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【高校生の読書感想文】探究学習・総合型選抜のベースとなる力を養う!2026年課題図書攻略法

こんにちは!中学校や高等学校の学校図書館でみなさんの読書活動をサポートしている、学校司書の山下ちどりです。

高校生活は、学習内容がより深く、多様になり、大忙しの日々ですよね。

最近では自ら問いを立てて探究する力が、探究学習や総合型選抜などの場面で高校生に問われています。

 

高校生の部の課題図書は、世界中の作品から読書のプロが選んだ珠玉の作品ばかりです。

これらの本を通して、一つの作品をじっくりと通して味わう喜びを味わってもらえたらうれしいです。

読書感想文は、読んで感じる「読解力」と、組み立てて伝える「表現力」の両方の力を鍛えることができます。大人になっても必要な「思考と表現の基礎体力」を実践しながら身に付けていきましょう!

その気持ち、説得力のある文章にできますか?

探究学習や総合型選抜で問われるのは、自分の問いを立て、根拠をもって語る力です。課題を理解して読み、問いや構成を考えて、説得力をもって語る、こうしたプロセスで作成される読書感想文は、まさに探究する力を実践で身に付けることができる活動といえます。読書感想文を通して得られる力は、小論文や総合型選抜の試験など、学校生活や進路に応用可能なスキルになりますよ。具体的に説明していきましょう。

【選び方のコツ】「問いが広がる」「自分が興味をもって進められる」ものは?

レポートや課題研究など、探究的な活動をするとき、どのように進めたらいいかわからない、と壁にぶつかってしまうことはありませんか?探究活動の要は、書き始める前の「課題設定」がとても重要なのです。「問いが広がるような要素が詰まった素材」、かつ「自分が興味をもって進められそうなテーマ」を選ぶ。これが、探究活動の大事なファースト・ステップとなります。

探究的な読書感想文を書きたい、と思ったら「課題図書」は最高の選択肢になります。なぜなら、「本と読書のプロが、世界中の作品の中から高校生の読書感想文にふさわしい!と選んだ珠玉の3冊」だからです。今年の課題図書(高等学校の部)も、多くの視点と問いをみなさんに投げかけてくれるので、読書感想文だけでなく、その後の活動もスムーズに展開することができます。2026年の課題図書として選ばれた3冊の内容と魅力は、このあとご紹介します。

【読み方のコツ】心に浮かんだことを気にせずどんどん書き出す

本の傍らにメモを置いて、「分からないな」「どうしてかな?」と疑問に思ったことを気軽にメモしていきましょう。

あとから読み返せるようにページ数もお忘れなく。

きりの良いところで気になったことを調べながら読み進めると理解が進みます。

心に浮かんだこともどんどん書いていきましょう。誰かに見せるメモではないので、思いつくままに書いてOKです。このメモは探究的な活動や入試に生かせる種になるので、感想文を書き終わっても必ず残しておきましょう。

【書き方のコツ】背景について調べる。最後は読んで言い回し等の点検も

中学生の感想文から一歩抜け出した読書感想文にするために、書き始める前にやってほしいことが2つあります。

1.本の舞台や背景となった事柄について自分なりに調べてみる

 

2.何をテーマにして、どのように自分の論を展開するか、感想文の構成を考える

メモに箇条書きでも、図を書く方法でも、自分のやりやすい方法でやってみましょう。

本に書いてあることに加えて、自分で確認したことや調べたことを加えることで、オリジナリティのある感想文になります。

また、自分の考えを正確に、わかりやすく伝えるための構成を考えることで、論理的で説得力のある感想文になります。

●書き始める前に

感想文の展開と方向性が決まったら、少し俯瞰して「読書感想文として逸脱していないか」「独りよがりな論になっていないか」を確認してみましょう。

一晩寝かせて、翌日原稿用紙に向かい始めるのもよいと思います。

 

●書き終わったら

自分の作文を黙読(可能な限り音読)して、誤字や文の言い回しを点検しましょう。

第72回青少年読書感想文全国コンクール課題図書:高等学校の部に選定された3作品を解説します。

では、世界中の本から選ばれた珠玉の名作である、今年の課題図書を順番にご紹介しましょう!

 

『スウィッシュ!』(藤ノ木 優/著、徳間書店)

スポーツ小説から垣間見える社会問題とは?

