家庭科でお手伝いや調理実習の課題が出ている人は、テスを見習ってお菓子作りにチャレンジしてみませんか?各章の最後に「テスのベイキングメモ」というメモが書かれています。気になったお菓子や言葉を調べて、1つ作ってみましょう。これで夏休みの課題が1つ完成します。
注意点は、テスはお菓子作りコンテストに出場するほどの腕前だということ!みなさんがお菓子作りの初心者だったら、簡単に作れそうなもの(ホームメイドのスニッカーズとか?)を選んでくださいね。テス並みの腕前をお持ちのあなたには…?コンテストの最初の課題「フェイクアウト」は、映えて話題になること間違いなしです!
2.観てみよう、読んでみよう
本の中に出てくる文学作品や、海外ドラマを観てみませんか?
テスがちょっぴり苦手意識を持っている国語(アメリカなので英語ですね)のチャタジー先生。彼女が授業で使うのは英文学の作品ジェーン・オースティンの名作『高慢と偏見』。他にオルコットの『若草物語』という言葉も出てきました。
先生の問いを受けて中学生たちが挙げたのはグラフィックノベルの『〈敵〉と呼ばれても』や恋愛小説の『さよならを待つふたりのために』など。ドラマでは法廷ドラマの「ロー&オーダー」が挙がっていました。そして、なんといっても「ベイクオフ」!「ブリティッシュ ベイクオフ」はイギリスの国民的な料理番組です。日本でも配信されているほか、日本版もあります。英語版の一部分だけでも 吹き替え→英語音声・日本語字幕→英語音声・英語字幕 と観て、フレーズを書き留めていけば、英語の自主学習が1つできあがります。
『リュウグウの砂に挑む チームで小惑星のサンプルを分析』(伊藤 元雄/著、くもん出版)
ハラハラドキドキの科学ノンフィクション!
【出版社より:あらすじ・みどころ】
小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰ったのは、「太陽系の化石」とも呼ばれる小惑星リュウグウの砂。そこには、地球の生命の起源に関わる「水」や「有機物」が含まれている可能性があり、それらがどこから地球に運ばれてきたのかを解き明かす、大いなる手がかりになるかもしれません。
この貴重な砂の分析に挑んだのは、さまざまな分野の研究者によって結成された最強チーム。それぞれの専門家たちが分析したデータを集めて議論を繰り返し、ついに砂の内部に、有機物を地球に運んできた「生命のゆりかご」のあとを発見しました。
本書はこのチームの中心人物である伊藤元雄さんが自らの言葉で綴った、子どもたちを宇宙科学の楽しさにいざなうノンフィクションです。
【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです
※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!
□ 部活やクラスでチーム運営に関わったことがある
□ 将来どんな道に進むのか、まだイメージが湧かない
□ 「はやぶさ2」という言葉を知っている
□ どちらかというと理科や数学に興味がある
□ お仕事系・チャレンジ系ドキュメンタリーが好き
『リュウグウの砂に挑む チームで小惑星のサンプルを分析』で感想文を書く時のヒント
JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が、2.8億キロメートルも離れた小惑星「リュウグウ」から持ち帰った砂。この分析結果に、世界中がどよめいた!この砂は探査の計画当初から地球に生命が存在する理由を解き明かす鍵、と期待されていました。日本が中心となって世界の各分野で活躍する研究者たちがこの砂を分析するために集められ、1つのプロジェクトが動き出します。プロジェクトリーダーの伊藤元雄さんによるこの本は、伊藤さんが科学者になるまでの道のり、科学の謎を追究する楽しさや奥深さを余すところなく伝えてくれます。地球科学や理科が好きな人はもちろん、理数系は苦手な人もぐいぐい引き込まれる内容なのでご安心を。
中学最高学年である3年生は、クラブやクラスで集団をまとめる難しさを経験している人も多いはず。得意分野の異なる多様な人々をどうまとめ、一つの成果につなげていくのか。メンバーたちのキャリアにも心を砕く伊藤さんのリーダー像や、歩んできた道は、文理問わず、進路を考える中学生に気づきを与えてくれるはずです。
感想文を書くポイントですが、この本は読む人によって、印象に残る場面が異なると思います。どんなところに興味をひかれたのか、メモに書きだしたり、友だちと感想をシェアしたりして、まとめてみましょう。伊藤さんの研究者としてのキャリアや、困難に立ち向かう際の心の持ち方、チームマネジメント、過去と未来をつなぐ研究の内容など、感想文の切り口はたくさんあると思います。ご自分が学校の実行委員やクラブで経験したことと比較・分析してみるのもよいと思います。
読書感想文から広げてみよう
1.追ってみよう
リュウグウの砂の研究プロジェクトはその後も続いています。この本が出版された2025年の秋以降もリュウグウの砂プロジェクトは進んでいることが、インターネットで検索すると分かります。だれが、どんな目的で、どんな研究をしているのか。著者の伊藤さんのウェブサイトや関連する研究所の情報などから調べてみませんか?
「本のその後」を調べると、これが現実のプロジェクトで、今も続いていることがリアルに分かります。調べてみた結果をレポートにまとめれば、理科の自由研究のできあがりです。
2.読んでみよう、行ってみよう
「はやぶさ2」の地球帰還までの道のりに関する本は、何冊も出版されています。気になった人はぜひ読んでみてください。
また、「リュウグウ 研究所」の検索ワードで調べると、関連するさまざまな研究所が出てきます。みなさんが住んでいる場所の近くや、旅行先の近くにこうした場所があれば、見学が可能か調べて尋ねてみてはいかがでしょう。リュウグウの砂は見られないと思いますが、これらの研究所でおこなっているさまざまな研究を知ることで、新たな興味・関心に出会うことができるかも。
「リュウグウの砂」は夏休みに合わせてどこかで展示されることがあるかもしれません。情報をチェックしてみてくださいね。パンフレットを貼ったり、写真を撮ったり、疑問をさらに調べるなどしてレポートにまとめれば、『君の火がゆらめいている』のところで書いたように、
本で知る→調べてみる→行動する→レポートなどにまとめる→発表する
と立派な探究学習になります。一冊の本をきっかけに行動(アクション)、そして表出(アウトプット)に繋げ、みなさんの学びの質をレベルアップしていきましょう。
<きみの書いた感想文が表彰されるかも!?課題図書で挑戦してみよう>
おわりに
中学生のみなさん、気になった本は見つかりましたか?ぜひ書店で手に取ってみてください。
本の楽しみ方や相性は人それぞれです。さまざまな本を実際に見て、お気に入りの一冊を見つけてくださいね。
感想文を書き終わったら、自分で読み、誰かに読んでもらってフィードバックを受けるのもよいですよ。他者の意見を受けてブラッシュアップすることは、自分にない視点から成長させてもらえるよい機会です。
この夏すてきな本との出会いがありますように!
山下ちどり
中学校と高等学校に勤務する現役学校司書。
静かな学校司書のイメージとは正反対のアクティブ系。
好きなものはティータイムと海辺のドライブ。
MBTIはESFP(エンターテイナー)
X @nagisalib
アンケート募集のお知らせ
記事へのご感想や、読書感想文のお悩みなどございましたら、お聞かせください。
(次回以降の記事作成に役立てさせていただきます)
Q1.属性(可能な範囲で)例:中学生、父、母、祖父、祖母、先生、司書、その他等 *
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