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【夏フェア】2017年の課題図書、何をどう読む?作品の選び方とポイントをご紹介します(中学年の部)

 

夏休みの宿題の定番といえば、読書感想文。課題図書のラインナップを見るといろいろな本が選ばれていて楽しそう。でもいざ書くとなると、どの本でどう書くか悩みの種になっている子も多いのでは?

 

感想文を書く時に一番重要なのは、ずばり本選び。ポイントは、最後まで読み通せる好きな本を選ぶこと! 表紙を見て直観で決めても、あらすじや本の体裁を見てじっくり選んでも選び方はどちらでも良いですが、とにかく自分が面白そう、これなら感想文が書けるかも、と思える1冊を選んで下さいね。さらに、実際に読み始めて、ちょっと違うかも? と途中で読めなくなってしまったら、思い切って違う本に変える勇気も大切です。

中学年になると読書が好きな子、苦手な子の差が出てきたり、読める量にも差が出てくるので、本の内容だけでなく本の難しさレベルも自分に合ったものを見つけることが重要です。難しそうな本よりも面白そう! 読んでみたい! という感覚を大事にして下さいね。面白そうだけれど1人で読み通せるか不安な時には、大人の方に一緒に読んでもらうのもおすすめです。

 

こちらでは、中学年の部に選ばれた課題図書4冊の中からどの作品が自分に合っているのか本選びの参考になる情報を中心に紹介します。

後半では、そもそも読書感想文ってどんな風に書けば良いの?という疑問に答える、読書感想文の基本についてお伝えしたいと思います。

2017年、中学年の課題図書4タイトルの中から、どれを選ぶ?

『くろねこのどん』

くろねこのどん

えみちゃんが一人でるすばんしているとき、あそびに来るどん。一ぴきで来たり、ねこなかまをつれてあそびに来たり、雨や雪がふると来たり……来たいときに来る、自由なねこと女の子のかんけいがすがすがしい連作童話。

どんな子におすすめ?

  • 動物と仲良くなりたいなあ、しゃべってみたいなあ、と思ったことのある子に。
  • 猫が好きな子に。
  • 想像力豊かな子に。

どんな本?

ページ数は191ページとボリュームがありますが、お話が大きく4つに分かれているので、あまり長さを感じずに読める本です。

さし絵が多くかわいらしいので、絵に惹かれて読む子も多そうです。特に女の子が好きな本だと思います。

お話の舞台は、「えみちゃん」という女の子の部屋と家の周りでの出来事が多いので身近に感じられるお話です。けれども猫がしゃべったり、猫と雲に乗ったり、不思議な出来事もいろいろ起こり、ファンタジー要素もあります。

 

※楽しく読みやすいお話ですが、何か大きな出来事が起きたり、感動したりするお話ではないので、感想文を膨らませる時には少し苦労する面もあるかもしれません。

どんなテーマが込められてるの?

猫と女の子のほのぼのとした交流が描かれ、子どもたちの共感を呼びます。

発達段階の差が著しい中学年で、3年生にも親しめる内容で読書の楽しさを知れる作品です。

日本語が美しく、読みやすい文体で書かれています。

『くろねこのどん』の感想文を書く時のヒント

  • 「どん」が「えみちゃん」のところに遊びにくるのはどんな時なのかに注目してみよう。特に「えみちゃん」がどんな気持ちでいる時に来てくれるのかな?
  • お話の中では「どん」の気持ちはあまり書かれていないけれど、遊びにくる時々で「どん」はどんな気持ちでいたのかな。いろいろ想像してみよう。
  • 動物とお話してみたいと思ったことはある?
  • 動物と気持ちが通じたり、友だちになれたかも、と思った体験があったら、思い出して書いてみよう。

『空にむかってともだち宣言』

空にむかってともだち宣言

ミャンマーからナーミンが転校してきた。あいりはすぐになかよくなるが、給食の時に事件が起きる。だがそれをきっかけに、ミャンマーの食べ物やあいさつを教え合い、日本に暮らす難民のことも学び、クラスがまとまっていく。

どんな子におすすめ?