【出版社より:あらすじ・みどころ】

ボールがリングにまったく触れない完璧なバスケのシュート、スウィッシュ。澄んだ音は味方を奮い立たせ、試合の流れを引き寄せる。息詰まる攻防であるほど、一本のスウィッシュが勝敗を左右する。しかし、決められる選手はほんのひと握り。

そんなシュートを打ったこともないバスケ部の愛奈は、骨折をしてしまったエースの羽瑠とともに高校生最後の大会に挑む。しかし羽瑠は全治四ヶ月。このままだと大会には間に合わない。愛奈はチームのために、仲違いしていたスポーツドクターの父・竜介に相談するが――。

人生を変えてくれた親友と、もう一度同じコートに立ちたい。仲間思いのキャプテンと不屈のエース。ふたりの絆が奇跡を起こす、本格青春バスケ小説。

【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです

※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!

□  身近なテーマや同世代を扱った小説が読みたい

□  医療や健康に興味がある

□  スポーツ観戦が好き

□  運動部に所属している/かつて所属していた

□  スポーツビジネスに興味がある

□  地域振興や町の活性化に関心がある

□  経済格差を解消したい

『スウィッシュ!』で感想文を書く時のヒント

中学まで運動部未経験だったキャプテンの愛奈と、ケガをした絶対的エースの羽瑠。寄せ集めメンバーで構成される居間高女子バスケットチームは、3年生の引退試合を前に羽瑠の負傷というピンチに陥ります。

タイトルのスウィッシュとは、ゴールフープ(リング)にボールが触れずに決まる完璧なシュートのこと。けれども、著名なスポーツドクターの父と一人娘である愛奈の親子関係も、羽瑠の厳しい家庭環境も、こんなにきれいに収まってはくれません。それでも愛奈と羽瑠は高校生活最後の大会での勝利を夢見ています。

医療現場を舞台にした小説が得意な著者によるこの青春小説は、チームスポーツの青春物語にとどまらず、成長期の体とスポーツ、女子アスリートの健康問題など、多くのことを読者に問いかけています。テンポのよい夢のようなストーリー展開やドキドキの試合シーンは、ドラマを観ているような読みやすさで、活字の本が苦手な人におすすめです。

愛奈と羽瑠の二人のほかにも、チームメイトや地元クラブチームのスター、愛奈と羽瑠の保護者など魅力的な登場人物がいるので、彼らのセリフや行動に注目してみるのもおすすめです。

チームスポーツの経験がある人やスポーツに興味がある人はワクワクしながら読めることでしょう。スポーツに縁がなくても、貧困や健康や栄養学といった分野に興味がある人は、実状を調べて自分なりに提案をしてみるのもよいと思います。

感想文から探究・進路の活動へ

1.探究編

作品を読んで、気になったテーマを1つ設定してみましょう。

アスリートの理想的な体づくり、女性の月経とスポーツ、貧困対策、地域振興とクラブチームなど、関心のあるテーマを選ぶのがおすすめです。

選んだテーマについて、身近な例を中心に調べていきましょう。

例えば、関心があるスポーツのクラブチーム(プロや実業団でもOK)があったら、どんな地域・社会貢献活動をおこなっているか、調査してみましょう。思いのほか、たくさんの活動があるはずです。そうした活動は、何のためにおこなわれ、誰が支えていて、どんなメリットがあるのか、深掘りしていくと、芋づる式に興味と調査結果が広がっていくはずです。調べた結果をまとめれば、1つの探究レポートが出来上がります。

 

2.進路編

自分の興味がある分野や、進路先と共通点があったら、それらについて調べてみましょう。女子の健康科学について学べる学校は?スポーツビジネスが学べる学校は?経済的な弱者や子どもの福祉に貢献できる資格や職業は?気になる分野の進路先や、就職先、必要な資格などを調べてみませんか。

夏はオープンキャンパスなどの学校を知るイベントや、企業団体などでのボランティア募集が多く設定されています。興味がある分野について調べるだけでなく、行動できるのが夏休みの最大のメリットです。ぜひ1つ、実際にアクションを起こしてみてください。

『ノアハム・ガーデンズの家』(ペネロピ・ライヴリー/著、斎藤 倫子/訳、ゴブリン書房)

レトロな邸宅を守る少女と、愛すべき大おばたちの物語

【出版社より:あらすじ・みどころ】

1970年代のオックスフォード。古い家に大おばと暮らすクレアは、物置で見つけた異国の楯をきっかけに、奇妙な夢を見るようにーー。

 

人類学者の曽祖父がニューギニアから持ち帰った楯を見つけて以来、クレアの心は大きく揺らぎはじめます。文明と文化、場所や物にまつわる記憶、若さと老いについて……、私たちに深く考え、感じさせる物語です。

 

【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです

※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!

