林明子さんの絵は優しさでできている、そんな風に思います -『こんとあき』
絵本ナビに日々寄せられてくるのは、ユーザーからのたくさんの生の声。実際に絵本を読んだ時の子どもたちの反応やエピソードからは、ストーリーを超えた魅力まで伝えてくれます。絵本ナビユーザーがおすすめする絵本をレビューとともにご紹介します!
大人になっても心に残る絵本のひとつ、林明子さんの『こんとあき』。感想も子ども目線だったり、親目線だったり。どの世代の読者にもささっているのがよくわかります。
とっても、とっても、とってもよかったー
この絵本には、たくさんの素晴らしいものが、たくさん、たくさん詰まっています。ここには、とても書ききれないくらい・・。
ただのきつねのぬいぐるみであるこんが、どんな時にも忠実にあきを守ろうとする姿に胸を打たれました。
それは、きっと自分を作ってくれたおばあちゃんが、最初にあかちゃん(あき)のお守りをたのんだからでしょう。腕がほころんでも、しっぽを電車の扉に挟まれても、犬にやられてあきの言うことがよくわからなくなっても、どんな時でも自分のことより、あきが不安にならないように「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言って気丈に振舞います。
でも、あなたは、あきよりも小さなぬいぐるみなのに・・・。もう、胸がきゅんとなり、どうか助かりますようにと、祈らずにはいられなくなりました。
優しい、優しいおばあちゃんになおしてもらい、後はお風呂に・・・というところで、今まで見せたこともないほど、慌てて、お風呂を嫌がって逃げるこんが、すごくかわいくってたまりません。
登場人物の表情、質感がどれも見事で、瑞々しく、いとおしくなります。特に、私は、あきが電車の窓に、ほっぺをぺたっとくっつけて、こんが戻って来るのをじーっと待つ姿。彼女の内面の不安が見事に描かれています。
林明子さん、どうしたらこんなに優しい絵が描けるのですか。
ただ、ただ、親子で大満足です。本当に心がぽかぽか温まる素晴らしい絵本でした。
(はなしんさん 30代・ママ 女の子5歳、男の子3歳)
1番ドキドキした絵本
小さい頃に読んだときのことを、今でも鮮明に覚えています。
この絵本ほどドキドキした絵本は他にありません。
子どもながらに、「電車が行っちゃうー!」とか「こんのしっぽがー!」とか「犬に連れて行かれて大変だー!」とか、鳥取砂丘の存在を知らなかった私は「この2人は外国まで来てしまったんだろうか・・・」とか、そういうことを色々考えさせられる絵本でした。(笑)
「電車で外国に行ったはずなのに…どうして歩いて日本のおばあちゃんの家まで行けたのだろう…」など、色々と想像力を働かせた思い出があります。
いつも健気に「だいじょうぶだいじょうぶ」と口にするこんや、最初はこんに守られてばかりだったのに、弱ったこんをおんぶしておばあちゃんの家に辿り着くあきちゃんを見て、とても勇気付けられたことも覚えています。
とにかく、「小さい頃読んで好きな絵本は?」と聞かれたら、この『こんとあき』を真っ先に挙げるほど、小さい頃の私にすばらしい影響を与えてくれたと思います。
お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんに、是非小さい子に読ませてあげてほしい本です。
(heffalumpsさん 20代)
優しさでできている
「こんとあき」は、子どもが生まれたら絶対に読んであげたいな…と思っていた絵本でした。そしてまだ早いかな、と思いつつも、待ちきれずこの絵本を買ってあげたのが、息子が2歳半の時。当時の息子にとってはかなり長い絵本だったのですが、意外や意外、息子の大のお気に入りになりました。
息子はどんなところが気に入っているんだろう?
気がつけば息子のお気に入りの絵本は、みんな林明子さんの絵本。「はじめてのおつかい」、「ぼくのぱん わたしのぱん」、そして「こんとあき」…。
林明子さんの絵は優しさでできている、そんな風に思います。そして子どもにもその優しさがふんわりと伝わるんじゃないのかなあ。ただ美しいだけじゃない、子どもを、人を、街を、世界を、暖かく包む林さんの眼差しが、そこにはあります。
個人的には、砂丘に着いた時の見開きの絵が好きです。
読んでいて、本当に眼前に砂丘が広がり、こんやあきと一緒に砂丘を見ているような気分になります。また、あきが初めて砂丘を見た感動がダイレクトに伝わってくる絵でもあります。
息子はまだ砂丘を見たことがありません。でももしいつか訪れることがあったなら、「『こんとあき』にあったね!」と絵本のことを思い出してくれると嬉しいな。そしてその絵本から感じとった優しさも…。
(リネットさん 30代・ママ 男の子3歳、女の子0歳)
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