  • お話がしっかりしているので、本好きな子の読書欲を満たしてくれる本です。
  • 読書が苦手な子でも、家の周りや学校が舞台になっている身近なお話なのでそれほど難しくなく読めるでしょう。
  • 主人公は4年生の女の子で、クラスでの出来事が中心に出てくるので、とくに4年生におすすめです。でも3年生でも読めそうな子はぜひ挑戦してみて下さい。
  • 外国人のお友達がいたり、日本以外の国についていろいろ知りたい子におすすめです。

どんな本?

ページ数は119ページで、『くろねこのどん』よりもページ数としては短いですが、内容としては読み応えがあります。

「もし自分だったら…」と気持ちを想像しやすかったり、お話の中に心を動かされる場面が多いので、感想文が書きやすいお話のように思います。

ミャンマーから移住してきた家族と主人公のあいりの交流を中心にお話が進むのですが、ミャンマーという国についていろいろ知れたり、難民問題について考えさせられたり、視野がぐんと広がる本です。この本をきっかけに、さらに詳しく外国のことを調べてみようという意欲にも繋がりそうです。その調べたことを感想文に加えて膨らませるのもいいですね。

どんなテーマが込められてるの?

国際理解や異文化理解がテーマとなっています。

子どもたちが難民問題や国際問題に目を向けるきっかけになる内容です。

『空にむかってともだち宣言』の感想文を書く時のヒント

  • この本を読む前に、難民について聞いたことはありましたか?どのぐらい知っていましたか?
  • 他にも、この本から新しく知ったことはどのぐらいありましたか?
  • あいりと同じ小学4年生のナーミンが、どんな気持ちで日本にやってきたのか、想像してみよう。もし自分が全然知らない国に引っ越さなければならなくなったらどんな気持ちになるかな?
  • ナーミンが初めて学校へ行った日に起きたさまざまな出来事について、どう思った?ナーミンはどんな気持ちだっただろう?自分だったらその時助けてあげられるかな?
  • ナーミンが日本の生活や学校にうまく慣れるよう、親身に手助けしてあげたあいりをどう思う?もし自分があいりの立場だったらどんな気持ちでどう行動したかを想像してみよう。
  • 世界のいろいろな国から日本に避難してきた人たちの相談に乗ったり、生活の助けをする活動をしているゴンさんをどう思った?

『耳の聞こえないメジャーリーガーウィリアム・ホイ』

耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ

1890年代のアメリカ、大リーグ。

「ストライク」や「セーフ」などの審判のジェスチャー、チーム内のサインを考案し、観客を熱狂させた、聴覚障がいをもつ選手、ウィリアム・ホイの活躍を描いた楽しい伝記。

野球ファン必読の絵本!

どんな子におすすめ?

  • 男の子にも女の子にも楽しく読み通せる本です。
  • 本を読むのが苦手だったり、あまり好きでない子でも楽に読める本です。
  • 野球が好きな子、スポーツをやっている子に。
  • 伝記や偉人伝など人の生き方に興味がある子に。
  • 歴史やもののはじまりに興味がある子に。

どんな本?

32ページの絵本で、はっきりとした絵が見やすく、物語の理解を助けてくれます。

文章が少ないので、本が苦手な子でも苦なく読めます。巻末に「ウィリアム・ホイ」のプロフィールや年譜がついているので、お話を読んだ後に、さらに詳しく知りたい時や感想文を書く時の参考に役に立ちます。

 

どんなテーマが込められてるの?