□ 「歴史総合」や「地理総合」を学んだ/学んでいる

□ イギリスなどヨーロッパの町並みや文化に興味がある

□ 博物館や博物館学や文化財の保存に興味がある

□ おばあちゃんが好き

□ 西洋の植民地主義的な考えや、少数民族の文化を尊重することに関心がある

□ 海外文学にチャレンジしたい

『ノアハム・ガーデンズの家』で感想文を書く時のヒント

歴史的な石造りの建物が並ぶ大学都市であるイギリスのオックスフォードを舞台に、クラシカルな豪邸の切り盛りに奮闘する少女の毎日を描いた小説です。両親を幼いころに亡くして、知的で博識な78歳と80歳の大おば2人と邸宅に住むクレアは14歳。広い家の維持費の一部をまかなうために下宿人を置き、おばさんたちの世話を続けています。

10代にしては落ち着いて達観したクレアと浮世離れした大おばたちの日常が、南洋をイメージさせるものや夢を織り交ぜながらつづられています。

変わることと変わらないこと、思春期と老い、精神的な豊かさと現実的な金銭の悩み。西洋と南洋の文化、揺れ動く思いや思春期の漠然とした不安、とキーワードを挙げたらきりがないくらい奥深い本です。

取り上げたいキーワードをいくつか用意して、それについてあらかじめメモにまとめていくと感想文を進めやすいです。懐の深い本なので、多様な書き方ができます。正しい解を求めずに、感じたことや考えたことを論理的にまとめていくとよいですよ。

感想文から探究・進路の活動へ

1.体験する・味わう

この物語のタイトルにもなっているノアハム・ガーデンズの家は、ヴィクトリア調のつくりや調度品がすてきな邸宅です。クレアやおばさんたちのように、ヴィクトリアンスタイルについて調べてみませんか?日本にも神戸や横浜などにいくつかヴィクトリア調の建物が残っており、見学が可能な施設もあります。また、物語に何度も登場する「お茶の時間」は、イギリス人にとって欠かすことのできない時間です。作品内にはクラウン・ダービー社のティーカップやお茶と共にいただくクッキーやスコーン、ピーナツバター・サンドイッチなど、茶器やお菓子の名前も出てきます。物語に思いをはせながら、とっておきの英国風お茶の時間を楽しんでみましょう!

 

2.学びを深める

学校の歴史や地理で学んだことを深めてみませんか。歴史が好きな人は、1920年代から1980年代までのイギリス(オックスフォード)で起こったできごとや文化を調べたり、ヨーロッパ諸国の植民地政策について調べたりしてみましょう。

地理が好きな人は、この物語の舞台となっているオックスフォード(ポート・メドウ、へディントンなどもオックスフォードにあります)やスペインのコスタ・ブラバなど、登場する地名について調べてみましょう。

博物館が好きな人は、オックスフォード大学自然史博物館と、クレアが訪ねたピット・リヴァース博物館について調べてみるのも楽しいですよ。私も調べてみたのですが、建物やお庭からアメイジング!なのです。きっとあなたも訪ねてみたくなるはず!

この本を読んだ後なら、教科書で見た用語が生き生きと浮かび上がってくるはずです。

クレアが魅了されたタンバランはニューギニアの部族が大切にしていたものでした。ニューギニアの歴史や文化とヨーロッパ諸国との関係を調べてみるのもおすすめです。

『平和のうぶごえ 「原爆の子」として生きた80年』(早志百合子/著、毎日新聞出版)

【出版社より:あらすじ・みどころ】

広島で被爆した少年少女の手記『原爆の子』(1951年、岩波文庫)は今も世界中で読み継がれています。著者はその執筆者の一人でした。6歳で被爆、命は助かっても「被爆者」となった人生は苦難の連続でした。原爆症で小学校に通えず、好きな仕事も断念、結婚・出産時の差別…89歳の今も体の不調を抱えます。

しかし、辛い時こそ「ここで諦めてはいけない!」と踏ん張ってきました。「原爆の日に私は生まれ変わったと思うようにしている」と言います。

『原爆の子』執筆者のグループの会長を長年務め、毎年仲間と集まり、家族にも話せない辛い記憶や悩みを語り合い、励まし合ってきました。仲間と生き抜いた80年を振り返り、命の尊さ、被爆体験の継承について伝えます。

【ちどりの”ここがポイント!”】
こんな人におすすめです

※ □にひとつでもチェックが入ったら、読んでみよう!