実話を基にした伝記物語で、子どもたちに身近な野球についての意外な事実を伝えることができる本です。

耳が聞こえないという困難にも負けず、前向きに考え努力した結果、夢を叶えたウィリアム・ホイのすごさに感銘します。

ウィリアム・ホイのチャレンジ精神と生き方に心を動かされます。

『耳の聞こえないメジャーリーガーウィリアム・ホイ』の感想文を書く時のヒント

  • 生活の中で、耳が聞こえないとどんなことが大変だと思う? さらに野球やスポーツをする時に大変なことはどんなことだろう?
  • ウィリアム・ホイがぶつかった困難はどんなことだったかな? その時のウィリアム・ホイの気持ちを想像してみよう。
  • 絵本の中のさまざまな場面で、自分がもしウィリアム・ホイの立場だったら、どんな気持ちになるか、どう行動したか、考えてみよう。 
  • さまざまな困難にも負けず、後世に残るジェスチャーやサインを残すことができたのはウィリアム・ホイのどんな思いからなのだろう。本の中には書かれていないけれど、考えてみよう。

『干したから・・・』

干したから・・・

干した食べもの、大集合!
私たちのふだんの食卓にも、外国にも、じつは「干したもの」がいっぱいあるって知っていましたか?
アジアを旅し、いろんな食べものを撮影してきた森枝卓士さんのユニークな写真絵本です。

野菜や果物、干すとどうなるか。
太陽の下でしわしわになって、水分が抜けて、軽くなる。
生の大根と、干した大根をくらべてみたら、びっくり!
生の大根のほんのすこしの切れ端で、山のような干し大根と同じ重さになっちゃう。

梅干しや魚は、日本の食卓になじみ深いものだから、みんなも知っているかもしれないけれど……
アジアの国々には、カエル、ネズミ、コウモリの干物だってあるんです!(すごい!)
なっとうを干したものもあるし、チーズを干したものもある。
どれも、それぞれ干して長持ちさせ、腐りにくく、ちがうおいしさにすることができるんです。
びっくりするほど広がる「干したもの」ワールドに、子どもたちの目はまんまるになりそう。

空のおひさまの下、風が吹くなかで干されてきた、たくさんの食べもの。
私たちは、自然のめぐみと、人の手と知恵によって生み出されたものを、食べて生活しているんだとわかります。
人間の食文化ってすごいですね。

巻末には「どれが干したものか、わかったかな?」というクイズのようなページがあります。
お膳から「干したもの」を見つけ出すゲームは、おうちでもできそうですよ。

同じく巻末に「やってみよう!」と干し野菜の作り方を解説するページも。
生の野菜を干したら、どんなふうになるのか。
子どもと一緒に観察して、味わってみるのもおもしろそう!
 

どんな子におすすめ?

  • 実験が好きな子に。
  • お料理が好きな子に。
  • 物語よりも、自然科学などに関心がある子に。
  • 世界の食文化について興味がある子に。知りたい子に。

どんな本?

34ページの写真絵本です。魅力的で気になる写真が満載で、写真を眺めるだけでも楽しく、文章もそれほど多くないので、あっという間に読めます。

巻末には、初心者向けに、野菜の干し方のアドバイスや気をつけることなどが載っていて参考になります。

どんなテーマが込められてるの?

食べものを干すことによって保存食とし、人が自分たちの命を守ってきたことが伝わります。

世界中にはいろいろな乾燥食品があるということが分かります。

食生活や世界の食文化への意識が広がります。

『干したから・・・』の感想文を書く時のヒント

  • 干すことで作られたたくさんの食べもの。本の中で紹介されているもののうち、はじめてそれが干されて作られたものだと知ったのは何だった?本を読んで知ったことについての驚きを表現してみよう。
  • 食べものは干すことでどう変わる?なぜ変化するのか考えてみよう。
  • 家の台所で干したものを探してみよう。どのくらい見つかった?意外なものはあったかな?
  • 実際に食べものを干してみよう。その経過を観察してみたり、干す前と干した後の味を比べてみたり、干してみた感想を書いてみると感想文が深まりそうですよ。自由研究と合わせてチャレンジしてみるのもいいですね。
  • あとがきもじっくり読んでみよう。感想文を書く時のヒントが何か見つかるかもしれません。

読書感想文を書くときの基本構造

さて、感想文を書く本が決まったら、次は書き方です。

読書感想文の書き方の本を参考に、感想文の組み立て方の例を3つほどご紹介します。

※中学年の部の文字数は、本文1200字以内です。

感想文の書き方例 その1

参考図書:『読書感想文がスラスラ書ける本 小学3・4年生』(上條晴夫/企画・監修、永岡書店)より

 

感想文を書き始める前に、全体の組み立てを考えよう

⇒以下の組み立て例を参考にメモを書いてみるのがおすすめです。

 

はじめ
本を読んだきっかけや本のあらすじを書くまとまり

☆次の七つのパターンから、使ってみたいパターンを選んでみよう

  • 題名・表紙が気に入った
  • 内ようが興味のあるものだった
  • だれかにしょうかいしてもらった
  • じぶんとの共通点があった
  • 本のあらすじ
  • 読み終わった直後の感想
  • 作者・シリーズ本などのしょうかい

なか
印象に残った場面の説明と、その場面での自分の感想を書くまとまり
☆本を読みながら「なか」に書く感想のもとを見つけるには、「ふせん」を使うとよい。心が動いたところにふせんをはって、書きたいことを考えてみよう。

 

「なか」の書き方のコツ

  1. 説明の部分と、自分の感想や考えの部分をはっきり分けて書く
  2. 「なか」の段落をかえるときに、段落と段落をつなぐ言葉を使う
  3. 気持ちの表げんを工夫する

 

おわり
本を読んで強く思ったことや、考えたことを書くまとまり

☆次の四つのパターンから、終わり方を選んでみよう

  • 本を読んで強く感じたこと
  • 登場人物と自分をくらべたこと
  • 作者が伝えたかったこと
  • これからの自分の目標や希望

感想文の書き方例 その2

参考図書:『お父さんが教える読書感想文の書きかた』(赤木かん子/著、自由国民社)より

  1. 原稿用紙を赤いペンで3行ずつ、四角く囲んで、中学年の場合は、20ブロックに分ける。
  2. 最初のブロックに、感想文の題名と名前を書く。
  3. 2~4番目のブロックには動機(本を選んだ理由)を書く。
  4. 5番目のブロックには場面設定(あらすじ)を書く
  5. 6番目のブロックには、5番目に書いたことへの感想を書く。
  6. 5と6の「あらすじを書いてそれについての感想を書く」を何回か繰り返す。
  7. 本の話と自分の体験を比べて書く
  8. 結論を書く。

感想文の書き方例 その3

参考図書:『読書感想文がラクラク書けちゃう本』(宮川俊彦/著、小学館)より
 

とっちゃまん(著者の宮川俊彦さんの愛称)式組み立て理論

  1. 本との出会いを書く。具体的なエピソードを入れる。
  2. ざっと読んだ感想をひとことで印象的に書く。
  3. 本のテーマについて書く。
  4. そのテーマだと思った理由を書く。
  5. 大づかみしたストーリーや大切だと思うことを文中から引き出して書く。
  6. ストーリーや大切だと思うことについての、きみの意見を書く。
  7. 「もしも」の文を書く。
  8. 「もしも」の文の理由、きみの意見のモトを書く。
  9. 「だから」の文で、意見をまとめる。
  10. 感じたことをつけ加えて書く。
  11. 最後のまとめを書く。

いかがでしたか?

課題図書のラインナップの中から自分に合った本は見つけられたでしょうか。また読書感想文をどう組み立てたら良いか、少しでも参考になりましたか?

今年の読書感想文が、楽しくスムーズに進められますように。

http://www.ehonnavi.net/special.asp?n=3649 2017年課題図書 特設ページOpen!

秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部