□  現在世界で起きている戦争や紛争に心を痛めている

□ 「平和」という言葉が身近に感じられない/きれい事に思えてしまう

□   日本の近現代史や社会問題に関心がある

□   家族や親子の関係について考えたい

□   生い立ちや変えられない環境に悩みがある

□  未来をよりよく生きたい

□  人間の優しさや可能性を信じたい

『平和のうぶごえ 「原爆の子」として生きた80年』で感想文を書く時のヒント

広島に原爆が投下されてから6年後に、被爆した子どもたちの作文を掲載した『原爆の子』が出版されました。本書『平和のうぶごえ』の著者である早志さんは9歳の時の被爆体験が『原爆の子』に掲載され、著者たちの会を組織・運営されてきた方です。この本を読むと、破滅的な原爆の被害は、投下直後だけでなく、何十年もの長い間、被爆者たちを傷つけるのだということが分かります。その傷は、病気という物理的な側面の他、心ない人による精神的な側面からのものも含まれます。早志さんが被爆体験を語るようになったのは60歳を過ぎてからだそうです。80年以上前の被爆体験を語れる人は、年々少なくなっています。この本を読んで五感に訴える悲惨な被爆体験を知ることは、明日の平和(戦いの無い日々)の一歩となるはずです。 読書感想文は、印象に残ったエピソードや、疑問に思ったことについて、探究的に自分で追加調査してみるとよいと思います。お住いの近くの戦争資料館を訪ねる、戦争体験のアーカイブを見るなどして、戦争を自分で調べてみましょう。感想文を書く際には、原爆被害、空襲被害、戦争孤児、被爆者の健康など、作文のテーマを決めて構成するとよりまとまりのあるものになります。自分の意見だけでなく、未来への提言のような形もよいですよ。

感想文から探究・進路の活動へ

読書感想文をきっかけに、進路に直結する活動をしてみませんか。3つの分野について具体例をご紹介します。

 

1.医療や心理に興味がある人へ

この本には被爆状況や後遺症についての記録が載っています。医学に興味がある人は被爆による放射線の影響について調べてまとめてみるのはいかがでしょうか。

心理学に興味がある人は、戦争による心的外傷後ストレス(PTSD)について調べてみるのもよいと思います。『原爆の子』に掲載されたのは被爆時に子どもだった人たちなので、児童や青年期のPTSDや子どものトラウマケアについてまとめることができると思います。

 

2.社会科学に興味がある人へ

社会学に興味がある人は、この本に多く書かれている被爆者への偏見をベースに、現代の差別・偏見問題を調べて比較してみるのはいかがでしょう。

法律に興味がある人は、核や核兵器が日本や国際法でどのように位置づけられているか、現在どんな問題があるのか、調べてみるのもよいと思います。ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN アイキャン)や日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)といった活動団体の調査もおすすめです。

 

3.戦争の記憶継承に興味がある人へ

80年以上前の戦争を知り、直接語れる人が年々少なくなっており、現代の技術(AIや3DやVRなど)を用いた体験のデジタル化やアーカイブ化が進められています。情報技術に興味がある人はこうしたアーカイブ事例を調べてみませんか。地域の資料館や興味のある分野で、戦争を語り継いだり記録を残す活動を調べたり、実際に地域の伝承などをまとめてみるのもおすすめです。

 

この他にも、様々な切り口があると思います。ぜひ考えてみてください。

 

読書感想文と、そこから派生しておこなった探究活動は、高校時代に学んだこととして、進学や就職の際のアピールポイントになります。近年は高校時代に主体的に学んできたことや、探究できる能力を評価する総合型選抜が幅広く採用されています。みなさんの進路選択に活かせる読書感想文と、そこから始まる探究学習にぜひこの夏チャレンジしてみてくださいね!

 

<きみの書いた感想文が表彰されるかも!?課題図書で挑戦してみよう>

https://www.ehonnavi.net/pages/kadaitosho72th/ コンクールについて詳細はこちら

おわりに

3冊の中から、一番に読みたくなった本はどれですか?

読んだ方の心に何かしらの変化が起こる、そんなすてきな本ばかりです。

作品を読み、考えて、表現するという読書感想文を通じて、様々な場面で応用可能な知的スキルを磨いていってくださいね。

山下ちどり

中学校と高等学校に勤務する現役学校司書。

静かな学校司書のイメージとは正反対のアクティブ系。

好きなものはティータイムと海辺のドライブ。

MBTIはESFP(エンターテイナー)
X @nagisalib

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